破産申立てを検討する際に、ご自身の「退職金」の扱いに関して心配される方が少なくありません。
既に受け取っていなくとも、今後受け取る可能性があったり、受け取ろうと思えば受け取ることが可能な「退職金」が数百万円を超えるケースも珍しくないため、そもそも破産することができるのか、また、破産した場合にはどうなるか等を心配されています。
そこで、以下では、破産・倒産に強い弁護士が解説します。
受け取る予定の退職金額によって扱いが変わる
もっとも、受取を予定している退職金(見込)の具体額等によって、①「破産管財事件」(破産法31条1項)又は②「同時廃止事件」(破産法216条1項)のうち、いずれの事件・手続として破産が認められるかが決まります。また、上記具体額等によって、お金を支払わなければならない等のケースが生じ得ます。
退職金については、原則として、破産手続開始決定時に退職した場合に支払われるであろう金額の8分の1を実質的価値として評価されます(ただし、大阪地方裁判所の倒産専門部における令和3年10月時点の運用を基準とします。以下、同様)。例外があることに注意が必要です。
たとえば、中小企業に勤務する方が破産手続開始決定時に退職した場合に支払われるであろう退職金(見込)額が、100万円のケースでは、原則として、その8分の1(=12万5000円)を実質的価値として評価する結果、他の基準を満たしたときには、上記①「破産管財事件」ではなく、上記②「同時廃止事件」として扱われます。
他方、上記と同様のケースにおいて、退職金(見込)額が(100万円ではなく)200万円であった場合には、原則として、その8分の1に相当する25万円が実質的価値とされる結果、上記①「破産管財事件」として扱われます。実務運用基準上、退職金を含む「個別財産」と呼ばれる財産の評価額が20万円以上の場合、上記②「同時廃止事件」として扱うことが通常許されていないのです(ただし、この点についても、大阪地方裁判所の倒産専門部における令和3年10月時点の運用を基準とします。以下、同様)。上記①「破産管財事件」として扱われた場合、通常、予納金の支払義務を(弁護士費用とは別途)負担する必要があるなど、破産を申し立てる側にとっては、比較的重い負担が生じることになります。
「退職金」の評価基準をさらに詳しく解説
①破産手続開始決定時に退職していない場合
破産手続開始決定時に退職すれば支払われるであろう退職金額の8分の1が破産財団に属するとみて、その額を自由財産等から組み入れることにより、自由財産拡張が認められる運用がされています(※もっとも、いわゆる99万円枠の審査があります。以下、同様)。事案によっては、退職金債権を会社側・使用者側に売却したり退職金を担保とした借入れを検討したりすることもあります。
②破産手続開始決定前に退職し実質的危機時期以降に退職金が支給されている場合
その全額を破産財団に属するものとみて組み入れます。もし破産手続開始決定までにその退職金の一部又は全部を費消していた場合には、その使途等が厳格にチェックされた上で、扱いが決められます。
③破産手続開始決定前に退職したが退職金の支給が未了の場合
退職金額の4分の1が破産財団に属するため、支給された退職金の4分の1を破産財団に組み入れます。なお、例えば半年以内に定年を迎える場合などについては、さらなる検討が必要となります。
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