顧客からの過大な要求・執拗な連絡に弁護士窓口で対応——金銭の支払いなく約2ヶ月で沈静化し、顧問契約に発展した事例

執拗なクレーム対応から顧問契約に発展した解決事例(弁護士法人ブライト 和氣良浩 監修)

① 事案の属性

  • 業種:自動車販売・整備業
  • 相談ジャンル:企業法務/顧客からの過大要求(カスタマーハラスメント)への対応
  • 解決方式:示談(弁護士介入による交渉)
  • 解決までの期間:約2ヶ月で沈静化

② 相談時の状況

「お客様の車を預かっている間に、従業員が誤って車両を傷つけてしまった。保険で修理はしたが、お客様は事故と関係のない部分の修理や『迷惑料』まで要求してくる。従業員に直接、強い口調で謝罪と補償を迫られていて、現場が疲弊している——。」

ご相談いただいたのは、自動車の販売・修理を手がける会社です。販売した車両の不調で預かり修理をした際、従業員が車両を損傷させる事故を起こしてしまいました。会社側に落ち度がある事案ではありましたが、保険による修理を終えた後も、顧客は事故と無関係な部分を含む車両全体の修理や、修理期間に対する迷惑料といった、法的根拠を超えた要求を続けました。

さらに、代表が口頭で保険適用範囲を超える一部の修理を安易に約束してしまっていたことが、「あの時約束しただろう」という追及の材料になっており、どこまで応じるべきか判断がつかない状態でのご相談でした。

③ 争点・難しさ

  • 支払義務の線引き:会社側に落ち度がある以上、正当な賠償には応じる必要があります。他方で、事故と無関係な修理や迷惑料に法的な支払義務はありません。「応じるべき範囲」と「拒否すべき範囲」の線引きを明確にすることが出発点でした。
  • 口約束の処理:代表が口頭で約束してしまった追加修理をどう扱うか。約束の範囲は履行しつつ、それを超える要求の根拠にさせない整理が必要でした。
  • 窓口の一本化:顧客は従業員へ直接、強い口調での要求を繰り返しており、現場の精神的負担が限界に近づいていました。交渉窓口をいかに弁護士へ一本化するかが実務上の最大の難所でした。
  • 引き渡し条件の調整:修理完了後の車両について、顧客は「自宅まで納車するのが当然だ」と主張。感情的な対立を再燃させずに引き渡しを完了させる段取りが求められました。

④ ブライトの方針・対応

初動——「応じる範囲」と「断る範囲」を最初に確定する。ご相談を受けて速やかに方針協議の場を設け、保険修理と口頭で約束した範囲の追加修理には誠実に対応する一方、それを超える車両全体の修理や迷惑料の要求は、弁護士から説明したうえで明確にお断りするという基本方針を固めました。曖昧な対応を続けるほど要求はエスカレートするため、初動で線を引くことを最優先しました。

内容証明郵便で交渉窓口を弁護士に一本化。代理人として受任した事実と、今後の連絡はすべて弁護士宛てに文書またはメールで行うよう求める内容証明郵便を送付し、従業員への直接の要求を遮断しました。

直接連絡には、電話ではなくSMSで冷静に警告。内容証明の送付後も、顧客は会社や従業員への直接連絡を続けました。ここで電話でやり取りをすれば感情的な対立が再燃しかねません。記録に残り、かつ冷静に伝えられるSMSで「連絡は弁護士宛てに」と重ねて通知し、相手を不必要に刺激せずに窓口の一本化を徹底しました。

解決後——予防法務への接続。トラブルの沈静化を機に、会社は顧問契約「みんなの法務部」を締結。その後は契約書の整備や事業運営に関わる相談など、トラブルが起きる前に弁護士を使う体制へと発展しました。

⑤ 結果

  • 迷惑料などの法的根拠のない金銭要求への支払いは一切なしで解決
  • 修理は当初の約束範囲(保険修理+口頭で約束した一部の追加修理)にとどめ、車両の引き渡しまで完了
  • 顧客トラブルは約2ヶ月で沈静化
  • 本件を機に顧問契約を締結し、予防法務の体制づくりに発展

依頼者からは、弁護士が窓口となったことで顧客と直接対峙する必要がなくなり、精神的な負担から解放されたことを高く評価いただきました。

⑥ 担当弁護士のコメント(和氣良浩・代表弁護士)

自社に落ち度のあるトラブルほど、経営者は「こちらが悪いのだから」と過大な要求まで飲んでしまいがちです。しかし、誠実に賠償すべき範囲と、応じる義務のない要求とは、はっきり区別できます。本件のポイントは、初動でその線引きを固め、弁護士が窓口に立って現場を要求の矢面から外したことでした。従業員を守ることは、会社を守ることでもあります。「これはカスハラかもしれない」と感じたら、要求に応じてしまう前にご相談ください。

⑦ 関連リンク

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顧客からの過大な要求や執拗な連絡は、現場任せにすると従業員の疲弊と要求のエスカレートを招きます。弁護士法人ブライトは「みんなの法務部」として、顧問先130社以上・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームで中小企業のカスタマーハラスメント対応を支援しています。

※本事例は当時の個別事情に基づく解決例であり、結果を保証するものではありません。