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一人親方は労災対象外?高所事故の責任

この記事でわかること

  • 一人親方と言われても労災対象になる可能性
  • 建設現場事故で会社責任が認められるケース
  • 事故後に弁護士へ相談する意味

この記事のポイント

  • 一人親方でも労災対象になるケースはある
  • 安全帯や足場がない場合、会社責任が問題になる
  • 事故後の交渉は弁護士に任せることで負担が軽減できる

建設現場で事故に遭い、「一人親方だから労災は使えない」と会社から言われた――。
もしこのような説明を受けた場合、それをそのまま信じてしまう人も少なくありません。

しかし実際には、働き方の実態によっては労災保険の対象になる可能性があります。また、高所作業など危険性の高い業務で安全対策が不十分だった場合、会社の責任が問われるケースもあります。

この記事では、建設現場での高所転落事故をもとに、労災と会社責任の考え方を整理します。事故後の対応で悩んでいる方にとって、判断のヒントとなる内容を解説します。

高所作業で起きた重大事故の実態

建設現場では高所作業が日常的に行われています。しかし、安全対策が不十分な状態で作業が行われれば、命に関わる事故につながることもあります。

ある工事現場で、アルバイトとして現場に入っていた40代の男性作業員が、8メートルの梯子の上で安全帯なしで作業中、バランスを崩して転落する事故が起きました。

被災者は事前に「安全帯なしでは危険ではないか」と社長または会社側へ伝えたといいます。しかし、作業の遅れを理由に対策無しで続行されました。その結果、作業中に体勢を崩して転落し、救急搬送される事故となりました。事故によって被災者は。肋骨および腰椎の骨折など、命に関わる重い怪我を負い、複数回の手術と長期の入院が必要な状態となりました。事故の記憶も曖昧で、当時の状況を本人が詳しく説明できないほどの重傷でした。

建設事故ではこのように、ほんの一瞬の判断が重大な結果につながることがあります。だからこそ、本来は徹底した安全管理が求められるのです。とはいえ、アルバイトとして現場に入っていた作業員が安全対策の不備を指摘しても、その場で作業を断るのは簡単ではありません。事故の多くは、こうした現場の力関係の中で起きています。

社長自らが危険な作業を指示していた

今回の事故で問題となったのは、作業環境の危険性でした。作業は高所で行われていたにもかかわらず、安全帯は用意されていませんでした。また足場も設置されておらず、梯子のみで作業を行う状況でした。被災者は不安定な姿勢で作業を行う必要がありました。このような作業は、通常であれば足場を設置するか、安全帯などの安全設備を整えたうえで実施されるべきものです。

しかし現場では、工事の進行を優先して作業が進められていました。さらに被災者が危険性を伝えた際にも、現場の判断として作業が続けられたといいます。こうした事情がある場合、会社側の安全管理体制が問われることになります。会社には従業員が安全に働ける環境を整える義務があります。これを法律では「安全配慮義務」と呼びます。

高所作業で安全設備が十分に整えられていなかった場合、この義務が守られていたのかが重要な争点になります。事故の責任は単に「作業員の不注意」で片付けられるものではありません。作業環境や作業指示の内容が、事故の原因となっていないかを検証する必要があります。

事故後に会社が主張した「一人親方だから労災対象外」

事故後、補償を巡り家族が会社へ連絡を取りました。しかし会社から返ってきた説明は、「一人親方だから労災は使えない」という内容でした。

建設業では、一人親方という働き方が広く存在しています。そのため事故後に「労災は使えない」と説明されるケースもあります。しかし、こうした説明が必ずしも法律上正しいとは限りません。実際には、契約の名称ではなく働き方の実態によって労災の対象かどうかが判断されます。

例えば、次のような状況です。

  • 会社の現場で作業をしている
  • 作業内容を会社から指示されている
  • 報酬が日当で支払われている
  • 作業場所や時間が指定されている

こうした事情がある場合、形式上は一人親方でも実質的には「労働者」と評価される可能性があります。今回の被災者も、会社の指示に従って作業を行っていました。つまり、独立した事業者として自由に仕事をしていたわけではありませんでした。

とはいえ、事故後の混乱の中で法律関係を冷静に判断することは難しいものです。会社から説明を受けると、そのまま受け入れてしまう人も少なくありません。そんなあなたに知ってほしいのは、会社の説明だけで補償の可否が決まるわけではないということです。

会社の安全配慮義務違反を追及する

労災とは別に、会社の責任を追及することも検討できます。会社には従業員が安全に働ける環境を整える「安全配慮義務」があります。

今回の事故では、

  • 高所作業である
  • 安全帯がない
  • 足場が設置されていない
  • 危険性を伝えても作業が続けられた

という事情がありました。

このような状況で事故が起きた場合、会社の安全管理体制が問われることになります。会社の責任が認められた場合には、労災補償とは別に損害賠償請求が問題になる可能性もあります。労災事故では、労災だけでなく会社の過失責任も含めて検討することが重要です。

家族が背負う事故後の重い負担

入院がともなう労災事故の場合、会社とのやり取りは家族が担うことになります。今回のケースでも、被災者ご本人は治療中で事故の記憶も曖昧な状態でした。そのため会社との連絡や補償の確認は家族が行うことになりました。

しかし家族にとって、それは簡単なことではありません。病院での付き添いや手術の立ち会いをしながら、会社と事故の責任や補償について話し合う必要があります。さらに収入が止まる不安もあり、精神的な負担は非常に大きくなります。

家族が会社へ連絡しても、事故について十分な説明や謝罪がない場合もあります。補償手続きが進んでいるのかも分からず、不安が積み重なっていくことも少なくありません。こうした状況では、事故の責任や補償について家族だけで整理することは困難です。

労災事故は法律問題でもあります。だからこそ、第三者の専門家が入ることで状況が整理されるケースが多くあります。

弁護士が介入することで状況が変わる理由

事故後の交渉は、被災者本人や家族だけで行う必要はありません。弁護士が介入することで、事故状況の整理や会社との交渉を代理することができます。

弁護士は事故状況を調査し、以下のポイントを法律の観点から検討します。

  • 労働者性の有無
  • 労災の適用可能性
  • 会社の安全配慮義務違反
  • 損害賠償請求の可能性

これにより、会社との交渉も客観的に進めることができます。事故後のトラブルでは、感情的な対立が生まれることも少なくありません。専門家が間に入ることで、冷静な解決が図られるケースもあります。

まとめ

今回の内容を整理すると、重要なポイントは次の通りです。

  • 一人親方と言われても労災対象になる可能性がある
  • 高所作業では会社の安全配慮義務が重要になる
  • 事故後は家族が大きな負担を抱えることが多い
  • 弁護士が介入することでめんどうな手続や会社との交渉を任せることができる

事故後の対応は、補償や生活に大きく影響します。会社の説明だけで判断せず、事故状況を整理することが大切です。専門家へ相談することで、法的な選択肢を確認することができます。

よくある質問:Q&A

Q1. 一人親方と言われた場合、本当に労災は使えないのでしょうか?

契約の名称だけで判断されるわけではありません。会社から指示を受けて作業を行っている場合には、労働者として扱われる可能性があります。その場合、労災保険の補償を受けられる可能性があります。

Q2. 建設現場で転落事故が起きた場合、会社の責任は問えるのでしょうか?

高所作業にもかかわらず安全帯や足場などの安全設備が整えられていなかった場合、会社の安全配慮義務違反が問題になることがあります。事故の状況を整理することで責任の有無を検討できます。

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  • この記事を書いた人

笹野 皓平

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  • 弁護士 有本 喜英

    弁護士 有本 喜英

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事務所名 弁護士法人 ブライト(大阪弁護士会所属)
開 業 平成21年(代表弁護士独立開業)
設 立 平成24年11月設立、平成27年1月に法人化
所在地 〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎2丁目6番6号 コウヅキキャピタルウエスト12階
TEL 0120-931-501(受付時間9:00~18:00)
FAX 06-6366-8771
事業内容 法人向け(法律顧問・顧問サービス、経営権紛争、M&A・事業承継、私的整理・破産・民事再生等、契約交渉・契約書作成等、売掛金等の債権保全・回収、経営相談、訴訟等の裁判手続対応、従業員等に関する対応、IT関連のご相談、不動産を巡るトラブルなど)、個人向け(交通事故・労災事故を中心とした損害賠償請求事件、債務整理・破産・再生等、相続、離婚・財産分与等、財産管理等に関する対応、不動産の明渡し等を巡る問題など)

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