軽傷でも労災保険は使える
仕事中・通勤中に怪我をしてしまったが、軽い怪我なので労災は使えないと考えてしまう人もいるかもしれません。
しかし、骨折などに至らないような軽い怪我であっても、業務遂行性・業務起因性が認められれば、労災保険が適用されます。
業務起因性
業務起因性とは怪我や病気の原因が業務にあることです。
仕事中はもちろん、休憩中や始業前などに怪我をしても一般的に業務起因性は認められます。
通勤中、業務中の怪我は労災
「業務災害」とは労働者の業務上の負傷、疾病、障害及び死亡をいい、「通勤災害」は通勤途中での負傷、疾病、障害及び死亡のことをいいます。
業務災害と通勤災害では、労災保険の申請する際の申請用紙が異なりますので、注意が必要です。
そのほか業務災害と通勤災害の大きな違いは、事業主の災害補償責任の有無です。業務災害の場合は、労働基準法で災害補償が義務化されており、事業主は待機期間(休業(補償)給付の対象となるまでの3日間)の休業補償を行わなければなりません。
一方で通勤災害の場合にはこのような法律の規定はありません。
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労災を使わずに治療することは出来るのか
労災を使わない事自体は可能
結論として、仕事中または通勤中に怪我をした場合でも、労災を使わないという選択をすること自体は可能です。
しかし、基本的には労災を使って治療する事をお勧めします。もし会社から「全額負担するから労災を使わないで」と言われ素直に従った場合は
- 労災隠しという犯罪に加担するリスク
- 会社に治療費を支払ってもらえないリスク
- 後遺症が残った場合に年金などの補償を受けられないリスク
があります。
万が一、労災を使わない場合でも会社は労災事故を労基署に報告する義務があるため、怪我が起こったことは必ず報告しましょう。
ただし、労災事故による怪我の治療に健康保険は使えないと法律で決まっています。
交通事故による労災の場合には、加害者側が加入する保険から補償を受けることもできます。任意保険から補償を受ける場合でも、労災保険を併用することも可能です。
労災隠しに繋がることも
事業主が労災事故の発生を隠すことは「労災隠し」と呼ばれ、犯罪です。
労働安全衛生法100条1項、同規則97条1項で定められているように、事業主は労働者が就業中に死亡し又は負傷して4日以上休業した場合、「労働者死傷病報告」(様式第23号)を遅滞なく労働基準監督署長に提出しなければなりません
事故の報告をしないだけでなく、怪我の程度や事故の発生場所等について虚偽の内容を記載して報告することも労災隠しとなります。
会社が労災隠しをするため、労働者に対して
- 労災保険は使えない
- 軽傷だから労災にはあたらない
- 健康保険を使うように
などと言うことがあります。
労災による怪我の治療に健康保険を使えないことを知っているのに、健康保険を使ってしまうと詐欺罪になってしまう事もあります。
このようなことを言われた場合でも、きちんと労災申請を行うことが大事です。会社が申請に協力してくれない場合には、労働者自身で申請手続きを行いましょう。
申請書類は労働基準監督署や厚生労働省のホームページで取得することができ、事業主の証明が得られない事情を説明すれば、事業主の証明なく申請することができます。
労災の被害者になってしまい、会社の対応に少しでも疑問や不安があれば労基署や弁護士などの専門家に相談しましょう。
労災保険で受けられる補償
労災保険制度は、労働者の業務上の事由または通勤による労働者の傷病等に対して必要な保険給付を行い、あわせて被災労働者の社会復帰の促進等の事業を行う制度です。
その費用は、原則として事業主の負担する保険料によってまかなわれています。
受けられる補償は次の7つです
補償の種類 | 補償内容 |
---|---|
療養(補償)給付 | 治療にかかった費用 |
休業(補償)給付 | 減ってしまった収入 |
傷病(補償)年金 | 比較的重い後遺症が残った場合の年金(※) |
障害(補償)給付 | 比較的軽い後遺症が残った場合の一次給付金 |
介護(補償)給付 | 介護にかかる費用 |
遺族(補償)給付 | 被害者が亡くなった場合遺族に年金か一時金 |
葬祭料 | 被害者が亡くなった場合支給 |
※傷病年金と休業(補償)給付を同時に受け取ることは出来ません。事故から1年半が経過して傷病が治らず、後遺障害1~7級に該当するような症状が残った場合に受け取ることが出来ます。
仕事中の怪我で弁護士に依頼した方がいいケース
労災被害者の中でも
- 会社に慰謝料などの損害賠償を請求したい
- 仕事中や通勤中、交通事故に巻き込まれた
- 高所からの転落などで大けがをして後遺症が残りそう
といった方は弁護士に相談する事をお勧めします。
実は、労災保険からの給付だけでは、休業補償給付では休業損害の全部を回復することはできません。
怪我をしてしまった精神的苦痛に対する慰謝料をはじめとする損害賠償も支払われません。
会社に慰謝料を請求したい、損害賠償請求したいと考えている方は、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
また、仕事中や通勤中に交通事故にあった場合、交通事故の加害者側の加入保険から慰謝料や休業損害の支払いを受けることが可能ですが、通勤災害の場合はさらに労災保険から給付を受けることもできます。適切な賠償を受けるために、弁護士に早めに相談しましょう。
そのほか、高所作業中の転落事故などにより重大な傷害を負った場合にも、早めに弁護士に相談、依頼することにより、後遺障害が残った場合に等級認定を受け、会社から適切な賠償を得られる可能性があります。
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