この記事でわかること
- 自社のカルチャーに合う弁護士の見極め方
- 具体的な「テスト相談」を使ったスキルの確認方法
- コストとパフォーマンスの正しい考え方
この記事のポイント
- 「要件定義」と「ツールへの理解」が相性を決める
- 抽象的な評判よりも「具体的なケーススタディ」で判断する
- 判断だけでなく「実務(書面作成)」まで任せられるかを見る
「何かあったときに相談できる弁護士が欲しいが、誰が良いかわからない」
「紹介された先生は立派だが、チャットで気軽に相談できる雰囲気ではない」
企業の成長フェーズにおいて、こうした顧問弁護士選びの悩みは尽きません。特に、スピード感が求められるベンチャーや中小企業にとって、従来の「先生」然とした弁護士との相性は必ずしも良くない場合があります。
この記事では、実際の企業法務の現場で行われた、とある企業担当者と社外取締役(弁護士)における「顧問弁護士の見つけ方」をテーマにした打合せを踏まえ、自社に本当にフィットするパートナーを見つけるための実践的なアプローチを紹介します。漠然とした「良い弁護士」を探すのではなく、自社の課題を解決できるパートナーを見つけるためのヒントとしてご活用ください。
目次
「良い弁護士」の定義は自社の課題感で変わる
弁護士選びにおいて、万人に共通する「良い弁護士」というものは存在しません。
ある企業にとっては対面で重厚なアドバイスをくれる先生がベストかもしれませんが、スピードを重視する企業にとっては、電話や対面でしか対応できないことはマイナス評価になり得ます。
例えば、人事担当者が日常的な「ちょっとした疑問」を解消したい場合、Slackやチャットツールでクイックに回答をもらえることは、非常に重要な「良い弁護士」の条件となります。逆に、大きな訴訟案件だけを依頼したいのであれば、対面重視の先生の方が安心感があるかもしれません。
重要なのは、漠然と探すのではなく、まず自社が「どのような場面で、どのような頻度で、どのようなツールを使って」相談したいのか、という「要件定義」を行うことです。この要件が定まっていないと、どんなに優秀な弁護士を紹介されてもミスマッチが起きてしまいます。
評判や口コミよりも「ケーススタディ」が有効
弁護士を探す際、ネットの評判や口コミを参考にする方もいるかもしれません。しかし、企業法務においてネット上の評判は「あってないようなもの」であり、実態を表していないことがほとんどです。また、知人からの紹介も安心感はありますが、「みんなが良いと言っているから」という理由だけで選ぶと、費用が高額になりがちだったり、断りにくかったりするデメリットもあります。
そこで推奨したいのが、現在抱えている具体的な課題(なければ過去の事例)を「ケーススタディ」として使い、複数の弁護士にインタビューする方法です。
例えば、「能力不足の社員の等級を下げたいが、どうすれば適法に進められるか?」といった具体的な相談をぶつけてみます。これに対し、単に法律論だけで「できます/できません」と答えるのか、それとも「御社の就業規則がこうなっているなら、こういうロジックで進めましょう」と戦略的な提案をしてくれるのか。同じ事案でも、弁護士によって回答のアプローチは異なります。この反応を見ることで、自社との相性や実力が見えてきます。
私ならこうする①:「未整理の状態」から相談してみる
相談する際、論点を完璧に整理してから話そうとする担当者もいます。しかし、本当に価値のある顧問弁護士とは、こちらの頭の中が整理されていない「曖昧な状態」から相談に乗ってくれる存在です。社内の担当者だけで論点整理ができれば苦労はしません。それができないからこそ、専門家に対価を支払うのです。
面談では、あえて「ちょっとモヤモヤしているんですが…」という段階で話を振ってみてください。本当の専門家であれば、担当者の抽象的な悩みを具体的な論点に落とし込んでアドバイスしてくれるはずです。その際に、「それは整理してから持ってきて」と突き放すのではなく、「それはこういう問題ですね」と論点を整理し、教えてくれるスタンスがあるかどうかが重要です。
このように、思考の交通整理をしてくれる弁護士であれば、社内メンバーの育成や法務リテラシーの向上にも寄与してくれるはずです。
私ならこうする②:「ダメ」ではなく「方法」を問う
企業活動において、やりたい施策が法的にグレーゾーンであることは珍しくありません。このとき、「リスクがあるからダメです」と止めるだけの弁護士では、ビジネスのスピードが落ちてしまいます。選ぶべきは、「リスクはあるが、こうすれば適法性が担保できる」「この手順を踏めば実現可能になる」といった代替案や改善案を提示してくれる弁護士です。
例えば、社員の待遇変更という難しい局面でも、就業規則の条文解釈や、プロセス(合意形成の段取り)を設計し、会社が取りうる選択肢を広げてくれるパートナーを探すべきです。「法律を守らせる」だけでなく、「会社の意思決定を法的にサポートして前に進める」という姿勢があるかを確認しましょう。
私ならこうする③:書面作成まで任せられるか確認する
アドバイスはもらったけれど、「合意書は御社で作ってください」と丸投げされては、現場の負担は減りません。素人が法的文書を作成しようとすると時間がかかる上に、不備が生じるリスクも高まります。
今の時代、AIなどを活用すれば、打ち合わせ内容を反映した書面のドラフトを即座に作成することも可能です。選定時のポイントとして、「面談後に合意書や契約書のドラフトまで作成してくれるか」を確認することをおすすめします。
具体的な成果物(アウトプット)まで責任を持って作成してくれる弁護士であれば、担当者は本来やるべき業務に集中でき、結果として組織全体の生産性が向上します。
コストの考え方:「時間単価」か「解決価値」か
弁護士費用については、月額顧問料やタイムチャージ(時間単価)で提示されることが一般的です。ここで「1時間○万円は高い」と単価だけで判断するのは早計です。年に1回しか相談しないのであれば単発依頼で十分ですが、頻繁に発生する「ちょっとした判断」や、将来のリスク予防のために継続的に関与してもらう価値は計り知れません。
また、月額5万円程度の顧問料であっても、それによって担当者の心理的負担が減り、本業に集中できる環境が作れるのであれば、その投資対効果は十分にあります。
「安ければいい」ではなく、自社の体制を理解し、継続的なフォローアップや提案をしてくれる「パートナーとしての価値」で見積もりを評価しましょう。
判断に迷ったら「3人」に同じ相談をしてみる
最後に、具体的なアクションプランを提案します。
候補となる弁護士を3名程度リストアップし、現在抱えている同じ課題(例えば人事トラブルなど)を相談してみてください。オンラインでの面談でも構いません。重要なのは、以下の3点を比較することです。
1.自社のツール(chatwork、Slack等)やスピード感に合わせてくれるか
2.リスクを指摘するだけでなく、具体的な解決策・進行案を提示してくれるか
3.話していて「頼りになる」「安心できる」と感じる相性があるか
この比較を行えば、自ずと「合格ライン」の弁護士が見えてくるはずです。
経営課題を背負ってくれるパートナーを選ぶ
顧問弁護士選びは、単なる外注先の選定ではありません。組織が拡大し、人が増えれば増えるほど、労務問題や契約トラブルのリスクは高まります。そんなとき、自社の歴史や就業規則の背景を知り尽くし、「それならこう戦える」「次はこう整備しよう」と一緒に戦略を練ってくれる存在は、経営の大きな武器になります。「何かあったら」ではなく、「何も起きないように、そして起きたときに強くいられるように」、平時から伴走してくれる最適なパートナーを見つけてください。
まとめ:ブライトならこう支援します
最後に、私たち弁護士法人ブライトが提供する顧問弁護士サービスをご紹介させて頂きます。
① 「要件定義」から入るマッチング支援
貴社、担当者が抱えている、真の問題は何か、どのようにアプローチすればその問題が解決するのか。企業と伴走して解決していくためには、どのようにコミュニケーションを取れば良いのかなど、ご相談を聞きながら「要件定義」をしていきます。その上で、ブライトであれば、貴社に対し、どのようなサービスを提供できるのかご説明させて頂きます。
② 就業規則・運用・合意書を「一気通貫」で整備
個別のトラブル対応だけでなく、「今回の対応が就業規則と矛盾しないか」「将来のリスクにならないか」を確認します。AIなどの最新技術も活用し、スピーディーに合意書等の書面作成まで行います。
③ 経営判断を支える「戦略パートナー」として
「法律的にNG」と言うだけでなく、「どうすれば実現できるか」を経営者・人事担当者と同じ目線で考えます。曖昧な状態からのご相談でも、論点を整理し、次の一手を共に設計します。
まとめ
- 「良い弁護士」は会社によって違う。まずは「要件定義」から
- 評判よりも「具体的なトラブル相談」で実力をテストする
- 「ダメ出し」ではなく「実現方法」を提案できる人がベスト
- 書面作成まで任せられると、現場の負担は劇的に減る
自社の課題をケーススタディとしてぶつけてみることが、最適なパートナーを見つける最短ルートです。
FAQ:よくある質問
Q1. 顧問弁護士の相場はどれくらいですか?
ブライトのクライアント企業様のうち95%は月額5万円(税別)の費用で対応させて頂いています。上場企業であったり、ご相談が多いと上位プラン月額10万円(税別)でお願いしています。業務量が増えた場合は、超過分をタイムチャージで調整する形が双方にとって納得感がありおすすめです
Q2. オンラインやチャットだけの相談でも大丈夫ですか?
問題ありません。むしろ、日常的な相談であればChatworkやSlackなどのチャットツールを活用する方がスピード感があり、記録も残るため推奨されます。対面が必要な重要な局面と使い分けるのが良いでしょう。





