情報セキュリティ研修の重要性について

情報セキュリティ研修の重要性について

現代社会は情報通信ネットワークへの依存度が高く、サイバー攻撃やその被害が増加していることから、情報セキュリティの重要性が高まっています。これは企業経営の重要課題であり、経営者がリーダーシップをとって推進すべき事項です。

情報漏えい等が生じた場合、企業は被害者への損害賠償や法令違反による行政指導・行政処分、業務停止、金銭的被害、レピュテーション低下などの大きなリスクを負います。情報を漏えいさせた従業員個人も、解雇等の懲戒処分、被害者・企業からの金銭請求、刑事罰 などの大きなリスクを負うことになります。ランサムウェア攻撃により、基幹システム等が暗号化され、システム復旧費用等に多額の支出を余儀なくされた事例も報告されています。

「人」の意識と「研修」の重要性

情報セキュリティ対策では、技術的・組織的措置も重要ですが、ヒューマンエラーによるインシデントも発生してしまうため、情報セキュリティにおいて、一番危険なのは「人」だともいえるでしょう。情報を漏えいしない・させないために最も大事なことは、経営陣・従業員の皆さんの意識の持ち方を変えることです。

個々の意識を変え、適切な情報資産の取扱いを行うためには、情報セキュリティ研修が重要です。研修では、情報セキュリティの意味や重要性、関連法令、従業員が気を付けるべきことを理解することが大切です。弁護士等の専門家が解説する研修動画なども役立ちます。

情報セキュリティに関連する法令としては、サイバーセキュリティ基本法があり、その他さまざまな法律に規定が散在していますが、特に個人情報保護法と不正競争防止法が重要になります。個人情報保護法は、個人情報の安全管理措置義務や漏えい等報告義務を定めており、不正競争防止法は、営業秘密の不正取得、使用、開示行為等を差止めや刑事罰の対象としています。営業秘密として法に基づく保護を受けるためには、秘密として管理されていること(秘密管理性)、事業活動に有用な情報であること(有用性)、公然と知られていないこと(非公知性)の3要件全てを満たすことが必要です。これらの法令遵守のためにも、研修による従業員の理解深化は非常に有効です。従業員は自社の情報管理ルールを把握し守ること、インシデント発生時に報告することが意識すべき点です。経営陣はそうした仕組みを導入し、きちんと徹底されているかをチェックすることになるでしょう。

現代社会において、情報セキュリティは単なる技術問題ではなく、企業経営における重要課題であり、従業員一人ひとりが当事者意識を持つべきです。経営者のリーダーシップのもと、従業員が重要性を理解し 適切な行動をとるためには、研修による継続的な意識向上が不可欠と言えるでしょう。弁護士法人ブライトは、顧問先クライアントに対しては、こうした研修などについても、個別にご相談を受けた上で、実施しています。

パートナー弁護士 笹野 皓平

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