「労災保険に入っているから、会社に慰謝料は請求できない」――そう思い込んでいませんか。それは誤解です。労災保険でカバーされない慰謝料を会社へ請求すること、それが弁護士の役割です。本記事では、慰謝料の請求先・3種類の慰謝料の相場・時効・請求方法を解説するとともに、当法人が実際に解決した案件をもとに「労災保険+会社賠償の二本立て」で補償の全体像がどう変わるかを示します。
- 労災保険には慰謝料が含まれない。慰謝料は会社(事業主)に対して別途請求が必要です。
- 請求できる慰謝料は「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3種類。案件の内容によって100万円台から5,000万円台まで幅があります。
- 労災保険と損害賠償は両方請求できる。ただし重複する費目は支給調整されます。
- 慰謝料の時効は原則5年(民法第166条第1項・同法第724条の2)。時間が経つほど証拠が失われるため、早期の相談が大切です。
- 弁護士に依頼すると、過失相殺の反論・素因減額への対応・費目拘束の計算など、個人では難しい戦略を設計できます。

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労災保険から慰謝料はもらえない——慰謝料の請求先は?
労災保険とは、労働災害(労災)の被災労働者や遺族に対して必要な保険給付を行う制度です。補償項目には、治療費を補償する「療養(補償)等給付」や、休業による収入の減少を補償する「休業(補償)等給付」などさまざまあります。しかし、労災保険の補償には、精神的な苦痛に対する補償である「慰謝料」は含まれていません。
そのため、労災保険の補償のみでは実際の損失を全て補てんできず、労災事故前の生活に戻れないケースがあります。少しでも多く損害を回復するためには、安全配慮義務違反など会社に事故の責任を問える場合は、会社(事業主)に対して慰謝料の支払いを別途請求する必要があります。
多くの解説記事は「労災保険では慰謝料は出ません、会社に請求しましょう」と書いて終わります。しかし、重い後遺障害や死亡事故ほど「どう請求するか」「どの費目をどう計算するか」「過失相殺・素因減額にどう反論するか」が補償額を大きく左右します。それを設計するのが弁護士の本当の役割です。
労災事故で請求できる慰謝料は3種類
労災事故に遭ったときに請求が可能となる慰謝料は、主に「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3種類です。財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部が発行している『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(いわゆる赤い本)』を参照します。
入通院慰謝料
入通院慰謝料とは、入通院を余儀なくされたことの精神的苦痛に対する慰謝料で、傷害慰謝料とも呼ばれます。入院期間と通院期間から算定します。なお、症状や治療内容・通院頻度など個別事情を踏まえて最終的な損害額が決まります。

後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったことに対する慰謝料です。後遺障害の程度を第1級〜14級に区分した「障害等級」に応じて請求できます。等級ごとの相場は以下の通りです。

死亡慰謝料
死亡慰謝料とは、被災者が死亡したことに対する慰謝料です。被害者本人分と遺族固有の分の慰謝料が含まれた総額で、遺族の人数・家庭内の立場・扶養者の有無などによって変わります。
| 被害者の属性 | 慰謝料基準額 |
|---|---|
| 一家の大黒柱 | 2,800万円 |
| 配偶者・母親 | 2,500万円 |
| その他(独身男女・子どもなど) | 2,000〜2,500万円 |

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「労災保険+会社賠償」の二本立てで補償の全体像が変わる
「労災保険でもらえたから、これ以上はできない」という誤解は非常に多いです。しかし実際には、労災保険と会社への損害賠償は両方請求できます。ただし、重複する費目は支給調整されます。
重要な点は、労災保険がカバーしない慰謝料や、保険給付が損害の一部しか補償していない差額分は、そのまま会社に請求できるということです。例えば、休業(補償)等給付では収入の約6割しか補償されません。残り約4割分は損害賠償として請求可能です。

<労災保険給付と損害賠償項目の対比表>
| 労災保険給付 | 対応する損害賠償の損害項目 |
|---|---|
| 療養(補償)等給付 | 治療費 |
| 休業(補償)等給付 / 傷病(補償)等年金 | 休業により得られなくなった利益 |
| 障害(補償)等給付 | 身体障害により得られなくなった利益 |
| 介護(補償)等給付 | 介護費用 |
| 遺族(補償)等年金 | 死亡により得られなくなった利益 |
| 葬祭料等 | 葬祭費 |
参考:「民事損害賠償と労災保険との調整方法について」厚生労働省 大阪労働局
なお、慰謝料・義肢などの補装具費用は、労災保険との支給調整の対象外です。つまり、慰謝料は労災給付を受けていても、全額を会社に請求できます。
状況:施設内の雨で濡れた床で転倒し腱板断裂。会社の非協力で労災申請が通らず不支給。審査請求も棄却され、行政上の「敗北」が確定。
当法人の対応:「行政(労基署)の判断」と「民事(会社への損害賠償)」は独立した別の枠組み。安全管理義務違反の証拠として、当日の天候記録・事故報告書・同僚証言を整備し、内容証明から交渉を開始。
結果:示談で100万円台の解決。期間:約2ヶ月。
(依頼者・関係者が特定されないよう抽象化しています。解決額・期間は事案ごとの個別事情により異なり、同様の結果を保証するものではありません。)
この事例の詳細は 「労災不支給でも諦めなかった——審査請求棄却後に民事請求で100万円台を実現した施設従事者の実話」 をご覧ください。
状況:工場内での機械事故。依頼者には既往症があり、会社は「もとから障害があった」として素因減額を主張し、支払額を大幅に圧縮しようとした。後遺障害8級認定。
当法人の対応:既往症と今回の障害の因果関係を医学文献・診断書で精緻に分析。業務起因部分を特定し、素因減額率を大幅に抑制。費目拘束(逸失利益・慰謝料・治療費)を正確に計算。
結果:示談で600万円台の解決。(同様の結果を保証するものではありません。)
状況:建設現場で上司の指示により高所作業中に転落し踵骨を複雑骨折。後遺障害12級認定。会社は「本人の不注意で転落した」として安全配慮義務違反を否定。
当法人の対応:現場の安全管理体制(安全帯の有無・作業指示書・安全教育記録)の不備を証拠化。過失相殺率を大幅に圧縮した上で訴訟。
結果:訴訟上の和解で1,000万円台。期間:約11ヶ月。
(依頼者・関係者が特定されないよう抽象化しています。解決額・期間は事案ごとの個別事情により異なり、同様の結果を保証するものではありません。)
この事例の詳細は 「『本人の不注意』と退けられた高所転落事故——12級認定から1,000万円台へ至るまでの実話」 をご覧ください。
状況:工場機械への手の巻き込み事故。後遺障害が複数部位に残り、会社は「操作ミスが原因」として過失を争った。個別に等級が認定されていた。
当法人の対応:診断書の段階から「複数等級の併合認定」を戦略的に設計。機械のメンテナンス記録の不備を立証し、会社の安全管理義務違反を確定させて過失相殺を大幅圧縮。
結果:示談で併合9級・2,000万円台の解決。(同様の結果を保証するものではありません。)
この事例の詳細は 「『本人の操作ミス』と言われた機械事故——併合9級を設計し2,000万円台を実現した製造業従事者の実話」 をご覧ください。
状況:重層下請構造の建設現場での事故。直接の雇用主ではない元請会社に対して損害賠償を求めたが、元請は「下請の問題であり、当社に支払い義務はない」とゼロ回答。
当法人の対応:元請会社・下請会社それぞれの安全配慮義務違反を立証。費目拘束(慰謝料・逸失利益・休業損害・治療費)を正確に計算し、元請まで含めた責任追及の態勢で交渉。
結果:示談で3,000万円台(別途保険補償金)の解決。(同様の結果を保証するものではありません。)
この事例の詳細は 「元請に『払わない』と拒否された建設作業員が3,000万円台を実現するまで——重層下請と費目拘束の実話」 をご覧ください。
状況:40代のトラック運転手が業務中に高所から転落し死亡。目撃者なし。会社は「持病が原因で倒れたのだ」として損害賠償ゼロ回答。遺族は配偶者と学齢期の子ども。
当法人の対応:法医学の専門家を起用した鑑定で転落の事実を立証。「持病」による死亡という会社の主張を退けた。
結果:訴訟上の和解で3,000万円台。期間:約2年5ヶ月。
(依頼者・関係者が特定されないよう抽象化しています。解決額・期間は事案ごとの個別事情により異なり、同様の結果を保証するものではありません。)
この事例の詳細は 「『夫の死は持病のせいだ』ゼロ回答から3,000万円台へ——遺族が専門家鑑定で転落事故を立証した実話」 をご覧ください。
状況:長距離トラック運転手が急性心筋梗塞で死亡。会社は「既往症(高血圧・脂質異常症)が原因」として素因減額を主張。遺族は配偶者と複数の子ども。
当法人の対応:タコグラフ・乗務日報を精緻に分析し、月100時間超の過重労働を立証。「持病が悪化した」のではなく「過重労働が持病を悪化させた」という因果を論証。素因減額率を大幅に圧縮。
結果:示談で5,000万円台(逸失利益・死亡慰謝料・遺族分慰謝料を含む)の解決。(同様の結果を保証するものではありません。)
この事例の詳細は 「『持病のせいだ』と素因減額を主張する会社に、タコグラフで反論し5,000万円台へ——過労死遺族の記録」 をご覧ください。
上記7件の事例が示すように、当法人の慰謝料請求における向き合い方は以下の考え方に基づいています。
- 労災保険の給付は「定型の補償」にすぎない。慰謝料・逸失利益の差額・過失相殺の抑制・費目拘束の正確な計算——これらをセットで設計しない限り、依頼者は「取れたはずの補償」を取り損ねます。
- 会社の初回提示を疑い、論点の欠落を見抜き、重層下請でも責任者まで追及する。これが当法人の一貫したスタンスです。
- 「労災不支給」は終わりではない。行政判断と民事判断は独立しており、民事の別ルートで補償が得られる可能性があります。
「労災保険でカバーされない慰謝料を会社へ請求する。それが弁護士の役割です。」

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慰謝料を含む損害賠償の請求方法
労災事故の損害賠償を請求するには、会社との示談交渉か訴訟という方法があります。まずは会社との示談交渉を行い、うまくいかない場合は訴訟を検討するのが一般的です。
示談によって解決する場合には、双方が合意の上で示談書を締結します。示談書は一度締結すると原則として追加請求はできなくなるため、自己判断で署名するのは危険です。弁護士に内容を確認した上で締結することを強くお勧めします。
補償額を左右する3つの戦い方
多くの記事は「示談交渉か訴訟か」という方法論しか書きません。しかし、実際の補償額を左右するのは以下3つの論点への対処方法です。
| 論点 | 会社の典型主張 | 弁護士の対処 |
|---|---|---|
| ①過失相殺 | 「本人の不注意が原因」として過失割合を高く設定しようとする | 作業指示書・安全管理体制の不備を証拠化し、過失割合を圧縮 |
| ②素因減額 | 「もとから持病があった」として賠償額を減額しようとする | 業務起因部分を医学的に特定し、減額率を最小化 |
| ③費目拘束 | 逸失利益・慰謝料・休業損害の計算が誤っている、または低く抑えられている | 各費目を正確に計算し直し、適正な賠償額を算出 |
慰謝料請求に関するよくある質問
Q:慰謝料請求の時効はいつ?
2020年4月1日施行の改正民法により、労災事故の損害賠償請求における慰謝料請求の時効は原則5年となりました(民法第166条第1項・同法第724条の2)。2020年4月以降に労働契約の締結・労災事故があった場合の時効は5年です。
ただし、改正前に労災事故が発生した場合など改正前民法が適用されるケースもあるため、早めに弁護士に相談することを推奨します。時間が経つほど証拠(安全管理記録・作業日誌・目撃者記憶)が失われ、立証が難しくなります。
Q:慰謝料が増減する場合はある?
はい、あります。通常より精神的苦痛が大きいと判断される事情がある場合には相場より増額される可能性があります。一方、労働者の過失で事故が発生した場合や既往歴がある場合には、減額となるケースもあります。ただし、これらの減額主張に対して弁護士が適切に反論することで、減額率を大幅に圧縮できることがあります(上記の解決事例③④⑤⑦参照)。
Q:弁護士に相談するメリットは?
会社への慰謝料(損害賠償)請求は、責任の所在・範囲の判断から証拠収集、費目の計算、相手方への反論まで、専門知識が必要です。特に後遺障害が残った場合は、等級認定の戦略設計が補償額を大きく左右します。弁護士に依頼することで、会社・保険会社とのやりとりを任せながら、最善の補償設計を受けることが可能です。

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当法人の解決事例——補償額レンジマトリクス
当法人がこれまでに受任した労災慰謝料請求の案件について、事故類型・後遺障害等級・主な争点・解決額レンジを一覧します。ご自身の状況に近いケースの参考にしてください。
| 解決額レンジ | 事故類型・等級 | 主な争点 | 詳細 |
|---|---|---|---|
| 100万円台 | 施設内転倒・腱板断裂(労災不支給後の民事) | 行政と民事の独立性・安全管理義務違反 | 詳細を見る |
| 600万円台 | 機械事故・後遺障害8級・既往症 | 素因減額の最小化・費目拘束 | (詳細ページ準備中) |
| 1,000万円台 | 高所転落・踵骨骨折・後遺障害12級 | 過失相殺の圧縮・安全管理不備立証 | 詳細を見る |
| 2,000万円台 | 機械巻き込み・併合9級 | 等級の併合設計・メンテナンス記録不備 | 詳細を見る |
| 3,000万円台(①) | 重層下請建設事故・後遺障害7級 | 元請まで責任追及・費目拘束の正確計算 | 詳細を見る |
| 3,000万円台(②) | 死亡事故(転落・目撃者なし) | 専門家鑑定による転落事実の立証・ゼロ回答覆し | 詳細を見る |
| 5,000万円台 | 過労死(急性心筋梗塞) | タコグラフで過重労働立証・素因減額圧縮 | 詳細を見る |
(いずれも依頼者・関係者が特定されないよう抽象化しています。解決額・等級・期間は事案ごとの個別事情により異なり、同様の結果を保証するものではありません。)
依頼者にとって何が変わるか——Before / After
弁護士に依頼することで、依頼者の状況はどう変わるのでしょうか。当法人に相談にいらした方の実際の変化を抽象化して示します。
| Before(依頼前) | After(弁護士法人ブライトに依頼後) |
|---|---|
| 「労災保険が出たから、もう請求できることはないはずだ」と諦めていた | 労災保険でカバーされない慰謝料・逸失利益の差額・費目未計上分を会社に請求し、実際の損害に近い補償を実現 |
| 「会社から『本人の過失だ』と言われ、どう反論すればいいかわからない」 | 安全管理体制の不備・過失割合の論理的な反証で、過失相殺を大幅に圧縮 |
| 「労災不支給の通知が届いた。もうこれで終わりだ」 | 行政と民事は別の枠組み——別ルートで補償を実現した事例がある |
| 「夫の死は持病のせいだと会社に言われ、夫の名誉が傷ついたまま | 専門家鑑定で転落の事実を立証し、故人の死が業務上の事故として認められた |

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労災の慰謝料請求——弁護士法人ブライトへのご相談
労災保険でカバーされない慰謝料を会社へ請求すること、そして過失相殺・素因減額・費目拘束を正確に設計すること——これが弁護士の役割です。弁護士法人ブライトでは、弁護士歴平均14年以上の経験豊富な弁護士チームが、交渉から訴訟まで一貫して担当します。
お問い合わせはお電話(労災専用フリーダイヤル 0120-931-501)またはメール・LINEにて受け付けています。対面・お電話のほか、ZoomなどWeb会議システムでのご相談にも対応しています。
相談料は無料です(お電話での対応は平日9:00〜18:00)。

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