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交通事故の基礎知識

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逸失利益とは?計算方法と職業別の具体例をわかりやすく紹介

松本 洋明弁護士

この記事の監修
松本 洋明 弁護士

弁護士歴16年(63期)・元損保側代理人・年間100件超の交通事故案件

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逸失利益とは、事故がなければ将来得られたであろう収入のことです。逸失利益は高額になるケースがあり、被害の補償のためには重要なものです。交通事故で死亡したり後遺障害が残ったりすると、相手方に逸失利益の支払いを請求できます。

そこでここでは、

  • 逸失利益とは?
  • 逸失利益の計算方法
  • 逸失利益の職業別の計算例

といった点を解説します。

交通事故の被害に遭われてしまった方はぜひ最後までお読みください。

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目次

📝 この記事の3秒結論

  • 逸失利益 = 基礎収入 × 労働能力喪失率 × ライプニッツ係数 の3要素で決まる
  • 基礎収入は給与所得者は源泉徴収票、自営業は確定申告書3年分、主婦は賃金センサス女性平均で立証
  • 後遺障害等級が1級違うと逸失利益は数百万〜数千万円の差になる
  • 働けない期間(労働能力喪失期間)は症状固定〜67歳までが原則、若年者は学歴別賃金センサス活用

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「逸失利益とは何か」を一文で言えば、交通事故で後遺障害が残ったり亡くなったりしたために、本来なら将来得られたはずなのに得られなくなった収入のことです。治療費や慰謝料とは別枠で請求できる損害であり、重い後遺障害が残ったケースでは、賠償金の総額のうち最も大きな割合を占めることが少なくありません

ポイントは3つだけです。①原則として後遺障害等級が認定されて初めて請求できる②「基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」で計算する③この3つの数字のどれを削っても金額が大きく下がるため、保険会社との争点になりやすい。まずはこの枠組みだけ押さえておけば、以下の解説はすべて読み解けます。

逸失利益とは?

交通事故がなければ得られた将来の収入のこと

逸失利益とは、交通事故がなければ得られたであろう将来の収入のことです。

交通事故で死亡したり後遺障害を負ったりした場合、事故の後に労働が全くできなくなったり、労働の一部が制限されたりします。そうすると、事故がなければ得られるはずだった収入を得られないことになります。その得られるはずだった収入が逸失利益です。

事故がなければ得られるはずだった収入の補償を受けるために、逸失利益を相手方に請求できるのです。

逸失利益の種類

逸失利益には「後遺障害逸失利益」と「死亡逸失利益」の2種類があります。

二つの逸失利益

後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益とは、事故により後遺障害が残った場合の逸失利益です。
事故で後遺障害を負ってしまうと、後遺障害の程度によって、労働が全くできなくなったり、一部しかできなくなったりします。労働ができなくなった度合いに応じて、将来得られるはずであった収入金額について、逸失利益として補償されます。
後遺障害逸失利益の詳しい計算方法は後述の「逸失利益の計算方法」を参照してください。

死亡逸失利益

死亡逸失利益とは、事故により死亡した場合の逸失利益です。
死亡すると、事故後にできるはずであった労働が一切できなくなるため、その分の収入について補償されます。ただし、事故後にかかるはずであった生活費が不要になることを考慮するため、収入の100%が支払われるわけではないことに注意してください。
死亡逸失利益の詳しい計算方法は後述します。

減収がない場合の逸失利益

事故で後遺障害を負っても、実際の収入が減少しなかった場合には、原則として逸失利益は認められません。収入の減少分を補償するのが逸失利益であるからです。

しかし、減収がなければいかなる場合でも逸失利益が認められないというわけではありません。たとえば、以下の場合には逸失利益が認められる可能性があります。
●将来の昇進、昇給、転職について不利益を受ける
●本人の努力によって減収を免れている
●勤務先の配慮があって収入が維持できている

実際の減収がない場合には、逸失利益の有無が争いになる可能性がありますので、証明する必要が生じることは知っておいてください。

逸失利益と休業損害の違い

逸失利益と似たものに休業損害があります。休業損害も、事故により労働ができなくなった分の収入の補償であることは逸失利益と同様です。

両者の違いは、以下のとおりです。

  • 休業損害:症状固定前の収入減少を補償する
  • 逸失利益:症状固定後の収入減少を補償する

症状固定とは「それ以上治療しても症状が改善しない状態」をいいます。症状固定となった後に後遺障害の有無が確定しますので、症状固定となるまでは、逸失利益を考えることはできません。症状固定前の収入減少については休業損害として補償されます。

治療中の収入は休業損害、治療終了後の将来の収入は逸失利益として補償されると覚えておけばよいでしょう。

逸失利益と慰謝料の違い

後遺障害が認定されると、逸失利益のほかに、後遺障害慰謝料も発生します。
後遺障害慰謝料は、後遺障害が残ったことにより生じる精神的苦痛に対する賠償金です。逸失利益は収入の減少を賠償するもので、精神面とは関係ありません。

精神面に対する賠償かどうかが、逸失利益と慰謝料の違いになります。

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逸失利益の計算方法

逸失利益の計算方法は、後遺障害逸失利益と死亡逸失利益とで異なります。
まずは、後遺障害逸失利益の計算方法を解説します。

後遺障害逸失利益の計算式

後遺障害逸失利益の計算式は「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」です。

後遺障害逸失利益の計算式

基礎収入

基礎収入は、基本的に事故前の1年間の収入です。職業によって少し異なります。

サラリーマン

サラリーマンの場合には、原則通り事故前の1年間の実収入が基礎収入です。事故前年の源泉徴収票をもとに算出し、ボーナスや各種手当も収入に含みます。また、いわゆる手取り額ではなく、控除前の総支給額が基礎収入となります。

ただし、若年労働者の場合には、全年齢平均の賃金センサスを用いるのが原則です。賃金センサスとは、厚生労働省が実施している調査の結果に基づいて、性別・年齢・学歴別などの平均賃金をまとめたものです。30歳未満の若年労働者は、一般的に賃金が低く抑えられているため、公平の観点から全年齢を対象にした平均賃金を基礎収入とすることになります。

自営業・フリーランス

自営業・フリーランスの場合には、事故前年の確定申告の申告所得額を基礎収入とするのが原則です。実際の収入が申告額と異なる場合には、実際の収入額を証明できればそれを基礎収入にできます。

主婦・主夫

主婦・主夫で収入がない場合であっても、家事労働をしているため逸失利益を請求できます。具体的な金額を決めるにあたっては、賃金センサスの女性労働者の全年齢平均を基礎収入とします。主夫についても、主婦との公平のために基礎収入は女性の平均賃金です。
兼業主婦・主夫で収入があるというケースでは、実収入と賃金センサスを比較して、より高い方を基礎収入とします。

高齢者

高齢者については、働いていれば会社員・自営業者と、家事をしていれば主婦・主夫と同様です。
無職であっても、就労の意欲があり、就労の蓋然性があれば、賃金センサスをもとに基礎収入を決定します。
年金生活をしており、就労する可能性がない場合には、基礎収入はゼロとなり逸失利益は請求できません。年金は事故の有無にかかわらず受け取れるため、後遺障害が残っても減収がないからです。

子ども

子どもについては、まだ収入はなくとも、将来働くはずであった分について逸失利益を請求できます。将来の予測は困難であることから、男女別の全年齢の平均賃金を基礎収入とするのが基本です。ただし、男性の方が平均賃金が高く、男児に比べて女児の逸失利益が低くなってしまう問題があるため、女児の場合には男女合わせた平均賃金を用いるのが一般的です。
大学生については、大学を卒業する可能性が高いことから、大卒者の平均賃金を用いることになります。

失業者

失業者の場合には、事故前の収入がありませんので、逸失利益の請求はできません。ただし、たまたま転職活動中であったケースも考えられます。労働能力と労働意欲があり、就労の可能性が高い場合には、失業前の収入を参考に基礎収入を決定できます。

労働能力喪失率

労働能力喪失率とは、後遺障害によって労働する能力がどの程度下がったかを数値化したものです。後遺障害等級ごとに以下のように決まっています。等級が重くなるほど労働能力喪失率は高くなり、逸失利益も高額になります。

後遺障害等級 労働能力喪失率
第1級 100%
第2級 100%
第3級 100%
第4級 92%
第5級 79%
第6級 67%
第7級 56%
第8級 45%
第9級 35%
第10級 27%
第11級 20%
第12級 14%
第13級 9%
第14級 5%

労働能力喪失期間とライプニッツ係数

労働能力喪失期間とは、後遺障害によって労働能力が制限される期間のことをいいます。具体的には、症状固定時から67歳になるまでの年数が原則です。以下のケースではやや異なります。

属性 労働能力喪失期間
18歳未満の子供 18歳から67歳までの年数
大学生 大学を卒業する時点から67歳までの年数
67歳までの期間が短い者 「67歳までの年数」と「平均余命の2分の1」のうち長い方
67歳を超える高齢者 平均余命の2分の1
むちうちの場合 12級で10年程度、14級で5年程度とされることが多い

逸失利益の計算には、労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数を用います。ライプニッツ係数とは「中間利息控除」という考えに基づく計算をするための数字です。「中間利息控除」とは、簡単に言うと、もらいすぎることになる利息をあらかじめ除いて支払うという考えです。以下で詳しく説明します。

事故がなければ収入は一括でなく発生するたびに受け取るものです。しかし、逸失利益は原則として一括で支払われます。一括前払いされる賠償金を運用すれば利息が生じます。そのため、満額を一括で受け取ってしまうと、毎年収入を得る場合に比べて利息分を多く受け取ってしまうことになります。その結果、被害者に必要以上の利益を与えることになります。

このもらいすぎる利息分を、あらかじめ逸失利益の額を減らしておくことで調整しようというのが、中間利息控除の考えです。現在は年利3%として中間利息控除がなされます。中間利息控除の計算は非常に複雑です。そこで、ライプニッツ係数という簡易化された数字を用います。具体的な数値は、国土交通省のサイト(就労可能年数とライプニッツ係数表)を見れば確認できます。一部を抜粋してご紹介します。

症状固定時の年齢 就労可能年数 ライプニッツ係数
10 49 20.131
20 47 25.025
30 37 22.167
40 27 18.327
50 17 13.166
60 12 9.954
70 8 7.020
80 5 4.580

気軽にご相談ください

このように被害にあったのが主婦や学生であっても逸失利益を請求することが出来ます。

弁護士に相談することで逸失利益を含めた賠償金を増額できる可能性があります。お気軽にお問い合わせください。

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逸失利益の具体的な計算例

職業別の計算例

サラリーマン

  • 基礎収入:600万円
  • 後遺障害等級:1級(労働能力喪失率100%)
  • 症状固定時の年齢:40歳(ライプニッツ係数18.327)

逸失利益=600万円×100%×18.327=1億996万2000円

自営業・フリーランス

  • 基礎収入:700万円
  • 後遺障害等級:4級(労働能力喪失率92%)
  • 症状固定時の年齢:50歳(ライプニッツ係数13.166)

逸失利益=700万円×92%×13.166=8478万9040円

主婦・主夫

収入なし、または収入が女性平均賃金よりも低い場合

  • 基礎収入:381万9200円(全年齢女性平均賃金)
  • 後遺障害等級:6級(労働能力喪失率67%)
  • 症状固定時の年齢:30歳(ライプニッツ係数22.167)

逸失利益=381万9200円×67%×22.167=5672万2338円

高齢者

無職だが就労の蓋然性が高い70歳男性の場合

  • 基礎収入:349万1600円(70歳以上男性の平均賃金)
  • 後遺障害等級:8級(労働能力喪失率45%)
  • 症状固定時の年齢:70歳(ライプニッツ係数7.020)

逸失利益=349万1600円×45%×7.020=1102万9964円

子ども

収入なし、10歳男児の場合

  • 基礎収入:545万9500円(全年齢男性平均賃金)
  • 後遺障害等級:10級(労働能力喪失率27%)
  • 症状固定時の年齢:10歳(ライプニッツ係数20.131)

逸失利益=545万9500円×27%×20.131=2967万4402円

むちうちの場合

むちうちで後遺障害が残った場合、労働能力喪失期間が12級で10年程度、14級で5年程度に制限されてしまうことが多いです。

  • 基礎収入:400万円
  • 後遺障害等級:12級(労働能力喪失率14%)
  • 労働能力喪失期間:10年(ライプニッツ係数8.530)

逸失利益=400万円×14%×8.530=477万6800円

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死亡逸失利益の場合

続いて、死亡逸失利益の計算方法を解説します。

死亡逸失利益の計算式

死亡逸失利益の計算式は「基礎収入」×「(1ー生活費控除率)」×「就労可能年数に対応するライプニッツ係数」です。
「基礎収入」は後遺障害逸失利益の場合と同様です。「就労可能年数」は「労働能力喪失期間」と同様に考えてください。

死亡逸失利益の計算式

生活費控除率

死亡逸失利益を計算する際には、生活費控除率を考えます。生活費控除率は、事故で死亡したことにより、その後の生活費がかからなくなることから、生活費分を差し引くための数字です。被害者の立場によって以下のように異なります。

被害者の立場 生活費控除率
一家の支柱(被扶養者1人) 40%
一家の支柱(被扶養者2人以上) 30%
女性(主婦、独身、幼児) 30%
男性(独身、幼児) 50%

死亡逸失利益の計算例

会社員男性(独身)、年収500万円、30歳の場合
●基礎収入:500万円
●生活費控除率:50%
●就労可能年数:37年(ライプニッツ係数22.167)
死亡逸失利益=500万円×(1-0.5)×22.167=5541万7500円

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後遺障害等級別・逸失利益シミュレーション一覧表

後遺障害等級によって労働能力喪失率は大きく異なります。以下は40歳・年収500万円・症状固定時に喪失期間を67歳(27年間・ライプニッツ係数18.327)と仮定した場合の逸失利益の目安です。

後遺障害等級 労働能力喪失率 逸失利益の目安(年収500万・40歳) 主な症状例
1級 100% 約9,163万円 四肢麻痺・植物状態
3級 100% 約9,163万円 高次脳機能障害・重篤な精神症状
5級 79% 約7,239万円 高次脳機能障害5級・両目の失明
7級 56% 約5,131万円 高次脳機能障害・四肢の著しい障害
9級 35% 約3,207万円 脊髄損傷・骨盤骨折後の著しい機能障害
11級 20% 約1,833万円 胸腹部臓器障害・脊椎変形
12級 14% 約1,283万円 脊椎・鎖骨変形障害・神経症状12級13号
14級 5% 約458万円 むちうち14級9号

※ライプニッツ係数は症状固定時の年齢・喪失期間によって変動します。上記はあくまで目安で、実際の計算には年齢・実収入・等級が不可欠です。特に12級と14級は1等級の差で逸失利益が約2.8倍違います。後遺障害認定の詳細はこちら

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逸失利益の早見表|年齢×等級で「おおよその桁」をつかむ

前掲の一覧表は40歳を前提にしたものですが、逸失利益は症状固定時の年齢によって大きく変わります。若いほど働ける年数(労働能力喪失期間)が長く残っているためです。ここでは年齢別の早見表として、年収500万円を前提に、代表的な等級の目安を整理します。

年齢別・逸失利益の早見表(年収500万円・67歳まで就労と仮定)

計算に使うライプニッツ係数(法定利率3%)は、症状固定時の年齢に応じて次のようになります。20歳=25.025(47年)/30歳=22.167(37年)/40歳=18.327(27年)/50歳=13.166(17年)。

症状固定時の年齢 14級(喪失率5%) 12級(喪失率14%) 9級(喪失率35%) 7級(喪失率56%)
20歳 約626万円 約1,752万円 約4,379万円 約7,007万円
30歳 約554万円 約1,552万円 約3,879万円 約6,207万円
40歳 前掲の一覧表をご覧ください 同左 同左 同左
50歳 約329万円 約922万円 約2,304万円 約3,687万円

※年収500万円を基礎収入とした場合の目安です。実際には基礎収入・喪失期間の認定によって増減します。

この表から読み取っていただきたいのは、金額そのものよりも「等級が1つ違うだけで、また年齢が10歳違うだけで、数百万円単位で動く」という感覚です。だからこそ、保険会社は喪失率・喪失期間・基礎収入のそれぞれを低く見積もろうとします。

むちうち(14級9号・12級13号)の労働能力喪失期間の考え方

神経症状のみのケースでは、上の表のように67歳までの喪失期間がそのまま認められるとは限りません。実務上は14級9号で5年程度、12級13号で10年程度に制限して算定されることが多く、保険会社からはさらに短い年数(14級で3年など)を前提にした金額が提示されることがあります。

もっとも、この年数は固定されたものではありません。当事務所でも、保険会社が当初3年で算定していた14級のケースについて、症状の内容や就労への影響を具体的に示して交渉した結果、喪失期間5年を前提とした金額で解決に至った例があります。提示された年数が短いというだけで諦める必要はありません。

高齢者の場合の見方

67歳を超えている場合や、67歳までの年数が短い場合には、簡易生命表の平均余命の2分の1を労働能力喪失期間とする扱いが一般的です。「高齢だから逸失利益はゼロ」という説明を受けることがありますが、実際に就労していた、あるいは就労の蓋然性があったと示せる場合には、逸失利益が認められることがあります。

あわせて争点になりやすいのが基礎収入をどう見るかです。当事務所でも、70代で仕事と家事を兼ねていた方について、実収入をそのまま使うのか賃金センサスを基礎とするのか、また何年分を見るのかが争われたケースがあります。年齢だけで機械的に決まるものではなく、就労の実態をどう示すかで結論が動く部分です。

職業別・逸失利益の計算シミュレーション

逸失利益の計算で最も争いになるのが「基礎収入の算定」です。職業によって使う資料・主張の組み立てが大きく異なります。以下は主要な職業別の計算のポイントと目安(後遺障害12級・40歳・ライプニッツ係数18.327(67歳まで27年)で統一)です。

職業 基礎収入の算定方法 よくある争点 12級逸失利益の目安
会社員(年収500万) 源泉徴収票の支給総額 昇給見込み・残業代の含め方 約1,283万円
会社員(年収700万) 源泉徴収票の支給総額 役職手当・賞与の扱い 約1,796万円
自営業(所得200万) 確定申告書の所得額(3年平均) 経費の付替え・実態と乖離・賃金センサスとの選択 約513万円(所得ベース)
一人親方(支払明細665万) 支払明細書・現場手間請け実績 確定申告所得vs支払明細の差。ブライト実案件では経費計上400万円との差で基礎収入が3倍超の差 賃金センサス適用なら約1,283万円
専業主婦 賃金センサス女性全年齢平均(2023年度:約408万円/年) 家事就労能力の有無、パート収入との選択 約1,047万円(408万円基準・12級)
大学生・未就労(20歳) 学歴別賃金センサス(大卒全年齢平均)+喪失期間長期 就職予定業種・実際の能力喪失の立証。20歳では喪失期間47年(22歳就労開始の差引方式で係数23.111) 約1,731万円(大卒男子全年齢約535万×14%×23.111)

ブライトが取り扱った事案では、確定申告の所得が200万円台の一人親方男性(高次脳機能障害12級・バイク事故)について、支払明細書ベース665万円と経費付替え分を加算した4パターンの基礎収入試算を依頼者に提示した実績があります。基礎収入の違いだけで、逸失利益の総額が数百万から千万以上変わるケースも実在します。諦めずに資料を揃えて弁護士に相談してください。

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保険会社が逸失利益を低く提示してくる典型パターン

保険会社が逸失利益の提示額を不当に低くするパターンは実務上限られています。あらかじめ知っておくことで、提示書を受け取ったときに異議を唱えやすくなります。

パターン1:労働能力喪失期間を短く設定する

保険会社は「症状が軽いから5年でいい」と主張することがありますが、後遺障害等級が認定されている限り、原則として67歳(または症状固定時から平均余命の1/2のいずれか長い方)までの期間が認められます。14級9号であっても、実務上は10〜15年程度を認める裁判例が積み重なっており、5年では著しく低いケースがあります。

パターン2:高齢者の逸失利益をゼロに近い額で提示する

65歳以上の被害者に対し「67歳まで2年しかない」として逸失利益を極端に低く提示するケースがあります。しかし、平均余命の1/2を喪失期間とする計算方法(67歳超の高齢者に有利)や、実際に就労していた場合の実収入ベースの主張が認められる場合があります。

パターン3:減収がないことを理由にゼロ提示する

後遺障害を負っても会社の配慮で給与が維持されている場合、保険会社は「減収がないから逸失利益はない」と主張します。しかし、会社の配慮・本人の努力による減収回避は逸失利益を消滅させるものではなく、将来の昇給・昇進・転職への不利益を主張することで逸失利益が認定されるケースがあります。

よくある質問:逸失利益編

Q. 後遺障害非該当とされましたが逸失利益は請求できますか?

後遺障害が認定されない場合でも、実際の労働能力の低下を立証できれば逸失利益を請求できることがあります。ただし立証難度は高く、医師の意見書・職場の勤怠記録・給与明細等の資料が不可欠です。まずは弁護士への無料相談で見込みを確認してください。

Q. 主婦ですが事故後も家事はできています。逸失利益はゼロですか?

主婦の逸失利益は「家事労働能力の喪失」として認められます。家事の一部を継続できていても、後遺障害によって家事労働が制限されている実態があれば逸失利益の対象になります。賃金センサス女性全年齢平均(2023年度:約408万円)を基礎収入として計算し、等級に応じた喪失率を掛けた金額が逸失利益として認定される実務が定着しています。

Q. 定年退職後の高齢者でも逸失利益は認められますか?

就労実態がある場合(農業・自営業・パート等)は実収入ベースで認められます。完全に無職でも、家事従事者として賃金センサスを基礎収入とした逸失利益が認定されたケースがあります。平均余命の1/2を喪失期間とする計算も採用されるため、高齢者でも諦める前に弁護士に相談することをお勧めします。

逸失利益の請求を弁護士に任せるメリット

後遺障害等級を獲得しやすくなる

弁護士に任せる大きなメリットは、後遺障害等級を適切に獲得できることです。後遺障害逸失利益の計算方法の特性として、後遺障害等級(労働能力喪失率)による影響が大きいため、大事なポイントになります。

たとえば、12級の認定が得られれば労働能力喪失率は14%ですが、14級の認定しか出ないと労働能力喪失率は5%に過ぎず、3倍近い差が生じます。また、そもそも認定が出なければ逸失利益は一切支払われません。それだけ後遺障害の認定を受けることは重要なのです。

弁護士に依頼すれば、治療中の段階から、通院方法や必要な検査についてアドバイスを受けられ、後遺障害の申請手続も任せることができます。適正な認定を受け、逸失利益を得られる可能性を上げるには、弁護士への依頼が重要です。

適切な金額を請求できる

弁護士は、逸失利益を正しく計算して適正な額を請求します。

逸失利益の計算方法は決まっているものの、基礎収入をいくらにするか、労働能力喪失率や労働能力喪失期間をどの程度にするかについて相手方ともめるケースがあります。たとえば、自営業者の基礎収入や、むちうちの場合の労働能力喪失期間については争いになりやすいです。また、後遺障害の部位や内容と被害者の職業によっては、労働能力喪失率が争いになるケースもあります。弁護士に依頼して、最大限自分に有利な金額を請求できるようにするのがオススメです。

まとめ

逸失利益は交通事故の被害によって減るであろう収入に対する賠償金です。

事故の被害や収入にもよりますが1億円を超える金額になる事もあり、加害者との示談交渉の中でも争いになりやすいのです。

弁護士に相談することで不利な条件での示談を避け、適切な金額を請求できるようになります。

ブライトでは無料相談を受け付けているので事故の被害に遭われた方はお気軽にお問い合わせください。

ブライトの逸失利益解決事例

逸失利益の主張・立証では、ブライトは以下のような実例で大きな差を作ってきました。

  • 19歳女子大生・高次脳機能障害1級:学歴別全年齢賃金センサス(大卒女性)を基礎収入として主張、定期金賠償方式を組み合わせて逸失利益部分だけで総額1.5億円超を試算
  • 退職直後アルバイトの20代女性死亡事故:退職前の保育士時代の賃金水準+家事従事者部分を予備的主張し、判決で逸失利益約3,000万円を獲得
  • 70代家事従事者の死亡事故:年金収入のみと見られがちだが、家事を担っていた事実を立証し主婦休損8割認定を獲得、当初見込み3,000万円→4,700万円に増額

逸失利益は、保険会社の最初の提示と裁判基準とで2倍〜3倍の差が出ることも珍しくありません。年収・年齢・職業に応じた最適な主張を組み立てます。

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  • この記事を書いた人

代表弁護士:和氣 良浩

弁護士法人ブライト代表弁護士: 2006年に独立開業してから交通事故被害の回復に努めてきました。これまで1000件を超える交通事故を解決して参りましたが、被害者が低い賠償金で納得させられているケースをたくさん見てきました。 一人でも多くの被害者が適切な補償を受けられるように情報発信を行っています。

本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。

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交通事故担当弁護士

  • 代表弁護士 和氣良浩

    代表弁護士 和氣良浩
             

事務所概要

事務所名 弁護士法人 ブライト(大阪弁護士会所属)
開 業 平成21年(代表弁護士独立開業)
設 立 平成24年11月設立、平成27年1月に法人化
所在地 〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎2丁目6番6号 コウヅキキャピタルウエスト12階
TEL 0120-927-113(受付時間9:00~18:00)
FAX 06-6366-8771
事業内容 法人向け(法律顧問・顧問サービス、経営権紛争、M&A・事業承継、私的整理・破産・民事再生等、契約交渉・契約書作成等、売掛金等の債権保全・回収、経営相談、訴訟等の裁判手続対応、従業員等に関する対応、IT関連のご相談、不動産を巡るトラブルなど)、個人向け(交通事故・労災事故を中心とした損害賠償請求事件、債務整理・破産・再生等、相続、離婚・財産分与等、財産管理等に関する対応、不動産の明渡し等を巡る問題など)

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※法律相談は無料です(労災事故・交通事故は何度でも無料/企業法務・顧問弁護士は初回無料)。ただし、事前のヒアリング内容をもとに対応可否を判断させていただく場合があり、お力になれないと判断したときは、ご相談をお断りすることがございます。

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