このページは、死亡事故の逸失利益と相続について、死亡事故・労災死亡事案の遺族支援を多数取り扱う弁護士法人ブライト(代表:和氣良浩弁護士)が、相続実務とリンクさせて整理した解説記事です。
📝 この記事の3秒結論
- 逸失利益=基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数のライプニッツ係数
- 基礎収入は事故前年の年収または賃金センサス
- 生活費控除率:一家の支柱30%・独身男性50%・独身女性30%
- 就労可能年数:原則67歳まで
- 相続財産として法定相続分で分配
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はじめに:逸失利益とは
逸失利益は、被害者が亡くなったために「生きていれば得られたはずの将来収入」の喪失を金銭評価した損害賠償項目です。死亡事故賠償の中で最も金額が大きい項目で、被害者の年齢・職業によっては数千万円〜億単位になります。
例:
- 30代の会社員(年収500万円):逸失利益約7,000〜8,000万円
- 50代の医師(年収1,500万円):逸失利益約1.5〜2億円
- 独身の20代女性(年収300万円):逸失利益約3,000〜4,000万円
本記事では、逸失利益の計算方法と相続実務を解説します。
逸失利益の基本計算式
逸失利益の計算式:
逸失利益 = 基礎収入 × (1-生活費控除率) × 就労可能年数のライプニッツ係数
各要素:
- 基礎収入:事故前年の年収(給与所得者・自営業者)または賃金センサス(学生・主婦)
- 生活費控除率:被害者本人の生活費が引かれる(30〜50%)
- 就労可能年数:原則67歳までの年数
- ライプニッツ係数:将来の収入を現在価値に引き直す係数
基礎収入の決め方
基礎収入の決定方法:
| 区分 | 基礎収入 |
|---|---|
| 給与所得者 | 事故前年の源泉徴収票の額面 |
| 自営業者 | 事故前年の確定申告の事業所得 |
| 会社役員 | 労務対価部分(役員報酬の50〜70%程度) |
| 主婦 | 女性の賃金センサス全年齢平均(約400万円) |
| 学生・幼児 | 男女別の賃金センサス全年齢平均 |
| 失業者 | 就労意欲・就労見込みを立証して認定 |
給与所得者で前年の収入が一時的に低い場合(産休・育休等)、それ以前の平均年収で算定するなど、個別事情を主張できます。
生活費控除率
逸失利益から「被害者本人の生活費」を控除する控除率:
| 家族構成 | 生活費控除率 |
|---|---|
| 一家の支柱(妻子あり) | 30〜40% |
| 一家の支柱(妻のみ) | 40% |
| 独身男性 | 50% |
| 独身女性 | 30% |
| 主婦・女性 | 30〜40% |
| 未就労者(学生・幼児) | 男50%・女30〜45% |
例:30代会社員(年収500万円・妻子あり、生活費控除30%)
- 500万円×(1-0.3)=350万円が年間の逸失利益
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ライプニッツ係数(中間利息控除)
将来支給される収入は、利息分を割り引いて現在価値に引き直します。これに使うのがライプニッツ係数。
2020年4月以降の死亡事故では年利3%(民法改正後)で計算します。
| 就労可能年数 | ライプニッツ係数 |
|---|---|
| 10年 | 8.5302 |
| 20年 | 14.8775 |
| 30年 | 19.6004 |
| 40年 | 23.1148 |
| 47年(20歳→67歳) | 25.0247 |
例:30代会社員(30歳・年収500万円・妻子あり)の逸失利益
- 500万円×(1-0.3)×ライプニッツ係数(37年・21.7193)
- =350万円×21.7193=7,601万7,550円
就労可能年数
就労可能年数は原則「事故時の年齢から67歳まで」が標準です。例外:
- 67歳超の高齢被害者:平均余命の半分(簡易生命表参照)
- 未就労者(学生・幼児):18歳から67歳まで
- 54歳超の被害者で「67歳までの年数 < 平均余命の半分」なら平均余命の半分
例:80歳被害者の場合、平均余命約11年→11/2=5.5年→6年(切り上げ)が就労可能年数。
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逸失利益は相続財産・法定相続分で分配
逸失利益は被害者本人が持っていた損害賠償請求権の一部として、相続によりご遺族に承継されます。法定相続分で分配されるのが原則。
例:30代会社員(妻子あり、配偶者・子2名)の逸失利益7,600万円
- 配偶者:3,800万円(1/2)
- 子1:1,900万円(1/4)
- 子2:1,900万円(1/4)
遺産分割協議で配分変更も可。配偶者の老後資金確保のため7割など、配分を変えるケースもあります。
労災年金との損益相殺
労災死亡事故では、逸失利益から既受給の遺族補償年金が控除されます(損益相殺)。
例:逸失利益7,600万円・労災年金で1,500万円既受給
- 加害者への請求額:7,600万円-1,500万円=6,100万円
- +本人慰謝料2,500万円・近親者慰謝料500万円(損益相殺なし)
- 合計:9,100万円
慰謝料は損益相殺の対象外なので、その分はそのまま受領可能です。
まとめ:逸失利益は最大の損害項目
逸失利益は死亡事故賠償の中で最も金額が大きい項目です。
- 計算式:基礎収入×(1-生活費控除率)×ライプニッツ係数
- 基礎収入は前年の年収または賃金センサス
- 生活費控除率は家族構成で変動(30〜50%)
- 就労可能年数は原則67歳まで
- 相続財産として法定相続分で分配
- 労災年金は損益相殺対象
適正な逸失利益算定には、被害者の収入・職業・家族構成の正確な把握が必須。ブライトでは死亡事故賠償と相続を一括サポートします。
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監修:和氣 良浩 弁護士(弁護士法人ブライト 代表弁護士・登録番号30856)
死亡事故・労災死亡のご遺族支援を多数担当。「賠償請求権の相続」「相続放棄との関係」「労災遺族年金の損益相殺」「海外在住相続人の対応」など、賠償交渉と相続実務(戸籍調査・遺産分割・遺言)を一人の弁護士で完結できる体制でご家族をお支えしています。
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