倒産の基礎知識

KNOWLEDGE

破産したら「車」(自動車)は処分しなければならない?

「破産したら『車』(自動車)は絶対に処分しなければならない」「破産するなら、車を持ち続けることは必ずあきらめないといけない」と考えている方は、少なくありません。

もっとも、こうした考え方は、正確ではありません。インターネット上には、誤った情報も相当数存在するため、誤解が生じているようです。

そこで、以下では、破産・倒産に強い弁護士が解説します。

そもそも、破産をしてしまった場合、手元に残せる財産はないのでしょうか?

いいえ、手元に残せる財産はあります。

自由財産について

破産財団の範囲に含まれない財産、すなわち(破産をしても)破産者が自由に管理処分できる財産を「自由財産」(じゆうざいさん)といいます。この「自由財産」に該当する場合、破産をしてしまった場合でも手元に残したままにすることが可能です。

「自由財産」には、例えば、破産手続開始後に破産者が取得した新得財産(例:破産者が仕事によって得た賃金など)や差押禁止財産などが含まれます。

代表的な自由財産としては、99万円以下の現金が挙げられます。最低限度の生活を保障する等の見地から、99万円以下の現金は手元に残したまま破産できるように法律上定められています。

「自由財産」に「車」(自動車)は含まれるのでしょうか?

車(自動車)は、本来的自由財産とはいえません。もっとも、自由財産には拡張制度が通常認められています(ただし、同時廃止事件の場合を除きます。以下、同様)。

拡張適格財産について

たとえば、この拡張制度によれば、車(自動車)は、その役割・性質等に照らし、類型的に拡張を認めるべき財産(「拡張適格財産」といいます)として位置付けられています(ただし、大阪地方裁判所の倒産専門部における令和3年9月時点の運用を基準とします。以下、同様)。

そのため、例えば、現金と車(自動車)の合計額が99万円以下の場合には、原則として自由財産拡張相当と認められます。つまり、現金と車のいずれも手元に残したまま破産することができるのです。

車(自動車)の価値は、どのように算定するのでしょうか?

車(自動車)の場合、査定評価額が基準となります。具体的な査定方法については、弁護士にご相談ください。

査定方法について

もっとも、普通自動車であれば初年度登録から7年、軽自動車・商用の普通自動車であれば初年度登録から5年以上を経過しており、新車時の車両本体価格が300万円未満であり、外国製自動車でない場合には、損傷状況等からみて無価値と判断できる限り、査定評価を受けることなく0円と評価して差し支えないとされています(ただし、上掲運用を基準としています。)。

手元に残せる場合の車(自動車)の数は1台だけ?

いいえ、必ずしも1台に限られるわけではありません。実際、2台以上が拡張相当(手元に残すことのできる財産)として認められた例もあります。どういった場合に複数台以上の保有が認められるかについては、事例ごとの個別具体的な状況によりますので、弁護士にご相談ください。

車(自動車)を残したい場合、破産申立てを依頼することはできますか?

もちろん、可能です。早期に相談いただくことで、場合によっては破産を避けられることもあります。「破産管財人」として「車」(自動車)に関する自由財産拡張判断にも豊富な経験を有する弁護士も在籍していますので、そうした経験を踏まえた「破産管財人」の視点からも、適切な破産申立をサポートすることが可能です。

破産申立ての依頼はブライトへ

破産・倒産事件に関する初回相談は無料(0円)ですので、安心してご相談いただくことが可能です。相談後、仮に受任した場合の弁護士費用等についても、詳細にご説明させていただきます。

我々は、倒産事件に特化した「倒産事件専門部」を擁しており、裁判所から選任されて「破産管財人」として管財業務を多数行っている弁護士も所属しています。まずは、お電話またはメールにて、ご相談ください。

ZoomなどのWeb会議システムを利用した相談にも対応していますので、遠方の方でも遠慮無くご連絡ください。

お問い合わせ、相談は無料です
(※お電話での対応は平日9:00~18:00となっております、それ以外の時間はメールやLINEでのお問い合わせをお願いします)

無料で問い合わせ

LINEでいつでも相談できるようにしておきましょう

とりあえず登録しておく

  • この記事を書いた人

笹野 皓平

弁護士法人ブライト パートナー弁護士: あなた自身や周りの方々がよりよい人生を歩んでいくために、また、公正な社会を実現するために、法の専門家としてサポートできることを日々嬉しく感じています。

関連記事

基礎知識

「破産管財人」(はさんかんざいにん)とは?

「破産管財人」(はさんかんざいにん)とは、破産法上、「破産手続において破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する者」(破産法2条12項)と定義されています。 もっとも、これだけではよくわから ...

基礎知識

「会社が倒産すると経営者の財産はどうなるのか」弁護士が解説

「倒産」と「破産」の違い 「破産」とは、狭義では、破産法に基づいて行う清算手続のことです。 「倒産」とは、破産にとどまらず、会社法上の特別清算手続(清算型)や、民事再生法に基づく再生手続(再建型)・会 ...

基礎知識

「個人再生」と「破産」の違いとは?あなたに合った手続は?

「個人再生」(こじんさいせい)と「破産」(はさん)の違いについて、正確に理解している一般の方は少ないように思います。これらの違いを正確に理解していないと、債務(借金など)を整理する際に誤った方法を選択 ...

基礎知識

会社の代表者でも「個人再生」が可能?

会社の代表者が「個人再生」(こじんさいせい)手続を利用できることは、一般にはあまり知られていないかもしれません。たとえば、法人(会社)が存在する場合、法人(会社)については「破産」を選択する一方、その ...

基礎知識

民事再生の方法とメリット・デメリットを解説

民事再生について 民事再生とは 民事再生の定義  民事再生とは「経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債 ...

倒産担当弁護士

  • image

    笹野 皓平

    2008年

    京都大学 法学部(Kyoto University Faculty of Law)卒業

    2010年

    司法試験合格・立命館法科大学院修了

    2011年

    弁護士登録(大阪)

    2019年

    大阪弁護士協同組合 総代

    法人向け・個人向けを問わず、幅広い業務に取り組んできました。その場しのぎの単なる助言だけで終わるのではなく、最終的な局面を見据えた「真の問題解決」を目指す姿勢を大切にしています。

    プロフィールを詳しく見る

事務所概要

事務所名 弁護士法人 ブライト
開 業 平成21年(代表弁護士独立開業)
設 立 平成24年11月設立、平成27年1月に法人化
所在地 〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎2丁目6番6号 コウヅキキャピタルウエスト12階
TEL 0120-927-577(受付時間9:00~18:00)
FAX 06-6366-8771
事業内容 法人向け(法律顧問・顧問サービス、経営権紛争、M&A・事業承継、私的整理・破産・民事再生等、契約交渉・契約書作成等、売掛金等の債権保全・回収、経営相談、訴訟等の裁判手続対応、従業員等に関する対応、IT関連のご相談、不動産を巡るトラブルなど)、個人向け(交通事故・労災事故を中心とした損害賠償請求事件、債務整理・破産・再生等、相続、離婚・財産分与等、財産管理等に関する対応、不動産の明渡し等を巡る問題など)

お問い合わせ

CONTACT

弁護士法人 ブライトへの法律相談、
メディア出演依頼・取材に関する
お問い合わせはこちら

お電話での
お問い合わせ

TEL:06-4965-9590

※受付時間 9:00-18:00