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労災申請で会社の評価は下がるのか?ボーナスへの影響と不当な扱いを受けた場合の対策

仕事中のケガや病気で労災保険を申請したいけれど、「労災を使うと会社での評価が下がるのでは?」と不安に感じる方は少なくありません。 また、「労災申請でボーナスが減ってしまうのではないか」「職場で不当な扱いを受けるのではないか」と心配になるケースもあります。

この記事では、こうした疑問に答えるため、労災申請による会社からの評価やボーナスへの影響について解説し、万一労災を理由に不当な対応を受けた場合の対策も紹介します。公的機関や専門家の情報を引用しつつ、労災申請は労働者の正当な権利であり、適切に行えば評価や待遇を不当に下げられることはないことを確認していきましょう。

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労災申請で会社の評価は下がる?

労災保険の申請を理由に会社から評価を下げられることは原則ありません。 労災(労働災害)保険を利用することは労働者に認められた正当な権利であり、会社はその請求を妨げたり、それを理由に人事評価を下げたりしてはならないと法律でも定められています。

つまり、「仕事中にケガをしたので労災申請をした」という正当な行為を理由に社員の評価を低くするのは違法な不利益扱いにあたります。

では、なぜ「労災申請をすると評価が下がるのでは」と不安を抱く人がいるのでしょうか。背景には、労災申請を会社側が嫌がるケースがあるためです。会社によっては労災事故の発生を従業員の自己責任にしたり、労災を使わず健康保険で処理させようとする例も見られます。

その結果、「労災を申請すると職場で肩身が狭くなる」「上司からマイナス評価される」と感じる雰囲気が生まれることがあります。しかし本来、労災申請を行ったことで社員を嫌がらせしたり評価を落とすこと自体、法律で明確に禁止されています。もし労災申請を理由に明らかに評価を下げられた場合、それは不当な処分として争うことも可能です。

重要なのは、労災申請をためらう必要は全くないということです。労災保険は労働者の権利であり、安心して治療や補償を受けるための制度です。会社の評価よりも自身の健康と正当な権利行使が優先されるべきであり、もし会社側が評価を盾に圧力をかけてくるような場合は、後述する対策を講じて然るべき対応を取りましょう。

労災申請でボーナスが減る可能性はあるのか?

労災を申請したこと自体が理由で会社の賞与(ボーナス)が減額されることはありません。 労災保険を使ったからといって、それだけで会社から支給されるボーナスが減るような取り扱いは認められていません。労災による補償は法律に基づくものであり、企業が「労災を使った罰」として賞与をカットすることは許されないからです。

しかし一方で、労災により仕事を休んだ期間が発生した場合には注意が必要です。多くの企業ではボーナス支給額に勤怠(出勤日数や出勤率)が影響する仕組みを採っています。

そのため、労災で療養のために長期間休業すると、勤務日数の不足により賞与支給額が減少する可能性があります。これは労災申請の有無ではなく、欠勤期間に応じたボーナス算定ルールによるものです。たとえば「一定期間に出勤率○%以上」などの社内規定を満たせない場合、規定通りボーナスが減ってしまうケースがあり得ます。

では、労災で休業した結果ボーナスが減ってしまった場合、泣き寝入りするしかないのでしょうか? 

実は、いわゆる「ボーナス特別支給金」と言われる仕組みによって、労災による休業で会社からの賞与が減額された場合にその減額分を補填してもらえることがあります。

ボーナス特別支給金とは、労災事故発生前の賞与(特別給与)額を基準として支給される特別な給付金で、社会復帰促進等事業の一環として労災保険から上乗せ支給されるものです。簡単に言えば、「労災で休んだせいでボーナスが減った」という場合に、その減った分を公的にカバーしてもらえる可能性があるということです。

したがって、労災だからといってボーナスを諦める必要はありません。労災申請をためらって無理に出勤を続け、症状を悪化させるほうがリスクが高いですし、労災を正しく利用すれば治療に専念できる上に経済的補償も受けられます。

万一、休業による会社からの賞与減額があっても上記のような救済措置がありますので、適切に手続きを進めることが大切です。困ったときは労働基準監督署や労災保険の窓口で相談し、必要な給付金の申請も漏れなく行いましょう。

労災を契機に会社側から不当な対応を受けたときの対策

労災申請後に会社から不当な扱いを受けた場合、一人で泣き寝入りせず適切に対処することが重要です。ここでは、労災を契機とした不当な対応への主な対策を3つ説明します。 労災申請をしたことで嫌がらせを受けたり、明らかに不利益な配置転換・降格などが行われた場合、それ自体が法律違反であるため毅然とした対応が必要です。以下に、そうした状況で取るべき具体的な対策を順に解説します。

対策1:労働基準監督署に相談する

会社からの不当な扱いを受けたら、まずは公的機関である労働基準監督署に相談しましょう。 労働基準監督署(労基署)は労災保険給付の申請窓口であると同時に、労働者からの相談にも対応してくれます。

もし会社が労災申請に非協力的であったり、労災を隠そうとするような動きがある場合には、所轄の労基署に事情を説明してください。労基署は労働者の申告に基づき会社に対する指導や調査を行う権限を持っており、必要に応じて適切な是正勧告を出すこともできます。これは、労災申請をした労働者の権利を守る上で非常に有効な手段です。

具体的には、労基署に相談すると労災に関する法律違反の有無を調べてもらえたり、会社に対して安全管理体制の見直し指導がなされることがあります。たとえば、「労災申請を理由に評価を下げられた」「労災なのに会社が届け出をしてくれない」といった場合、労基署が会社へ事情を聞き取り、必要な改善を促してくれる可能性があります。労基署への相談は無料で行えますし、匿名で相談できる窓口もあります。また、厚生労働省のウェブサイトでは全国の労働基準監督署の所在地や連絡先が公開されていますので、自分の勤務先の所在地を管轄する労基署を調べて早めに相談しましょう。

対策2:労働問題に詳しい弁護士に相談する

会社との交渉が難航しそうな場合や、慰謝料・損害賠償の請求も検討している場合は、弁護士など労働問題の専門家に相談することをおすすめします。 弁護士であれば、労災に関する法律の専門知識に基づいて会社側の行為が違法かどうかを判断し、必要ならば法的措置を取るサポートをしてくれます。

特に、会社に対して慰謝料や賠償金を請求したい場合や、人事評価の撤回・復職などを求めたい場合には、専門的な交渉力が必要になります。労災に関するトラブルは感情的になりやすい問題ですが、弁護士が間に入ることで冷静かつ法的に適切な対応が期待できます。

例えば、「労災申請後に不当に降格させられたので元の地位に戻してほしい」「ハラスメントによる精神的苦痛の慰謝料を請求したい」などの場合、弁護士が代理人となって会社と交渉したり、必要に応じて裁判手続きを進めてくれます。費用面が心配な方もいるかもしれませんが、各地の弁護士会や法テラス(日本司法支援センター)では労働問題に関する無料相談窓口も用意されています。早めに専門家へ相談すれば、会社側の不当な対応への適切な反撃策が明確になりますし、精神的な負担も軽減できるでしょう。

まとめ:一人で抱え込まずに労災の専門家に相談しよう

労災によるケガや病気に遭ったとき、「会社に迷惑をかけるかも」「評価が下がったらどうしよう」と思い悩むかもしれません。しかし、労災保険を使うのは労働者の当然の権利であり、適切に申請すれば治療費や休業補償など手厚いサポートを受けられます。

万一、会社側から不当な扱いを受けても法律で守られていますし、しかるべき対処法があります。本記事で解説したように、労災申請で評価が下がったりボーナスが奪われる心配は基本的に不要です。不安なときこそ一人で抱え込まず、信頼できる専門家や公的機関に相談しましょう。

労災問題に強い弁護士や社労士、労働基準監督署などは労働者からの相談を日々受け付けています。実際、労災の代表的な相談先としては労働基準監督署と弁護士の2つが挙げられ、いずれも労災に関する申請手続きや会社への対応方法について専門的なアドバイスを提供してくれます。

労災問題を放置すると、本来受け取れるはずの補償が受け取れなかったり、会社との関係がさらに悪化したりする恐れもあります。そうなる前に、公的機関や専門家の力を借りて早めに解決を図ることが大切です。

「一人で悩まずに、労災の専門家に相談する」――これが、労災による不安やトラブルを解消するための最後のまとめのメッセージです。労災は労働者の皆さんの権利ですから、適切に活用し、安全に働ける職場環境を守っていきましょう。何か問題が起これば遠慮せず専門窓口に相談し、安心して治療と職場復帰に専念してください。

  • この記事を書いた人

笹野 皓平

弁護士法人ブライト パートナー弁護士: あなた自身や周りの方々がよりよい人生を歩んでいくために、また、公正な社会を実現するために、法の専門家としてサポートできることを日々嬉しく感じています。

本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
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開 業 平成21年(代表弁護士独立開業)
設 立 平成24年11月設立、平成27年1月に法人化
所在地 〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎2丁目6番6号 コウヅキキャピタルウエスト12階
TEL 0120-931-501(受付時間9:00~18:00)
FAX 06-6366-8771
事業内容 法人向け(法律顧問・顧問サービス、経営権紛争、M&A・事業承継、私的整理・破産・民事再生等、契約交渉・契約書作成等、売掛金等の債権保全・回収、経営相談、訴訟等の裁判手続対応、従業員等に関する対応、IT関連のご相談、不動産を巡るトラブルなど)、個人向け(交通事故・労災事故を中心とした損害賠償請求事件、債務整理・破産・再生等、相続、離婚・財産分与等、財産管理等に関する対応、不動産の明渡し等を巡る問題など)

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