手首の骨折は交通事故の被害の中でも比較的多く、自動車との衝突だけでなく、接触して転倒したオートバイ、自転車の運転手や横断歩道を渡っていた歩行者などが、地面に手をつくときに手首を骨折します。
手首を骨折すると、日常生活が不便になるだけではなく、骨折の程度によっては後遺症が残る可能性があります。
そこで、今回は「交通事故で手首を骨折した場合」というテーマで、それぞれの症状別の後遺障害に該当するケースや、慰謝料などの相場をわかりやすく解説します。
ぜひ、参考にしてください。
この記事でわかる事
- 手首とはどこの骨か
- 手首の骨折による主な後遺障害の症状
- 症状別の後遺障害等級と後遺障害慰謝料
- 手首の骨折で逸失利益はもらえるのか
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手首(手関節)とはどこの骨?
手首、と一口にいっても様々な骨から構成されています。まずは手首を構成する骨について解説します。
前腕骨
前腕骨は手首から肘までの2本の骨です。前腕骨は、橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)で構成されています。
橈骨(とうこつ)
橈骨(とうこつ)は、親指側につながる骨です
尺骨(しゃっこつ)
尺骨(しゃっこつ)は、小指側につながる骨です。
橈骨遠位部(とうこつえんいぶ)
橈骨遠位部(とうこつえんいぶ)とは、橈骨(とうこつ)の手首付近の部分をいいます。
橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)とは?
橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)とは、橈骨(とうこつ)の手首に近い部分を骨折することです。尺骨(しゃっこつ)も同時に骨折することもあります。
橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)は、交通事故で転倒して地面に手をついた際に発生するケースが非常に多く、また後遺障害が残る可能性が高い骨折の一つです。
橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)の診断と治療
X線(レントゲン)検査をすると、橈骨(とうこつ)の手首側のところに骨折がわかります。折れた部分が単純で骨折線が一本だけのケース、いくつもの小さい骨片がある不安定な骨折のケースなど、骨折の程度はさまざまです。
手首側の骨片が手の甲の方向にずれているものは、古くからコレス骨折、手のひら側にずれているものはスミス骨折といわれています。
橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)の治療では、腕の麻酔や静脈麻酔で痛みをとってから、手を指先の方向に引っ張ってずれた骨片を元に戻す整復操作が行なわれます。
引っ張る力をゆるめても骨片がずれないときは、そのままギプスやギプスシーネで固定します。引っ張る力をゆるめると骨片がずれて来るものや、手首の関節に面する骨片の一部がずれたままで整復出来ないものは手術が必要になります。
<出典元>
公益社団法人 日本整形外科学会
【症状別】手首の骨折による後遺障害等級と後遺障害慰謝料
手首の骨折による主な後遺障害の症状には、「欠損障害」、「機能障害」、「変形障害」、「神経障害」などがあります。では、それぞれ症状別に、後遺障害の等級と後遺障害慰謝料の相場を解説します。
なお、後遺障害慰謝料は慰謝料の基準の中でも一番高い弁護士基準の相場を紹介します。
交通事故で手首を骨折すると後遺障害慰謝料以外にも入通院慰謝料などを加害者に請求することが出来ます。
慰謝料について詳しくは「交通事故の慰謝料の相場、計算方法、弁護士に依頼するべきケースを解説」をご覧ください。
欠損障害の後遺障害認定と慰謝料
骨折の中でも最も重度な後遺障害で、上肢(腕)を切断しなければならない骨折です。
両腕あるいは片腕のどちらかにより、後遺障害2級3号もしくは第5級4号に該当します。
両上肢を手関節以上で失ったもの
- 後遺障害等級:第2級3号
- 後遺障害慰謝料:2,370万円
両腕を切断したケースです。「手関節と肘関節の真ん中付近を切断」、「手関節の橈骨・尺骨と手根骨とを切断(離断)」などがあります。
一上肢を手関節以上で失ったもの
- 後遺障害等級:第5級4号
- 後遺障害慰謝料:1,670万円
片腕のみを切断したケースです。
機能障害の後遺障害認定と慰謝料
機能障害とは、上肢の関節の用廃・可動域の制限などが出てくる障害です。
手首の骨折によって、手首そのものが動かしづらくなる機能障害で、骨折箇所の可動域の制限がどのくらいあるかなどで、後遺障害等級が決定されます。
具体的に機能障害は、可動域の角度によって認定します。健康な状態つまり骨折していない「健側」と、骨折している「患側」の可動域を比較します。
一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
- 後遺障害等級:第8級6号
- 後遺障害慰謝料:830万円
片腕の3大関節中の1関節が、「強直(ごうちょく)」、「完全弛緩性麻痺(しかんせいまひ)またはこれに近い状態」、「人工関節・人工骨頭をしている場合はその可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限された状態」の障害です。
一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
- 後遺障害等級:第10級10号
- 後遺障害慰謝料:550万円
「関節の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されている」、「人工関節・人工骨頭を挿入している(後遺障害8級6号以外)」の障害です。
一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
- 後遺障害等級:第12級6号
- 後遺障害慰謝料:290万円
「関節の可動域が健側の可動域角度の3/4以下に制限されている状態」の障害です。
変形障害の後遺障害認定と慰謝料
変形障害とは、目視でわかるほど骨の形が変形している障害です。
また変形障害となる偽関節とは、骨癒合(骨がくっつくこと)が止まり、骨が完全にくっついていない状態になってしまうことです。折れた骨がくっつかずにグラグラと動いている状態です。
一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
- 後遺障害等級:第7級9号
- 後遺障害慰謝料:1,000万円
橈骨(とうこつ)および尺骨(しゃっこつ)の両方の骨幹部等に偽関節を残し、常に硬性補装具を必要とする障害です。
一上肢に偽関節を残すもの
- 後遺障害等級:第8級8号
- 後遺障害慰謝料:830万円
偽関節を残すもので、硬性補装具を必要としない障害です。
長管骨に変形を残すもの
- 後遺障害等級:第12級8号
- 後遺障害慰謝料:290万円
骨折した部分がうまく骨癒合せず(くっつかない)、変形が起こる障害です。
手首の骨折で、後遺障害12級8号の「長管骨に変形を残すもの」に該当するのは、下記のようなものがあります。
- 長管骨の骨端部に癒合不全(偽関節)があるケース
- 骨端部のほとんどを欠損したケース
- 橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)の両方が15度以上屈曲して癒合したケース
- 橈骨(とうこつ)もしくは尺骨(しゃっこつ)の直径が2分の1以下に減少したケース
- 橈骨(とうこつ)または尺骨(しゃっこつ)の骨幹部等に偽関節を残し、硬性補装具を必要としないケース
などがあります。
神経障害の後遺障害認定
むち打ちなどのように、手首の骨折でも神経障害の出るケースがあります。神経障害は事故により神経の損傷による痛みやしびれがでる障害です。
画像検査や神経学的検査結果により後遺障害12級13号もしくは14級9号が該当します。
局部に頑固な神経症状を残すもの
- 後遺障害等級:第12級13号
- 後遺障害慰謝料:290万円
レントゲンやMRIなど、画像で症状を客観的に説明できる場合は後遺障害12級となります。
局部に神経症状を残すもの
- 後遺障害等級:第14級9号
- 後遺障害慰謝料:110万円
画像で症状があることはわからないものの自覚症状がある場合は14級になります。
手首の骨折で逸失利益はもらえる?
交通事故で死亡や後遺障害の被害をうけて働けなくなると、将来得られたはずの収入が失われます。この失われた収入を逸失利益といいます。後遺障害を認定された被害者は加害者側(保険会社)に対し、逸失利益の賠償を求めることが可能です。
手首を骨折した場合も後遺障害が認定されれば、逸失利益の請求は可能です。
逸失利益は下記の計算式で算出します。
1年あたりの基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
=逸失利益
逸失利益の事例
年齢40歳、年収1,200万円の自営業者が後遺障害12級認定を受けた場合。
基礎収入(1,200万円)×労働能力喪失率(14%)×労働能力喪失期間(67歳まで27年間)に対応するライプニッツ係数(18.327)=3,078万9,360円
まとめ
交通事故で手首を骨折すると、日常生活に支障をきたすだけではなく、後遺障害が残るケースがあります。
皆さまの利き腕や利き手によっては、後遺障害が残ると一生、食事をするとき、書く作業をするときなど、不自由な状況に陥ってしまいます。
もし、交通事故でそのような被害に遭われたら、将来に対して適正な金額で相手方の加害者から補償してもらわなければなりません。
後遺障害認定や慰謝料などの損害賠償請求で、ご不満やご不安を抱えていらっしゃる場合は、ぜひ弁護士にご相談ください。
ご相談者さまの疑問点にお応えし、適正な補償が受けられるようにサポートします。