労災で後遺障害が残ると労災保険から
- 障害補償給付
- 障害特別支給金
を受け取ることが出来ます。加えて、会社に事故の責任がある場合は
- 後遺障害慰謝料
- 後遺障害逸失利益
という損害賠償を請求できます。
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労災の後遺障害に対する補償
労災(労働災害)で怪我をして、治療を行ったにもかかわらず後遺症が残ると「後遺障害」として認定される可能性があります。
後遺障害が認定されると労災保険から次の補償を受け取ることが出来ます。
- 障害補償給付
- 障害特別支給金
後遺障害は残ってしまった症状の重さによって1~14の等級が認定され、補償として受け取る金額もその等級によって変わります。
後遺障害に対する障害補償給付
労災の後遺障害に対する障害補償給付は
- 後遺障害1~7級の場合は継続的に受け取れる障害補償年金
- 後遺障害8~14級の場合は一度だけ受け取れる障害補償一時金
が支給されます。その金額は事故前の給料を基に計算する「給付基礎日額」によって変わります。
給付基礎日額とは
基礎給付日額とは事故が起きる直前の3ヵ月間に支払われた給料をその期間の日数で割った金額のことです。
実際に働いた日数で割るのではなく、休日も含めた日数(暦日数)で割ります。
ボーナスなど、臨時的に支払われた賃金は計算に含みません。
障害補償年金の金額
後遺障害1~7級が認められるような重い障害が残った場合は障害年金として1年ごとに給付基礎日額×等級に応じた日数(円)を受け取ることが出来ます。
認定された等級ごとの日数は表の通りです。
後遺障害等級 | 計算に使う日数 |
---|---|
1級 | 313日 |
2級 | 277日 |
3級 | 245日 |
4級 | 213日 |
5級 | 184日 |
6級 | 156日 |
7級 | 131日 |
例えば、基礎給付日額が1万円の人が障害等級4級と認定された場合は、1万円×213日=213万円が障害年金として毎年受け取れます。
障害補償一時金の金額
障害等級8~14級が認められるような障害が残った場合は障害補償一時金を一度だけ受け取ることが出来ます。
金額は障害補償年金と同じように給付基礎日額と等級に応じた日数で決まります。
後遺障害等級 | 計算に使う日数 |
---|---|
8級 | 503日 |
9級 | 391日 |
10級 | 302日 |
11級 | 223日 |
12級 | 156日 |
13級 | 101日 |
14級 | 56日 |
給付基礎日額が1万円の人が障害等級10級と認定された場合は、1万円×302日=302万円が一度だけ受け取れます。
障害補償給付を受けるには
治療を開始してから症状固定までの間は治療費や休業補償などが支給されますが、症状固定の後は原則としてこれらの支給は打ち切られます。
また、被害者が治療を続けたいと思っても労基署の判断でこれらの補償が打ち切られることもあります。
その場合、自動的に障害補償給付が受けられるようになるわけではなく、被害者自身で申請を行う必要があります。
症状固定とは
症状固定とはこれ以上治療を続けても症状が良くならないと医師が判断した状態をいい、「治ゆ」したとも言います。
後遺障害に対する特別支給金
労災の特別支給金は社会復帰促進等事業の一環として行われるもので、労災保険に上乗せして支払われるものです。
後遺障害に対する特別支給金としては
- 障害特別支給金
- 障害特別年金
- 障害特別一時金
の3つがあります。
弁護士の豆知識
会社に対して1,000万円の損害賠償請求が認められたとします。
その時、障害補償給付から300万円を受け取っている場合、損害賠償として受け取れる金額は1,000万円-300万円=700万円となります。
損益相殺といって利益の二重取りを防ぐためにこのような決まりとなっています。
しかし、特別支給金は障害給付とは性質が異なるため損益相殺の対象にはならず、損害賠償金の金額にも影響を与えません。
障害特別支給金
残った後遺障害等級に応じて次の金額が一時的に支給されます。
後遺障害等級 | 支給金額 |
---|---|
1級 | 342万円 |
2級 | 320万円 |
3級 | 300万円 |
4級 | 264万円 |
5級 | 225万円 |
6級 | 192万円 |
7級 | 159万円 |
8級 | 65万円 |
9級 | 50万円 |
10級 | 39万円 |
11級 | 29万円 |
12級 | 20万円 |
13級 | 14万円 |
14級 | 8万円 |
障害特別年金・障害特別一時金
障害補償給付と同じように、認定された後遺障害等級によって年金や一時金が支給されます。
受け取れる金額は先ほど説明した障害補償給付によって受け取れる金額と同じです。
後遺障害に対する補償の受け方
労災で後遺障害が残った場合、ご自身で手続きをしなければ適切な補償を受けることが出来ません。
に必要事項を記入し、医師が作成した診断書とセットで提出します。
また、診断書を作成してもらうには治療費とは別に費用がかかりますがこの費用も決められた上限までであれば請求することが出来ます。
もし怪我が再発したら
医師が症状固定(治ゆ)したと判断すればその時点で療養給付や休業給付が打ち切られます。
もし、治ゆした後にまた痛くなってきたなどの場合は要件を満たすことでもう一度給付を受けることが出来ます。
自分で「痛くなった」と感じるだけでは再給付は認められず、医師が書いた症状についての書類が必要となります。
労災の後遺障害に対する慰謝料などの損害賠償
労災の被害者になった場合保険から支払われる補償だけでなく、会社に対して慰謝料などの損害賠償を請求することが出来ます。
損害賠償を請求するためには、使用者(雇い主)に事故の責任があることを証明する必要があります。
労災によって後遺障害が残った場合は
- 後遺障害慰謝料
- 後遺障害逸失利益
を損害賠償として使用者に請求することが出来ます。
労災事故の後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料とは後遺障害が残ってしまった精神的苦痛に対する賠償金です。
障害が残ると今まで通り仕事が出来なくなるばかりか、日常生活にも様々な影響が出ます。そうなってしまうと日々とても苦しい気持ちで過ごさなければなりません。
そのような苦痛に対する賠償金が後遺障害慰謝料です。
金額は認定された後遺障害等級によって基準が決まっており、重い障害であるほど高額になります。
後遺障害等級 | 後遺障害慰謝料 |
---|---|
1級 | 2,800万円 |
2級 | 2,370万円 |
3級 | 1,990万円 |
4級 | 1,670万円 |
5級 | 1,400万円 |
6級 | 1,180万円 |
7級 | 1,000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
労災事故の後遺障害逸失利益
後遺障害逸失利益とは労災事故の被害によって失ってしまった将来の収入です。
労災事故で後遺症が残り、事故前と同じように働けなくなれば収入が減ってしまいます。その減った収入に対する賠償金が後遺障害逸失利益です。
後遺障害逸失利益の金額は
- 被害者の収入
- 認定された後遺障害等級
- 年齢
の3つで計算されます。
弁護士チェック
より正確には「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数」という計算式で算出されます。
逸失利益の計算方法については「逸失利益とは?計算方法と職業別の具体例をわかりやすく紹介」をご覧ください。交通事故についての解説ページですが労災事故についても同じ計算方法を使用します。
後遺障害慰謝料と逸失利益の両方に言えることですが、被害者にも労災事故の責任の一部があるなどの場合は減額する可能性もあります。
労災の後遺障害で損害賠償を請求するには
労災保険から支払われる賠償金と違って、損害賠償は使用者である会社に対して請求します。
様々な証拠を集めなければならないので、会社へ損害賠償を請求する際には弁護士に相談するのが基本です。
後遺障害認定を受ける
後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益は後遺障害等級が決まってからでないと請求できる金額が分かりません。そのためまずは後遺障害認定を受ける必要があります。
労災の後遺障害認定は労働基準監督署が提出された書類に基づいて行います。
※労災の後遺障害認定は、労働基準監督署が、被災者から提出された書類に基づいて行います。
労災の原因が会社にあるか調査する
労災が起こった原因が会社にあれば損害賠償請求を行うことが出来ます。
会社は、労働者が怪我をしないように配慮しなければならない決まりがあります。
その決まりを守らずに事故が起こった場合、会社に事故の責任があるとして損害賠償を請求できます。
弁護士チェック
会社から適切な損害賠償を受け取るためには
- 会社が事故の可能性を認識していたか
- 事故が起こらないように出来る限りの努力をしていたか
- 被害者にも責任はなかったか
などを調査し、その結果を証拠として会社と交渉を行う必要があります。もし交渉がうまく行かなければ裁判を行う事もあります。
そのため、労災事故の被害者になった時には必ず弁護士に相談しましょう。
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労災の後遺障害とは
労災における後遺障害とは労働基準監督署によって後遺障害等級が認定された後遺症のことです。
まず、後遺症というのは症状固定の後に体に残った症状の事を言います。もし労災事故で体の一部を失ってしまうとどれだけ治療をしてもその部分が事故の前と同じように回復することはありませんよね。
この場合は体の一部の欠損という後遺症が残ったことになります。
その後遺症が後遺障害として認められるかどうかは治療を担当した医師の診断書などの書類に書かれている内容を基に審査されます。
後遺障害等級
後遺障害は残った障害の重さによって1~14の等級が認定されます。認定された等級によって損害賠償の金額は大きく変わるので、症状に応じた等級認定を獲得することがとても大事です。
症状ごとの認められる等級については厚生労働省の障害等級表で確認することが出来ます。
認定基準は傷病別、障害別に細かく分かれている一方、事故前と異なる違和感があってもこの認定基準に当てはまらなければ、障害(補償)給付は受けられません。
認定の基準についてはあいまいな部分もあるため、提出する書類に不備があれば症状に対して低い等級が認められる可能性があります。
そのため、もし後遺障害となるような症状が残ってしまった場合は弁護士に相談しましょう。
また、後遺障害には
- 複数の後遺障害が残った場合の併合
- すでにある障害が悪化した場合の加重
- 等級表に無い障害が残った場合の準用
という考え方があります。
後遺障害等級の併合
複数の後遺障害が体に残った場合は、後遺障害の併合が認められそれぞれの障害より重い等級となることがあります。
まず、後遺障害等級というのは体を
- 目
- 耳
- 鼻
- 口
- 神経と精神
- 頭、顔、首
- 内臓
- 胴体
- 腕
- 脚
の10部位に分け、それぞれの機能にどんな障害が残ったかで決まります。
目であれば
- 視力が低下する「視力障害」
- ピントが合わなくなる「調節機能障害」
- 目が動かしにくくなる「運動障害」
- 見える範囲が狭くなる「視野障害」
です。10の部位に対してこのような障害が合計で35系統あります。
もし事故によって視力が落ちて、耳が聞こえにくくなったとすると「視力障害」と「聴力障害」という系統が異なる二つの障害が残ったことになるため、後遺障害等級が併合されます。
具体的にどのように等級が変化するかは次のように決められています。
条件 | 等級の変化 |
---|---|
障害等級5級以上の症状が複数ある | 重い方の等級を3つ繰り上げ |
障害等級8級以上の症状が複数ある | 重い方の等級を2つ繰り上げ |
障害等級13級以上の症状が複数ある | 重い方の等級を1つ繰り上げ |
障害等級14級以上の症状が複数ある | 等級の変化はなし |
後遺障害の加重
すでに後遺障害がある人が労災事故によってその障害が悪化した場合は後遺障害の加重が適用されます。
加重が認定された場合、被害者には加重後の後遺障害等級に相当する支給金額から、加重前の等級に相当する支給金額を差し引いた賠償金が支払われます。
なお、使用者等に対する損害賠償請求の際に、もとの後遺障害が関与している部分については損害額から差し引くこと(素因減額)により損害額が調整されることがあります。
分かりやすく後遺障害慰謝料について例を挙げると、すでに頸椎捻挫で障害等級14級が認定されていて、その後の労災事故で脊髄損傷と診断され12級認定された場合は290万円(12級の後遺障害慰謝料)ー110万円(14級の後遺障害慰謝料)=180万円が支払われます。
後遺障害の準用
後遺障害の等級表で定められていない後遺障害が残った場合、その障害の程度に応じた等級を認定する方法を後遺障害の準用といいます。
例えば食べ物や飲み物の味が分からなくなる味覚障害は後遺障害の併合で解説したどの系統にも属しませんが、
- 味を感じなくなる味覚脱失:障害等級12級相当
- 味を感じにくくなる味覚減退:障害等級14級相当
として後遺障害等級認定の可能性があります。
また、すでにある系統に分類できる場合でも該当する後遺障害が無い場合は後遺障害の併合の方法を用いて準用等級という形で後遺障害等級が認定されることがあります。
労災で認められる後遺障害
手足、指の切断や転落事故による骨折などが後遺障害として認められるのはよく知られています。
一方で
- 関節が動きにくくなる機能障害
- 体の一部に痛みが出る神経症状
も後遺障害として認定される可能性があります。
関節の機能障害
関節が元通りに曲がらなくなった場合、程度によっては後遺障害認定の可能性があります。
仮に右の肘関節が動かしにくくなった場合は、障害の残っていない左側の関節と比べてどの程度動かしにくくなっているかを測ります。
動く範囲が半分になってしまった場合は著しい機能障害として障害等級10級が、3/4になってしまった場合は機能障害として12級が認定されます。
神経症状
痛みなどの神経症状の場合は
- 障害等級12級:局部にがん固な神経症状を残すもの
- 障害等級14級:局部に神経症状を残すもの
が認められる可能性があります。痛みというのは客観的に判断できないため
- 「通常の労務に服することはできるが、時には強度の疼痛のため、ある程度差し支えがあるもの」(12級)
- 「通常の労務に服することはできるが、受傷部位にほとんど常時疼痛を残すもの」(14級)
といったように、神経症状が具体的に就労に及ぼす影響を総合的に判断されます。
後遺障害等級の審査請求
後遺障害の審査結果に不満がある場合は審査請求を行うことで再度審査を受けることが出来ます。
審査請求は決定通知書を受け取った日の翌日から3か月の間に行う必要があります。
同じ書類で申請しても結果は変わらないため、不足していた情報を新たに追加して申請を行う必要があります。
しかし、決定通知書には、理由がほぼ記載されておらず、調査の内容や判断理由などはわからないことが多いです。そのため、担当調査官に対して電話で理由を教えてもらったり、労基署の調査資料の開示請求などを行う必要があります。
後遺症が残った状態でそのような作業を行うのは難しいため、労災事故で後遺症が残った場合は必ず弁護士に相談しましょう。
我々ブライトを始め、多くの弁護士事務所では労災の被害者向けに無料相談を実施しています。お気軽になんでも相談してください。
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