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労災とは
労災(労働災害)とは、労働者(従業員だけでなくアルバイト、パートなども含む。)の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいいます(労働安全衛生法2条1号)。
典型的な労災(労働災害)としては、建設現場で高所作業中に転落して足を骨折した、工場内の機械に指を挟まれて怪我をした、というようなケースが挙げられます。
最近はこうした身体的に怪我をしたケースだけではなく、職場における過重労働によって脳・心臓疾患を発症したケースやセクハラ・パワハラなどの心理的負荷によって精神疾患を発症したというケースも労災として認められる場合があります。
労働災害には、「業務災害」と「通勤災害」があり、いずれかと認められれば労災保険の支給を受けることができます。
業務災害
「業務災害」とは、業務上の負傷、疾病、障害または死亡をいいます。
「業務上」生じたものとは、
- 業務遂行性 :会社(事業主)の支配ないし管理下にあったか
- 業務起因性 :業務と傷病等との間に一定の因果関係があるか
が認められる場合です。
たとえば、建設現場での高所作業中に、足場から転落して負傷したケースやプレス機を使用したプレス加工中にプレス機に指を挟まれて負傷したケースなどです。
一方で、労働者が就業中に私的行為を行い、または業務を逸脱する恣意的行為をして、それが原因となって災害を被ったケースや労働者が故意に災害を発生させたケースは業務災害とは認められません。
通勤災害
「通勤災害」とは、通勤による負傷、疾病、障害または死亡をいいます。
この場合の「通勤」とは、就業に関し、住居と就業場所との間の往復、就業場所から他の就業場所ヘの移動、単身赴任先住居と帰省先住居との間の移動を合理的経路及び方法で往復することをいい、業務の性質を有するものを除くものをいいます。
たとえば、最寄り駅のホームで転倒して怪我をした場合や営業先に移動中に怪我をした場合などです。
ただし、合理的な通勤経路から逸脱・中断の間及びその後の往復、たとえば、帰宅途中に飲食店で飲食をした場合、飲食店から帰宅する間に怪我をしても、「通勤」となりませんので、通勤災害とは認められません。
労災として認められるケース
業務上の労災といえるためには、業務遂行性、業務起因性が認められる必要があります。
業務災害と認められる例
足場や屋根から転落して怪我をした
機械を使用した作業中に手や指を機械に挟まれて負傷した
通勤災害と認められる例
バイクや自転車で通勤中に転倒して怪我をした
関連記事:「労災認定を受けるポイントを弁護士が解説」もご確認ください。
労災として認められないケース
- 労働者が就業中に私的行為を行い、または業務を逸脱する恣意的行為をして、それが原因となって災害を被ったケース
- 労働者が故意に災害を発生させたケース
などは、業務災害とは認められません。
業務遂行性と業務起因性について
業務遂行性とは
会社(事業主)の支配ないし管理下にあったこと。
所定労働時間内、残業時間内に、事業場施設内で被災した労働者の業務としての行為によって発生したものは、特段の事情がない限り、業務災害と認められます。
しかし、休憩時間や就業前後に、労働者の私的な行為によって発生した災害は、業務起因性が認められず、業務災害とは認められません。
業務起因性とは
業務と傷病等との間に一定の因果関係があるか、つまり業務に含まれる危険が現実化したか。
業務に従事している際の災害については、一般に業務上の災害と認定されます。
よく業務起因性が問題となるのは、うつ病や過労死などで、このような疾病と業務との関連性を考えるにあたっては、労働者の労働時間や業務の性質など様々な事情を考慮し、労働者の日頃の習慣、体質、性格等の個人的素因も加味して判断されることになります。
労災が起こったらどうすればいいか
「労働災害」(労災)が起きたら、「労災保険制度」を利用することが考えられます。「労災保険制度」は、労働者の業務上の事由又は通勤による労働者の傷病等に対して必要な保険給付を行い、あわせて被災労働者の社会復帰の促進等の事業を行う制度です。
労働者とは、職業の種類を問わず、事業に使用される者で賃金を支払われる者であって、アルバイトやパートタイマー等の雇用形態は関係ありませんので、労災が起こったらまずは事業主に報告し、労災保険の申請を行いましょう。
関連記事:「労働保険とは?受けられる補償や受ける方法を解説」
「労災の申請方法や必要書類を弁護士が解説」
労災保険から受けられる補償
療養(補償)給付
治療にかかった費用の補償
休業(補償)給付
療養のために休業した場合の賃金の補償
→詳細は「労災保険の休業補償の支給期間や支給額について解説」のページへ
傷病(補償)給付
治療開始から1年半以上が経過しても治ゆせず、障害の程度が一定程度重度の場合に休業(補償)給付から切り替わって支払われる
障害(補償)給付
怪我や病気が治ゆしたあと、一定の障害が残っている場合の補償
関連記事「労災で後遺障害が残った場合の補償を解説」
「労災で後遺障害等級認定を受ける方法と受けられる補償を解説」
介護(補償)給付
障害補償年金を受給する場合で、常時介護または随時介護を要する状態にあって、実際にその労働者が常時介護または随時介護を受けている場合の補償
遺族(補償)給付
労働者が死亡したときに、労働者の配偶者、子、父母などのうち、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた者に対して支給される。
葬祭料
労働者が業務上死亡したときに、葬祭を行う者に支給される。
労災が起こった時の会社の責任
労災が起こった場合、事業主は労災保険の申請に一定の協力をしなければなりません(労働者災害補償法施行規則23条1項)。また、事業主は遅滞なく、労働基準監督署長に労働者死傷病報告を提出(休業4日以上の場合)する必要があります。
また、事業主として刑事責任、民事責任、行政上の責任を負う可能性があります。
刑事責任
安全衛生法違反の罪や業務上致死傷罪に問われる可能性があります。
民事責任
労災により労働者が被った損害(特に、労災保険給付で填補されない慰謝料など)について、賠償責任を追及される可能性があります。
行政上の責任
労働基準監督署から是正勧告等の行政処分を受ける場合もあります。
労災被害者が弁護士に相談するメリット
労災保険の申請ができていないケース、また、仮に労災の認定を受けたケースでも、労災保険だけでは労災被害にあった労働者の元の生活水準を回復することすらままならないケースが多くあります。
そこで、労災保険制度の利用が妨害等された場合でも、また、労災保険だけでは足りない元の生活水準を回復すべく、弁護士に相談の上、弁護士を通じて、労災保険の申請を進めたり、労災保険だけでは不足する損害の賠償を事業主等に求めたりしていくことが望ましいです。
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