労災で怪我などした場合、怪我の内容や程度によっては治療を行っても完治せず、障害が残ってしまうケースがあります。そのような場合、被災労働者は、後遺障害等級認定を受けることにより、障害の程度に応じた補償を労災保険から受けることができます。
本記事では、後遺障害等級認定の条件や後遺症認定で受けられる補償・賠償金額、および後遺障害認定のフローやポイントについて、弁護士が解説します。
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労災事故により一定の障害が残ると、「後遺障害」として認定される場合がある
労災(労働災害)で怪我をし、治療を行ったにもかかわらずに障害が残ると、「後遺障害」として認定される可能性があります。治療後、治ゆ(症状固定)となり、残存障害が障害等級に該当すると、その障害の程度に応じ、労災保険から「障害(補償)等給付」や「障害特別支給金」を受け取れます。
症状固定とは
治療を継続しても、症状の改善が見込めない状態のこと
後遺障害が認められるには、後遺障害等級表に該当するかそれに準ずる症状が残っていることを、労働基準監督署に認めてもらう必要があります。後遺障害は残ってしまった症状の重さにより1~14の等級に分けられており、補償として受け取る金額もその等級によって変わります。
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後遺障害等級認定の基準について
後遺障害等級は、体を目、耳、鼻、口など10部位に分け、それぞれの機能にどのような障害が残ったかで決まります。10の部位に対して合計で35系統の障害があり、例えば「目」であれば、視力が低下する「視力障害」、ピントが合わなくなる「調節機能障害」、目が動かしにくくなる「運動障害」といった障害があります。
ここからは、後遺障害の認定基準である「障害等級一覧」と、認定に際し知っておきたい用語を解説します。
なお、後遺障害認定の基準は、傷病別・障害別に細かく分かれており、認定の基準についてはあいまいな部分もあります。専門知識がないと判断することは難しいため、早い段階から弁護士に相談することが望ましいでしょう。
障害等級一覧表
後遺障害等級は、症状ごとに以下のように定められています。
後遺障害等級 | 認定される症状 |
---|---|
1級 | 1 両眼が失明したもの 2 そしゃく及び言語の機能を廃したもの 3 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 4 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 5 削除 6 両上肢をひじ関節以上で失ったもの 7 両上肢の用を全廃したもの 8 両下肢をひざ関節以上で失ったもの 9 両下肢の用を全廃したもの |
2級 | 1 1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの 2 両眼の視力が0.02以下になったもの 2の2 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 2の3 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 3 両上肢を手関節以上で失ったもの 4 両下肢を足関節以上で失ったもの |
3級 | 1 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの 2 そしゃく又は言語の機能を廃したもの 3 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 4 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 5 両手の手指の全部を失ったもの |
4級 | 1 両眼の視力が0.06以下になったもの 2 そしゃく及び言語の機能に著しい障害を残すもの 3 両耳の聴力を全く失ったもの 4 1上肢をひじ関節以上で失ったもの 5 1下肢をひざ関節以上で失ったもの 6 両手の手指の全部の用を廃したもの 7 両足をリスフラン関節以上で失ったもの |
5級 | 1 1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの 1の2 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 1の3 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 2 1上肢を手関節以上で失ったもの 3 1下肢を足関節以上で失ったもの 4 1上肢の用を全廃したもの 5 1下肢の用を全廃したもの 6 両足の足指の全部を失ったもの |
6級 | 1 両眼の視力が0.1以下になったもの 2 そしゃく又は言語の機能に著しい障害を残すもの 3 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの 3の2 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの 4 せき柱に著しい変形又は運動障害を残すもの 5 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの 6 1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの 7 1手の5の手指又は母指を含み4の手指を失ったもの |
7級 | 1 1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの 2 両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの 2の2 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの 3 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 4 削除 5 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 6 1手の母指を含み3の手指又は母指以外の4の手指を失ったもの 7 1手の5の手指又は母指を含み4の手指の用を廃したもの 8 1足をリスフラン関節以上で失ったもの 9 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの 10 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの 11 両足の足指の全部の用を廃したもの 12 外貌に著しい醜状を残すもの 13 両側のこう丸を失ったもの |
8級 | 1 1眼が失明し、又は1眼の視力が0.02以下になったもの 2 せき柱に運動障害を残すもの 3 1手の母指を含み2の手指又は母指以外の3の手指を失ったもの 4 1手の母指を含み3の手指又は母指以外の4の手指の用を廃したもの 5 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの 6 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの 7 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの 8 1上肢に偽関節を残すもの 9 1下肢に偽関節を残すもの 10 1足の足指の全部を失ったもの |
9級 | 1 両眼の視力が0.6以下になったもの 2 1眼の視力が0.06以下になったもの 3 両眼に半盲症、視野狭さく又は視野変状を残すもの 4 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの 5 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの 6 そしゃく及び言語の機能に障害を残すもの 6の2 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの 6の3 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの 7 1耳の聴力を全く失ったもの 7の2 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 7の3 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 8 1手の母指又は母指以外の2の手指を失ったもの 9 1手の母指を含み2の手指又は母指以外の3の手指の用を廃したもの 10 1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの 1 1 1足の足指の全部の用を廃したもの 1 1の2 外貌に相当程度の醜状を残すもの 1 2 生殖器に著しい障害を残すもの |
10級 | 1 1眼の視力が0.1以下になったもの 1の2 正面視で複視を残すもの 2 そしゃく又は言語の機能に障害を残すもの 3 14歯以上に対し歯科補てつを加えたもの 3の2 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの 4 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの 5 削除 6 1手の母指又は母指以外の2の手指の用を廃したもの 7 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの 8 1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの 9 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの 10 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
11級 | 1 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの 2 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの 3 1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの 3の2 10歯以上に対し歯科補てつを加えたもの 3の3 両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの 4 1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの 5 せき柱に変形を残すもの 6 1手の示指、中指又は環指を失ったもの 7 削除 8 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの 9 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの |
12級 | 1 1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの 2 1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの 3 7歯以上に対し歯科補てつを加えたもの 4 1耳の耳かくの大部分を欠損したもの 5 鎖骨、胸骨、ろく骨、肩こう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの 6 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの 7 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの 8 長管骨に変形を残すもの 8の2 1手の小指を失ったもの 9 1手の示指、中指又は環指の用を廃したもの 10 1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの 1 1 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの 1 2 局部にがん固な神経症状を残すもの 1 3 削除 1 4 外貌に醜状を残すもの |
13級 | 1 1眼の視力が0.6以下になったもの 2 1眼に半盲症、視野狭さく又は視野変状を残すもの 2の2 正面視以外で複視を残すもの 3 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの 3の2 5歯以上に対し歯科補てつを加えたもの 3の3 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの 4 1手の小指の用を廃したもの 5 1手の母指の指骨の一部を失ったもの 6 削除 7 削除 8 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの 9 1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの 10 1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの |
14級 | 1 1眼のまぶたの一部に欠損を残し、又はまつげはげを残すもの 2 3歯以上に対し歯科補てつを加えたもの 2の2 1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの 3 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの 4 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの 5 削除 6 1手の母指以外の手指の指骨の一部を失ったもの 7 1手の母指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの 8 1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの 9 局部に神経症状を残すもの 10 削除 |
※「削除」となっているものは、法改正などで表から無くなった項目
出典:「障害等級表」厚生労働省
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後遺障害等級認定に際し、知っておきたい用語を解説します。
後遺障害等級の「併合」
複数の後遺障害が体に残り系列の異なる身体障害が2つ以上ある場合に、重い方の身体障害の等級、または重い方の等級を1級ないし3級を繰り上げた等級が認められることを、後遺障害の「併合」といいます。
仮に、事故によって視力が落ち、耳が聞こえにくくなったとすると、「視力障害」と「聴力障害」という系統が異なる2つの障害が残ったことになるため、後遺障害等級が併合されます。等級がどのように変化するかは次のように定められています。
障害等級5級以上の症状が複数ある場合:重い方の等級を3つ繰り上げ 障害等級8級以上の症状が複数ある場合:重い方の等級を2つ繰り上げ 障害等級13級以上の症状が複数ある場合:重い方の等級を1つ繰り上げ 障害等級14級の症状が複数ある場合:等級の変化はなし |
後遺障害等級の「準用」
上記の後遺障害等級表に記載されていない後遺症が残った場合でも、程度に応じ、後遺障害等級が認定される場合があります。これを後遺障害の「準用」といい、例えば、以下のようなケースがこれに該当します。
味を感じなくなる味覚脱失:障害等級12級相当 味を感じにくくなる味覚減退:障害等級14級相当 |
また、すでにある系統に分類できる場合でも、該当する後遺障害がない場合、後遺障害の併合の方法を用いて準用等級という形で後遺障害等級が認定されることもあります。
後遺障害等級の「加重」
もともと障害がある人が、労災により既存障害が悪化した場合、後遺障害の「加重」が適用されます。加重が認定された場合は、被災労働者には加重後の後遺障害等級に相当する支給金額から、加重前の等級に相当する支給金額を差し引いた給付金が支払われる仕組みとなっています。
後遺障害等級別の労災補償
ここからは、後遺障害認定を受けた場合に労災保険から受けられる補償の内容を紹介します。
労災保険からは、後遺障害の等級に応じ、以下のような補償が受け取れます。
後遺障害1~7級の場合:継続的に受け取れる「障害補償年金」 後遺障害8~14級の場合:一度だけ受け取れる「障害補償一時金」 |
「障害補償年金」・「障害補償一時金」の補償について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
【関連記事】労災で後遺障害が残った場合の補償を解説
後遺障害1~7級の補償金額
後遺障害1〜7級に該当するような重い障害が残った場合は、「障害(補償)等給付」のうち、「障害補償年金」を定期的に受け取れます。また、障害補償年金に上乗せし、「特別支給金」も受け取れます。後遺障害1~7級の補償の目安は以下の通りです。
なお、障害補償年金は、「給付基礎日額✕等級ごとの定められた日数」で計算されます。特別支給金は、障害等級ごとに受け取れる金額が決まっています。
後遺障害等級 | 計算に使う日数 | 障害特別支給金 |
---|---|---|
1級 | 313日 | 342万円 |
2級 | 277日 | 320万円 |
3級 | 245日 | 300万円 |
4級 | 213日 | 264万円 |
5級 | 184日 | 225万円 |
6級 | 156日 | 192万円 |
7級 | 131日 | 159万円 |
給付基礎日額とは
事故が起きる直前の3カ月間に支払われた給料をその期間の日数で割った金額のこと。
実際に働いた日数で割るのではなく、休日も含めた日数(暦日数)で割る。ボーナスなど、臨時的に支払われた賃金は計算に含まない。
後遺障害8~14級の補償金額
後遺障害8〜14級の場合は、障害補償年金ではなく「障害補償一時金」が支給されます。年金は毎年支給されるものですが、一時金はその名の通り、一度だけの支給です。そのほか、等級ごとに「特別支給金」も受け取れます。後遺障害8~14級の補償の目安は以下の通りです。
なお、障害補償一時金の計算方法も、「給付基礎日額✕等級ごとの定められた日数」です。
後遺障害等級 | 計算に使う日数 | 障害特別支給金 |
---|---|---|
8級 | 503日 | 65万円 |
9級 | 391日 | 50万円 |
10級 | 302日 | 39万円 |
11級 | 223日 | 29万円 |
12級 | 156日 | 20万円 |
13級 | 101日 | 14万円 |
14級 | 56日 | 8万円 |
後遺障害等級別の賠償金額
事故の原因が会社にもある場合、労災からの給付金だけでなく、会社に対して損害賠償請求し、「後遺障害慰謝料」と「後遺障害逸失利益」を受け取ることも可能です。
後遺障害慰謝料の目安と、後遺障害逸失利益を計算する際に用いる「労働能力喪失率」を紹介します。後遺障害逸失利益は被害者の年齢や収入などによって大きく変わるため、ここでは計算に使用する労働能力喪失率のみを記載します。
後遺障害等級 | 後遺障害慰謝料 | 労働能力喪失率 |
---|---|---|
1級 | 2,800万円 | 100% |
2級 | 2,370万円 | 100% |
3級 | 1,990万円 | 100% |
4級 | 1,670万円 | 92% |
5級 | 1,400万円 | 79% |
6級 | 1,180万円 | 67% |
7級 | 1,000万円 | 56% |
8級 | 830万円 | 45% |
9級 | 690万円 | 35% |
10級 | 550万円 | 27% |
11級 | 420万円 | 20% |
12級 | 290万円 | 14% |
13級 | 180万円 | 9% |
14級 | 110万円 | 5% |
なお、会社に対して請求する「後遺障害慰謝料」と「後遺障害逸失利益」で適切な賠償金を勝ち取るためには、会社側に事故の責任があることを証明する必要があるため、弁護士に相談するのが得策です。
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労災における後遺障害認定のフロー・把握しておきたいポイント
ここからは、労災で後遺障害認定を受ける際のフローを解説するとともに、フローごとの気をつけるべきポイントについても紹介します。
1.治療を受け、医師から「症状固定」の診断を受ける
労災により怪我などした場合、まずは治療を受けたのち、医師から症状固定の診断を受けます。CTやMRIなどの検査結果は、客観的に症状を証明できるため、後遺障害認定にあたって参考にされます。必要であれば、治療中に検査を受けましょう。
<ポイント>医師の指示通りに通院する
治療中に気をつけたいことは、医師の指示通りに通院をすることです。後遺障害認定にあたっては、治療経緯も考慮されることがあるため、医師の指示を無視して勝手に通院頻度を変える、医師の治療方針に従わずに自己判断で整骨院に通うなどはしないようにしましょう。
2.労働基準監督署に必要書類を提出する
医師から症状固定と判断されたら、必要書類を準備し、労働基準監督署に提出します。提出に必要となる請求書は以下の通りです。
●業務中の労災の場合:障害補償給付支給請求書(様式第10号) ●通勤中の怪我の場合:障害給付支給請求書(様式第16号の7) |
必要書類としては、請求書のほか、労働者災害補償保険診断書、状況に応じてレントゲン写真などが必要となります。
<ポイント>障害等級認定において「診断書」は重要な資料となる
後遺障害に該当する症状が残れば、必ず後遺障害等級が認定されるわけではありません。労災によって受けた後遺症が後遺障害として認められるには、診断書の内容が重要となります。医師が作成した書類を基にして労働基準監督署で審査が行われるため、医師に症状をしっかりと記載してもらうことが大切です。自身の症状は偽ることなく医師に報告し、MRIやCTの画像所見などを基に、症状や原因を詳細に、漏れなく記載してもらいましょう。
もし医師が診断書の重要性を理解していない場合には、弁護士などにも相談のうえ、診断書の記載ポイントを医師に伝えるとよいかもしれません。
3.後遺障害の審査・面談を受け、認定となる
必要書類の提出後、労働基準監督署による審査が始まります。審査にあたっては、労働基準監督署の調査官や地方労災医員との面談が設けられるケースもあります。その際は、自身の症状や仕事、日常生活上の不自由な点などを詳細に説明しましょう。
また、労働基準監督署から医師に対して、意見や資料の提出を求めるケースもあります。これらの資料を踏まえて労働基準監督署が調査し、障害等級が認定されます。認定を受けるまでの期間はおおむね3カ月ですが、場合によっては3カ月以上要する場合もあるでしょう。
<ポイント>後遺障害の審査結果に不満がある場合、審査請求を行える
ここで知っておきたいことは、後遺障害の審査結果に不満がある場合は、審査請求を行うことで、再度審査を受けられることです。ただし、この請求には期限があり、決定通知書を受け取った日(*同決定があったことを知った日)の翌日から3カ月以内に手続きをする必要があります。
審査請求する場合、同じ書類で再度審査請求をしても結果は変わらないため、不足していた情報を記載する必要があります。しかし、決定通知書には判断理由などはほぼ記載されていないため、労働基準監督署の調査資料の開示請求などを進めなければなりません。これらの手続きは、個人で行うのは困難であるため、弁護士に相談するのがおすすめです。
【関連記事】労災の障害等級に納得いかないときはどうする?不服がある場合の対応とは
適切な障害等級認定を受けるには、専門知識が必要。ぜひ、ブライトへご相談ください
労災事故により障害が残ってしまったら、適切な後遺障害等級認定を受け、しっかり補償を得たいでしょう。適切な障害等級認定を受けるには専門知識が必要なため個人で対応するのは困難であり、弁護士による専門的なサポートが不可欠といえますが、症状固定前に弁護士に相談すれば、症状に見合った後遺障害等級認定が受けられます。
必要書類に適切な内容が記載されていなかったために、認められるはずの後遺障害が認定されないケースや、障害等級の認定に納得がいかない場合もあるでしょう。これらのように労災関連でお困りの方は、ぜひ、弁護士法人ブライトへご相談ください。
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