景表法違反とは?景表法の規制や違反した際のペナルティ・罰則など

景表法違反とは?景表法の規制や違反した際のペナルティ・罰則など

企業が商品の販売やサービスを提供する際に、魅力的な言葉や景品などで広告をつくろうとして、景表法違反でペナルティを科せられるケースが後を絶ちません。企業の故意・過失でなくても、措置命令が行われて企業の評判が落ちたり、課徴金納付命令が下されたりすることもあるため、違反例を詳しく知りたい担当者もいるでしょう。今回は、企業が知っておくべき景表法について、法律の詳細と、違反にはどのようなペナルティが科せられるのか、景表法違反とならないように企業がすべきことなどを解説します。

景品表示法(景表法)とは

景品表示法(景表法)は、正式には「不当景品類及び不当表示防止法」という法律です。昭和37年に制定された法律で、2009年に公正取引委員会から消費者庁に移管されました。消費者がより良い商品・サービスを自主的かつ合理的に選べるように、広告に関する規制内容を明示しています。消費者保護の性質を有する法律であることから、BtoC取引を行う事業者は、規制要件を遵守した広告制作が必要です。

「景表法違反」とは。景表法の2つの規制

景品表示法では、「不当表示」と「景品類」の2種類の規制が定められています。いずれかに違反すると景品表示法違反(以下、景表法違反と表記)となるため、一般消費者に対する商品販売やサービスの提供を事業としている企業は、適切な理解が必要です。

不当表示

消費者庁は、「実際よりも著しく優良又は有利であると見せかける表示」を不当な表示として規制しています。不当表示の規制には、「優良誤認表示の禁止」「有利誤認表示の禁止」「その他 誤認されるおそれのある表示」があります。それぞれの詳細を見てみましょう。

参考:「表示規制の概要」  消費者庁

優良誤認表示の禁止

優良誤認表示とは、商品やサービスの品質・規格などが実際よりも優れているような表示をしたり、競合他社の類似商品や類似サービスよりも優良であるかのように宣伝したりすることです。景表法は、裏付けとなる合理的な根拠のない効果や性能の表示を禁止しており、次のようなものは優良誤認表示となります。

優良誤認例概要
食肉のブランド表示国産有名ブランド牛であるかのように表示して販売していたが、ブランド牛ではない国産牛肉だった。
機械の機能表示「この機能は当社だけ」という表示だったが、実際は他社でも使われている技術だった。
ペット用品の表示「No.1」との表記で、売上や顧客満足度が業界で最も高いように見せていた。実際は、客観的に調査した結果ではなく、合理的な根拠はなかった。

広告が優良誤認表示ではないかと疑われた場合、消費者庁や都道府県から、表示の裏付けとなる資料の提出を求められることがあります。資料の提出がない場合や、資料の内容が表示の合理的な根拠と認められない場合は、不当表示とみなされます。

有利誤認表示の禁止

有利誤認の禁止では、商品やサービスの価格などの取引条件について、実際のものや事実に相違して競争事業者のものより著しく有利であると一般消費者に誤認される表示を禁止しています。商品やサービスの取引について、実際よりも有利な取引条件であるかのように誤解させる表示や、消費者に「他のところで買うよりもお得だ」と思わせておいて、実際にはそうではない表示が、有利誤認に該当します。有利誤認の例には、次のようなものがあります。

有利誤認の例具体例
不当な二重価格・家電の店頭価格で、競合店の平均価格から値引きすると表示していた。その平均価格を、実際よりも高い価格に設定してから値引きを行っていた。
・眼鏡店で、フレームとレンズを合わせて「メーカー希望価格の半額」と表示して販売していた。実際は、メーカー希望価格は設定されていなかった。
商品の内容量競合他社と同程度の内容量にもかかわらず、他社の2倍量であるかのように表示していた。
代金の割引「今なら半額」「2万円引き」などの表示で販売していたが、値引き前の価格での販売の実態が乏しく、実際は常にその料金だった。

有利誤認表示は、故意ではなく過失によるものでも表示の不当性を問われるので、注意が必要です。

その他 誤認されるおそれがある表示

優良誤認と有利誤認のほかに、一般消費者に誤認されるおそれがある表示として、6つの告示が指定されています。以下の商品・サービスは、優良誤認表示・有利誤認表示とは別に、不当表示の規制を受けます。

  1. 無果汁の清涼飲料水等についての表示
  2. 商品の原産国に関する不当な表示
  3. 消費者信用の融資費用に関する不当な表示
  4. 不動産のおとり広告に関する表示
  5. おとり広告に関する表示
  6. 有料老人ホームに関する不当な表示

上記6つに自社の商品・サービスが含まれている場合は、不当な表示になっていないか、よく確認しておきましょう。

景品規制

景表法では、消費者が景品につられて、実際には質の良くない商品やサービスを購入してしまう不利益を被ることを防ぐために、景品類を規制しています。「景品類」とは、「顧客を誘引する手段として取引に付随して提供する物品や金銭など、経済上の利益」を指します。いわゆる、「おまけ」「プレゼント」「クジ」のようなものです。

商品の提供方法は、企業が単独で行う「一般懸賞」、複数の企業が共同で実施する「共同懸賞」、懸賞によらず景品を提供する「総付(そうづけ)景品」の3種類があります。それぞれに景品の「取引の価額」や「限度額」が設けられており、限度額は景品の提供方法によって異なります。

一般懸賞における景品類の限度額

懸賞による取引価額最高額総額
5,000円未満取引価額の20倍懸賞に係る売上予定総額の2%
5,000円以上10万円懸賞に係る売上予定総額の2%

共同懸賞における景品類の限度額

最高額総額
取引価額にかかわらず30万円懸賞に係る売上予定総額の3%

総付景品の限度額

取引価額景品類の最高額
1,000円未満200円
1,000円以上取引価額の10分の2

参考:消費者庁「事例でわかる景品表示法」

自社で景品を提供する企画がある場合は、提供方法が3種類のどれに該当するか、判断に迷うときがあります。たとえば、購入代金にポイントを付与して、そのポイントを金銭や同等のプレゼントに交換できる場合です。

ポイントを自社商品購入に利用するにあたり、「景品」ではなく「値引き」であると解釈できる場合には、景表法の適用外となります。消費者庁は「景品類等の指定の告示の運用基準」において、「正常な商慣習に照らして値引きと認められる経済上の利益」を定めており、これに該当する場合は景品とみなされないためです。

ただし、自社のポイントでも、値引き以外に自社または他社商品などの特典がある場合は、「景品類」として景表法が適用される可能性があります。

景品やポイントなど付加するサービスが、景表法のどの規制を受けるのか、あるいは適用外になるのかは分かりにくいことがあるため、企画の段階で弁護士に相談することをおすすめします。

参考:消費者庁「景品類等の指定の告示の運用基準について」 

景表法違反件数の推移

景表法違反は意外と多く、業種もさまざまで、企業にとって身近な問題といえます。消費者庁の統計データによると、法的措置をとられた件数はなかなか減っていないことがわかります。

景品表示法に基づく法的措置件数の推移

参考:消費者庁「景品表示法に基づく法的措置件数の推移及び措置事件の概要の公表」令和5年3月31日現在

統計として出ている数字は、措置命令や課徴金納付命令を受けたもののみです。表には出ていないだけで、景表法違反で行政から指導や注意を受けたケースはもっと多いでしょう。景表法は消費者の保護を目的としているため、業種を問わず、どの企業も景表法をしっかり理解しておくことが求められます。

景表法違反に対するペナルティ

景表法違反には、3つのペナルティがあります。違反した企業にどのようなペナルティが科せられるのかを紹介します。

措置命令

措置命令は、消費者庁や都道府県が企業に対し、違反している広告の表示や景品の提供について、停止を命じるものです。

企業名と違反内容が公表され、ニュースなどでも話題になることで、ブランドイメージが低下する恐れがあります。広告表示や商品パッケージなどの変更が必要で、広告に景表法違反があったことについて消費者への周知も必要なため、金銭的なペナルティではありませんが、経済的には大きなダメージがあります。

課徴金納付命令

課徴金納付命令は、優良誤認表示行為または有利誤認表示行為のいずれかに違反した場合に科せられるもので、景品規制の違反は対象外です。景表法に違反した広告によって企業が得た利益を、国に納付することを命ずる行政処分です。優良誤認表示の疑いがあるとされた広告について、一定の期間内に裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出がない場合には、当該表示を不当表示と推定されます。

禁止請求

3つめのペナルティとして、禁止請求があります。内閣総理大臣の認定を受けた「適格消費者団体」には、景品表示法・特定商取引法・消費者契約法・食品表示法に基づく差止請求権が認められています。企業は適格消費者団体によって、景表法の優良誤認表示・有利誤認表示について、不当な表示の差止めを請求されることがあります。

景表法違反は、企業の信用失墜だけでなく経済的な損失にもつながります。事業者は、自社の商品・サービスの広告表示について、慎重なチェックが必要です。

景表法の違反とそれに対する処分例

ここでは、景表法で違反となった事例と、それに対する処分を紹介します。

<飲料の表示が優良誤認となった事例>

果実ミックスジュースについて、容器の表記やイラストでメロンを全面に出して、あたかも原材料の大部分がメロン果汁であるかのように表示していた。

実際は、原材料の98%程度は他の果汁で、メロンの果汁は2%程度であった。この件で、飲料メーカーには課徴金納付命令が下されている。

<ゲーム内の表示が優良誤認となった事例>

スマホ用ゲームアプリにおいて、いわゆる「ガチャ」が、1回1回抽選が行われるかのように表示されていた。実際はほとんどが提供されない組み合わせだったため、ゲーム内の表示が景品表示法違反の適用となり、消費者庁より優良誤認で措置命令を受けた。

<食品の産地偽装で、優良誤認となった事例>

水産加工会社が、商品パッケージに国産ブランドのような表示を行い当該商品を販売していたが、実際には外国産で優良誤認となった。

自治体から措置命令を受けたほか、食品表示法違反と不正競争防止法違反の罪で、社長には有罪判決が下されている。

<キャンペーン表示が有利誤認となった事例>

クレジットカードのキャンペーンで、新規入会者が一定の利用期間内にカードを利用した場合に一定金額を上限にキャッシュバックするとしていた。実際はそれが適用されるには例外条件があったが、広告での表示が小さく、消費者の誤認を招く有利誤認表示にあたると判断された。消費者庁より措置命令を受けた。

景表法違反とならないようにするために企業がすべきこと

景表法に違反すると、措置命令などのペナルティだけでなく、ブランドイメージや信頼度の低下による、長期的な影響があります。景表法に違反しないために、企業ができることを紹介します。

景表法の規制内容を理解する

何よりもまず、企業に対してどのような規制が課されているか、景表法について十分な理解が必要です。不当表示の「優良誤認表示」と「有利誤認表示」は、よくある例をチェックして、同様の行為をしないように気をつけましょう。自社が、いつ・どのような場合に景表法に気をつけなければならないのか、同法の規制内容を正しく理解しておくことが、違反防止に役立ちます。

景表法への意識を高める

景表法違反の規制内容は、デジタル化によるオンラインサービスの増加やアフィリエイト広告への景表法の適用など、時代と共に判断基準が変化しています。広告担当者の知識不足によるミスであっても、景表法の規制を受けることになるので、知らずに違反しても、措置命令や課徴金納付命令などのペナルティを科されてしまいます。社内で講習会を定期開催するなど、全社的に景表法への意識を高める工夫をしたほうがいいでしょう。

弁護士のリーガルチェックを受ける

故意ではなく担当者の過失であっても、違反してしまうと措置命令や課徴金納付命令などのペナルティを科されることがあります。しかし、違反のパターンはさまざまで、過去の事例に自社が該当するのか、判断に迷うケースは多いでしょう。そのような場合は、広告や景品について、事前に弁護士のリーガルチェックを受けると安心です。

弁護士に事前相談し、景表法違反を未然に防ごう

景表法は、一般消費者に対し商品やサービスを提供するすべての企業に関わる法律で、他人事ではありません。違反に気付いても後から取り消すことはできないので、新しい広告やキャンペーンなどは、特に慎重な対応が必要です。競合他社の違反事例や法改正などもふまえて、日頃から弁護士に相談できる体制を整えておくことが望ましいといえます。

「みんなの法務部」に登録し、弁護士に気軽に相談を

景表法は、故意ではなく過失による誤った表示でも、違反した場合は措置命令の対象になるため、広告作成には細心の注意が必要です。景表法違反を予防しながら事業を運営するには、予め企業の事業内容を知っている弁護士に相談するのが最適と言えます。

「みんなの法務部」は、自社の法的な課題を気軽に弁護士に相談できる、法務業務のサポートサービスです。専門の弁護士チームが継続的なお付き合いを行うため、トラブルの発生を未然に防ぎつつ、事業展開に沿った積極的な提案も行っています。日頃より相談できる「みんなの法務部」に登録して、自社の広告表示や景品の適法性について、弁護士に相談してはいかがでしょうか。

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