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自賠責被害者請求の必要書類と流れ|後遺障害申請を自分で進める実務ガイド

松本洋明 弁護士

この記事の監修者

松本 洋明(まつもと ひろあき)

弁護士法人ブライト|交通事故部部長/パートナー弁護士

弁護士歴16年(2010年登録・修習63期)/大阪弁護士会

専門:交通事故・後遺障害認定・損害賠償訴訟

交通事故で後遺症が残ったとき、後遺障害等級の認定を受けるルートは「事前認定」と「被害者請求」の2通りあります。事前認定は加害者側の任意保険会社が手続きを代行する方式、被害者請求は被害者本人(または代理人弁護士)が直接、自賠責保険会社に請求する方式です。

結論を先に言うと、後遺障害が残るほどの重い事故では「被害者請求」を選ぶべきです。被害者請求は手続きの煩雑さこそありますが、(1)資料の出し方を自分でコントロールできる、(2)認定後すぐに自賠責から先払いを受けられる、(3)保険会社の意向が混入しにくい、という3つの大きなメリットがあります。

📝 この記事の3秒結論

  • 自賠責被害者請求は「事前認定」より慰謝料が増額しやすい
  • 必要書類は最大14点。事故直後から計画的に揃えるのがコツ
  • 後遺障害認定までの期間は申請から2〜3ヶ月が標準

無料で問い合わせ

自賠責被害者請求とは:事前認定との違い

事前認定と被害者請求の本質的な違いは、「誰が認定資料を揃えるか」「いつ慰謝料が支払われるか」の2点に集約されます。

比較項目事前認定被害者請求
手続主体加害者側の任意保険会社被害者本人(または弁護士)
必要書類の作成保険会社が代行被害者が用意
支払時期示談成立後認定直後(先払い)
追加資料の提出困難柔軟に対応可
有利な点手続が簡単慰謝料が増額しやすい

事前認定は手続きが楽ですが、保険会社が必要最小限の書類しか提出しない傾向にあり、後遺障害が「非該当」となるリスクが高いと言われています。一方、被害者請求では後遺障害診断書の記載内容を弁護士と一緒に詰めることができ、画像所見・神経学的検査結果なども追加できるため、認定確率が大きく変わります。

被害者請求の必要書類14点(入手先・記入者付き)

被害者請求で必要となる書類は最大14点。基本書類8点と、必要に応じて追加する添付書類6点に分かれます。

必要な書類
(※:必要性が認められた場合の添付書類)
用紙入手先記入者
自動車損害賠償責任保険金支払請求書保険会社保険会社
交通事故証明書(人身事故)自動車安全運転センター自動車安全運転センター
事故発生状況報告書保険会社被害者本人
事故当初の初診時の診断書保険会社主治医
※レントゲン写真病院病院
※休業証明書保険会社事業主
※所得証明のための納税証明書や課税証明書市区町村市区町村
※印鑑証明/被害者が未成年の場合は住民票や戸籍謄本も必要住民登録・本籍のある市区町村住民登録・本籍のある市区町村
※委任状と委任者の印鑑証明市区町村市区町村
診療報酬明細書保険会社病院
通院証明書保険会社被害者本人
後遺障害診断書保険会社主治医
※付添い看護自認書または看護料領収書保険会社付添い看護者
※後遺障害に立証のためのMRI・MRA、その他症状を裏付ける意見書や医学的資料等病院病院
被害者申請に必要な書類の表

表中の※印は、必要性が認められた場合のみ提出する書類です。「保険会社」とは一般的に任意保険会社ですが、自賠責保険会社から直接取り寄せることもできます。相手方が無保険者の場合は、用紙入手先は自賠責保険会社のみとなります。

提出書類に不備があると何度も再提出を求められ、認定までの期間が大幅に伸びる原因になります。事故から症状固定までの間に、計画的に書類を揃えていくのがポイントです。

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被害者請求の進め方:5ステップ

自賠責被害者請求の進め方5ステップ
自賠責被害者請求の5ステップフローチャート
  • STEP1:症状固定の判断──主治医と相談し、これ以上治療を続けても症状が改善しない状態を「症状固定」として確認。事故から6ヶ月以上経過しているのが目安。
  • STEP2:後遺障害診断書の作成依頼──主治医に後遺障害診断書(自賠責様式)の作成を依頼。記載漏れがないかをご家族・弁護士と一緒にチェック。
  • STEP3:書類一式の準備──事故証明書・診療報酬明細書・診断書・印鑑証明・住民票などを揃える。事故当時の任意保険から取り寄せられる書類が多い。
  • STEP4:自賠責保険会社へ提出──加害者側の自賠責保険会社(任意保険会社が同じグループであれば同社)へ書類を提出。損害保険料率算出機構へ転送される。
  • STEP5:認定結果の通知──通常2〜3ヶ月で認定結果が通知される。同時に自賠責保険会社から後遺障害慰謝料・逸失利益が先払いされる。

STEP5まで進めば、自賠責の限度額まで(後遺障害14級なら75万円、12級なら224万円、8級なら819万円など)が示談を待たずに先払いされます。これが事前認定にはない最大のメリットです。

後遺障害診断書作成時の重要ポイント

後遺障害診断書は、認定結果を左右する最重要書類です。記載が不十分だと、本来認定されるべき等級が「非該当」となるケースが多発しています。診断書作成を依頼する際は、以下の項目について事前に弁護士と整理し、主治医に伝えることをお勧めします。

  • 自覚症状の具体的記載(部位・性質・頻度・誘因)
  • 他覚的所見の有無と検査結果(レントゲン・MRI・神経学的検査)
  • 関節可動域測定値(自動・他動の両方)
  • 事故との因果関係についての医学的見解
  • 症状固定日と今後の予測

詳しい作成ポイントは後遺障害診断書の作り方|医師に依頼する前に弁護士と整理すべき5項目もご確認ください。

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部位別の主な後遺障害認定例

後遺障害等級は身体の部位別に細かく定められています。表に書かれている症状以外でも、各部位の症状が認定される場合があります。代表的な認定例を整理します。

眼の症状

  • 外傷性散瞳:片眼12級または14級/両眼11級または12級
  • 流涙:片眼14級/両眼12級
  • 視力低下・視野狭窄:1級〜13級まで段階的

鼻の症状

  • 鼻呼吸困難:12級
  • 嗅覚の脱失:12級
  • 嗅覚の減退:14級

耳の症状

  • 耳鳴り:12級または14級
  • 耳漏:12級または14級
  • 聴力障害:4級〜14級まで段階的

口・神経系の症状

  • 嚥下障害:3級・6級・9級
  • 咀嚼時間の延長:12級
  • かすれ声:12級
  • 味覚の脱失:12級
  • むちうち(神経症状):14級・12級(境目はこちら

異議申立て:認定結果に納得できないとき

初回の認定結果が「非該当」または「想定より軽い等級」だった場合、異議申立てによって等級を引き上げることができます。異議申立てに回数制限はなく、何度でもチャレンジできるのが自賠責の特徴です。

ただし、初回と同じ資料・同じ主張で出してもまず認められません。異議申立てで等級アップを実現するには、追加の医学的所見・新しい画像・主治医の意見書などを揃えて、初回認定の判断を覆すロジックを組み立てる必要があります。詳しくは後遺障害の異議申立てで成功率を上げる5つの戦略で解説しています。

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弁護士に依頼するメリット

  • 後遺障害診断書の作成段階から関与し、記載漏れを防止できる
  • 必要書類の不備チェックを第三者目線で行える
  • 自賠責保険会社・任意保険会社との交渉を代行できる
  • 異議申立てが必要な場合の戦略を最初から組み立てられる
  • 認定後の示談交渉を弁護士基準で進められる

弁護士費用特約(LAC)に加入していれば、上限300万円まで弁護士費用を保険会社が負担します。詳しくは弁護士費用特約(LAC)の新基準と旧基準の違いもご参照ください。

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  • この記事を書いた人

代表弁護士:和氣 良浩

弁護士法人ブライト代表弁護士: 2006年に独立開業してから交通事故被害の回復に努めてきました。これまで1000件を超える交通事故を解決して参りましたが、被害者が低い賠償金で納得させられているケースをたくさん見てきました。 一人でも多くの被害者が適切な補償を受けられるように情報発信を行っています。

本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。

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交通事故担当弁護士

  • 代表弁護士 和氣良浩

    代表弁護士 和氣良浩
             

事務所概要

事務所名 弁護士法人 ブライト(大阪弁護士会所属)
開 業 平成21年(代表弁護士独立開業)
設 立 平成24年11月設立、平成27年1月に法人化
所在地 〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎2丁目6番6号 コウヅキキャピタルウエスト12階
TEL 0120-931-501(受付時間9:00~18:00)
FAX 06-6366-8771
事業内容 法人向け(法律顧問・顧問サービス、経営権紛争、M&A・事業承継、私的整理・破産・民事再生等、契約交渉・契約書作成等、売掛金等の債権保全・回収、経営相談、訴訟等の裁判手続対応、従業員等に関する対応、IT関連のご相談、不動産を巡るトラブルなど)、個人向け(交通事故・労災事故を中心とした損害賠償請求事件、債務整理・破産・再生等、相続、離婚・財産分与等、財産管理等に関する対応、不動産の明渡し等を巡る問題など)

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