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労災の申請方法やフロー、Q&Aについて弁護士が詳しく解説!

業務中および通勤中による事故などで傷病などを負った場合、被災労働者やその遺族は、労災保険給付を受けられます。労災保険を受給する際に悩まないよう、申請方法やよくある質問について把握しておきたい人もいるのではないでしょうか。

本記事では、休業(補償)等給付を例に挙げ、申請方法やフローを解説します。給付ごとの請求書や労災申請に関するQ&Aについても参考にしてください。

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労災申請すれば、さまざまな補償が受けられる!

労働者が労災(労働災害)に遭った場合、労災保険を受給できます。労災保険とは、業務や通勤が原因で労働者が傷病などを負った場合、必要な保険給付を行うとともに被災労働者の社会復帰の促進などを行う制度のことです。労災保険では、労働者の保護を目的としたさまざまな補償を受けられます。

そもそも労災とは

労災(労働災害)とは、労働者が業務中または通勤中に被った怪我・疾病・死亡のこと。
労働者の業務上の負傷・疾病・障害および死亡を「業務災害」といい、通勤途中での負傷・疾病・障害および死亡を「通勤災害」という。

労働者が労災給付を受けるためには、労災申請する必要があります。労災保険を申請することで受けられる、主な補償は以下の通りです。

受けられる補償補償内容
療養(補償)等給付怪我や病気になった場合の治療費の補償
休業(補償)等給付療養のために働けなくなった場合の賃金の補償
障害(補償)等給付後遺障害が残った場合の障害の程度に応じた補償
介護(補償)等給付労働者が受けられる、介護が必要になった場合の介護費用の補償
遺族(補償)等給付遺族が受けられる、労働者が死亡したことによる喪失分の補償
傷病(補償)等年金療養開始後1年6カ月を経過しても治ゆ(症状固定)せず、傷病等級に該当する障害が残った場合の補償
葬祭料(葬祭給付)葬祭を行う者が受けられる、労働者が死亡した場合の葬祭費

【関連記事】労災(労働災害)とは?弁護士がわかりやすく解説
【関連記事】労働保険とは?受けられる補償や受ける方法を解説

【休業(補償)等給付の場合】労災の申請方法・フロー

ここからは、休業(補償)等給付の場合を例に挙げ、労災の申請方法とフローについて解説します。休業(補償)等給付では、労働基準監督署に労災の申請・審査を経ることで、「休業日4日目から、休業1日につき給付基礎日額の80%(保険給付60%+特別支給金20%)」が支給されます。

なお、休業(補償)等給付の補償内容については、以下の記事で詳しく解説しています。

【関連記事】労災保険の休業補償の支給期間や支給額について解説
【関連記事】労災手続きの流れは?必要書類から注意点まで弁護士が詳しく解説

フロー1:会社に労災発生を報告

労災事故が発生したら、まずはその事実を会社に報告します。労災保険給付を受けるためには労働基準監督署へ請求書を提出しなければならず、当該請求書には、会社から労災の事実証明を記載してもらう必要があります。

労災事故が起こった場合、会社には遅滞なく正確に、その内容を労働基準監督署に報告する義務があり、休業4日以上の場合は、労働者死傷病報告(様式第23号)の提出による報告が必要となっています。加えて、業務災害の場合、休業(補償)等給付の待機期間となる最初の3日間については、会社が労働基準法に基づき休業補償を行わなければなりません。

このような事情を踏まえて適切に手続きを行ってもらうためにも、労災発生後は速やかに、会社に事故の日時や具体的な状況などを報告しましょう。

フロー2:労働基準監督署へ請求書を提出

「医療機関の証明」と「事業主の証明」を請求書に記載したうえで、管轄の労働基準監督署に提出します。基本的に、請求書は被災労働者が提出することとなっていますが、負傷状況などにより被災労働者での手続きが困難な場合には、事業主の協力を得て提出することも可能です。

フロー3:労働基準監督署の調査後、労災認定

労働基準監督署に請求書を提出したのち、労働基準監督署の調査があります。必要に応じて、労働基準監督署から被災労働者や会社に対し、事故に関する聞き取りなどが行われます。「業務災害であるか否か」、「休業を要するか否か」などを審査したのち、労災の支給・不支給が決定し、請求人本人(被災労働者)に対して支給(不支給)決定が通知されます。

フロー4:保険給付の支払い

労災認定が下りたら、指定の振込口座へ保険給付が支払われます。

保険給付ごとの請求書リンク

労災申請で必要となる、保険給付ごとの請求書を見ていきましょう。労災事故が「業務災害」の場合と、「通勤災害」の場合とで、使用する請求書は異なります。

療養(補償)等給付

<労災保険指定医療機関を利用する場合(自己負担なく治療等を受ける場合)>

「療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の給付請求書(様式第5号)」(業務災害用)
「療養給付たる療養の給付請求書(様式第16号の3)」(通勤災害用)

<労災保険指定医療機関以外の場合(費用の支給を受ける場合)>

「療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の費用請求書(様式第7号(1))」(業務災害用)
「療養給付たる療養の費用請求書(様式第16号の5(1))」(通勤災害用)

休業(補償)等給付

「休業補償給付支給請求書(様式第8号)」(業務災害用)
「休業給付支給請求書(様式第16号の6)」(通勤災害用)

障害(補償)等給付

「障害補償給付支給請求書(様式第10号)」(業務災害用)
「障害給付支給請求書(様式第16号の7)」(通勤災害用)

介護(補償)等給付

「介護補償給付支給請求書(様式第16号の2の2)」(業務災害・通勤災害共通)

遺族(補償)等給付

<年金の場合>

「遺族補償年金支給請求書(様式第12号)」(業務災害用)
「遺族年金支給請求書(様式第16号の8)」(通勤災害用)

<一時金の場合>

「遺族補償一時金支給請求書(様式第15号)」(業務災害用)
「遺族一時金支給請求書(様式第16号の9)」(通勤災害用)

傷病(補償)等年金

「傷病の状態等に関する届(様式第16号の2)」(業務災害・通勤災害共通)

葬祭料・葬祭給付

「葬祭料又は複数事業労働者葬祭給付請求書(様式第16号)」(業務災害用)
「葬祭給付請求書(様式第16号の10)」(通勤災害用)

労災保険申請に関するQ&A

ここからは、労災保険の申請に関してよくある質問を解説します。

Q1:パートやアルバイトでも保険給付は受けられる?

パートやアルバイトなどの非正規雇用者でも、労災保険給付は受けられます。労災保険は、労働基準法上の労働者を対象としています。パートやアルバイトなど就業形態にかかわらず、事業主との間に雇用関係があり、業務または通勤により負傷した場合などは、正規雇用者と同様に保険給付を受けることが可能です

Q2:労災認定を受けるための条件は?

労災申請を行えば、必ず保険給付が行われるわけではありません。保険給付を受けるには、労災であると認められる必要があります。例えば業務災害の場合、労災が認められるには以下のような条件があります。

① 業務遂行性:労働者が会社と労働関係にある際に起きた災害であること
② 業務起因性:業務と傷病などとの間に一定の因果関係があること

労災が認められるには、「業務遂行性」と「業務起因性」の双方について認められる必要があります。一例として、足場からの転落や、工業機械による傷害などの事故は、労災認定を受けやすいといえます。一方、業務負荷による精神疾患などは、精神疾患の発症が業務によるものかどうかやその因果関係について客観的な証拠や医学的な観点なども含め判断する必要があり、労災認定の判断が難しいとされています。

【関連記事】労災認定を受けるポイントを弁護士が解説

なお、通勤災害が労災と認められるかどうかは、また別の条件があります。詳しい内容については、以下の記事をご確認ください。

【関連記事】通勤中の事故は労災保険の対象?「通勤災害」の認定要件や申請フローなどを解説

Q3:労災保険の申請はいつまでに行えばよい?

労災の申請には時効が設けられており、給付の種類ごとに時効期間や起算日などが異なります。給付ごとの時効は以下の通りです。

給付の種類時効期間起算日
療養(補償)等給付2年間
※労災保険指定医療機関などで無料で治療を受けることができる「療養の給付」の場合、時効はない
療養の費用を支払った日ごとにその翌日
休業(補償)等給付2年間賃金を受けない日ごとにその翌日
障害(補償)等給付5年間傷病が治ゆした日の翌日
介護(補償)等給付2年間介護を受けた月の翌月の1日
遺族(補償)等給付5年間被災労働者が亡くなった日の翌日
傷病(補償)等年金監督署長の職権により移行されるため時効はない
葬祭料・葬祭給付2年間被災労働者が亡くなった日の翌日

出典:「労災保険に関するQ&A(7‐5 労災保険の各種給付の請求はいつまでできますか)」厚生労働省

Q4:労災保険は損害の全額をカバーできる?

労災保険では、労災事故による全ての損害をカバーすることはできません。

例えば、休業(補償)等給付では、「給付基礎日額の60%+給付基礎日額の20%(休業特別支給金として)」が給付されます。休業(補償)等給付と休業特別支給金を合わせれば労災保険から合計80%の補償を受けられますが、残額の休業損害は補償されません。そのため、不足分について請求したい場合、会社に損害賠償請求することが必要です。損害賠償請求では、労災保険から80%の補償を受けた場合でも、休業特別支給金の20%分は会社に対する請求額から控除する必要がないため、会社に対して休業損害の40%分を追加で請求することができます。

また、労災保険からは慰謝料は支払われません。慰謝料とは、労災事故で労働者が受けた精神的苦痛に対して支払われる賠償金です。慰謝料を会社に請求したい場合も、会社に損害賠償を請求することとなります。例えば、入通院の期間に応じた「入通院慰謝料」、後遺症が残った場合には「後遺障害慰謝料」のほか、労災事故の被害によって失ってしまった将来の収入に対する賠償金である「後遺障害逸失利益」も請求可能です。

労災申請時に弁護士に相談するメリット

前述の通り、労災事故で被った損害を労災保険で全てカバーすることはできないため、被災労働者などが元の生活水準を回復するのは難しいといえます。なるべく多くの損害を回復したい場合は損害賠償請求する必要がありますが、損害賠償請求には専門知識が必要不可欠なため、弁護士に相談するのがおすすめです。

会社は、労災の申請手続きに協力する義務がありますが、会社が申請に協力しない場合や虚偽の内容で申請してしまうケースもあります。会社から労災保険の利用について理解や協力が得られなかった場合でも、弁護士に相談すれば、弁護士を通じて労災保険の申請を進めることができて安心です。また、会社が犯罪行為に当たる「労災隠し(会社が虚偽の内容を記載し申請するなど」をした場合でも、しっかり責任を追及することが可能です。

労災の申請方法に関するご相談は、弁護士法人ブライトへ

弁護士法人ブライトは、損害賠償請求のほか、労災の申請方法・手続きのサポートも行っています。労災事故専門部があり、悩み・ケースごとに適切な判断・対応を行うため、安心してお任せいただけます。

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笹野 皓平

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TEL 0120-931-501(受付時間9:00~18:00)
FAX 06-6366-8771
事業内容 法人向け(法律顧問・顧問サービス、経営権紛争、M&A・事業承継、私的整理・破産・民事再生等、契約交渉・契約書作成等、売掛金等の債権保全・回収、経営相談、訴訟等の裁判手続対応、従業員等に関する対応、IT関連のご相談、不動産を巡るトラブルなど)、個人向け(交通事故・労災事故を中心とした損害賠償請求事件、債務整理・破産・再生等、相続、離婚・財産分与等、財産管理等に関する対応、不動産の明渡し等を巡る問題など)

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