障害等級に「納得いかない」と感じるとき、等級を変更することは可能なのかと気になる方もいるでしょう。認定に納得いかない場合は、不服申立てを行い、労働基準監督署など該当機関に改めて審査を依頼することが可能です。では、不服申立てはどのように行うのでしょうか。本記事では、障害等級が納得いかないときに不服申立てを行う方法や必要な準備、弊所のサポートにより不服申立てが成功した事例などをご紹介します。
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労災の障害等級に納得いかないとき
障害等級とは、事故などで傷病を負った場合に残った後遺障害(後遺症)を、一定の基準により振り分けたものです。1級~14級に区分され、1級に近いほど障害の程度が重くなります。後遺障害が認定されると、障害等級に応じて「障害(補償)等給付」「障害(補償)年金」「障害(補償)一時金」などが給付の対象となります。ただし、1~7級は毎年年金を受け取れる一方で、8~14級では一時金のみの支給となり、特に7級と8級ではその違いが顕著です。等級がひとつ異なるだけで労災保険による障害補償給付などの内容は大きく変わるため、適切な障害等級を受ける必要があります。
また、労災保険給付のみならず、労災事故の発生について事業主側に安全配慮義務違反などの責任が問える場合は、「後遺障害慰謝料」や「後遺障害逸失利益」といった損害賠償の請求が可能です。「後遺障害慰謝料」や「後遺障害逸失利益」は障害等級によって金額が異なるため、損害賠償を請求する際にも、適切な障害等級を受けることが大切といえます。
しかし、「予想していた障害等級よりも低い」「障害等級に該当せず、労災保険給付が不支給となった」など、認定に納得がいかない場合もあるでしょう。このような場合には、労働基準監督署(以下、労基署)の決定(原処分)に対して不服申立てを行うことが可能です。
労災の障害等級に対して不服申立てをする方法
不服申立ての方法には、<1.審査請求><2.再審査請求><3.原処分>の取消訴訟の3つがあります。詳しく見てみましょう。
原処分とは
行政が行った処分のこと。
本記事では、労働基準監督署長が行った労災保険給付の支給(不支給)決定のことを指す。
<1.審査請求>
審査請求とは、労災保険給付の支給(不支給)決定に不服がある場合、被災労働者などが処分を行った労基署を管轄する都道府県労働局の労働者災害補償保険審査官(以下、審査官)に対して、原処分の審査をするよう申し立てることです。
審査官に対して所定の方法(文書の提出(郵送)または口頭)ですることで、再度審査を受けることができます。都道府県労働局の審査官に限らず、審査請求人の住所を管轄する労基署長、または原処分を行った労基署長を経由して行うことも可能です。なお、申立ては、「原処分があったことを知った日の翌日から起算して3カ月以内」に行う必要があります。
<2.再審査請求>
再審査請求とは、審査請求で下された「決定」に不服がある場合、もしくは審査請求後3カ月を経過しても審査官による決定がない場合に、厚生労働大臣の所轄の下にある労働保険審査会(以下、審査会)に対して再審査を申し立てることです。
再審査請求は、審査会に文書を提出(郵送)して行います。また、被災労働者など再審査請求人の住所を管轄する労基署長や、原処分を行った労基署もしくは審査官を経由して行うことも可能です。なお、審査請求による審査官の決定に不服がある場合は、「審査官の決定書が送付された日の翌日から起算して2カ月以内」に再審査請求を行う必要があります。
<3.原処分の取消訴訟>
取消訴訟とは、国を被告として、原処分について取消の訴訟を提起することです。以下のいずれかに該当する場合、取消訴訟の提起が可能となります。
(1)審査会の裁決に不服がある場合(裁決から6カ月以内)
(2)審査官の決定に不服がある場合(決定から6カ月以内)
(3)審査請求後、3カ月を経過しても審査官の決定がない場合
(4)再審査請求後、裁決が出る前
審査官による取消の決定や、審査会による取消の裁決がなされた場合、労基署長は原処分を取り消して、新たな処分の決定を行います。また、原処分を取り消す判決がなされた場合も、労基署長は新たな処分の決定を行います。この新たな処分の決定に不服がある場合は、改めて上記の不服申立て(審査・再審査・訴訟)を行うことが可能です。
障害等級の不服申立てを行うときに必要なこととは
障害等級の不服申立てを行う際は、最初の申請とは異なる根拠や証拠を示す必要があります。新たな医師による診断書を必要とする場合は、適切な内容となるよう、自身の症状を全て伝えることが大切です。正確な評価を得るためには、必要に応じてCTやMRIなどの検査も行えるよう、医師に伝えるとよいでしょう。
ただし、原処分から審査請求は期限が2カ月であるなど、準備にかけられる時間は限られています。迅速な対応を行うためには、労災事故を専門とする弁護士などの専門家へ、早めに相談することが望ましいです。
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審査請求が成功した事例
弁護士法人ブライトで被災者の不服申立てをサポートした際、不服申立てが認められ等級が変更になった事例もあります。2つの例を詳しく見てみましょう。
(1)Aさんの場合
Aさんは労災事故による頭部の外傷により、右半身の麻痺や高次脳機能障害が後遺症として残りました。労基署では当初、障害等級を5級と認定しました。その後、Aさんは障害状態が悪化したとして障害給付変更請求を行ったところ、労基署はこれを認めませんでした。
弊所が依頼を受け、行政機関が保有している個人情報である“保有個人情報”の開示により、労基署の判断過程を確認しました。すると、高次脳機能障害による能力の喪失に過少な評価があると見受けられました。そこで、審査請求を行い、Aさんの生活状況などを意見書として提出するなどしたところ、Aさんの障害等級は2級相当との判断がなされ、これをもとに労基署の処分(決定)が取り消しされました。 |
(2)Bさんの場合
Bさんは労災事故により、脊髄および脊椎に後遺症が残りました。労基署はこの後遺障害について、障害等級を10級と認定しました。Bさんは障害等級に不服があり、弊所に依頼いただき審査請求を行いました。
弊所では審査請求において、収集した医療記録などを精査して提出することで、Bさんの後遺障害がより重い障害等級に該当することを主張しました。その結果、一定程度が認められ、障害等級を10級から9級に変更することができました。 |
なお、弊所では、使用者への損害賠償請求とあわせて不服申立てのサポートを行っているため、不服申立てのみの依頼は原則として受け付けておりません。
労災の相談は弁護士法人ブライトにお任せください
障害等級の認定に納得いかない場合、審査請求や再審査請求、原処分の取消訴訟によって不服申立てを行うことが可能です。後遺障害の等級認定が覆るケースは必ずしも多いとはいえないものの、不服申立てには期間制限の中で迅速な準備を行うため、弁護士による専門的なサポートが不可欠といえます。弁護士法人ブライトでは、会社等への損害賠償請求のご依頼をいただいている場合、不服申立てについても対応いたします。
「損害賠償を請求するにあたって障害等級に納得いかない」など、労災関連でお困りの方は弁護士法人ブライトにお任せください。弊所では、労災問題に特化した「労災事故専門チーム」を擁しています。相談料は3回まで無料(0円)、また弁護士費用については、原則として完全成功報酬制を採用しているため、着手金も無料(0円)です。
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