「会社から、労災保険の手続きだけ進めるよう言われました。それ以外のことは、どこへ相談すればいいのかわかりません」——当法人に相談にいらした遺族の方から、こうした言葉をよく耳にします。
家族が労災で亡くなったとき、遺族が直面する問題は「手続きの進め方」だけではありません。労災保険の給付だけでは補いきれない慰謝料・逸失利益を、会社に別途請求できる可能性があります。この記事では、遺族が取れる二つの請求経路と、当法人の実案件から見えてきた判断の視点をお伝えします。
- 労災保険の遺族補償給付と、会社への損害賠償請求の違い
- 「持病のせい」「払わない」という会社の主張に対して弁護士が取れる対応
- 当法人が関わった遺族・ご遺族の3つの実案件(解決額レンジ付き)
- 相談すべきタイミングと、時効への備え
(本ページで紹介する解決事例は、依頼者・関係者が特定されないよう抽象化しています。解決額・期間は事案ごとの個別事情により大きく異なり、同様の結果を保証するものではありません。)

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まず知っておきたい:遺族が取れる「二つの請求経路」
家族が労災で亡くなったとき、遺族が受け取れる補償には大きく分けて二つの経路があります。この二つを混同したまま進めてしまうと、本来受け取れるはずの補償を見落とすことがあります。
経路①:労災保険の遺族補償給付(国からの定型補償)
労働基準監督署に遺族補償給付の請求書を提出することで受け取れる、国(労災保険)からの給付です。
| 給付の種類 | 概要 | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 遺族補償年金 | 被災者に生計を維持されていた遺族(配偶者・子・父母等)が対象。遺族の人数・年齢等により受給権の有無・順位が定まる。 | 給付基礎日額の153〜245日分/年(遺族数による) |
| 遺族補償一時金 | 年金を受け取れる遺族がいない場合、または年金受給後に全員が失権した場合に支給。 | 給付基礎日額の1,000日分 |
| 葬祭料 | 葬儀を行った方に支給。 | 給付基礎日額の60日分または31.5万円+30日分のうち高い方 |
これらの給付は国から受け取れる定型の補償ですが、慰謝料は含まれていません。慰謝料・逸失利益の差額分などを受け取るには、経路②が必要になります。
経路②:会社への損害賠償請求(別途・上乗せ補償)
会社に安全配慮義務違反(危険な作業環境の放置・過重労働の強制など)があった場合、労災保険とは別に会社に対して損害賠償を請求できます。
| 請求できる損害項目 | 内容・目安 |
|---|---|
| 死亡慰謝料 | 一家の支柱の場合、裁判基準で2,000〜3,000万円台が目安(事案・年齢・家族構成により大きく変動)。弁護士費用相当分を加算できる場合もある。 |
| 遺族固有の慰謝料 | 配偶者・子・父母それぞれに認められる場合がある。 |
| 逸失利益 | 将来得られなかった収入。年収・年齢・就労可能年数をもとに計算。数百万〜数千万円の開きが出る。 |
| 葬儀費用の実費超過分 | 実費相当額。 |
労災保険の給付を受けた場合、会社への損害賠償金との間で「費目ごとの損益相殺」が行われます(費目拘束)。たとえば、慰謝料は損益相殺の対象外のため、労災保険の給付額とは別に全額請求できます。この計算を正確に行えるかで、最終的に受け取れる総額が変わります。
「労災保険の手続きは進めていますが、会社への請求もできますか?」という方へ
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労災死亡事故で遺族が直面する「三つの困難」と弁護士の役割
多くの解説記事は「手続きの方法」を説明して終わります。しかし遺族の方が実際に直面するのは、手続きの複雑さだけではありません。
困難① 会社が責任を認めない・「持病のせい」と主張する
死亡事故の遺族が最も多く経験する困難のひとつが、会社側の「責任回避」です。「業務が原因ではない」「持病(高血圧・糖尿病など)が主因だ」という主張が出てくることがあります。
これは法的に「素因減額(寄与度減額)」と呼ばれる主張です。被害者に既往症があった場合、損害賠償額を減額しようとする主張です。しかし、過重な業務がその持病を悪化させ、死亡に寄与した事実を立証できれば、素因減額を抑えることができます。
困難② 目撃者がいない・証拠が残っていない
高所作業中の転落事故や、夜間の一人作業中の事故では、目撃者がいないことがあります。こうした場合、会社は「業務との因果関係が不明」として責任を否定しようとすることがあります。
しかし、目撃者がいないことと、業務との因果関係が証明できないことは別です。法医学的鑑定・業務記録・安全設備の記録・タコグラフなど、間接的な証拠を積み重ねることで、「目撃者なし」の状況でも立証が可能になる場合があります。
困難③ 重層下請・複数の会社が絡み、誰に請求すればいいかわからない
建設業などでは、被災者が実際に作業していた会社(直接の雇用主)とは別に、元請・上位下請が存在する重層構造になっていることがあります。直接の雇用主が「払えない・廃業した」という状況でも、元請が現場の安全管理に関与していた事実があれば、元請に対しても安全配慮義務違反を問える場合があります。
【関連記事】労災で会社に損害賠償請求する完全ガイド|弁護士法人ブライト
労災死亡事故で遺族が直面する二つの請求経路(労災認定と民事賠償)
「まず何をすべきか」という問いに対して、当法人が遺族の方に最初にお伝えするのは、「労災認定申請」と「会社への損害賠償請求」は並行して進められる二つの経路があるという点です。
労災認定申請:会社の協力がなくても進められる
労災保険の遺族補償給付の申請は、事業主証明がなくても遺族本人が行うことができます。「会社が証明してくれない」という状況でも、手続き自体は進められます。
また、労災認定を先に取得することには、損害賠償請求における重要な意味があります。「行政機関が業務上の死亡と認定した」という事実は、会社への損害賠償請求において強力な根拠になります。
会社への損害賠償請求:時効に注意し早期に動く
会社への損害賠償請求には時効があります。
- 不法行為に基づく請求(民法724条):損害および加害者を知った時から3年(または不法行為時から20年)
- 安全配慮義務違反(債務不履行)に基づく請求(民法166条1項1号):権利を行使できることを知った時から5年
死亡事故の場合、遺族が事故発生と同時に損害を認識するケースが多く、時効の起算が早くなります。また、時間の経過とともに証拠(現場記録・タコグラフ・業務日報など)が散逸するリスクが高まります。できるだけ早期に弁護士に相談することが重要です。
時効・証拠散逸の前に、まず弁護士に相談を
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当法人が関わった労災死亡・遺族事案の解決事例(3件)
以下は当法人が実際に担当した労災死亡・遺族事案の概要です。それぞれ「会社の主張の核心」「当法人の対応」「結果」が異なります。詳細は各記事をご覧ください。
事例①:「夫の死は持病のせいだ」——ゼロ回答から3,000万円台(約2年5ヶ月)
業務中に高所から転落し死亡した40代男性の遺族(配偶者)の事案です。目撃者がなく、会社は「持病(高血圧)で倒れたのだ」と主張して損害賠償をゼロ回答しました。
当法人は法医学専門家による鑑定を活用し、転落が先行した事実を科学的に立証。会社の「持病が原因」という主張を覆し、訴訟上の和解で3,000万円台の解決に至りました(約2年5ヶ月)。
詳しくは:「夫の死は持病のせいだ」ゼロ回答から3,000万円台へ——遺族が専門家鑑定で転落事故を立証した実話
事例②:「直接雇っていないから払わない」——重層下請・後遺障害7級・3,000万円台(1年4ヶ月)
建設現場で高所足場から墜落し多発骨折・後遺障害7級の認定を受けた30代男性の事案です(死亡案件ではなく重傷後遺障害事案)。直接の雇用主が廃業状態に陥り、元請は「うちは直接雇っていない、払う義務はない」と拒絶しました。
当法人は重層下請構造における元請の安全配慮義務違反を立証し、費目拘束を正確に計算することで数百万円単位の上積みを実現。示談で3,000万円台(別途相手方保険補償金)の解決に至りました(1年4ヶ月)。
詳しくは:元請に「払わない」と拒否された建設作業員が3,000万円台を実現するまで——重層下請と費目拘束の実話
事例③:「持病(高血圧)のせいだ」——過労死・素因減額反論・5,000万円台(2年6ヶ月)
長距離トラック運転手(50代男性)が業務中に急性心筋梗塞で死亡した遺族(配偶者)の事案です。会社は「持病の高血圧が原因」として素因減額を主張し、損害賠償を大幅に抑えようとしました。
当法人はタコグラフ・乗務日報の精査で月100時間超の時間外労働を客観的に立証。過重労働が持病を悪化させた因果関係を証明し、労災認定を先に確定させた上で訴訟を進め、5,000万円台の訴訟上の和解に至りました(2年6ヶ月)。
詳しくは:「持病のせいだ」と素因減額を主張する会社に、タコグラフで反論し5,000万円台へ——過労死遺族の記録
| 論点 | 会社の主張 | 当法人の対応 | 解決額(目安) |
|---|---|---|---|
| 死亡転落・目撃者なし | 「持病で倒れた(ゼロ回答)」 | 法医学専門家鑑定で転落事実を立証 | 3,000万円台(事例①) |
| 重層下請・廃業した雇用主 | 「直接雇用でないから払わない」 | 元請の安全配慮義務違反を追及・費目拘束を正確計算 | 3,000万円台(事例②) |
| 過労死・持病あり | 「持病が原因(素因減額)」 | タコグラフで月100h超の過重労働を立証・素因減額を最小化 | 5,000万円台(事例③) |
解決額は事案ごとの個別事情により大きく異なります。同様の結果を保証するものではありません。
「会社に持病のせいと言われた」「元請に払わないと言われた」という遺族の方へ
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遺族にとって何が変わるか——弁護士関与の Before/After
| Before(弁護士相談前) | After(当法人に依頼後) |
|---|---|
| 「会社から労災保険の手続きだけ進めるよう言われ、それ以上どうすればいいかわからない」 | 労災保険給付と会社への損害賠償請求という二つの経路を整理し、両方の手続きを進めることができる。 |
| 「持病があるから、会社の言う通りにするしかないのかもしれない」と諦めかけている | 「持病が原因」という主張に対して、証拠を積み重ねて反論できるかどうかを弁護士が精査する。諦める前に一度、見立てを確認できる。 |
| 会社・保険会社から届く書類の意味がわからず、不利な条件で進んでいるかもしれない | 当法人が代理人として窓口になり、遺族が直接会社・保険会社とやり取りしなくて済む。 |
| 子育て・生活の立て直しをしながら手続きを進める精神的・時間的な重さ | 手続き・交渉・書面作成を弁護士が代行。遺族は子どもや日々の生活に集中できる。 |
【ブライトの判断基準】「立証困難で諦めない——遺族の正当な権利実現のために」
「目撃者がいない」「持病がある」「元請が払わないと言っている」——こうした状況で、多くの遺族の方が「もう無理なのでは」と諦めてしまうことがあります。
しかし当法人は、「立証が難しい」という状況と「立証が不可能」という状況は別のことだと考えています。
専門家の鑑定・客観的記録の精査・重層下請の構造分析——これらを積み重ねることで、「目撃者なし・証拠が少ない」という状況でも、立証の道が拓ける場合があります。
「ブライトは、立証困難な案件でも専門家の力を借り、遺族の正当な権利実現のために尽力する。」
当法人がこの判断基準を持つのは、依頼者・遺族にとって「正当な補償を受けること」だけでなく、「故人の死が認められること」「遺族の名誉回復につながること」に意味があると考えているからです。3事例の解決後、遺族の方から共通して聞かれた言葉がありました——「夫(妻)の死が、報われた気がします」。
なお当法人では、受任の可否についても初回相談時に率直にお伝えします。立証が困難であり費用倒れになりうると判断した場合は、その旨を明確にお伝えしています。
遺族がすべき最初の3ステップ
ステップ1:証拠の保全(事故直後が重要)
事故発生直後は、証拠が最も多く残っている時期です。以下をできる限り早期に確保してください。
- 事故現場の写真・動画(可能であれば)
- 目撃者の連絡先・証言(同僚・同現場の方)
- 故人の労働時間に関する記録(タコグラフ・日報・勤怠記録)
- 会社から受け取った書類・説明内容のメモ
- 安全管理体制に関する資料(できる範囲で)
ステップ2:労災保険の遺族補償給付の申請
管轄の労働基準監督署に「遺族補償給付支給請求書(様式第12号)」を提出します。事業主証明が得られない場合でも、その旨を付記して申請することが可能です。労働局や弁護士に相談しながら進めることをお勧めします。
ステップ3:弁護士への早期相談(時効・証拠の両面から)
会社への損害賠償請求を視野に入れているなら、できるだけ早く弁護士に相談してください。時効の管理・証拠の保全・会社側の主張への対応方針を早期に確定させることが、最終的な解決額に影響します。
弁護士歴平均14年以上の当法人の労災チームが、遺族の方の立場から丁寧に対応いたします。
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☎ 0120-931-501(労災専用・通話料無料・平日9:00〜18:00)
よくある質問
Q1:会社から「労災保険の手続きだけ進めてください」と言われました。他に請求できることはありますか?
はい、あります。労災保険の遺族補償給付は国からの定型の補償ですが、慰謝料は含まれていません。会社に安全配慮義務違反があった場合、別途会社に対して慰謝料・逸失利益の差額などを損害賠償として請求できます。「労災保険が下りたから終わり」ではありません。詳しくは労災で会社に損害賠償請求する完全ガイドをご覧ください。
Q2:会社から「持病が原因だ」と言われました。弁護士に頼んでも変わりますか?
状況によりますが、「持病が原因」という主張は法的に「素因減額論」にあたります。過重な業務が持病を悪化させ、死亡に寄与した事実を立証できれば、素因減額を抑えることができます。当法人では初回相談時に、証拠の有無や立証の見通しを率直にお伝えします。
Q3:目撃者がいません。証拠もほとんどありません。それでも相談できますか?
はい、相談できます。「証拠が少ない」という状況でも、法医学的鑑定・業務記録・現場の構造・安全管理の記録などから事実を再構成できる場合があります。「証拠がない」と判断する前に、弁護士が精査することが重要です。
Q4:家族が亡くなってから時間が経っています。今からでも相談できますか?
時効の範囲内であれば、相談・請求は可能です。不法行為に基づく請求は損害と加害者を知った時から3年(民法724条)、安全配慮義務違反(債務不履行)に基づく請求は5年(民法166条1項1号)が目安です。ただし、時間の経過とともに証拠が散逸するリスクが高まります。お早めにご相談いただくことをお勧めします。
Q5:弁護士費用が心配です。
当法人では、相談は無料で承っております。依頼にかかる費用(着手金・報酬金など)については、受任時に明確にご説明します。費用の見通しを含めて初回相談時にご確認いただけますので、まずはお気軽にご連絡ください。費用倒れになる見込みが高い場合は、その旨を率直にお伝えします。
Q6:労災認定がまだ下りていません。弁護士に相談できますか?
はい、相談できます。労災認定の見通しと損害賠償請求の可否は、まずは事実関係を確認してからお伝えします。労災認定申請のサポートから一緒に進めることも可能です。
家族を労災で亡くされた方へ。まずご相談ください。
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