この記事でわかること
- 債権回収を弁護士に依頼した際の費用相場、料金の算定方法、変動要因、誤解されやすいポイント、費用を抑える工夫。
この記事のポイント
- 弁護士費用の算定は「経済的利益」に基づく
- 費用は依頼範囲や事案の複雑さで変動する
- 事前準備や成功報酬型の活用で費用を抑えられる
債権回収を弁護士に依頼したいけれど、「費用がいくらかかるのか不安で動けない」と感じていませんか?実は、弁護士費用には一定の相場が存在し、仕組みを知っておくだけで安心して一歩を踏み出せます。
この記事では、弁護士法人が実際に用いる算定方法や依頼内容による変動要因、費用を抑える工夫までを詳しく解説。債権回収はスピードが命。行動が遅れるほど資金回収のリスクは高まります。
ぜひ最後まで読み、安心して専門家への相談につなげてください。
目次
債権回収にかかる弁護士費用の算定方法
弁護士に債権回収を依頼する場合、費用は主に以下の4つで構成されます。まずは、それぞれの費用の内容を理解しておきましょう。
弁護士費用の主な内訳
1.相談料
法律相談をする際にかかる費用です。最近では初回相談を無料にしている法律事務所も多くあります。
2.着手金
弁護士に案件を正式に依頼する段階で支払う費用です。案件の結果(成功・不成功)にかかわらず、原則として返金されません。
3.報酬金
案件が成功した場合に、その成功の度合いに応じて支払う費用です。例えば、「請求額のうち、実際に回収できた金額の〇%」といった形で計算されます。全く回収できなかった場合は、報酬金が発生しないのが一般的です。
4.実費・日当
実費:収入印紙代、郵便切手代、裁判所への交通費など、手続きを進める上で実際にかかった費用のことです。
日当:弁護士が裁判所へ出廷するなど、事務所外での活動のために時間を拘束された場合に発生する費用です。
着手金と報酬金の計算方法【具体例でシミュレーション】
着手金と報酬金は、多くの場合「経済的利益の額」を基準に計算されます。これは、請求したい金額(着手金の場合)や、実際に回収できた金額(報酬金の場合)を指します。
ここでは、多くの法律事務所で採用されている(旧)日本弁護士連合会報酬等基準に基づいた計算方法と具体例をご紹介します。
着手金の計算
着手金は、相手に請求する金額(経済的利益)に応じて、以下の料率で計算されます。
請求する金額(経済的利益の額) | 着手金の計算式 |
300万円以下 | 8% |
300万円を超え3000万円以下 | 5% + 9万円 |
3000万円を超え3億円以下 | 3% + 69万円 |
3億円を超え | 2% + 369万円 |
【計算例】1000万円の売掛金の回収を依頼する場合
1000万円は「300万円を超え3,000万円以下の部分」に該当します。
計算式は「5% + 9万円」です。
したがって、着手金は59万円(税別)となります。
報酬金の計算
報酬金は、実際に回収できた金額(経済的利益)に応じて、以下の料率で計算されます。
回収できた金額(経済的利益の額) | 報酬金の計算式 |
300万円以下 | 16% |
300万円を超え3000万円以下 | 10% + 18万円 |
3000万円を超え3億円以下 | 6% + 138万円 |
3億円を超え | 4% + 738万円 |
【計算例】1000万円を請求し、全額の1000万円を回収できた場合
1000万円は「300万円を超え3000万円以下の部分」に該当します。
計算式は「10% + 18万円」です。
この場合、報酬金は118万円(税別)となります。
その他の手続きにかかる費用
債権回収では、訴訟(裁判)以外にも様々な手続きがあり、それぞれに費用が設定されています。
- 督促手続・内容証明郵便作成
裁判前の比較的簡易な手続きです。訴訟に比べて費用が安く設定されていることが多く、数万円程度から依頼できる場合があります。 - 民事保全(仮差押えなど)
相手が財産を隠してしまうのを防ぐための手続きです。訴訟とは別に、着手金や報酬金が発生します。 - 民事執行(強制執行)
裁判で勝訴しても相手が支払わない場合に、相手の財産(預金や不動産など)を差し押さえる手続きです。こちらも別途、着手金や報酬金がかかるのが一般的です。
これらの費用は、案件の複雑さや弁護士の方針によって大きく異なります。
ブライトに債権回収を依頼した場合の弁護士費用
ブライトでは現在、債権回収をはじめとする企業法務案件については、基本的に個別単発案件のみのご相談・依頼はお受けしておりません。個別案件について、ベストなアドバイスを差し上げるには、その案件のみの事情だけではなく、貴社の事業、組織、企業文化、取引内容、不良債権化になった経緯等を理解する必要があるからです。またブライトとしては同じようなトラブルが起きないよう再発防止策(与信管理)を提案するなどして企業が本業に専念できる環境を作りたいと考えています。そのため、顧問契約を前提として個別案件のご対応をさせていただいております。ブライトの顧問サービスは3つのプランをご用意しており、月額基本利用料は5万円(税別)から(セカンドオピニオンプランは3万円(税別))になります。
▶プランの詳細はこちら
顧問契約の特典として、個別案件(着手金)の割引をさせていただいており、債権回収における各種手続きの費用は以下の通りです。
内容証明の作成、発送、初期交渉 | 5万円~ |
支払督促手続 | 10万円~ |
交渉 | 着手金:25万円~ 報酬金:25万円~(ただし、旧報酬基準を考慮する) |
保全 | 着手金:30万円~ 報酬金:成果に応じて算定(本案事件との関係等を考慮する) |
訴訟・調停・審判 | 着手金:40万円~(交渉その他から移行する場合は要相談) 報酬金:成果に応じて算定(40万円~を目安に、旧報酬基準を考慮) |
執行 | 着手金:20万円~ 報酬金:成果に応じて算定(本案事件との関係等を考慮する) |
証拠保全 | 32万円~ |
とはいえ、依頼者にとって一番の不安は「結局いくら必要なのか?」という点です。
その不安を解消するには、まず依頼を検討している弁護士に「回収までを含めた総額感」を確認することが大切です。
依頼内容や事案の複雑さによる費用の変動
費用は単純に金額だけでなく、依頼の内容や事案の複雑さによっても変動します。例えば「貸したお金を返してもらう」というシンプルなケースでは比較的費用が抑えられることがあります。しかし「建設工事を完成させたのに代金が支払われない」など、契約内容や履行状況に争いがある場合は弁護士の作業量が増えるため、追加の費用が必要になることも。
つまり、「金額が大きいから高い」のではなく、「争点が多く手間がかかるから高くなる」ケースが多いのです。そんなあなたに必要なのは、初回相談で「事案の複雑さが費用にどう影響するか」を確認しておくことです。
費用に関してよくある誤解と注意点
弁護士費用に関しては誤解がつきものです。
よくあるのは「時間がかかればかかるほど費用も増える」という思い込み。しかし、実際には多くの事務所が「経済的利益」を基準に算定するため、時間によって費用が上乗せされるわけではありません。
また「判決を取れば必ず費用が含まれる」と考えるのも誤解です。事務所によっては「判決取得まで」「強制執行まで」と対応範囲が異なるため、総額が変わってしまうケースもあります。だからこそ、依頼前には「どこまでが費用に含まれるのか」を明確に確認することが不可欠です。
費用を抑えつつ質を担保するための工夫
弁護士費用を抑えるには、依頼者側の準備も重要です。
事実関係や証拠を整理して渡せば、弁護士が調査や整理に費やす時間を減らせ、その分費用も軽減されることがあります。さらに契約時に「遅延損害金」を高めに設定しておけば、将来の債権回収で弁護士費用をカバーできる可能性もあります。実際にある契約では、利率を一般的な水準より高く設定しておいたことで、回収時に弁護士費用を補填できた例がありました。
とはいえ、全額を抑えることは難しいもの。そんなあなたに有効なのが「成功報酬型契約」です。弁護士が「回収の見込みが高い」と判断した場合には、着手金を抑えて成功報酬に重点を置いた契約が可能になるケースもあります。
安心して弁護士に相談するために
最終的に重要なのは「安心して依頼できるかどうか」です。費用の相場や算定方法を理解した上で、事前に見積もりや契約条件を確認しておけば、後から「こんなはずではなかった」と後悔するリスクを減らせます。費用が不安で行動を遅らせれば遅らせるほど、回収の可能性は低下してしまいます。だからこそ、「費用を理解してから動く」のではなく、「動くために費用を理解する」姿勢が大切です。
まとめ
債権回収の弁護士費用は「経済的利益」を基準に算定され、依頼範囲や事案の複雑さで変動します。誤解されがちな「時間で費用が増える」という認識は誤りであり、契約範囲を確認することが大切です。費用を抑えるには、証拠の整理や成功報酬型契約といった工夫が効果的です。悩んでいる間に回収のチャンスは失われていきます。
今こそ専門家に相談し、確実な一歩を踏み出しましょう。
FAQ:よくある質問
債権回収の弁護士費用は高額になりがちですか?
費用は回収額や事案の複雑さに応じて変動します。単純な貸金請求なら比較的抑えられる場合もありますが、複雑な契約トラブルでは追加費用が発生することもあります。
費用をできるだけ抑えるにはどうすれば良いですか?
証拠や資料を事前に整理して弁護士に渡すことで時間的コストを減らせます。また、成功報酬型契約や遅延損害金の設定を工夫する方法もあります。
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著者:代表弁護士 和氣 良浩 |
企業法務(契約書レビュー、労務問題、M&A・株主対応など)から個人の相続・離婚・交通事故まで幅広く対応。経営のスピード感に応える迅速な助言と、感情面に配慮しクライアントが納得できる解決を重視しています。専門用語を避けた具体的な説明で、安心してご相談いただけるよう、利益の最大化を目指し最後まで伴走いたします。 |