「症状固定と言われたが、まだ痛みが残っている。この状態で示談してしまっていいのか」「会社が早く示談書にサインするよう急かしてくる」――こうした声を、当法人の相談窓口では繰り返し聞きます。
症状固定は、補償の金額を決定する重要な節目です。そして、その前後に弁護士が関与するかどうかで、最終的な賠償額が数百万円から数千万円単位で変わることがあるというのが、当法人が実際の案件を通じて確認してきた事実です。
この記事では、症状固定の基礎知識と手続きを解説するとともに、「症状固定前に弁護士が関与すると、補償がどう変わるか」を実際の解決事例で具体的にお伝えします。

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労災における「症状固定」の基礎知識
労災における症状固定とは、「一般的な医療行為を行っても、その治療効果がこれ以上見込めない状態」のことです。医師がこの状態と判断した時点をもって、治療は終了し、後遺障害の申請手続きへと移行します。
症状固定の時期は医師が判断します。ただし、実務上は会社側や保険担当者が「そろそろ症状固定の時期ではないか」と打診してくるケースがあります。本人が納得していなくても、「症状固定にしましょう」という方向に誘導されるケースも少なくありません。
- 症状固定は医師が判断する(患者や会社が決めるものではない)
- 治療効果が見込めなくなった時点が症状固定の目安
- 症状固定後に後遺障害等級の申請手続きが始まる
- 症状固定の時期が早すぎると、後遺障害等級が過小評価されるリスクがある
- 症状固定後の損害(後遺障害慰謝料・逸失利益)は、この時点を基準に計算される
症状固定は「補償がいくらになるか」を決定する節目です。したがって、症状固定の時期を誰がいつ、どのような判断で決定したかは、最終的な補償額を左右する重要な要素になります。
症状固定前に弁護士が介入するメリットとは?
多くの解説記事は「症状固定後に弁護士に相談しましょう」と書いて終わります。しかし当法人の経験では、症状固定後よりも症状固定前に弁護士が関与した方が、最終的な賠償額が大きくなるケースが多いのです。
その理由は、後遺障害認定の結果が「症状固定前の準備」によって大きく左右されるからです。
- メリット1:後遺障害診断書の記載方針をアドバイスできる
後遺障害診断書は医師が記載しますが、弁護士が関与することで、等級認定に必要な症状・障害の記載漏れを防ぐことができます。後遺障害等級は診断書の記載内容に強く依存しており、記載が不十分だと適切な等級が認定されないことがあります。 - メリット2:症状固定の時期を適切に判断できる
治療がまだ有効な段階で症状固定を迫られても、弁護士がいれば「まだ治療継続が合理的」という医学的・法的な根拠を整理して対応できます。早すぎる症状固定を防ぐことで、適切な後遺障害等級の取得につながります。 - メリット3:損害賠償の全体戦略を先に設計できる
等級が決まってから弁護士に依頼すると、最初から設計に関与できていれば変えられた要素が既に確定してしまっています。症状固定前から逸失利益・過失相殺・慰謝料の全体像を考慮して動けるかどうかが、最終金額の差になります。
「症状固定の前に相談できますか?」はい、できます。むしろ早いほど選択肢が広がります。
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症状固定前に弁護士が関与すると、賠償額がここまで変わる
「症状固定前から弁護士に依頼した場合、具体的にどのくらい賠償額が変わるのか」。以下の2つの実例で確認してください。いずれも当法人が実際に受任した案件に基づき、依頼者・関係者が特定されないよう抽象化して記載しています。
状況:建設現場で上司の指示により脚立を使用した高所作業中に転落。右踵骨(かかとの骨)を複雑骨折し、長期の治療・リハビリを経て後遺症が残った。会社は「本人の不注意による転落」として損害賠償を全面拒否。
当法人の対応:症状固定のタイミングを踏まえた上で受任。後遺障害診断書に踵骨骨折後の疼痛・機能制限が適切に記載されるよう確認し、12級7号の認定を得た。その後、上司の作業指示記録・脚立の安全基準適合確認・補助者未配置の事実から安全配慮義務違反(労働安全衛生法第20条・第26条)と使用者責任(民法715条)を両面追及し、訴訟上の和解に至った。
結果:解決額1,000万円台。期間:約11ヶ月。
(本事例は依頼者・関係者が特定されないよう抽象化しています。解決額・等級・期間は事案ごとの個別事情により異なり、同様の結果を保証するものではありません。)
状況:建築現場で同僚が閉め忘れた開口部に転落し、胸椎破裂骨折・腰椎圧迫骨折。重い後遺障害が残る可能性が高いと判断し、症状固定前から当法人に相談。勤務先との関係継続を希望しており、「会社と争わずに正当な補償を受けたい」という要望があった。
当法人の対応:症状固定前から関与し、後遺障害診断書の記載(胸腰椎変形障害の図示・可動域の詳細記録)をアドバイス。結果として等級認定で8級を獲得。任意交渉では会社側が逸失利益を否定する主張を展開したが、後遺障害の実際の影響・本人が就労継続に費やす努力について具体的な証拠を整理し反論。裁判に至らず示談で解決に至った。
結果:解決額2,500万円台。会社との関係を維持したまま解決。
(本事例は依頼者・関係者が特定されないよう抽象化しています。解決額・等級・期間は事案ごとの個別事情により異なり、同様の結果を保証するものではありません。)
2つの事例に共通するのは、症状固定前に弁護士が関与したことで、後遺障害診断書の記載が適切に整い、結果として認定等級と賠償設計の出発点が変わったという点です。
特に事例2では、症状固定後に弁護士を探していたとすれば、診断書の記載は既に確定しており、8級獲得が可能だったかどうかはわかりません。「症状固定前から関与した」ことが、補償額を決定した最大の要因です。
症状固定前・後の弁護士関与 比較表
| 比較項目 | 症状固定前から弁護士関与 | 症状固定後から弁護士関与 |
|---|---|---|
| 後遺障害診断書の記載 | 弁護士が記載方針をアドバイスできる(等級認定に必要な項目を漏らさない) | 診断書は既に確定。内容の修正・補完が困難な場合がある |
| 症状固定の時期 | 治療効果が残っている段階で症状固定を迫られても根拠をもって対応できる | 既に症状固定済み。不当に早い症状固定への異議が難しい |
| 等級認定の見込み | 診断書の質を高めることで適切な等級取得を目指せる | 診断書次第。等級が低く認定されると再審査が必要になることも |
| 賠償額の設計 | 等級・逸失利益・過失相殺を含めた全体戦略を先に組める | 既定の等級を前提に設計するため、出発点の修正ができない |
| 証拠保全 | 事故直後の現場状況・証拠を早期に保全できる | 時間経過で証拠が失われているリスクがある |
多くの記事は「症状固定後に弁護士へ」と書いています。しかし当法人の経験では、症状固定後に相談に来た方が「もっと早く来ていれば等級が変わっていたかもしれない」と感じるケースは少なくありません。
後遺障害診断書は症状固定後に医師が記載しますが、その内容は治療過程での記録・検査・医師とのやり取りに基づいています。弁護士が症状固定前から関与することで、「どの症状をどのように記録しておくか」を医療的・法的観点からアドバイスできます。
「症状固定前から関与することが、依頼者が受け取れる補償の総額を大きく左右することがある。ブライトはそのために、治療中からでも相談に来ていただくことを歓迎している。」
これが、当法人が症状固定前からの相談対応を大切にしている理由です。
なお当法人では、受任の可否についても初回相談時に率直にお伝えします。費用倒れになりうると判断した場合は、その旨を明確にお伝えします。
【関連記事】労災後遺障害とは?等級・補償額・申請の流れを解説|弁護士法人ブライト
「症状固定の前後どちらでも相談できます」。症状固定前なら選択肢はさらに広がります。
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症状固定後の補償の種類
症状固定後、後遺障害等級が認定されると、以下の補償・賠償を請求できる可能性があります。
- 障害(補償)等給付(労災保険):認定された後遺障害等級に応じて、年金または一時金が支給される。
- 障害特別支給金・障害特別年金(一時金)(労災保険):賞与等の特別給与をもとに算定される上乗せ給付。
- 後遺障害慰謝料(会社への損害賠償):後遺障害等級ごとに相場がある。弁護士基準(裁判基準)では自賠責基準より大幅に高額になることが多い。
- 逸失利益(会社への損害賠償):後遺障害によって将来の収入が減ると見込まれる分。等級・年齢・収入・就労可能年数などを考慮して算定する。
- 入通院慰謝料・治療費・休業損害の精算(会社への損害賠償):症状固定時点までの損害として確定させる。
特に「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」は、等級と算定方式によって金額が大きく変わります。当法人では、労災保険の給付だけで終わらず、会社への損害賠償として取れるすべての費目を設計することを方針としています。
【関連記事】労災で骨折したときの損害賠償・後遺障害等級を解説|弁護士法人ブライト
後遺障害等級申請の流れ
症状固定後の後遺障害等級申請は、以下の流れで進みます。
- Step 1:医師による症状固定の診断
主治医が症状固定と判断した旨の診断書を作成する。 - Step 2:後遺障害診断書の作成
後遺障害の申請に使う専用の診断書(後遺障害診断書)を医師に作成してもらう。記載内容が等級認定を左右するため、漏れなく症状を反映してもらうことが重要。 - Step 3:必要書類の準備・提出
後遺障害診断書・障害補償給付支給請求書・その他レントゲン等の画像資料を労働基準監督署に提出する。 - Step 4:労働基準監督署による審査
必要に応じて面談・追加資料の提出を求められる。 - Step 5:等級認定(または不認定)
認定結果通知書が届く。不服がある場合は審査請求・再審査請求が可能。
特にStep 2の後遺障害診断書は、弁護士が症状固定前から関与できていれば、医師への症状伝達のサポートや記載事項の確認が可能です。症状固定後に弁護士を探す場合は、既に診断書が確定しているため、この段階での関与が遅くなります。
会社に労災の責任がある場合は、損害賠償請求が可能
労災保険の給付は「定型の補償」です。これに対し、会社の安全配慮義務違反や過失が認められる場合は、労災保険とは別に会社へ損害賠償を請求できます。
損害賠償請求の主な根拠は次の2つです。
- 安全配慮義務違反(債務不履行):会社は労働者に対して安全な職場環境を提供する義務があります(労働契約法第5条)。設備の不備・安全教育の欠如・適切な指揮監督の怠慢などがこれに該当し得ます。時効は権利を行使できることを知った時から5年(民法166条1項1号)。
- 使用者責任(不法行為):従業員の不法行為による損害について、会社がその使用者として責任を負います(民法715条)。時効は損害および加害者を知った時から3年(民法724条)。
損害賠償請求できる費目には、慰謝料・逸失利益のほか、休業損害の差額・治療費・付添費用なども含まれます。労災保険から給付される金額との調整(給付控除)が必要ですが、保険でカバーされない部分を会社に請求することで、受け取れる総額は大きく変わります。
【関連記事】労災で会社に損害賠償請求するには?弁護士が解説|弁護士法人ブライト
ご依頼者にとって何が変わるのか
症状固定のタイミングで弁護士を関与させるかどうか、それが依頼者の生活にどう影響するか。以下の表で整理します。
| Before(弁護士関与なし) | After(症状固定前からブライトに依頼) |
|---|---|
| 会社から「そろそろ症状固定ですね」と急かされ、まだ痛みが残っているのに応じてしまった。 | 治療効果と症状固定の適切な時期を弁護士と一緒に判断。治療の継続または適切な時期での症状固定を選べた。 |
| 後遺障害診断書に何を書いてもらえばいいかわからず、医師に任せたまま等級が低く認定された。 | 弁護士が診断書に必要な記載項目をアドバイスし、適切な等級認定を得られた(事例2:8級獲得)。 |
| 「労災保険が下りた」と言われ、それ以上は請求できないと思い込んでいた。 | 会社への損害賠償として慰謝料・逸失利益を設計。労災保険給付の上乗せで1,000万円台〜2,500万円台の解決に至った。 |
| 示談書にサインした後で「もっと請求できたかもしれない」と気づいた。示談後の変更はほぼ不可能。 | 示談前に弁護士が全体の賠償設計を確認し、相手方の提示額の妥当性を検討した上で判断。 |
症状固定の前後を問わず、まずご相談ください。弁護士歴平均14年以上のチームが丁寧にヒアリングします。
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よくある質問
Q1:治療中(症状固定前)でも弁護士に相談できますか?
はい、できます。むしろ症状固定前のご相談をお勧めしています。症状固定前から弁護士が関与することで、後遺障害診断書の記載に関するアドバイス(症状の漏れなき記録・必要項目の確認)・症状固定の適切な時期の判断・損害賠償の全体設計が可能になります。「症状固定後でないと相談できない」ということはありません。
Q2:会社が「労災保険があるから会社は払わない」と言っています。本当ですか?
そうではありません。労災保険はあくまで国が定めた最低限の定型補償です。会社に安全配慮義務違反や使用者責任が認められる場合は、労災保険とは別に会社へ損害賠償を請求できます。「労災保険が下りたからそれで終わり」というのは会社側の主張にすぎません。弁護士に事実関係を話していただき、損害賠償請求の見込みを確認してください。
Q3:症状固定後に弁護士に依頼するのでは遅いですか?
症状固定後でも、損害賠償請求・交渉・訴訟はできます。ただし、後遺障害診断書が既に確定しているため、等級認定の段階では弁護士が介入できる余地が限られます。「診断書の記載が不十分だったため等級が低くなった」という状況は、症状固定前に関与していれば避けられた可能性があります。症状固定前に相談できるなら、早めが望ましいです。
Q4:後遺障害の等級認定に不満があります。不服申し立てはできますか?
はい、できます。認定結果に不服がある場合、審査請求(労働基準監督署長への不服申し立て)→再審査請求(労働保険審査会)という行政ルートと、民事訴訟で争うルートがあります。等級の妥当性・診断書の記載内容・新たな医証の提出などを検討した上で、最も有利な方法を選択します。
Q5:相談・依頼にかかる費用はどのくらいですか?
相談は無料で承っております。受任する場合の費用(着手金・報酬金)については、受任時に明確にご説明します。費用倒れになる見込みが高い場合は、その旨を初回相談時に率直にお伝えしています。費用の見通しを確認した上でご判断いただけますので、まずはお気軽にご連絡ください。
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