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建設業の労災保険は通常と異なる?労災の申請先や賠償請求先を弁護士が解説

建設業に従事しており、建設現場で働く方が労災事故に遭った場合、どのような補償を受けられるのでしょうか。建設業では労災の仕組みが他の業界と異なるため、「申請方法は同じか」「事業主証明はどこにお願いすればよいのか」などと悩む方もいるでしょう。本記事では、建設業における労災保険について弁護士が解説しています。あわせて、建設現場などで労災が起きた際の補償や申請方法、一人親方の場合に補償を受ける方法、損害賠償請求についても紹介しているので参考にしてください。

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建設業の労災保険は、一般的な労災保険と異なる

加入の一例

労災保険とは、労働者が業務や通勤を原因としてけがや病気などの労働災害(労災)があった場合に、被災労働者や遺族に対して必要な保険給付などを行う制度です。原則として、一人でも労働者がいる事業主は、労働者を労災保険に加入させる義務があります。

しかし建設業では、雇用主のもとで加入する労災保険とは別に、「建設工事ごと」に労災保険への加入が義務付けられています(労働保険の保険料の徴収等に関する法律第8条、同施行規則第7条、労働基準法第87条1項も参照)。事業主のもとで加入する労災保険とあわせて、一つの建設工事につき一つの労災保険に加入する点は、建設業で工事に携わる労働者と一般的な労働者の異なる点です。下請けとして建設現場で働く中で労災に遭った場合は、基本的に元請業者のもとで加入した労災保険が適用されます。

このように、複数の業者によって作業が行われることの多い建設業では、建設工事単位で労災保険に加入することで、工事現場の労働者が業務上または通勤途上で災害が起きた場合に必要な給付が受けられるのです。

ただし、通勤災害の場合には「自宅から自社に向かう予定だった」「自社から工事現場に向かう予定だった」などさまざまなパターンが生じるため、出発場所と到着予定場所によってどちらの労災保険を使用できるかが異なります。

なお、工事現場単位での加入手続きは、下請業者、孫請業者など工事に関わる労働者分を元請業者が行います。

参考:「労災補償」厚生労働省

労災保険と労働保険との違いは?

労災保険と雇用保険の違い

労働保険とは、「労災保険」と「雇用保険」を総称した言葉です。労災保険は労働者が業務や通勤を原因としてけがや病気などがあった場合に、被災労働者や遺族に対して必要な保険給付などを行う制度であるのに対し、雇用保険は失業や休業などがあった場合に、労働者の生活や雇用の安定と就職の促進のための給付などを行う制度です。

建設業の労働者の場合は、自社の事業主のもとで加入する労災保険・雇用保険と合わせて、元請業者のもとで加入する労災保険にも加入します。

参考:「労働保険とは?」厚生労働省

建設業で労災事故に遭ったらどうする?

建設工事現場で労災事故に遭ったら、どのような補償が受けられるのでしょうか。

建設業の労災保険で受けられる補償

建設現場での事故など、労災に遭った際に受けられる補償内容は、一般的な労災保険と同様です。給付が受けられる要件と内容を見てみましょう。

対象となる補償給付が受けられるとき・内容
療養(補償)等給付傷病により療養するときに
必要な療養の費用が給付される
休業(補償)等給付労働ができず賃金を得られないときに
休業4日目から休業1日につき給付基礎日額60%相当額が給付される
障害(補償)等給付傷病が治ゆ(症状固定)した後に障害が残ったときに
障害等級に応じた年金または一時金が給付される
介護(補償)等給付常時・随時介護が必要になったときに
介護費用として規定額が給付される
傷病(補償)等年金一定期間が経過しても傷病が完治しないときに
傷病等級に応じた年金が給付される
遺族(補償)等給付被災者が死亡したときに
遺族数などに応じた年金が給付される
葬祭料(葬祭給付)被災者が死亡して葬祭を行うときに
葬祭費用として規定額が給付される

参考:「労災保険給付の概要」厚生労働省

治ゆ(症状固定)とは

治療などの医療措置後に、傷病の症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行っても、その医療効果ができなくなった状態(その傷病の症状の回復・改善が期待できなくなった状態)のことです。


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元請業者のもとで事故が起きた場合に、労災保険を申請する方法

元請業者のもとで建設工事を起因としたけがや病気が起きた場合は、治療を行った医療機関に労働者自身が労災事故であることを伝え、様式の5号、または16号の3を記入して提出します。この様式は医療機関を通して労働基準監督署(以下、労基署)に渡ります。労基署から労災であると認定されれば、療養(補償)等給付の対象です。

なお、療養(補償)等給付の様式には事業主証明欄があります。労災保険の加入は元請業者のもとで行っているため、元請事業主が事業主証明を記入する義務があります。建設工事に起因して労災事故が起こった際の事業主証明欄は、元請業者に記載を依頼しましょう。

また、その他の労災保険給付関係の様式は、「厚生労働省のホームページ」にてダウンロードが可能です。

【関連記事】労災の申請方法やフロー、Q&Aについて弁護士が詳しく解説!

一人親方の場合は労災保険特別加入制度の利用を

一人親方とは、「労働者を雇わずに事業を行っている自営業者、およびその事業に従事する家族従事者など」のことです。例えば、一人で建設業を営んでいる人や、建設業を営むものの年間100日未満しか従業員を使用しない経営者などを指します。一人親方の人は雇用されている労働者(従業員)ではないため、労災保険が適用されません。

しかし、けがや病気といった事故に備え、単独で労災保険への「特別加入制度」を利用することが可能です。労災保険の特別加入には一定の要件を満たす必要があり、加入も任意のため義務ではありません。しかし、建設現場によってはガイドラインにより特別加入を義務付けている場合もあります。

また、一人親方であっても、元請業者との間に実質的な使用従属関係が認められる場合には、元請け会社の労災保険が適用される場合があります。元請業者に従事する実態があるかを確認したい場合は、国土交通省による「働き方自己診断チェックリスト」を使用してみるとよいでしょう。

参考:「特別加入制度のしおり(一人親方その他の自営業者用)」厚生労働省
【関連記事】一人親方が労災事故に遭ったときの対応は?一人親方と労災保険について弁護士が解説

建設業の労災事故。責任は元請けと下請けのどちらに?

労災事故が発生した場合、治療費や入院費は労災保険の適用となる場合が多いものの、入院雑費や付添看護費など適用外となる費用もあります。また、事故の精神的苦痛に対する補償は、そもそも労災保険にはありません。こうした費用は、安全配慮義務違反など事故発生の責任を事業主に問える場合に、その事業主に対して損害賠償(慰謝料)として請求することが可能です。

損害賠償が請求できるケースは

損害賠償が請求できる例

建設業の場合、工事に関わる業者が複数あるため、責任の所在は複雑になることが多いです。損害賠償を請求する場合、まずは直接雇用されている自社へ請求を行います。直接雇用関係にある企業の事業主は、労働者の安全や健康を守るための安全配慮義務を負っているためです。

下請業者や孫請業者の労働者は、元請業者と直接的な雇用関係にありません。そのため原則として元請業者は、下請業者・孫請業者の労働者に対して安全配慮義務は発生しません。しかし、労働者が「元請業者の指揮監督を受けていた」「元請業者の設備・用具を使用していた」などの場合には、その他の事情にも照らし、元請業者が安全配慮義務を負うこともあります。このような場合には、元請業者にも損害賠償請求が可能です。

よって、直接雇用関係になくとも責任が問える先がある場合は、自社のみならず、該当する複数業者への損害賠償請求ができます。ただし、責任の所在を判断することは大変難しいため、専門家である弁護士への相談が賢明でしょう。

労災でお困りの方は、弁護士法人ブライトにご相談を

建設業の労災保険は、雇用されている事業所で加入するほか、元請業者の事業主により工事単位で加入手続きを行います。一人親方の場合は特別加入制度を利用することで、基本的には受けられる補償や申請方法は一般的な雇用保険と共通した部分があります。ただし、特別加入制度においては、前提となる給付基礎日額が申請に基づき決定され、その金額の多寡により保険料に違いが生じる点などに注意が必要です。

また、損害賠償を請求する際は、元請業者と下請業者のどちらに責任があるかなどの判断が必要です。個人での判断は困難となるため、早めに弁護士へ相談しましょう。

弁護士法人ブライトでは、労災問題に特化した「労災事故専門チーム」を擁しており、これまでもとりわけ建設業に関する労災事故を多く受任してきました。建設業の特殊性なども踏まえた対応が可能なため、安心してご相談いただけます。

相談料は3回まで無料(0円)、弁護士費用についても、原則として完全成功報酬制を採用しているため、着手金も無料(0円)です。まずは、お電話またはメール、LINEにてお問い合わせください。ご相談は対面やお電話以外にも、ZoomなどWeb会議システムにも対応しています。

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  • この記事を書いた人

笹野 皓平

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