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賃料増額請求は通知から始めよう|弁護士が解説

この記事でわかること

  • 賃料改定を「通知」から始める法的根拠
  • 売却と賃料改定を両立させる戦略的手順
  • トラブルを避けながら資産価値を上げる方法

この記事のポイント

  • 「お願い」ではなく「通知」で主張するのが法的に正しい
  • 売却活動と増額通知は同時進行が可能
  • 弁護士の関与で“感情的トラブル”を防止できる

「もう何年も賃料が変わっていない…」
「でも、上げると言ったら関係が悪くなりそうで不安だ」

そんな悩みを抱える不動産オーナーが増えています。しかし、今の物価上昇ペースを考えれば、賃料を見直さないこと自体が“資産の減少”につながります。

実は、賃料改定は「交渉」ではなく“通知”から始めるのが法的に正しいやり方です。本記事では、実際の成功事例を交えながら、トラブルを避けつつ資産価値を高める「賃料増額通知」の進め方を、弁護士監修のもとで解説します。

なぜ今、賃料見直しが必要なのか

ここ数年で物価や人件費は上昇を続けています。しかし、長期契約を結んでいる物件の賃料は、相場変化に追いついていないケースが多いのが現実です。

たとえば、ある高齢者施設を運営するオーナーは、10年以上前に契約したままの賃料で運営していました。当初は妥当と思われた賃料も、近隣の相場と比較すると2割以上の差が出ていたのです。

このような「見えない目減り」は、放置するほど資産価値を下げます。賃料見直しは“値上げ”ではなく“資産を守る行為”。まずはその視点を持つことが、すべてのスタートラインです。

賃料改定は「お願い」ではなく「通知」から始める

多くのオーナーが、「賃料を上げてもいいですか?」とお願いベースで交渉してしまいます。しかし法的には、「お願い」ではなく“通知”による意思表示が必要です。

実際、高齢者施設を運営するオーナーは弁護士の助言を受けて「通知文」を正式に送付しました。その結果、交渉が進まなくても“通知を送った時点”が増額の基準日として有効に扱われることになりました。

通知とは「値上げを宣言する」ものではなく、「相場に基づいて改定を主張する法的行為」です。感情的な交渉に陥らず、冷静に進められるのが大きなメリットです。

とはいえ、「通知なんて出したら角が立つのでは」と感じる方もいるでしょう。しかし実際には、弁護士が作成する文面であれば、法的に正しく、丁寧な表現で伝えることができます。感情ではなく、ルールで動く。それがプロの戦略です。

通知から始めるメリットは「主導権を握れる」こと

通知を出す最大のメリットは、“相手の反応を待たずに主導権を取れる”点です。

一方で、お願いベースの交渉では、相手の返事や対応次第で進行が止まってしまいます。
通知を送ることで、「賃料改定の意思を正式に示した」という事実が法的に成立します。

実際、高齢者施設を運営するオーナーは通知後に相手方と調停を行いましたが、「通知を出していた」という記録があったため、裁判でも有利に進められました。

つまり、通知は“戦うため”ではなく、“守るため”の盾。先手を打つことで、長期的にトラブルを防ぐ効果があります。

売却と賃料増額通知は両立できる

「交渉中に売却なんてできるの?」と不安に思う方も多いですが、実は賃料改定と売却は同時進行が可能です。

実際に高齢者施設を運営するオーナーは、賃料通知を出した上で売却活動を並行しました。結果、賃料が見直されたことで利回りが改善し、買い手から“収益性の高い物件”として評価され、より有利な条件で売却できました。

賃料を上げることは、単なる収益改善ではなく、資産価値そのものを引き上げる経営判断です。弁護士法人ブライトは、「通知」と「売却」を連動させた戦略的な支援を得意としています。

トラブルを防ぐ「法的フロー」とは

通知を送っても、相手がすぐに応じるとは限りません。その場合は、次のような流れで進行します。

1.通知文を送付(弁護士作成が望ましい)
2.一定期間経過後、交渉または調停申立て
3.合意に至らなければ訴訟へ

この手順を踏むことで、法的に正しい“改定プロセス”が成立します。重要なのは、すべての過程を「記録」として残すこと。メール・文書・送付証明など、証拠が整っていればトラブル時も有利に働きます。

弁護士に相談するメリット

弁護士が入ることで、次の3つの安心が得られます。

1.法的に有効な通知文を作成できる
2.感情的な衝突を回避できる
3.将来の訴訟・売却を見据えた戦略設計ができる

この高齢者施設を運営するオーナーは、弁護士のサポートにより、「通知→調停→売却成立」という一連の流れをスムーズに進めることができました。結果として、物件の収益性だけでなく、経営判断の精度そのものが高まったのです。

放置こそ最大のリスク。行動するなら今

賃料を上げることにためらう理由の多くは「人間関係の悪化」ですが、実際に放置して損をしているオーナーは少なくありません。

賃料改定は、「誰かが勝つための交渉」ではなく、「双方が適正な関係を保つためのメンテナンス」です。

通知を出さずに時間が経てば経つほど、“今の条件が当然”とみなされ、法的にも主張しにくくなるのが現実。行動するなら、相場が動いている“今”がベストタイミングです。

まとめ

この記事の要点を整理します。

1.賃料改定は「交渉」ではなく「通知」から始めることが法的に正しい。
2.通知を出すことで主導権を握り、トラブルを防げる。
3.売却と賃料改定は同時進行が可能。
4.放置は最大の損失であり、「今」動くことが最も合理的。

物価高騰時代、賃料を上げることは“強気の行動”ではなく“資産を守る行動”。まずは現状を確認し、適正な一歩を踏み出しましょう。

FAQ:よくある質問

Q. 賃料改定の通知は自分でも出せますか?

形式的には可能ですが、文面内容や法的根拠を誤ると無効になるリスクがあります。弁護士に依頼すれば、有効性と交渉力を両立できます。

Q. 通知後に相手が拒否した場合は?

通知を出していれば、法的には調停や訴訟へと移行できます。通知を出していないと、そもそもその土俵に立てません。

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  • この記事を書いた人

笹野 皓平

弁護士法人ブライト パートナー弁護士: あなた自身や周りの方々がよりよい人生を歩んでいくために、また、公正な社会を実現するために、法の専門家としてサポートできることを日々嬉しく感じています。

本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。

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顧問弁護士担当弁護士

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    笹野 皓平

    2008年

    京都大学 法学部(Kyoto University Faculty of Law)卒業

    2010年

    司法試験合格・立命館法科大学院修了

    2011年

    弁護士登録(大阪)

    2019年

    大阪弁護士協同組合 総代

    法人向け・個人向けを問わず、幅広い業務に取り組んできました。その場しのぎの単なる助言だけで終わるのではなく、最終的な局面を見据えた「真の問題解決」を目指す姿勢を大切にしています。

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事務所概要

事務所名 弁護士法人 ブライト(大阪弁護士会所属)
開 業 平成21年(代表弁護士独立開業)
設 立 平成24年11月設立、平成27年1月に法人化
所在地 〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎2丁目6番6号 コウヅキキャピタルウエスト12階
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