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事業譲渡

読み方
じぎょうじょうと

事業譲渡とは

事業譲渡(じぎょうじょうと)とは、企業がその事業の一部または全部を他の企業に売却する行為を指します。事業譲渡は会社分割や企業買収(M&A)と並ぶ経営戦略の一つで、買い手側にとっては事業拡大の手段となり、売り手側にとっては経営再建や戦略的な撤退手段として用いられます。

具体例として、2023年には某有名ホテルチェーンが、その地域ごとのホテル運営事業を複数の独立した企業に譲渡することにより、事業再編を行いました。このような事例は、経営資源の集中や戦略的な選択といった観点から効果的です。

そして、事業譲渡の法的手続きには細かい規定が数多く存在しています。

その一つが「事業譲渡契約」です。
ここでは、売り手と買い手が譲渡条件について詳細に取り決めることが求められます。契約内容には、譲渡価格、従業員の処遇、知的財産権、契約関係の引継ぎなどが含まれます。

事業譲渡の法的側面

事業譲渡には複雑な法的手続きが伴います。具体的には、商法および会社法が関連してきます。これらの法律は、大まかに以下のような内容を規定しています。

譲渡に関する基本規定

事業譲渡においては、譲渡対象となる資産・負債の範囲が明確に定義されなければなりません。

  • 事業の有形および無形資産
  • 契約関係の引継ぎ
  • 従業員の処遇や雇用条件の継続

これらについては、事前に双方の合意のもと詳細に取り決めておく必要があります。また、この取り決めは「事業譲渡契約書」によって公式な書面として残されます。

この他にも、公正取引委員会による反独占法や競争法の規制が適用される場合もあります。特定の市場において過度な支配力を持つことを防ぐため、事業譲渡が行われる際には厳しい審査が行われることがあります。

事業譲渡のメリットとデメリット

事業譲渡にはさまざまなメリットとデメリットが存在します。

メリット

事業譲渡のメリットには以下の点があります。

  • 資金調達: 売却資金を得ることで、他の事業投資や負債返済に使用できます。
  • 経営資源の集中: コア事業に集中することで経営の効率を高めます。
  • 戦略的撤退: 不採算事業からの戦略的撤退を行うことで、企業全体のリスクを減少させることができます。

デメリット

一方で、デメリットも存在します。

  • 従業員への影響: 譲渡に伴い、従業員の雇用条件や職場環境が大きく変動することがあります。
  • 顧客への影響: 事業譲渡により顧客関係が再構築されるリスクがあります。
  • 税務上の課題: 譲渡資産に対する税務上の処理が複雑で、特定の税負担が発生する場合があります。

事業譲渡の手順と流れ

事業譲渡のプロセスは以下のステップで行われます。

1. 事業譲渡の計画立案

まずは経営陣による事業譲渡の目的と範囲を明確にします。その際、財務状況や市場環境を考慮し、最適な譲渡対象を選定します。

2. デューデリジェンス

次に行うのがデューデリジェンスです。これは、買い手側が売り手側の財務や法務、事業運営状況について詳細に調査する過程です。デューデリジェンスを通じて、潜在的なリスクや問題点を明確にします。

3. 事業譲渡契約の締結

デューデリジェンスが完了した後、双方で譲渡条件について交渉し、合意に達した段階で「事業譲渡契約書」を締結します。契約書には譲渡価格、従業員の処遇、知的財産権の取り扱いなどが細かく記載されます。

4. 関係者への通知と承認手続き

契約締結後、取引の詳細を関係者に通知し、必要な承認手続きを進めます。特に大規模な事業譲渡の場合は、株主総会での承認が求められることもあります。

5. 事業譲渡の実施

全ての手続きが完了した後、正式に事業譲渡が実施されます。この時点で、譲渡対象の資産や負債が移転し、契約関係や従業員の引継ぎも行われます。

事業譲渡後のフォローアップ

事業譲渡が完了した後も、フォローアップが重要です。

経営統合のプロセス

譲渡後、新しい経営体制のもとでの経営統合プロセスをスムーズに進めることが求められます。特に重要なのが、従業員のモチベーション管理や顧客関係の維持です。

業績のモニタリング

事業譲渡後のパフォーマンスを定期的にモニタリングし、必要に応じて経営戦略の調整を行います。これにより、経営資源の最適配分やリスク管理を行うことができます。

問題解決のためのフィードバック

譲渡後に発生する可能性のある問題については、迅速な対応が求められます。買い手と売り手の双方が連携し、フィードバックを通じて問題解決に努めます。

以上が、事業譲渡の基本的な概要とそのプロセスです。事業譲渡は、戦略的には非常に有効な手段ですが、適切な準備とフォローアップが不可欠です。成功するためには、法務、財務、経営戦略など、各分野の専門家との協力が重要です。

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