「私は青信号で走っていたのに、なぜ過失が2割もあるのか」——保険会社から提示される過失割合に納得できないケースは非常に多くあります。
過失割合が1割変わるだけで、最終賠償額が100万〜1,000万円以上変わることもあります。『別冊判例タイムズ38号』という実務本をベースに、弁護士は過失割合を争います。
この記事でわかること
- 過失割合の認定基準と「別冊判例タイムズ」の使い方
- 基本的な類型(追突・右直・信号・交差点)の過失割合
- 修正要素(速度違反・通行禁止違反・著しい前方不注視等)
- ドラレコ・実況見分調書・目撃者証言の活用
- 過失割合交渉で保険会社に主張すべきポイント
- 納得いかない場合の訴訟提起・調停活用
この記事のポイント
- 過失割合は法律ではなく「判例の集積」——交渉の余地が大きい
- ドラレコ映像の有無が交渉の結果を大きく左右
- 修正要素を主張することで5〜10%の過失割合変更が可能
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別冊判例タイムズ38号とは
過失割合の認定基準として、実務で最も使われるのが『別冊判例タイムズ38号』(東京地裁民事交通訴訟研究会編)です。約300の事故類型ごとに、基本過失割合と修正要素が詳細に定められています。
保険会社も弁護士も裁判所もこの本をベースに過失割合を議論します。適切な類型を見つけ、修正要素を主張することで過失割合は動きます。
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主な事故類型の基本過失割合
- 追突事故:追突側100:被追突0(被害者に過失なし)
- 直進車と右折車の事故:直進20:右折80(青信号同士の交差点)
- 青信号直進車vs赤信号進入車:青0:赤100
- 横断歩道上の歩行者と車:歩行者0:車100(青信号の場合)
- T字路・合流地点:優先道路の車は低く(10〜30%)
修正要素で過失割合が動く
基本割合に対し、以下の修正要素が加減されます。
- 加害者に不利な要素:著しい前方不注視(+10)、時速15km以上の速度違反(+10〜20)、徐行違反(+10)、酒気帯び(+10〜20)
- 被害者に有利な要素:児童・高齢者(-5〜10)、集団横断(-5)
- 双方の要素:夜間・見通し悪し(±5〜10)
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ドラレコ・実況見分調書の活用
過失割合の交渉で最も強力な証拠はドライブレコーダー映像です。信号の色・速度・進入タイミング・避け動作が客観的に記録されているため、保険会社も反論できません。
ドラレコ映像がない場合、実況見分調書(警察が現場で作成する図面・供述記録)を検察庁から取り寄せます。人身事故扱いになっていると実況見分調書が作成されており、弁護士による謄写申請で入手可能です。
さらに目撃者証言・防犯カメラ映像・携帯電話の位置情報も有力な証拠になります。事故直後からの証拠保全が重要です。
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ブライトの実際の過失割合交渉事例
※守秘義務のため、依頼者属性・事故現場・会社名等は匿名化・一部変更しています。
事例1:バイク右直死亡事故——速度超過30km以上で過失35%が付いた判決
専門学校卒の20代男性がバイク直進中、右折車と衝突し死亡。基本過失は15:85だが、刑事記録の防犯カメラ映像から時速30km超の速度超過が立証され、大阪地裁判例の「30km以上速度超過で20%修正」が適用されて最終過失35%認定。結果として死亡慰謝料2,500万円+逸失利益+近親者固有慰謝料200万円(両親のみ認定・兄弟分は不認定)で判決。マフラー改造も不利要素として考慮された。
事例2:男性薬剤師・非典型事故——自賠責「重過失減額7〜8割」判定を訴訟で無過失主張
交差点外での自転車・歩行者横断絡みの非典型事故。自賠責の過失判断では7〜8割の重過失減額とされたが、ドラレコ映像から相手方の法的責任が明らかなため訴訟で無過失主張。
事例3:右直事故・会社員男性——過失30:70を人傷で実質10:90相当まで回収
右直事故で14級認定。過失30%の減額分を自己加入の人身傷害保険で補填し、実質10:90相当の受領額を確保。人傷保険は過失割合に関係なく治療費・休業損害・慰謝料・逸失利益を補償するため、有過失事案では強力な武器になる。
事例4:工場内場内事故・60代誘導員——過失相殺30%を前提に和解
工場内でトラックに轢かれた事案。場内事故は道路上より過失を取られがちで、誘導員不在・トラック後退時20km超等の相手方不利要素はあったものの過失相殺30%での和解。場内事故の特殊性を踏まえた判断。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 過失割合を争うタイミングは?
保険会社の初回提示時に「この割合には納得できない」と意思表示し、並行して弁護士へ相談するのがベストです。治療中の段階から弁護士が入ることで、有利な証拠を揃えられます。
Q2. ドラレコ映像がない場合の立証は?
実況見分調書・目撃者証言・防犯カメラ・事故現場の写真・スマホのドライブ記録(GPS)など、複数の証拠を組み合わせて立証します。弁護士が証拠収集を主導します。
Q3. 過失割合を争うと時間がかかりますか?
示談交渉で決着しない場合は訴訟になり、6か月〜1年かかることがあります。ただし、過失割合1割の差で賠償額が数百万〜数千万円変わる場合は、訴訟のメリットが上回ります。
Q4. 自分にも過失がある場合、弁護士費用は回収できますか?
訴訟で判決を取った場合、認容額の10%が弁護士費用として加害者負担で上乗せされます。ただし示談の場合はこの上乗せはなく、弁護士費用特約があれば特約から、なければ増額分から差し引きます。
まとめ
- 過失割合は『別冊判例タイムズ38号』の類型をベースに修正要素で争う
- ドラレコ映像・実況見分調書・防犯カメラが強力な証拠
- 1割の過失差で賠償額が100万〜1,000万円以上変わる
- 治療中から弁護士介入することで証拠収集が有利になる
- 納得いかない場合は訴訟・調停も選択肢
この記事の監修者
笹野 皓平(ささの こうへい)
弁護士法人ブライト|パートナー弁護士
大阪弁護士会(2011年登録)|京都大学法学部卒・立命館法科大学院修了
専門:交通事故・労災事故・会社関係争訟・M&A・事業再生
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