このページは、労災死亡/労災年金と遺族厚生年金の併給調整について、死亡事故・労災死亡事案の遺族支援を多数取り扱う弁護士法人ブライト(代表:和氣良浩弁護士)が、相続実務とリンクさせて整理した解説記事です。
📝 この記事の3秒結論
- 労災遺族補償年金と遺族厚生年金は併給可能だが、労災年金が80〜86%に減額調整
- 中高齢寡婦加算(40歳以上65歳未満で年59万円超)も併給
- 受給期間・年齢条件によって最大化戦略が異なる
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労災遺族補償年金と遺族厚生年金の関係
労災死亡では、(1)労災保険からの「遺族補償年金」、(2)厚生年金保険からの「遺族厚生年金」、の二つの年金を受給できます。両者は併給可能ですが、二重給付防止のため労災年金が一定の調整率で減額されます。
調整の根拠:労災保険法附則。両年金が完全に重複すると過剰給付となるため、労災年金側が調整される仕組みです。
労災年金の調整率(80〜86%)
遺族厚生年金と併給する場合、労災遺族補償年金は以下の率に調整されます。
(1) 遺族厚生年金との併給:労災年金 × 0.84
(2) 遺族基礎年金+遺族厚生年金との併給:労災年金 × 0.80
(3) 遺族基礎年金との併給:労災年金 × 0.88
(4) 障害厚生年金との併給:労災年金 × 0.83
例:労災年金が年200万円、遺族厚生年金が年100万円のケース:労災年金200万円×0.84=168万円+遺族厚生年金100万円=合計268万円。何も調整されない場合の300万円より32万円少ない。
中高齢寡婦加算と併給
遺族厚生年金には「中高齢寡婦加算」(40歳以上65歳未満の妻)が付加されます。年額約59万円(2024年度)。
40歳以上の配偶者は、自身の老齢年金が始まる65歳までこの加算が支給されるため、遺族年金合計が大きくなります。労災年金との併給時も中高齢寡婦加算は減額対象外。生活設計上の重要な収入源です。
具体的シミュレーション
例:被害者45歳・配偶者42歳・子2名(10歳・8歳)の労災死亡ケース。被害者の標準報酬月額40万円。
(1) 労災遺族補償年金(給付基礎日額1.3万円・受給人数3人=245日分):年額約319万円
(2) 遺族厚生年金(被害者の厚生年金加入期間20年想定):年額約100万円
(3) 遺族基礎年金(子2名):年額約114万円(2024年度781,700円+加算)
(4) 中高齢寡婦加算(子が18歳到達後に開始):年額約59万円
子が18歳に達するまで(子加算期間):(1)319×0.80+(2)100+(3)114=469万円。子が18歳到達後(中高齢寡婦加算開始):(1)319×0.84+(2)100+(4)59=427万円。配偶者が65歳到達後は老齢厚生年金移行で再計算。
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受給期間と年齢の影響
各年金の受給期間:
(1) 労災遺族補償年金:配偶者は終身(夫婦が55歳以上の場合)または妻55歳まで継続。子は18歳到達年度末まで。父母・祖父母は60歳以上で受給
(2) 遺族厚生年金:配偶者は終身。子は18歳到達年度末まで。
(3) 遺族基礎年金:子のいる配偶者または子のみ。子の18歳到達年度末まで
(4) 中高齢寡婦加算:40歳以上65歳未満の妻に支給
損害賠償との損益相殺
会社への損害賠償請求では、これらの年金が損益相殺対象になるかが論点です。
(1) 労災遺族補償年金:将来分も含めて損益相殺対象(最判平成27年3月4日)
(2) 遺族特別支給金(300万円):損益相殺対象外
(3) 遺族厚生年金:判例上、損益相殺対象外(最判平成16年12月20日)
(4) 遺族基礎年金:損益相殺対象外
(5) 中高齢寡婦加算:損益相殺対象外
つまり、損害賠償請求時には「労災遺族補償年金」のみが控除対象。他の年金は別個の収入として確保できる構造です。
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ブライトの労災年金×損害賠償サポート
弁護士法人ブライトは、労災死亡事案で(1)労災・厚年・国年の年金請求支援、(2)併給調整の正確な計算、(3)損害賠償請求時の損益相殺最適化、(4)受給期間に応じた長期生活設計、を一括サポートします。
労災死亡では「年金」と「賠償金」のトータル設計が、ご遺族の生活基盤を決めます。社労士・税理士との連携で、最大化を実現します。
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監修:和氣 良浩 弁護士(弁護士法人ブライト 代表弁護士・登録番号30856)
死亡事故・労災死亡のご遺族支援を多数担当。「賠償請求権の相続」「相続放棄との関係」「労災遺族年金の損益相殺」「海外在住相続人の対応」など、賠償交渉と相続実務(戸籍調査・遺産分割・遺言)を一人の弁護士で完結できる体制でご家族をお支えしています。
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