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商品やサービスに対する不安や不満を抱えた人と提供者側の企業が、解決方法を探るために重要なクレーム対応。しかし、重要だとわかっていても、「適切な対応方法がわからない」「企業としてどう解決するべきか知りたい」などの悩みを抱える方もいるでしょう。本記事では、クレーム対応の初動で大切なことや確認したい項目とあわせて、ケースごとや再発防止に向けて企業が取るべき対応などを紹介します。
クレームは、顧客の期待に対して商品やサービスの質、担当者の接遇などが十分でないときに発生します。例えば、「間違った商品が届いた」「接客態度が悪かった」など、クレーム主は商品やサービスに不足や不満を抱えています。こうしたクレームは、生じた不足・不満に対する問題解決や改善を求めている場合がほとんどでしょう。
しかし、中には正当なクレームだけでなく、度を越した対応を要求したり不当な金銭を要求したりするなど、悪意のあるクレームも存在します。企業には、それぞれのクレーム内容を見極めた、適切な対応が必要です。
クレーム対応が遅れると、対応者の業務パフォーマンス低下、時間的・金銭的コストがかかるだけでなく、企業評判や企業価値の低下も考えられます。そのため、クレーム対応は初動が重要です。対応のポイントと合わせて、対応時に確認したい項目を解説します。
クレームの初動対応で押さえておくべき項目
①起きた事象を正確かつ具体的に確認する ②クレームに対して限定的に謝罪する ③相手が望んでいる対応を確認する |
まずは、顧客が主張する事象を具体的に確認します。不満を抱えるきっかけとなった「実際に起きたこと」を正確に確認できるよう、事実やクレームに至った経緯を聞き出しましょう。一通り事情を確認したのち、顧客が話す内容に不明確なものがあれば明確になるよう確認をし、不足する情報があれば質問をして追加で情報をもらいます。ここで得た情報が正確でない、曖昧であるという場合には、後で適切な対応ができません。また、相手の勘違いがあれば、正しい情報を提供することもあるでしょう。ただ、最初から否定するのではなく、顧客の話をじっくり聞きましょう。
その際、「その責任は自社にあるか」も見極めながら話を聴くことが重要です。
話を傾聴して相手の話を遮らないことを心がけましょう。相手の心情に共感する言葉や相づちを意識して、質問を交えながら事実確認を行うことが大切です。詳細を確認することで、相手の「聴いてくれている」という安心感につながり、相手の怒りを沈める効果も期待できます。 |
相手に不快感を抱かせていることに関して限定的に謝罪します。この時点では、会社に非があるかどうかにかかわらず、不満や不快感など相手が感じた気持ちを受け止めることが重要です。一方で、正確な事実が把握できていない時点で、会社の非を認めるような謝罪は適切ではありません。「クレームを入れる手間を取らせてしまったこと」「不安にさせてしまったこと」を理解し、まずは「企業側の聴く姿勢」を示しましょう。
この時点では、自社に非があるのかや不当な要求かなどは把握できないため、顧客の主張に対し全面的に非を認めることは避けるのが賢明です。 顧客の中には、最初の一言から声や態度を大きく伝えてくる人もいるでしょう。しかし、相手の言葉遣いが乱暴だからといって、悪質なクレーマーだとは限りません。相手の主張を傾聴する姿勢や共感の言葉を用いながら、丁寧な対応を心がけましょう。 |
事象が確認できたら、相手がどのような対応を望んでいるのかを確認しましょう。例えば、「間違った商品が届いた」ことに対して顧客が求める対応は、「頼んだ商品と交換してほしい」「返金してほしい」「商品はそのまま使うから、値引きをしてほしい」と商品そのものに関する希望がある人や、「謝罪をしてほしい」「二度と同じようなことが起こらないようにしてほしい」など人によってさまざまです。相手が望む対応を把握し、どのように対応するべきか社内で検討しましょう。
クレームが発生した場合、企業ではどのような対応を取るべきなのでしょうか。
初動対応でクレームの内容を確認したのち、必要な対応を検討します。このとき、商品やサービスに落ち度があったなど、企業側に非があると判断した場合は、相手の意向も踏まえた対応を行いましょう。例えば、商品の交換に応じる、改めて会社の非を詫びる、などの対応が考えられます。
一方、自社に非がないと判断できる場合は、安易に謝罪せず、相手の誤解を解くよう丁寧に説明を行いましょう。この際は、相手の心情を考えて言葉選びを慎重に行うことが大切です。相手に配慮しつつ、自社では対応できない旨を理由とあわせて伝えます。二次クレームに発展することを避けるため、「相手が悪い」「自社は何も悪くない」のような内容の発言は避けるのが望ましいです。
相手が返金を求めている場合は、自社の「法的な返金義務」の有無を見極め、返金の必要があるかを確認することが重要です。クーリング・オフが適用されるなど返金義務がある場合もあるため、企業側の適切な判断が必要となります。ここで判断を誤ると、法令に反してしまい企業側に処分が科せられる可能性もあります。現場で即座に判断することは避けるよう、対応手順について予め周知しておくことが望ましいでしょう。
万が一、返金の必要がないにもかかわらず約束をしてしまった場合、後に気づいて取り消すと、さらに問題がもつれるリスクも考えられます。「契約上や法令上の義務があるのか」「相手の納得が得られない」など自社で判断が難しい場合も多いため、あらかじめ弁護士へ相談できる環境を整えておくことをおすすめします。
要求の内容が妥当性を欠く場合や、要求を実現させるための手段・態様が一般的な常識に不相当である場合は、早い段階で理由とともに「お受けすることはできません」とはっきり断りを入れることが大切です。条文や裁判例など法律上の理由を添えると、より伝えやすく、相手からも納得を得られやすいでしょう。不当要求の対応は、必ず複数名で行い、責任者が対応に当たるのが望ましいです。
要求の内容によっては、カスタマーハラスメントとなる可能性もあります。不当要求だと感じた際には、早めに弁護士など第三者を介入させることが重要です。また、従業員の身に危険があると判断した場合には、すぐに警察に通報するなどして従業員を守るための対応を優先しましょう。
クレームに対応するシーンは、対面での場合や電話の場合などさまざまです。対応の仕方によっては、相手をさらに怒らせてしまうことやカスタマーハラスメントに発展してしまうことも考えられます。「対面」「電話」「メール」といったケースごとに、留意するポイントを企業内で周知しておきましょう。
クレームの内容や相手の心情を理解しやすい反面、仕草や態度を含めその場での対応の誠実さが最も試されるのが対面でのクレーム対応です。クレーム対応者が感情的になったり、動揺してしまったりすると、相手の怒りを助長してしまうこともあります。
個室に招いて2人以上で話すなど、時間や人、場所を変えて対応することが大切です。相手が不快に感じないよう、専門用語は使わないなど言葉遣いには注意しましょう。
電話でのクレームは、基本的に受け取った人が責任をもって対応をしましょう。担当者が何度も変わると「たらい回しにされた」と感じる場合があります。
また、お互いの認識が揃うようメモや録音に残すことで、誤解や齟齬の発生を防ぎましょう。あらかじめ録音をしていることを伝えると、相手の過剰な暴言や感情的な態度を防ぐとともに、のちに録音していた旨を知ったことで起こる二次クレームを避けることにつながります。
メールでのクレームは、対面や電話でのやりとりのように表情や声のトーンから相手の様子や感情を伺い知ることが難しいといえます。また、質問を繰り返しながらクレームの核心や意図を理解することが難しいため、誤解が生まれやすいのも特徴です。また、対応は文面として残るため、会社側の対応を相手が不適切だと感じた場合には、メールの内容をSNSで拡散するなど、会社全体が非難の的となる場合もあります。
そこで、「対応メールに不備がないかを複数人でチェックする」「電話や現場に向かうなど直接的な対応を行う」などして、丁寧かつ迅速な対応を心がけましょう。
どのケースであれ、早めに専門家に相談することで適切な対応へとつながるでしょう。
クレームは、新たな視点を得る機会や業務改善につながるヒントが得られる場合もあります。商品やサービスが発展する貴重な意見として受け止め、再発防止に向けて取り組みましょう。では、企業はどのような対策を取るべきでしょうか。
まずは、クレーム内容を社内で共有しましょう。クレーム内容の原因の元をたどると、同様のケースが部署内では何度か発生していたものの、表面化していなかったという場合もあります。「どこに原因があって、クレームが再発しないためにはどのような方法を取るべきか」を探り、具体的な原因・再発防止策を社内で共有して共通理解を図りましょう。
また、発生したクレームはその都度記録し、社内のデータベースとして皆が活用できる状態にしておくことが大切です。クレームの傾向を把握し、データやノウハウを蓄積することで、よりよい商品やサービスの展開につなげましょう。
社内の教育体制を見直すことも重要です。そもそもクレームを発生させないためには、従業員一人ひとりが日頃から自社の商品やサービスに関する正しい知識を持ち、間違った内容を発信しないように教育しておくことが大切でしょう。「自らの振る舞いや業務に対する姿勢がクレームにつながるかもしれない」という当事者意識を育てることで、クレームに発展する事態の減少につながります。
しかし、「どのような接客が適切か」や「どこから法に触れるのか」など、適切な研修内容を整備するのが難しい場合もあるでしょう。あらかじめ、研修内容などを弁護士に相談することで、社内の教育体制をより充実させるのに効果的です。
顧客が不満や不快を感じる点は一人ひとり異なりますが、商品やサービス・業種などによって、起こりやすいクレームのパターンがあります。予測できるクレームは、あらかじめ対応をマニュアル化しましょう。
企業内の考え方や対応方針を統一しておくことで、社内での対応方法の共通理解が図れるため、対応にムラが生じるのを防ぎます。また、火種が小さいうちに正しく対応することが、二次クレームの防止にも役立ちます。
クレーム対応で重要なのは、初動を適切に行うことです。その際、相手の気持ちを受け止めることや、事実・原因を正確に理解するといった基本的なポイントを押さえた対応を誰もが行えるようにしておくことも必要でしょう。クレームに適切に対応したいと考える企業では、本記事を参考に、基本対応のマニュアル化や再発防止策の周知徹底などを通じて、スムーズな対応へとつなげてみてはいかがでしょうか。
また、誤った対応とならないよう、早めに弁護士に相談することは大切です。第三者である、かつ専門的な知識をもつ弁護士が間に入ることで、迅速な解決につながります。弁護士法人ブライトが展開する、「みんなの法務部」では、法務部や顧問弁護士をもたない企業でも相談・解決が行えるリーガルサービスを提供しています。法律に基づいた解決はもちろん、「サービスの事前相談」「対応フローの形成」「従業員研修」など、クレームの未然の防止に効果的な、伴走型のサービスも行っているのが特徴です。より初期段階からクレームの芽を摘み、適切なクレーム対応を行いたいと考える企業では、ぜひ登録してみてはいかがでしょうか。
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