破産
破産とは
破産(はさん)とは、個人または企業が債務を支払う能力がなくなった状態を指し、法律に基づいて債務の整理を行う手続きのことです。
破産手続きは、債務者の経済的な再生を目的とし、法律によって定められた形式に従って進められます。この手続きにより、債務者の財産は債権者に公平に分配され、残る債務は免除されることになります。
日本における破産手続きは、破産法が規定しており、地方裁判所が破産手続きを管理します。破産には、大きく分けて自己破産と法人破産の二種類があります。
自己破産
自己破産とは、個人が自ら破産を申し立てる手続きで、債務者が自身の財産を処分し、債務を免除してもらうことを目的としています。自己破産を申請する際には、裁判所に対して申立書を提出し、家計の収支や債務の詳細を明示する必要があります。
自己破産のメリット
- 免責の取得:破産手続きが完了すると、多くの債務が免除され、再出発が可能になります。
- 差し押さえの停止:自己破産を申請すると、給与などの差し押さえが一時的に停止されます。
自己破産のデメリット
- 信用情報への影響:信用情報機関に登録され、5~7年間は新たな借り入れが困難になります。
- 一部職業制限:一定の職業(税理士、公認会計士等)に就けなくなる場合があります。
自己破産は、債務を返済できない状況にある個人にとって有効な手続きですが、生活設計や今後の職業選択に大きな影響を及ぼすことがあります。そのため、専門家のアドバイスを受けることが重要です。
法人破産
法人破産とは、企業が経済的困難により事業継続が不可能になった場合に行われる破産手続きです。会社役員や株主が破産を申請し、裁判所が清算手続きを行います。法人破産は、個人破産と同様に、債務の再編成と債権者への公平な分配を目的としています。
法人破産の手続き
- 申請:役員または株主が破産申請を提出します。
- 破産管財人の選任:裁判所が破産管財人を選任し、財産の管理と換価を行います。
- 債権者集会:債権者が集まり、分配方法について協議します。
- 財産の換価:破産管財人が財産を売却し、得られた資金を債権者に分配します。
法人破産の影響
- 従業員の解雇:企業が破産すると、従業員は解雇されることが一般的です。
- 信頼の喪失:取引先や顧客からの信用を失い、将来的なビジネスチャンスが減少する可能性があります。
法人破産は、従業員や取引先にも大きな影響を及ぼします。そのため、事前に企業再生の可能性を探ることが重要です。
破産手続きの流れ
破産手続きの流れは、個人破産と法人破産で共通点がありますが、詳細な手順は異なります。ここでは一般的な破産手続きの流れを紹介します。
申立て
破産手続きは、債務者自身が裁判所に破産の申立てを行うことから始まります。申立には、債務者の財産状況や債務の詳細を示す書類が必要です。
破産決定
裁判所が破産の申立てを認めると、破産決定が下されます。これにより、破産手続きが正式に開始されます。
破産管財人の選任
裁判所は破産管財人を選任し、債務者の財産管理を行わせます。破産管財人は財産の調査・換価を行い、債権者への分配計画を立てます。
債権者集会・分配
債権者集会が開かれ、債権者に対して説明会及び分配計画の協議が行われます。最終的な分配が行われ、破産手続きが終了します。
破産の回避策
破産は最終手段であり、多くの場合、他の手段を模索することが推奨されます。ここでは、破産回避のための一般的な方法を紹介します。
任意整理
任意整理は、債権者との交渉により返済条件を見直す方法です。裁判所を通さないため手続きが簡便です。
個人再生
個人再生は、裁判所を通じて債務の一部を免除し、残りを長期にわたって分割返済する手続きです。住宅ローン特則などの制度を利用することで、持ち家を手放さずに済む場合があります。
企業再生
企業の場合、事業再生の手段として会社更生法や民事再生法に基づく手続きを選択することができます。事業の縮小や再編成を行いながら、経営の立て直しを図ることが可能です。
以上が法的な破産手続きとその代替手段の概要です。経済的な困難に直面した場合は、早めに弁護士などの専門家に相談し、最適な対策を検討することが重要です。