労災事故の基礎知識

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運送業で起こりやすい労災事故や受けられる補償を弁護士が解説!

運送業に従事している方の中には、業務中や通勤中に事故に遭ったとき、「労災保険の給付対象になるのか」「どのような補償が受けられるのか」「第三者が関係する事故の場合も労災保険の補償対象となるか」などと悩む方もいるでしょう。本記事では、労災と認められるための要件や運送業で起こりやすい労災事故とあわせて、対象となる労災保険の補償、その他請求できる補償などをご紹介します。

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運送業で起こりやすい労災事故とは?

厚生労働省では「令和4年労働災害発生状況の分析等」にて、新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛などの影響を受け、陸上貨物運送事業における宅配便の取り扱い個数は平成29年(2017年)から増加していると解説しています。宅配物の増加によって荷役作業や運送中の交通事故が増え、トラックドライバーなどといった運送業労働者の死傷病数は増加傾向にあるようです。

実際に運送業では、どのような労災事故が起きているのでしょうか。

荷役作業中の事故

<事例1>道路貨物運送業・運転者の場合

鉄製のかごに入れた機械の部品を降ろすためトラックのゲートリフターを降下させたところ、かごの中の荷が倒れ、かごを押さえていた運転手が下敷きとなった。

ほかにも、「荷台などの高い場所から誤って墜落した」「雨の日の荷役作業で足を滑らせ転落した」などの事故が考えられます。運送業では重量物の運搬や高所での作業が必要な場合もあるため、このような事故が起こりやすいといえるでしょう。厚労省の同資料によると、令和4年度の陸上貨物運送事業において、事故の型別に見た死傷者数は荷役作業中などの「墜落・転落」が最も多くなっています。

運送中の交通事故

<事例2>道路旅客運送業者・乗用自動車運転者の場合

首都高速道路で側面衝突を起こしたため車を停止させ、車外に出て発生場所を確認していたところ、後方から来た車両に接触した。

<事例3>道路貨物運送業・貨物自動運転者の場合

軽貨物車両による配送作業中、客先への納品のために路肩に停車、降車し、道路を横断したところ、対向車線から走行してきた一般車両と衝突した。

このように車外で事故に巻き込まれる場合もあれば、車同士の事故の場合もあるでしょう。そのほか、運送業で起こりやすい交通事故は、「居眠り運転をして追突した」「停車していたところに追突された」といったケースです。こちらも厚労省の同資料によると、令和4年度の陸上貨物運送事業において、事故の型別に見た死亡者数は「交通事故」が最多となっています。

過労による死傷病

<事例4>運送会社トラック運転手の場合

トラックを運転中、急に手足が動かなくなったため医療機関を受診したところ、脳内出血を発症していると診断された。被災者は、時間外労働時間が毎月のように月200時間を超えており、発症前1カ月間に月210時間を超える時間外労働を行うなど過重な業務を行っていた。

このように、長時間労働が原因となり、脳や心臓の疾患に至るケースや死亡につながるケースもあります。また、長時間座っていることや重量物を運ぶことによる腰痛・首痛のような怪我のほか、うつ病や適応障害といった精神疾患を招くこともあるでしょう。

長時間労働や過労が死傷病の原因となる場合、過重な時間外労働や残業代の未払い、パワハラなどが同時に発覚する可能性もあります。このような場合は早めの弁護士への相談が賢明でしょう。

出典:「平成29年 運輸業(貨物取扱業を含む)死亡災害事例」厚生労働省
出典:「平成30年 運輸業(貨物取扱業を含む)死亡災害事例」厚生労働省
出典:「第2章 過労死等の現状」厚生労働省

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労災保険の給付には「業務災害」または「通勤災害」の認定が必要

労災保険の給付には、労働災害(労災)であると認められる必要があります。まずは、労働災害の種類とその要件についてかんたんに解説します。労災と認められるには、怪我や病気などが「業務災害」「通勤災害」のいずれかに該当する必要があります。

業務災害

業務災害とは、業務上に労働者が被った負傷、疾病、障害または死亡のこと(労働者災害補償保険法第7条1項1号)を指します。業務災害と認められるには、労働者が事業主の支配・管理下にあったか(業務遂行性)、および業務が起因となって起きた事故であるか(業務起因性)の2点を満たす必要があります。

通勤災害

通勤災害とは、通勤によって労働者が被った負傷、疾病、障害、または死亡のことです(労働者災害補償保険法第7条1項3号)。出勤および退勤は業務との関連性があるものの、事業主の支配下にはないため、業務遂行性が認められません。しかし、業務と密接な関係を有することから、通勤災害として別途保護されています。

対象となる給付や補償を受けるための要件とは

労災と認定された場合、対象となる労災保険の給付や補償を受けるための要件をご紹介します。

<療養(補償)等給付>
業務災害、複数業務要因災害または通勤災害(以下、業務災害など)による傷病により療養するときに、必要な療養の費用が給付されます。必要な療養とは治療費や入院費、移送費といった通常療養のことで、療養を必要としなくなるまで給付の対象です。

<休業(補償)等給付>
業務災害などによる傷病の療養のため労働することができず、4日以上の休業が発生する場合に給付されます。休業4日目から休業を終えるまで支給の対象です。

<障害(補償)等給付>
業務災害などによる傷病が治ゆ(症状固定)した後に、残存している障害の程度(障害等級)に応じて、申請により支給される給付のことです。傷病等級第1級から第7級までの障害が残ったときは年金として、傷病等級第8級から第14級までの障害が残ったときは一時金として給付されます。

治ゆ(症状固定)とは

治療などの医療措置後に、傷病の症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行っても、その医療効果ができなくなった状態(その傷病の症状の回復・改善が期待できなくなった状態)のこと。

<介護(補償)等給付>
現に介護を受けており、傷害(補償)等年金または傷病(補償)等年金受給者のうち、第1級である者、または第2級の精神・神経の障害および胸腹部臓器の障害である者に、給付が行われます。

<傷病(補償)等年金>
業務災害などによる傷病が療養開始後1年6カ月を経過した日、または同日後において以下のいずれにも該当するときに給付対象となります。

(1)傷病が治ゆ(症状固定)しないこと
(2)傷病による障害の程度が傷病等級に該当すること

<遺族(補償)等給付>
業務災害などにより労働者が亡くなった場合、遺族(補償)等年金が遺族に給付されます。遺族として受給資格を得られるのは、労働者の死亡当時にその収入によって生計を維持していた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄妹姉妹となります。

<葬祭料等(葬祭給付)>
業務災害などにより労働者が亡くなった場合、遺族に限らず、葬祭を執り行った人に給付が行われます。葬祭を執り行う遺族がおらず、社葬として被災労働者の会社が葬祭を行った場合は、その会社に対して支給されます。

参考:「労災保険給付の概要」厚生労働省

労災保険給付の申請方法

自身または遺族が、該当する給付に申請することで支給が行われます。ただし、これらの申請には申請書・医師による診断書など必要な書類の提出や、申請期限が定められています。様式は、厚生労働省のホームページでダウンロードが可能です。該当する様式に記入をし、医療機関や労働基準監督署など該当する機関へ提出しましょう。

なお、交通事故の場合は重複しない補償に限り、労災保険とあわせて自賠責保険や任意保険との併用が可能です。

【関連記事】通勤中の事故は労災保険の対象?「通勤災害」の認定要件や申請フローなどを解説
【関連記事】労災手続きの流れは?必要書類から注意点まで弁護士が詳しく解説

個人事業主の場合は特別加入制度の利用を

労災保険は本来、労働者の業務・通勤による災害に対して保険給付を行う制度です。労働者を雇わずに事業を行う個人事業主(一人親方)の場合は、労災保険に加入できないため給付の対象外となります。

しかし、「特別加入制度」を利用することで、一人親方等も同様の補償を受けることが可能です。加入時には、健康診断の実施や「特別加入団体」に加入(発足)するなどといった、一定要件を満たすことが必要です。

参考:「特別加入制度のしおり(一人親方その他の自営業者)」厚生労働省

労災保険のほかに請求できる補償はある?

労災事故による怪我や病気が起きた場合、労災保険のみの補償では被ったすべての損害を補填できない場合も多いのが実情です。そのような場合、「第三者からの補償」または「事業主からの補償」として、損害賠償の請求を検討しましょう。

損害賠償金(示談金)として、以下のような種類の請求が可能です。

財産的損害とは

労災事故によって財産的に被った損害に対する金銭的な賠償のこと。
さらに、「積極損害」と「消極損害」の2種に分けられる。

積極損害:事故が無ければ発生しなかったであろう費用に対する賠償請求
消極損害:事故が無ければ被災労働者が将来得られていたはずの収入や利益の損失のこと

精神的損害とは

労災事故による精神的な苦痛に対する金銭的な賠償のこと。
慰謝料とも呼ばれる。
労災の場合は、入通院・後遺障害・死亡についての慰謝料請求が可能。

「第三者の故意や過失によって交通事故が起きた」「他人からの暴行を受けた」「他人が飼育・管理する動物によって負傷した」といった場合には、第三者への賠償請求が可能です。

また、会社に安全配慮義務違反がある場合は、事業主への賠償請求ができます。会社には、労働者の生命や健康を危険から守るために配慮する「安全配慮義務」があるためです。

弊所で事業主への責任追及が成功した事例

では、弊所で事業主への責任追及が成功した例を2つ紹介します。

<事例1>Aさんの場合

Aさんは、フォークリフトを運転し荷物の運搬等を行う作業に従事中、同僚が運転するフォークリフトが急旋回を行っていたところ、同フォークリフト上の積荷と身体が接触するという労働災害に遭いました。

当該労災事故により、Aさんは腰椎を骨折するなどの傷害を負いました。弊所が代理人となり、当該業務を行わせていた会社に対して、損害賠償請求を行いました。

会社との交渉に際しては、作業計画が策定されておらず、作業指揮者も配置されていなかったことなどの会社の義務違反を根拠に損害賠償の請求を実施。また、過去の裁判例等に基づき過失割合に関する主張を行うなどし、当初の相手方の提示額を大幅に上回る金額での和解ができました。

<事例2>Bさんの場合

Bさんは、事業所内の清掃作業に従事中、同僚が運転するフォークリフトが運んでいた荷物が落下し、身体に接触するという労災事故に遭いました。

当該労災事故により、Bさんは左足を骨折するなどの傷害を負いました。弊所が代理人となり、当該業務を行わせていた会社に対して、損害賠償請求を行いました。

当事例においては、会社が実際の状況と異なる事故状況を労働基準監督署に報告しているなどの問題点がありましたが、フォークリフトの運転者に必要な運転資格を取得させず作業に従事させたこと、作業計画が策定されておらず、作業指揮者も配置されていなかったこと等の会社の義務違反を根拠に損害賠償の請求を行い、交渉の結果、当方の請求金額を支払うとの内容で和解ができました。

運送業の労災でお困りの方は、弁護士法人ブライトにご相談を

運送業では、荷役作業中の事故や運送中の交通事故、過労による死傷病といった労災が起こりやすいといわれています。労災保険が適用となった場合、療養(補償)等給付や休業(補償)等給付など、該当する給付への申請が可能です。また、第三者の過失や企業に安全配慮義務違反などがある場合、労災保険のほかに、損害賠償が請求できます。

しかし、自身で申請期限までに必要書類を集めることや、責任の所在を判断することは困難といえます。早めに弁護士へ相談することで、各種労災申請手続きのサポートを受けられるのみならず、障害等級が適切かや会社に責任の追及ができるかといった判断のサポートなど、包括的かつ最善の措置が望めるでしょう。

弁護士法人ブライトでは、労災問題に特化した「労災事故専門チーム」を擁しています。相談料は3回まで無料(0円)、また、弁護士費用についても、原則として完全成功報酬制を採用しているため、着手金は一切いただいておりません

お問い合わせはお電話またはメール、LINEにて受け付けています。対面やお電話以外にも、ZoomなどWeb会議システムを利用したご相談にも対応していますので、お気軽にお問い合わせください。

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有本 喜英

弁護士法人ブライト労災部所属弁護士:クライアントの話をしっかりと聞くことで、常に「ニーズ」を把握することが第一と考えています。クライアントの「ニーズ」や思いを前提とした最善の解決を目指すことを心掛けています。

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