家族を突然、交通事故で亡くされた——この混乱の中で、「これから何をすればいいのか」「いつ弁護士に相談すればいいのか」が分からないご遺族は少なくありません。
この記事では、事故発生当日から解決(示談成立・判決)まで、遺族がやるべきこと・弁護士がサポートすることを時系列フェーズ別に整理します。弁護士法人ブライトが実際に受任した複数の死亡事案から、つまずきやすいポイントも具体例で紹介します。
結論からお伝えすると、解決までの期間は平均1年半〜2年半、フェーズは大きく8つに分かれます。急がなくてよい場面と、急いだ方がよい場面があります。
この記事でわかること
- 事故発生当日〜初動期(1週間)に遺族がやるべきこと
- 葬儀〜四十九日の期間に弁護士相談を「急がなくてよい」理由
- 刑事手続(実況見分調書の取寄せ・被害者参加制度)への対応
- 相続手続の特殊ルール(全員揃わないと弁護士相談できない)
- 示談か訴訟かの判断基準(遅延損害金+弁護士費用10%の上乗せ)
- 解決までの期間感・受領後の税務(相続税・所得税とも非課税)
この記事のポイント
- 葬儀期間中は弁護士相談を急がなくてよい——落ち着いてから初回相談が標準
- 損害賠償請求権は遺産分割協議を経ずに法定相続分で自動承継される
- 示談より訴訟のほうが遅延損害金(年3%)+弁護士費用10%上乗せで増額になるケース多数
お問い合わせ、相談は無料です
(※お電話での受付は平日9:00~18:00となっております、それ以外の時間はメールやLINEでのお問い合わせをお願いします。また、お問い合わせいただいた事案について、SMSで回答させていただく場合がございますので、予めご了承ください。)

📘 ご遺族の方へ|遺族向け総合ガイド(事故から3日/1週間/1ヶ月の緊急度別対応・解決事例8,400万円) もご覧ください。
【フェーズ①】事故発生当日〜3日:警察・医療対応
事故発生直後は、ご遺族は精神的ショックの中で警察・医療機関・加害者側からの連絡に対応しなければなりません。まずは落ち着いて以下の対応を進めてください。
警察・実況見分への対応
人身事故の場合、警察が実況見分を行い、調書を作成します。ご遺族は信号の色・車両の位置関係など重要な事実確認を求められることがあります。ここでの供述は、のちの過失割合・損害賠償にも影響するため、記憶があいまいな点は「不明」と答える勇気も大切です。
実際に弁護士法人ブライトが扱った事案では、被害者が入院中で意識が戻らないため実況見分が保留になり、後日遺族が立ち会うケースもあります。警察から「信号の色はどうでしたか?」と誘導的に聞かれた例もあり、慎重な対応が必要です。
病院・死亡診断書の取得
病院からは死亡診断書が発行されます。これは死亡届・相続・保険請求すべてに必要な重要書類で、複数部(原本5〜10部程度)取得しておくのが実務上の鉄則です。
注意点として、入院中の治療費が自由診療扱いになっていたことで、結果的に健康保険の3〜5倍の金額になっていた事案があります。早期に弁護士が介入することで健康保険への切替交渉が可能です。
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【フェーズ②】葬儀〜四十九日:相談を急がなくてよい時期
通夜・葬儀の期間は、ご遺族が精神的に最も苦しい時期です。弁護士法人ブライトでは、この期間中はお電話を避け、四十九日明けまで待って折り返し架電するよう配慮しています。
葬儀費用の領収書は必ず保管してください。裁判基準では原則150万円まで葬儀関連費用として損害賠償に含めることができます(仏壇購入費・墓石購入費も一定範囲で認められる)。
実際の解決事例では、事故から1週間〜2週間以内に初回相談というケースが多く、その後の委任契約・受任通知発送は葬儀が落ち着いてから進めます。急ぐ必要はありません。
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【フェーズ③】初動期(1〜4週間):弁護士相談と委任契約
弁護士費用特約(弁特)の確認
最初にやるべきは弁護士費用特約の有無確認です。ご自身の自動車保険だけでなく、以下も確認してください。
- 被害者本人の自動車保険
- 配偶者・同居家族の自動車保険
- 別居の未婚の子の自動車保険
- 火災保険・クレジットカード付帯の個人賠償特約
実案件では、1契約あれば300万円、2契約あれば最大600万円まで弁護士費用を保険でカバーできる事例があります(JA共済の場合、2契約の合算可能と明記)。自賠責差引後の金額で弁特枠を計算する実務ポイントもあります。
委任契約までに準備する書類
委任契約の段階で必要になる書類は以下の通りです。
- 委任契約書・委任状(弁護士作成)
- 相続人全員の印鑑登録証明書・戸籍謄本
- 本人確認書類(運転免許証等)
- 支払口座指示書
- 交通事故証明書・死亡診断書(複数部)
特に死亡事案では相続人全員の委任が必要となり、相続人が複数いる場合は全員揃わないと手続きが進みません(後述)。
自賠責仮渡金・被害者請求の先行活用
葬儀費用・治療費の立替負担が重いケースでは、自賠責保険への仮渡金請求(死亡の場合290万円)を先行させることが可能です。弁護士受任後、保険会社との示談成立を待たずに部分的な資金回収ができます。
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【フェーズ④】刑事手続への対応
実況見分調書・供述調書の取寄せ
刑事手続が進むと、加害者は起訴(正式起訴 or 略式起訴)または不起訴となります。弁護士は検察庁に対して実況見分調書・供述調書の謄写(コピー取得)申請を行い、民事訴訟の証拠として活用します。
これらの刑事記録は、過失割合の立証で極めて重要です。ご遺族個人での取寄せは困難ですが、弁護士であればスムーズに入手できます。
被害者参加制度の活用
刑事裁判において、ご遺族は被害者参加制度を利用して法廷で意見陳述・加害者への質問が可能です。実案件では、弁護士が警察担当官に事前挨拶電話をし、ご遺族の聴取前の心理的負担を軽減したケースがあります。
また、警察から遺族へ「示談についての考えを書面で」との依頼があった際、弁護士が回答案を起案する(例:「示談は弁護士に一任。過失なき被害者を死亡させた加害者への厳罰を希望」)のも実務的な対応です。
加害者からの別枠示談金
刑事裁判の情状酌量のため、加害者から損害賠償とは別に100〜300万円程度の示談金が申し出られることがあります。この金額は損害賠償本体とは別枠のため、条件次第で受領すべきケースが多いですが、条項は弁護士にチェックしてもらってください。
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【フェーズ⑤】相続手続:全員揃わないと弁護士相談できない
相続人の確定と戸籍収集
ご遺族(相談者)お一人だけで弁護士相談を始められないのが、交通事故死亡事案の特殊ルールです。損害賠償請求権は相続人全員に法定相続分で承継されるため、相続人全員の同意・委任が原則必要になります。
そのため、最初に被害者の出生から死亡までの戸籍一式を取り寄せて相続人を確定させます。前妻の子・認知子・養子の有無も、この段階で判明します。
ある実案件では、相続人間で意見が対立しているため、弁護士職務基本規定上の利益相反で相談自体を一度キャンセルする対応をとったケースがあります。娘婿が交渉に口を出して揉めていたため、まず家族内で相続関係を整理してもらう必要があったのです。
損害賠償請求権は遺産分割協議を経ずに自動承継
よくある誤解ですが、損害賠償請求権は遺産分割協議を経ずに、相続開始と同時に法定相続分通りに分割承継されます。つまり、配偶者1/2・子ども1/4ずつといった形で、自動的に各相続人が自分の分を請求できる権利を持ちます。
ただし、保険会社との交渉・訴訟対応は相続人全員が一致して進めた方が効率的なため、実務上はまとめて委任を受けるのが通例です。
前妻の子・離婚した配偶者がいる場合
被害者が再婚している場合、前妻(前夫)との子も法定相続人となり、賠償金の分配対象になります。実案件では、お母様が他の相続人から損害賠償請求権を債権譲渡で譲り受けて一人に集約した事案や、離婚した元配偶者に対して訴訟告知(近親者固有慰謝料の関係で)を実施した事案があります。
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【フェーズ⑥】損害賠償交渉の開始
相続人の委任が整ったら、弁護士が保険会社に受任通知を送付し、示談交渉が始まります。主な流れは以下の通りです。
- 弁護士から相手方保険会社へ受任通知FAX/郵送
- 保険会社から初期提示額の取得(任意保険基準の低めの金額)
- 自賠責保険への被害者請求の可否判断(事前認定 or 被害者請求)
- 健康保険切替の交渉(自由診療扱いだった場合)
- 逸失利益・慰謝料・葬儀費用・近親者固有慰謝料の計算
この段階で保険会社から提示される金額は、裁判基準より1,000万〜3,000万円低いことが珍しくありません。安易にサインせず、弁護士が裁判基準ベースで計算し直すのが基本です。
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【フェーズ⑦】示談か訴訟か——判断の分岐点
弁護士法人ブライトの実案件で訴訟を選択した判断理由は以下の通りです。
- 遅延損害金(年3%)の上乗せ——事故日から支払日までが加算
- 弁護士費用10%が加害者負担——判決の場合、認容額の10%が上乗せ
- 過失割合の争い——信号色など争点があるとき
- 近親者固有慰謝料——保険会社が認めないケース
- 相手方の提示額が裁判基準の7〜8割未満
訴訟提起のスケジュール感:
- 受任から訴状提出まで:8〜12か月(収入資料・戸籍・協力医意見書などの準備期間)
- 訴訟提起から終結まで:約1年半
実際に和解案を拒否して判決を選択し、遅延損害金+弁護士費用を上乗せした総額約8,400万円で決着した事案があります。示談と判決では手取額が数百万〜1,000万円以上変わることがあります。
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【フェーズ⑧】判決・和解・受領と税務
判決・和解後の振込・分配
判決または訴訟上の和解が成立すると、相手方保険会社から弁護士の預り金口座に一括で振り込まれます。その後、以下のように分配されます。
- 弁護士報酬(成功報酬)・実費
- 共同代理人弁護士(前妻の子側等)への分配
- 依頼者への返金(法定相続分に従って各相続人へ)
実案件では、総額2,445万円の解決で、弁護士報酬460万円超・共同代理人145万円・依頼者返金1,394万円という分配になった事例があります。
賠償金の税務(よくあるQ&A)
Q:賠償金に税金はかかりますか?
A:相続税・所得税ともにかかりません(所得税法施行令30条・相続税法基本通達)。遺族が受け取る慰謝料・逸失利益は非課税です。
Q:小分けに預金した方がよいですか?
A:税務上のメリットはありませんが、ペイオフ(預金保険の1,000万円上限)のリスク分散の観点から分散を推奨するケースはあります。
Q:離婚時の財産分与対象になりますか?
A:特有財産として対象外です。賠償金は被害者の身体・生命への侵害に対する固有の対価のため、夫婦共有財産にはなりません。
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ブライトの実際の解決事例(時系列別)
※守秘義務のため、依頼者属性・事故現場・会社名等は匿名化・一部変更しています。
事例1:20代女性(元保育士)・バイク右直事故——受任10〜12か月で訴状提出、事故から2〜2年半で判決
事故後、被害者は入院中で実況見分が保留。遺族(母)が葬儀後に初回相談。前妻の子との相続関係を債権譲渡で一人に集約し、訴訟で総額約8,400万円の判決取得。和解案を拒否して判決を選択した戦略的判断が功を奏した事例。
事例2:70代女性・青信号横断歩道で衝突——受任から9か月で訴訟提起、訴訟から9か月で和解
事故から7日後、上司の紹介で弁護士にメール相談。相続人は子2名(きょうだい)。警察から依頼された「示談の考えを書面で」に対する回答案を弁護士が起案。JA共済の弁特2契約で合計600万円の枠を確保。最終和解4,700万円。
事例3:60代男性・通勤中歩行者事故(労災認定済)——事故13日後に相談、進行中
通勤災害として労災認定済みの事案。相続人は配偶者・息子・娘の3名で、娘婿が交渉に関与したがり相続人間で対立が発生。弁護士は「利益相反で相談不可」とお断りし、相続人内の意見調整を先行させた。労災+自賠+人身傷害のトリプル調整も進行中。
事例4:58歳男性・自転車vs右折車(受任から約2年半で解決)
前弁護士との契約を解除して切替受任。事故時から見れば10年以上経過した古い案件。労災給付の支払証明願を労基署に申請(年金証書番号不明でも他項目で処理可と交渉)。最終和解金2,000万円+加害者本人からの別途300万円+自賠責145万円=経済的利益2,445万円。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 事故直後、すぐに弁護士に相談すべきですか?
緊急の法的対応(証拠保全・加害者との接触制限)が必要な場合を除き、葬儀・四十九日が落ち着いてからで十分です。ブライトでは通夜・葬儀の時期の電話は避け、ご遺族が落ち着いたタイミングで折り返しご連絡しています。ただし、示談書にサインする前には必ず相談してください。
Q2. 解決まで何年くらいかかりますか?
示談のみで解決する場合は受任から6か月〜1年、訴訟を提起する場合は受任から約2年半が平均です。事案によっては4〜5年かかるケースもあります。
Q3. 相続人が揉めていたら受任できませんか?
相続人間で意見が大きく対立している場合、弁護士職務基本規定の利益相反により、一度に全員を代理することができないケースがあります。その場合、家族内での意見調整を先行させていただくことになります。
Q4. 受け取った賠償金に税金はかかりますか?
相続税・所得税ともにかかりません。賠償金は被害者の身体・生命への侵害に対する固有の対価として非課税とされています。
Q5. 離婚時の財産分与対象になりますか?
なりません。賠償金は被害者(または遺族)の特有財産として扱われ、婚姻中の夫婦共有財産には含まれません。
まとめ
- 解決までの期間は平均1年半〜2年半、フェーズは8つ
- 葬儀期間中は弁護士相談を急がなくてよい——落ち着いてから初回相談が標準
- 相続人全員の委任が必要(全員揃わないと弁護士相談できないルール)
- 損害賠償請求権は遺産分割協議を経ずに法定相続分で自動承継
- 示談より訴訟のほうが遅延損害金+弁護士費用10%の上乗せで増額余地あり
- 受領後の賠償金は相続税・所得税ともに非課税
この記事の監修者
笹野 皓平(ささの こうへい)
弁護士法人ブライト|パートナー弁護士
大阪弁護士会(2011年登録)|京都大学法学部卒・立命館法科大学院修了
専門:交通事故・労災事故・会社関係争訟・M&A・事業再生
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