「倒産」と「破産」の違い
「破産」とは、狭義では、破産法に基づいて行う清算手続のことです。
「倒産」とは、破産にとどまらず、会社法上の特別清算手続(清算型)や、民事再生法に基づく再生手続(再建型)・会社更生法に基づく更生手続(再建型)を含みます。
さらに、そうした裁判所を通じて行われる整理手続のみならず、純粋な私的整理のほか、いわゆる準則型私的整理(経営者保証ガイドライン、中小企業再生支援協議会による再生支援手続など)を含む広い概念になります。
よく「会社が倒産した」と言われる場合、必ずしも「会社が破産した」という意味になるわけではありません。会社の経営が上手く立ち行かず、単に事業を停止・閉鎖するような「事実上の倒産状態」を意味していることもあります。
会社の「破産」
会社が「破産」するための要件
会社が「破産」するためには、裁判所から破産手続開始決定を受けることが必要です。
破産手続開始決定を受けるための要件(法人の場合)は、債務者(会社)が
支払不能の状態であること
支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態
債務超過の状態であること
債務者がその債務につき、その財産をもって完済することができない状態
を指します。
会社の破産と経営者
Point① 経営者が破産する決まりはない
会社とその代表者は別々であるため、法律上は、いずれか一方だけが破産手続を行うことも可能です。
しかし、現実には、会社の代表者が会社の借入について保証人となっているケースが多いため、会社が破産をする場合には、代表者も一緒に破産をすることが多いところです。
なぜならば、会社が破産した場合、会社の債権者は、保証人である代表者に対し、保証債務を履行するように求めてくるのが通常だからです。
また、会社の保証人である代表者のみが破産した場合も、会社の債務を担保する保証人が不在の状態になるため、債権者からは、会社に対してすぐに債務全額の支払を迫られることがあります。このような場合にも、会社が支払不能の状態に陥る場合には、会社も一緒に破産するという選択をとることがあり得ます。
このように、事実上、多くの場合は、会社と代表者の破産は「セット」になります。
しかし、一定の条件のもとであれば、
- 会社は破産
- 会社代表者は個人再生や準則型私的整理手続を利用する
といった方法を選ぶこともできます。我々弁護士法人ブライトに相談いただければベストな解決方法をご提案できます(会社と会社代表者との同時申立てについては、こちらを参照ください。)。
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Point② 会社や経営者の破産は周りに知られるのか
破産を含む法的整理手続を利用する場合には、官報に公告されるほか、債権者などの利害関係人には通知が届きます。そのため、全く誰にも知られずに破産をすることは難しいといえるでしょう。
また、取引先や従業員を通じて、会社の倒産状態を外部に知られてしまうこともあります。これによって生じてしまう混乱を避けるためには、適宜・適切に準備を進める必要がありますので、なるべく早めに弁護士へ相談することが大切です。
Point③ 破産した後に経営者が残すことのできる財産
破産手続は、破産手続開始決定時点までにおける債務者の財産を清算し、債権者に分配するための手続です。ただし、債務者(個人の場合)の生活に必要な財産は、以下のとおり、破産手続開始決定後も一定限度で残すことができます。
法律上、年金や差押禁止財産のほか、99万円以内の現金については、破産手続開始決定後も「(本来的)自由財産」として残すことができます。
また、現金以外の財産については、裁判所が「自由財産」として取り扱うこと(これを「拡張」といいます。)を認めた場合に限り、一定の範囲で、破産手続開始決定後も残すことが可能です。
ただし、どんな財産であっても残すことができるわけではありません。たとえば、
- 預貯金(※大阪では、普通預金は現金に準じて取り扱われます。)
- 保険解約返戻金
- 自動車
などは「拡張」が認められやすい一方で、
- 不動産
- 株式
といった生活に必需とまではいえないと判断されやすいものは、そもそも「拡張」の対象と認められない場合があります。また、「拡張」の対象となる財産であっても、現金と合わせて99万円以内でなければ、原則として「拡張」は認められません。(他の本来的自由財産等も含め)99万円を超えるような場合等には、「拡張」が認められるハードルは高くなります。
なお、開始決定後に働いて得た収入など、破産手続開始決定後に取得した財産(これを「新得財産」といいます。)は、上記の制限なく残すことができます。
どのような財産を残すことができるのか、その判断は簡単ではない場合も多くあります。破産する場合に残すことのできる財産に迷ったら、我々弁護士法人ブライトにご相談ください。
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Point④ 破産する場合、自宅はどうなる?
自宅については、賃貸物件であれば、賃料の支払を滞りなく続ける限り、住み続けることが可能です。
他方、自宅を所有している場合(住宅ローンが無い場合)には、上記のとおり、不動産の「拡張」が認められにくいため、破産手続開始決定後にこれをそのまま残しておくことは難しいと考えられるでしょう。
所有する自宅に住宅ローンが残っている場合にも、原則として自宅に住み続けることは難しいと考えられるでしょう。なぜならば、住宅ローンにおいては自宅に担保(抵当権)が設定されていることが一般的であるため、債務者が破産する場合には、任意売却や担保不動産競売などの方法によって売却処分されてしまうためです。
上記のとおり、破産する場合には、所有している自宅を残すことが難しくなってしまいますが、状況によっては、例外的に、適切な方法で自宅を残すことが可能な場合があります。今住んでいる自宅を残すことができるかどうかを悩んでいる方は、弁護士に相談することで自宅を残したまま破産をすることが可能な場合があります。
破産が家族・友人に与える影響
破産をした場合でも、直ちにご家族やご友人に何らかの影響を与えるわけではありません。
しかし、ご家族やご友人が会社や個人の保証人になっている場合は、そのご家族・ご友人に請求がされる可能性があります。
また、ご家族・ご友人からの借入があったとしても、破産をした場合には、その他の債権に優先して返済することはできません。この場合、ご家族・ご友人も「債権者」となるため、破産手続においては、裁判所等からの通知が届く対象になります。
ご家族・ご友人へ与える影響が気になる方は、我々弁護士法人ブライトにご相談ください。最も影響が少なくなる方法をお伝えします。
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会社破産のメリットとデメリット
メリット
会社を破産させることのメリットは何でしょうか?
それは、会社が抱える債務(代表者もあわせて破産する場合には、代表者の債務も含みます)を清算し(個人である債務者は「免責」を得ることで)、経済的な「リスタート」を図ることができることにあります。
多額の負債を抱えたままでは、身動きを取ることができなくなり、新たな経済活動を行いにくくなることはもちろん、従業員や取引先に悪影響を及ぼしかねません。また、個人においては、多額の負債によって、日々の生活さえままならなくなってしまう可能性もあります。
破産制度は、こうした経済的に不安定な状況に陥った人を救済して経済的な更生を図るための、いわば「セーフティーネット」の役割を担っており、ひいては、社会経済全体にとっても必要不可欠な存在であるということができます。
デメリット
破産手続は、いわゆる「清算型手続」であるため、会社の事業は継続されず、破産手続開始決定時点に存在する会社の財産を全て処分し、債権者への分配を図っていくことになります。これに伴い、会社を構成していたあらゆる人的・物的資源は解体していく必要があります。会社がそれまでに築き上げてきたブランド力・信用力も、破産によって失われることになります。
また、破産手続の終了に伴い、会社の法人格は消滅することになります。
このように、破産手続は、その性質上、既存の事業体を取り崩していくことになるため、こうした点をデメリットと捉える見方もあるかと思われます。くわえて、破産手続は、最短でも3~4か月程度、長くなれば1年以上の期間継続することから、相当程度の時間を要する点もデメリットと捉えられるかもしれません。
くわえて、会社代表者など個人があわせて破産をする場合には、
職業制限
居住制限
郵便物の管理制限
を受けることになります。以下のとおり、こうした各種制限をデメリットと捉える見方もあるかと思われます。
職業制限について
破産をすると、その手続中、一定の職業制限を受けます。たとえば、
- 警備員
- 宅建士
- 建設業者
- 旅行業者
などです。(※主に個人情報や機密情報を扱う職業に対して制限されます。)
免責許可決定が確定した場合など「復権」した場合には、この職業制限は解除されますが、少なくとも一定期間は対象職業に就くことができなくなるといったデメリットがあり得ます。
居住制限について
破産をすると、裁判所からの許可を受けなければ、転居や宿泊を伴う出張・旅行へ自由に行くことができなくなるというデメリットがあり得ます。
郵便物の管理制限について
破産をすると、会社や個人の住所に届く郵便物が全て、一旦、破産管財人へ転送されるという処理がなされるのが一般的です。破産管財人は、管財業務を遂行するため、破産者のもとへ届く郵便物の 内容を確認することができる権限を与えられるためです。これにより、郵便物が第三者(破産管財人)に確認され、また、自身の手元に届くのに通常よりも時間がかかってしまう、というデメリットがあり得ます。
その他にも、個人が破産をする場合には、信用情報機関に事故情報が登録され、新たな借入等が難しくなる、といったデメリットがあります。
会社破産の流れ
申立て準備~破産申立て
法人の状況(事業継続の有無、従業員の有無、取引先の顔ぶれ、支払停止の有無、資金繰り状況等)を総合的に勘案し、方針を決定し、破産申立てまでのスケジュールを逆算しながら準備を進めていきます。
準備に際しては、負債状況の確認のほか、債務者の資産状況の確認、必要資料の収集・作成、申立書類一式の調整、従業員や各債権者への対応等、様々なタスクを処理していく必要があるため、通常、申立てまで3か月程度の準備期間を要します(※もっとも、個別具体的な状況によってこの期間は前後することがあります。)。
破産手続開始決定・破産管財人の選任
裁判所が破産申立てに理由があると認める場合(当該債務者につき破産を開始する要件が認められると判断する場合)、破産手続開始決定が出されます。この際、決定と同時に、裁判所から破産管財人が選任されます。破産申立てから破産手続開始決定までは、通常、概ね2週間程度の期間を要します。
破産財団の管理処分
裁判所から選任された破産管財人は、債権者への分配の引当てとなる「破産財団」を管理処分します。具体的には、明渡しが未了となっている賃貸物件の返還処理を行ったり、会社の売掛金を回収したりするほか、会社の資産をさらに調査し、売却換価等を行うことが挙げられます。 このように、破産管財人は、債権者のために分配原資を確保すべく、破産財団を管理処分することを主たる業務として、裁判所から選任されているのです。
債権調査
裁判所は、届出のあった破産債権等について調査を行うための期間又は期日を定めることとされており、破産管財人の協力のもと、債権者の主張する債権の有無・範囲を調査することになっています。
もっとも、債権者への配当手続が実施できるほどに破産財団を形成することが見込まれない場合には、この債権調査自体が行われないまま、破産手続が終了する場合も多くあります。
債権者集会
破産管財人の業務内容に関する報告や債権の調査などが行われます。概ね3~4か月に1回のタイミングで、裁判所において行われます。ここには、破産者(破産者が会社である場合にはその(元)代表者)も出頭するのが原則です。
配当
破産財団が相当程度形成され、破産債権に優先する債権への弁済が完了してなお、破産債権者への弁済に充てる財団が残存する場合には、配当手続が行われます。
もっとも、配当手続を実施できる、破産財団が形成されない場合には配当手続は行われず、破産手続は廃止により終了となります。
破産手続の終了・免責手続(個人)
配当手続が完了すれば、破産手続は終結となります。また、配当手続に至らないまま、破産手続が途中で終了する場合も多くあります(これを「廃止」といいます。)。破産手続が終結又は廃止のいずれかによって終了した場合、個人の破産者については、通常、免責手続へ移行します。免責とは、破産者がその債務の支払義務を免れることを指し、裁判所がその許可を出すか否かを審査するのが「免責手続」です。裁判所は、通常、破産管財人からあらかじめ免責許可の当否についての意見を述べさせ、また、債権者からも免責意見を募った上で、免責許可の判断を行います。
会社の破産にかかる費用
裁判所に納める費用
自己破産を申立てる場合(大阪地方裁判所への申立ての場合)
- 同時廃止手続を用いる場合:官報公告費用、予納郵券、印紙代(申立手数料)
- 管財手続を用いる場合:個人法人ともに最低予納金20万円、官報公告費用、予納郵券、印紙代(申立手数料)
弁護士に依頼した場合の費用
初回相談は無料です。
ZOOM(Web会議システム)等を利用した「オンライン相談」も可能です。倒産処理に関しては、私的整理も含めて様々な選択肢があり得るので、まずは我々弁護士法人ブライトにご相談ください。
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会社の倒産にかかる期間
倒産(破産)のご相談を受けてから解決までの期間
法人破産の場合、特に事業を継続している会社においては、申立てまでの期間は、会社のキャッシュフローとのにらみ合いになるので、一概には言えません。
もっとも、通常であれば、相談~申立てまで準備期間を含めて2~3か月程度、必要となります。また、申立てから事件終了に至るまでの期間も、結局は、管財業務がどの程度見込まれるかによるので、ケースバイケースとなります。早いものであれば、申立てから3か月程度経って開かれる1回目の債権者集会期日で異時廃止として破産手続が終了することもあり得ます。
つまり、最短で申立てから3か月程度、長いものでは1年以上かかることになります。
破産以外の会社倒産方法
民事再生
いわゆる再建型手続です。破産と異なり、一定時点における会社の財産からの清算を目指すものではなく、策定した再生計画のもとで、債務の圧縮を図りつつ、債務者の経済的債権を目指していく手続です。
特別清算
いわゆる清算型手続です。破産と同様、会社の財産を清算し法人を消滅させる手続となりますが、破産と異なり、それほど厳格ではなく、迅速に行えるというメリットがあります。ただし、利用できる会社(株式会社である、既に解散している)が限られています。
会社更生
いわゆる再建型手続です。破産と異なり、経営困難である会社について、会社更生法に基づき、裁判所が更生管財人を選任し、会社更生計画を立て、事業の更生を目指す手続きです。
会社の倒産を弁護士に任せるメリット
会社倒産手続は、迅速な対応が求められます。
当事務所では、倒産事件を専門に取り扱う「倒産事件専門部」があり、裁判所に選任されて「破産管財人」として管財業務を多数行っている弁護士も所属しています。
このような経験を活かして、豊富な実務経験に裏打ちされた、迅速かつ適切なサポートが可能です。
最大限のサポートをしますので、ご安心ください。一人で悩まず、まずは、我々弁護士法人ブライトにご相談ください。
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