監修:和氣 良浩(わけ よしひろ)弁護士法人ブライト|代表弁護士|大阪弁護士会大阪で20年以上、中小企業の企業法務・顧問弁護士サービスを提供。顧問先130社以上に透明性の高いリーガルサポートを実践している。 この記事は、利益相反リスクの管理に悩む経営者・法務担当者・取締役向けに、利益相反の定義・法的根拠・承認手続き・弁護士相談のタイミングを解説するものです。 【3行でわかる利益相反】 ① 定義:取締役が会社の利益を犠牲にして自己または第三者の利益を図る行為(会社法356条) ② リスク:無承認なら取締役に損害賠償・解任リスク。直接取引は無過失責任(会社法428条1項) ③ 対策:取締役会の事前承認 + 議事録の整備 + 顧問弁護士による平時チェック この記事でわかること 利益相反取引の3類型(直接取引・間接取引・競業取引)の違いと具体例 取締役会の事前承認手続き5ステップ(議事録記載例付き) 無承認で行った場合の法的リスク(損害賠償・無過失責任・株主代表訴訟・多重代表訴訟) 弁護士の利益相反(弁護士法25条)との違い 追及する側・ディフェンスする側それぞれの初動対応 大阪の中小企業で実際に問題になるケース事例 「役員が自分の関連会社と自社を取引させているかもしれない」「取締役が競合他社の役員を兼任しているようだ」——そんな疑問を抱える経営者・株主は少なくありません。こうした行為は会社法上の利益相反取引に該当する可能性があり、放置すると会社に深刻な損害が生じるリスクがあります。 弁護士法人ブライト(大阪・顧問先130社以上・弁護士歴平均14年以上)は、中小企業から利益相反取引に関する相談を多く受けてきました。本記事では、会社法356条が定める利益相反の基本から、取締役会承認の実務手順、違反した場合のリスク、そして弁護士に相談すべきタイミングまで、実務に即して体系的に解説します。 利益相反取引でお困りの中小企業オーナーへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る無料で相談する 利益相反とは何か?会社法356条をわかりやすく解説 利益相反の基本的な定義 利益相反とは、ある法律行為において一方の利益が他方の損失につながる、相反する利害関係が生じる状況を指します。会社法の文脈では、主に取締役と会社の間で利害が対立する取引を意味します。取締役が会社の利益よりも自分自身の利益を優先するリスクがある行為として、会社法は厳しく規制しています。 会社法356条1項は、取締役が行う際に事前承認が必要な利益相反取引として、次の3類型を定めています。 類型 根拠条文 典型例 競業取引 356条1項1号 取締役が同業他社の役員を兼任し、発注を誘導する 直接取引 356条1項2号 取締役個人が所有する土地を会社に高値で売却する 間接取引 356条1項3号 会社が取締役の個人債務を保証する。関連会社を経由した資金流出 直接取引と間接取引の違い 直接取引の典型例は、取締役が個人として会社に土地を売却するケースです。取引の当事者として取締役が直接登場します。 間接取引はやや複雑です。取引の名義上の相手方は第三者ながら、実質的に取締役が利益を得る構造になっている取引を指します。大阪の中小企業から多く寄せられる相談では、「取締役が支配する資産管理会社を仲介させて、会社資金を間接的に取締役個人の利益に転換する」手法が問題になるケースが目立ちます。こうした間接取引型は表面上は合法に見えるため、気づくのが遅れがちです。 会社法356条の条文内容と承認機関 条文を平易にまとめると、「取締役は上記3類型の取引を行おうとするときは、取締役会(または株主総会)において重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない」と規定されています(会社法356条1項・365条1項)。 重要な実務ポイントは、取締役会設置会社か非設置会社かで承認機関が変わる点です。 会社の区分 承認機関 事後報告義務 取締役会設置会社 取締役会 取引後、遅滞なく取締役会に重要事実を報告(会社法365条2項) 取締役会非設置会社(中小企業の多数) 株主総会 事後報告義務なし(ただし議事録は必須) 取締役会の承認手続きが不安な経営者へ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る無料で相談する 利益相反取引に必要な承認手続き|議事録記載例付き5ステップ 取締役会での事前承認5ステップ 利益相反取引を適法に行うには、取引実行前に取締役会(または株主総会)の承認を得ることが大原則です(会社法356条1項・365条1項)。中小企業の実務で押さえるべき承認手続きを5ステップに整理します。 STEP1:取引の利益相反該当性を判定|直接取引・間接取引・競業取引のいずれに該当するか確認する STEP2:重要事実の整理と文書化|取引条件・相場比較・自己と相手方の関係を書面で整理する STEP3:取締役会または株主総会の招集|取締役会設置会社なら取締役会、非設置会社なら株主総会を招集する STEP4:重要事実を開示して決議|当該取締役は特別利害関係人として議決権を行使できない(会社法369条2項) STEP5:議事録作成と(設置会社の場合)事後報告|取締役会設置会社では取引後遅滞なく重要事実を取締役会に報告(会社法365条2項) 取締役会議事録の記載例 承認を受けた事実を後で証明するには、議事録への記載が不可欠です。以下は記載例の参考です(取引内容・金額は各社の実情に応じて具体的に記載してください)。 【議事録記載例(抜粋)】 第○号議案 利益相反取引の承認に関する件 議長より、取締役○○○○が自己の所有する不動産(所在:○○市○○町○丁目○番地)を会社へ売却することを検討しており、当該取引が会社法356条1項2号に定める利益相反取引に該当する旨の説明があった。 開示された重要事実:①取引物件の所在および評価額(独立した不動産鑑定士の鑑定評価額:○○○万円)、②売却予定価格(○○○万円)、③取締役○○○○と取引物件の関係(同取締役が単独所有)。 なお、取締役○○○○は特別利害関係人として本議案の審議・決議に加わらなかった。 採決の結果、取締役○名中○名(特別利害関係人を除く)全員一致で承認可決した。 この記載例のポイントは3点です。①利益相反の類型(直接取引・間接取引・競業取引)を明記する、②開示した重要事実の内容を具体的に記載する、③特別利害関係人が議決に加わっていないことを明記する。これらが欠けると、後から「有効な承認ではなかった」と争われるリスクがあります。 取締役会非設置会社(中小企業の多数)の場合 中小企業の多くは取締役会を設置していない株式会社です。この場合の承認機関は株主総会であり(会社法356条1項)、普通決議(過半数の賛成)で足ります。注意点として、株主=経営者本人であっても適切な株主総会議事録を作成・保存することが必須です。書面がないと「承認を得ていた」と主張しても証明できません。 開示が不十分な場合のリスク 承認を得ていても、開示した重要事実が不十分であれば「有効な承認ではなかった」と後から判断されるリスクがあります。大阪の中小企業から多く寄せられる相談では、「承認を取ったつもりが、開示内容が不十分だったとして有効性を争われる」ケースがあります。 承認時に開示すべき最低限の事項は次の3点です。 取引の相手方・内容・数量・価格などの具体的条件 取引が会社に与える影響(財務上の負担・相場との比較等) 当該取締役と相手方との関係(株式保有割合・役員兼任の有無・親族関係等) 承認なしに利益相反取引を行った場合の法的リスク 損害賠償責任(会社法423条)と任務懈怠の推定 取締役が事前承認を得ずに利益相反取引を行い、会社に損害を与えた場合、損害賠償責任を負います(会社法423条1項)。さらに重要なのが同条3項の規定です。 会社法423条3項(任務懈怠の推定) 利益相反取引によって会社に損害が生じたときは、当該取引を行った取締役の任務懈怠が推定される 承認決議に賛成した取締役も同様に任務懈怠が推定される 取締役は「損害との因果関係がない」ことを自ら立証しなければ免責されない(立証責任の転換) 直接取引は無過失責任(会社法428条1項) 自己のために直接取引を行った取締役については、さらに厳しい規定があります。会社法428条1項は無過失責任を定めており、「自己の責めに帰すべき事由がない(無過失だった)」と立証できない限り責任を免れません。通常の過失責任とは異なり、「注意していた」という抗弁が通じない点が取締役にとって極めて厳しい規定です。 解任事由に該当する可能性 利益相反取引は取締役の善管注意義務・忠実義務違反(会社法330条・355条)に当たります。重大な義務違反は解任の正当理由となり(会社法339条1項)、正当理由がある解任の場合、取締役側は損害賠償請求ができません(同条2項の反対解釈)。立場の保護も失われます。 株主代表訴訟(会社法847条)のリスク 会社自身が責任追及を怠る場合、株主が会社に代わって取締役の責任を追及する株主代表訴訟(会社法847条)を提起できます。手数料が160万円の定額で低く抑えられているため、少数株主でも活用しやすい制度です。中小企業でも少数株主が存在するケースでは、経営陣への不信感が高まった場合に活用されることがあります。 多重代表訴訟(会社法847条の3)——子会社がある場合の注意点 特に注意が必要なのが、親会社・子会社構造を持つ中小企業です。会社法847条の3は多重代表訴訟を規定しており、親会社の株主が一定要件を満たす場合、子会社の取締役の責任を直接追及できます。 大阪の中小企業から多く寄せられる相談では、「社長が支配する資産管理会社へ子会社から資金を貸し付けさせる」スキームが問題になるケースがあります。このような場合、当該取引が子会社取締役(=社長本人)の自己取引(会社法356条1項2号)に該当するとして、親会社の株主が多重代表訴訟を提起できる可能性があります。子会社・グループ会社を持つ経営者は特に注意が必要です。 利益相反取引に関する主要条文 会社法356条1項:利益相反取引の3類型(競業取引・直接取引・間接取引)の規制と取締役会承認義務 会社法365条2項:取締役会設置会社での事後報告義務 会社法369条2項:特別利害関係人の議決権行使制限 会社法423条1項・3項:損害賠償責任と任務懈怠の推定 会社法428条1項:直接取引を行った取締役の無過失責任 会社法847条:株主代表訴訟 会社法847条の3:多重代表訴訟(親会社株主が子会社取締役を訴える) 「承認なしの取引が見つかった」「責任追及されている」場合の初動相談弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る無料で相談する 大阪の中小企業で実際によくある利益相反の事例 ケース1:IT系企業での役員兼任と発注先操作(競業取引型) あるIT系中小企業では、取締役の一人が同業他社の役員にも就任していたことが発覚しました。問題の本質は、その取締役が自社の発注案件を当該他社に誘導し、実質的に個人的な利益を得ていた点にあります。 この行為は会社法356条1項1号の競業取引および同条2号・3号の利益相反取引の双方に該当すると判断されました。取締役会への事前開示・承認が一切なかったため、解任事由に該当するとの結論に至り、当該取締役は最終的に責任を取る形で退任しました。 ケース2:卸売業における関連会社を通じたマージン搾取(間接取引型) ある卸売業では、取締役が支配する関連会社を長期にわたって仕入れ先として使い続け、相場より高い単価での取引を継続させていました。決算書を分析すると、会社が赤字続きである一方、その関連会社がほぼ同額の黒字を計上しているという構造が明らかになりました。 本件は典型的な間接取引型の利益相反です。取締役の忠実義務違反が認められ、会社側は会計帳簿の閲覧・証拠保全を経て損害賠償請求および解任手続きを進めることとなりました。財務諸表の異常値が発見の糸口になった典型例です。 ケース3:同族会社での不動産直接取引(直接取引型) ある同族経営の中小企業では、代表取締役が個人で所有していた土地を会社に売却しました。売却価格は第三者評価額の約2倍で設定されており、会社に数千万円の損害が生じていました。 問題が表面化したのは、持株比率20%の少数株主(創業一族以外の元役員)が財務諸表の異常な固定資産増加を指摘したことがきっかけです。取締役会での事前承認を得ていなかったことが判明し、直接取引の無過失責任(会社法428条1項)が問題となりました。少数株主は株主代表訴訟を選択し、適正価格との差額分の賠償を求める和解が成立しました。 ケース4:グループ会社への資金流出(多重代表訴訟リスク型) 大阪の中小企業から多く寄せられる相談では、会社グループ内での資金の流れが問題になるケースがあります。たとえば、「子会社が取締役(社長)の資産管理会社に対して多額の資金を貸し付ける」スキームは、会社法356条1項2号の自己取引(直接取引)に該当する可能性があります。 問題の判断ポイントは、①資産管理会社が取締役の一人会社か否か(一人会社であれば自己取引に直結)、②貸付の返済可能性・利息等の取引条件が市場相場と乖離していないか、③不動産管理手数料等の名目での支払いに取引の実態があるか、の3点です。これらに問題があれば、親会社の株主が多重代表訴訟(会社法847条の3)によって取締役の責任を直接追及できます。 追及する側(会社・株主)が取るべき初動対応 1. 事実確認と証拠保全を最優先に まず、感情的に動く前に客観的な事実の把握を優先してください。以下の資料を速やかに収集・保全します。 問題の取引に関する契約書・請求書・領収書・振込明細 取締役会議事録・株主総会議事録(承認の有無の確認) 会計帳簿・決算書(利益の流出先の確認) 取締役の役員登記情報(他社役員兼任の確認) 問題の取締役と相手方(関連会社等)の株主構成・役員構成 デジタルデータは改ざん・削除されやすいため、早期にバックアップを取ることが重要です。 2. 取締役会への正式な報告・議題上程 証拠がある程度揃ったら、取締役会に正式に報告・議題上程します。問題の取締役は特別利害関係人として議決に加われないため、他の取締役・監査役を交えた場で事実確認・対応方針の決議を行います。取締役会の機能については取締役会の役割と開催手続きも参照してください。 3. 弁護士への早期相談 利益相反案件は、証拠の評価・法的構成・対応手続きが複雑に絡み合います。「まず内部で解決しよう」と時間をかけると、証拠が散逸したり、時効(会社法423条の責任は原則10年)が来る前に交渉が困難になるケースもあります。弁護士への早期相談が会社の損害を最小化するうえで最も効果的な初動です。 ディフェンスする側(取締役)が取るべき対応策 最善策:事前承認でリスクをゼロにする 利益相反取引のリスクを最小化する唯一の確実な方法は、取引実行前に取締役会(または株主総会)の承認を得ることです。承認申請の際には次の情報を開示してください。 取引相手方の詳細と自己の関係(役員兼任・持株比率・親族関係等) 取引条件(価格・数量・期間)と市場相場との比較 取引によって会社が受ける利益と負担 第三者評価・不動産鑑定書などの客観的根拠資料 「手続きを踏んだ」だけでなく、「条件面でも公正だった」という事実を証拠として残すことが重要です。 「疑い」を持たれた段階での早期弁護士相談 他の取締役や株主から利益相反の疑いを指摘された場合、早急に弁護士に相談してください。「問題ないはずだ」と自己判断で対応を誤ると、示談交渉の段階で不利な証拠が積み上がることがあります。弁護士を代理人として立て、証拠の整理と主張の構成を整えることで、①事実の法的評価・②損害額の争い・③示談交渉、の流れを進めます。 事後承認(追認)は認められない 利益相反取引を行った後に「事後的に承認を取ればよい」と考えるケースがありますが、事後承認(追認)は法律上認められていません。取引前の承認がなければ取引は無効とされる可能性があり(会社法356条1項)、事後的な決議はリスクの軽減につながりません。この点を誤解して事後処理をしようとすると、かえって状況を悪化させることがあります。 善管注意義務・忠実義務との法的関係 善管注意義務・忠実義務とは 取締役は会社と委任関係にあり(会社法330条)、民法644条の「善良な管理者の注意」をもって職務を執行しなければなりません。また法令・定款・株主総会の決議を遵守し、会社のために忠実に職務を行う義務があります(会社法355条)。利益相反取引はまさにこれに反し、取締役が会社の利益よりも自己または第三者の利益を優先する場面です。 承認を得ても「実質的公正さ」が問われる 取締役会の承認を得た利益相反取引であっても、取引条件が会社に不利であれば善管注意義務違反として損害賠償責任を問われます(会社法423条1項)。承認はあくまで「手続的適法性」の担保であり、取引の実質的な公正さは別途問われます。実務上は、取引の対価が市場価格と乖離していないか・会社に経済的合理性があるか・利害関係取締役が不当な影響を及ぼしていないか、の3点が争点になります。 経営判断の原則は利益相反に適用されにくい 通常の経営判断ミスには「経営判断の原則」として一定の免責が認められますが、利益相反状況にはこの保護が適用されにくい点に注意が必要です。利益相反状況では取締役の中立性に疑義があるため、通常より厳格な注意義務が求められます。 役員賠償責任保険(D&O保険)による備え 利益相反に関連した損害賠償請求は、役員賠償責任保険(D&O保険)でカバーできる場合があります。ただし、故意による法令違反や不正行為は免責事由となるため、取締役会の適切な承認プロセスを経ることが保険活用の前提条件です。中小企業でも年間20〜50万円程度で加入できるため、リスク管理の一手段として検討に値します。 弁護士の利益相反(弁護士法25条)との違い 「利益相反」は会社法だけの問題ではありません。「弁護士に頼もうと思ったら、利益相反を理由に断られた」という経験をした経営者の方もいるかもしれません。これは弁護士法上の利益相反規制(弁護士法25条)によるものです。 弁護士法25条の利益相反規制 弁護士は、職務の公正・誠実さを守るために、一定の場合に職務を行うことを禁じられています(弁護士法25条)。 禁止類型 内容 相手方の協議を受けた案件 相手方の協議を受け、依頼者の利益を損なう場合(同条1号) 相手方の案件 相手方から受任している事件と利益が相反する事件(同条2号) 過去の依頼者の案件 かつて依頼を受けた案件で、過去の依頼者と利害が対立する案件(同条5号) 弁護士が「過去の依頼者が相手方になる案件は受任できない」と断る理由がここにあります。会社法上の利益相反取引とは規制の目的(弁護士の職務の公正さの確保 vs 会社への忠実義務の確保)は異なりますが、「一方の利益が他方を害するリスクがある取引・職務を規制する」という構造は共通しています。 利益相反取引を弁護士に相談すべきタイミング 利益相反取引は、トラブルが顕在化してからの対応より、事前の予防と早期の相談が圧倒的に効果的です。次のいずれかに該当する場合は、早急に弁護士へ相談することをお勧めします。 会社側(追及する立場)の相談タイミング 取締役の取引行動に疑問を感じた:関連会社との不自然な取引・相場と乖離した価格・説明不足の意思決定 少数株主から指摘を受けた:株主代表訴訟・多重代表訴訟リスクが顕在化する前に内部調査と対応方針を整える 財務諸表の異常を発見した:仕入価格の異常・固定資産の不自然な増減・特定取引先への売上集中 取締役側(防衛する立場)の相談タイミング 利益相反取引を検討している段階:取締役会承認の事前設計・開示すべき情報の整理 承認手続き中:議事録の記載内容・特別利害関係人の判定・開示内容の十分性確認 疑いを指摘された:自己判断で動く前に、証拠の整理と主張の組み立てを弁護士と進める 大阪の弁護士法人ブライトでは、顧問契約「みんなの法務部」により、こうした判断が必要になる前段階から日常的に相談できる体制を整えています。顧問先130社以上の実績で、中小企業オーナーの「予防法務」を継続的に支えています。 利益相反でお悩みなら、まず大阪の弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る無料で相談する よくある質問(FAQ) 利益相反取引と競業避止義務(競業規制)は何が違いますか?競業規制(会社法356条1項1号)は、取締役が在任中に会社の事業と同種の取引を自己または第三者のために行うことを規制するものです。利益相反取引(同条2号・3号)は、会社と取締役の間で直接・間接に利益が相反する取引全般を指します。競業規制は利益相反規制の一類型ですが、競業以外の取引(例:会社への不動産売却・関連会社との取引など)は利益相反取引として処理されます。いずれも会社法356条1項に規定され、事前の承認が必要という点は共通しています。 取締役会の承認を得れば、取締役は完全に免責されますか?承認を得ていても、完全な免責にはなりません。会社法423条3項により、利益相反取引によって会社に損害が生じたときは、当該取引を行った取締役および承認決議に賛成した取締役の任務懈怠が推定されます。承認は手続き上の適法要件を満たすにすぎず、取引条件が著しく会社に不利であったり開示内容が不十分であった場合は、承認後でも善管注意義務違反として責任を問われることがあります。承認は必要条件ですが、十分条件ではありません。 取締役会を設置していない中小企業では、承認はどこで行えばよいですか?取締役会非設置会社では、株主総会の承認が必要です(会社法356条1項)。承認の決議要件は普通決議(議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の過半数が賛成)で足ります。株主=経営者本人であっても、適切な株主総会議事録を作成・保存することが不可欠です。書面がないと「承認を得ていた」と主張しても証明できなくなります。大阪の中小企業ではこの議事録管理が不十分なケースが散見されます。 子会社を持つ場合、利益相反取引で特に注意すべき点はありますか?グループ会社がある場合、多重代表訴訟(会社法847条の3)に注意が必要です。社長が支配する資産管理会社に子会社が資金を貸し付けるスキームは、子会社取締役(=社長)の自己取引に該当する可能性があります。この場合、親会社の株主が子会社取締役の責任を直接追及できます。グループ会社間の取引は、個々の取引の実態・条件の相当性・取締役会承認の有無を一層厳格に管理することが重要です。 利益相反が疑われるとき、自社で何を準備してから弁護士に相談すればよいですか?取引に関する契約書・請求書・振込明細、取締役会議事録・株主総会議事録、会計帳簿・決算書、取締役の役員登記情報など、関連資料を速やかに収集・保全することが重要です。これらの準備があると弁護士の分析が効率的に進みます。デジタルデータは改ざん・削除のリスクがあるため、早期のバックアップも併せて行ってください。特に取締役会議事録の有無が承認の法的有効性を左右するため最優先で確認してください。 弁護士が「利益相反」を理由に案件を断るのはなぜですか?弁護士法25条による職務制限のためです。弁護士は、相手方の協議を受けた案件・相手方の依頼を受けている案件・過去の依頼者と利益が相反する案件については、職務を行うことが禁じられています(弁護士法25条各号)。これは弁護士の職務の公正さを守るための規制であり、会社法の利益相反取引規制(取締役と会社の利害対立を規制)とは目的が異なりますが、「一方の利益が他方を害するリスクを防ぐ」という構造は共通しています。 利益相反の予防から有事対応まで、大阪の弁護士にご相談ください弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る無料で相談する ※本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律アドバイスではありません。具体的な問題については、弁護士にご相談ください。 関連記事 取締役会の役割と開催手続き|会社法の基本から実務まで 議決権制限株式とは?種類株式の活用と会社法の規制 弁護士法人ブライトの顧問弁護士サービス「みんなの法務部」 企業法務トップページ 監修:和氣 良浩 弁護士(大阪弁護士会) 弁護士法人ブライト代表。中小企業の企業法務・顧問契約・会社法対応を中心に取り扱う。「みんなの法務部」コンセプトを掲げ、顧問先130社以上の外部法務部として中小企業のリーガル課題を継続的にサポートしている。