時効
時効とは
時効(じこう)とは、ある一定の期間が経過することによって権利が消滅したり、違法行為に対する訴えができなくなったりする法律上の制度です。
時効の基本的な分類
時効は大きく「消滅時効」と「取得時効」に分けられます。
消滅時効は、一定期間が経過することで権利が消滅するという制度です。例えば、借金の返済義務が消滅する消滅時効が代表的です。
一方、取得時効は、所有の意思をもって物を一定期間占有した時、それを自分の所有として取得することができる制度です。
日本の民法においては、不動産の取得時効は20年、不動産の消滅時効は最長10年とされています。
時効の進行と起点
時効の進行とその起点についても知っておく必要があります。
時効は、基本的には一定の条件を満たした場合にのみ進行を始めます。例えば、債権の場合、その権利を行使することができるときから時効が進行します。この「権利を行使することができるとき」というのは、一般的には権利発生の瞬間またはそれに近い時点とされます。
ただし、時効が進行しても、権利者がそのことに気づかない場合や、他の事情で時効が中止される場合もあります。時効の中断というのは、簡単に言うと、時効の進行が一時的に停止されることを指します。具体例としては、債務者が債務を一部弁済したり、権利者が裁判所に訴えを提起したりする場合などです。
時効の中断と再開
時効中断が起こると、それまでの時効期間はリセットされ、新たに時効期間がゼロから再度計算されます。時効中断の要件としては以下が挙げられます。
例えば、借金の返済期限が過ぎてから裁判を起こされると、その裁判が終了するまでの間は時効が中断されます。そして、裁判が終了した時点から新たに時効期間が再び進行し始めます。また、債務者が債務を認めて一部弁済する行為も時効を中断させる要因の一つです。
時効の効果と影響
消滅時効が完成すると、権利や義務に大きな影響を与えます。例えば、消滅時効が完成した場合、債権者はもはやその債権を行使することができず、債務者は返済を免れます。
取得時効が完成すると、占有者がその物の所有権を取得することになり、不動産などの所有権が移転し、長期間にわたって事実上の使用を正当化することができます。