基礎知識

交通事故の示談金相場と増額のポイントを弁護士が解説

交通事故における示談金とは加害者が被害者に対して支払うお金で、その相場は

  • 物損事故:損害分を実費
  • 後遺障害の残らない人身事故:最大で100万円程度
  • 後遺障害の残る人身事故:300万円~数千万円
  • 死亡事故:数千万円~数億円

が目安です。(※交通事故の示談金は様々な条件を考慮して計算されるため、必ず上記の金額が受け取れる訳ではありません。)

後遺障害が残るような場合は弁護士に依頼すると受け取る示談金が高くなる可能性が高いです。

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示談金とは


示談金とは損害賠償金とも呼ばれており、交通事故の被害者が被った全ての損害をお金に置き換えて計算された金額の合計です

つまり、壊れてしまった車の修理費や怪我をした場合の治療費、後遺障害が残った場合の慰謝料などをすべて含めた金額です。

示談金(損害賠償金)は、被害者と加害者の双方が合意した金額になります。

示談金(損害賠償金)の内訳は

  • 精神的損害:精神的な苦痛に対する慰謝料
  • 財産的損害:事故で失った財産に対する賠償金

の二つに分けることが出来ます。

このうち、財産的損害はさらに次の二つに分けることが出来ます。

  • 積極損害:治療費など実際に支出したお金
  • 消極損害:事故で働けなくなり、減ってしまった収入

図にまとめると次のようになります。

示談金の内訳:タップで拡大出来ます

交通事故における示談金の相場

最初に述べたように交通事故における示談金の相場は

  • 物損事故:損害分を実費
  • 後遺障害の残らない人身事故:最大で100万円程度
  • 後遺障害の残る人身事故:300万円~数千万円
  • 死亡事故:数千万円~数億円

物損事故は基本的に慰謝料が発生しないため示談金が低くなります

となり、事故状況や怪我の内容によって大きく変わるため、金額に大きな開きがあります。

示談金を構成する財産的損害、精神的損害のそれぞれについて具体的に解説します。

財産的損害

財産的存在には事故が起こってことでせざるを得ない出費である積極存在と、事故が起こったことで減ったしまった収入である消極的存在があります。

積極損害の内訳

積極損害は事故が無ければ必要なかった出費です。具体的には次のようなものが積極損害として認められます。

  • 治療費、入院費
  • 付添看護費
  • 交通費、宿泊費
  • 入院雑費
  • 賠償請求のための費用
  • 葬儀費用
  • 車いすなどの器具代
  • 自宅改造費

交通事故で実際に支出する実費をピックアップしてみます。
相手側に請求したい費用の領収証は必ず取り付け、保管しておきましょう。

治療費、入院費

交通事故によるケガの治療で病院へ支払った費用などです。診療費や入院した場合の入院費や手術費などがあります。またリハビリの費用(マッサージ代等)なども対象です。

治療費などは、加害者の保険会社から直接病院に支払われるケースが多いです。
しかし、任意保険に相手方が加入していない場合などは、一旦、被害者が立て替える必要があるかもしれません。

後で相手方と揉める場合を想定して、最初から相手方から直接病院に支払ってもらうようにしましょう。

付添看護費

被害者の配偶者や両親などが、病室に付き添った場合に生じる費用です。
担当医の判断などで、付き添い看護が必要だと認定されると請求可能になります。

交通費、宿泊費

主に通院にかかる交通費です。電車代やバス代に加え、自家用車で通院する場合は、ガソリン代の請求も可能です。駐車料金、高速料金も対象になります。

また、宿泊が必要な遠方にある病院で、高度な治療や手術が必要なケースでは、付き添いの家族の宿泊費も積極損害として認定される場合があります。

入院雑費

交通事故による入院で必要になった雑費です。例えば、アメニティグッズなど日用品の購入費、電話、テレビ、モバイルWIFIなどの通信費などがあります。

相手方への賠償請求のために必要な費用

担当医から取り付ける診断書の発行手数料など、相手方の保険会社との示談交渉の際に必要な各種の費用です。

葬儀費用

被害者が死亡した場合の葬儀に関する費用です。

その他費用

次のような費用があります。

  • 器具代  :治療中や後遺障害が残った場合に必要な車椅子や松葉杖の器具代など。
  • 自宅改造費:後遺障害が残った場合、自宅をバリアフリーに改造する費用など。

消極損害の内訳

その交通事故に遭わなければ得られたはずの収入や利益で「休業損害」と「逸失利益」の2つです。

休業損害

休業損害とは交通事故によるケガで、仕事ができずに、休まなければいけなくなった場合、受け取っていたはずの給料や賞与などです。

休業損害の請求できる期間は、交通事故発生日からケガが治った日、あるいは症状固定日までの期間になります。

金額は収入1日あたりの金額×休業日数です。

事故で仕事を休んだ場合に受け取れるお金については「交通事故の休業補償と休業損害それぞれの金額と違いを分かりやすく解説」にてより詳しく解説しています。

逸失利益とは

逸失利益とは被害者に後遺障害が残ったり、死亡するなどして将来得られたはずの収入の事です。

後遺障害を認定された被害者は、加害者側(保険会社)に対し、逸失利益の賠償を求めることが可能です。なお、逸失利益が認められる期間は、症状固定日以降になります。

逸失利益の金額は

  • 被害者の年齢
  • 事故前の収入
  • 残った障害の重さ

などによって決まるため、一概には言えませんが数百~数千万円は珍しくなく、1億円を超える場合もあります。

後遺障害について詳しくは「逸失利益とは?計算方法と職業別の具体例をわかりやすく紹介」で解説しています。

精神的損害

精神的損害とは事故によって受けた精神的な苦痛に対して支払われる慰謝料です。

  • 死亡慰謝料
  • 後遺障害慰謝料
  • 入通院慰謝料

の三つがあります。

死亡慰謝料

死亡慰謝料とは、交通事故が原因で被害者が死亡した場合に支払われる慰謝料です。被害者ご本人と、そのご遺族の精神的苦痛に対して支払われる金銭です。

被害者自身は死亡しているため、相続人となる遺族が加害者に対して請求します。

金額は家庭内の立場や、弁護士に依頼するかどうかによって変わりますが、1,000万円~2,500万円です。

詳しい計算方法などは「死亡事故の慰謝料相場と請求出来る損害賠償の5つのポイントを解説」にて解説しています。

後遺障害慰謝料

交通事故によるケガで後遺障害が残った場合、その精神的苦痛に対して、加害者から被害者に支払われるのが後遺障害慰謝料です。

ただし、後遺障害慰謝料を請求するには、後遺障害認定を受ける必要があります。

認定される等級によって変わりますが、弁護士に依頼した場合110~2,800万円程度を受け取ることが出来ます。

入通院慰謝料

交通事故によるケガで、1日でも入院や通院すれば、原則、入通院慰謝料の対象です。
トータルの治療期間、入院と通院の内訳などによって、入通院慰謝料の金額は変わります。

弁護士に依頼しなかった場合は治療1日につき4,300円で弁護士に依頼すれば倍近くまで増額する可能性があります。

示談金と慰謝料の違い(示談金>慰謝料の関係)

示談金は交通事故の被害者に支払われる全ての金銭であり、慰謝料は示談金の中の一部です。つまり、被害者が相手方の加害者からもらえるお金の総額が示談金になります。

よく示談金と慰謝料は同じ金額と誤解なさっている被害者の方がいらっしゃいますが、同じ金額ではありません。あくまでも慰謝料は示談金のひとつにしかすぎません。

よって、示談金のほうが慰謝料よりも高い金額になり、示談金>慰謝料です。示談金の中身は、慰謝料などの項目ごとに分かれていますので、それぞれの項目をしっかり理解するのはとても重要です。

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示談とは

示談はお互いの当事者が解決に導くために、和解に向けての話し合いです。

交通事故における示談も同じで、被害者と加害者で話し合いますが、通常、その間に保険会社が示談代行しているケースが多いです。
また、後で相手方と揉めないようにするため、あるいは「損をしてしまった!」と後悔しないように、初期の段階から弁護士が介在している場合もあります。

交通事故では裁判までするケースは少なく、紆余曲折があっても示談による解決が多いです。時間と手間はかかりますが、示談で解決しない場合は裁判になります。

示談と裁判の決定的な違いとは?

皆さんは裁判(判決)も示談でも、もらえる金額に差はなく違いはないと思っていらっしゃいませんか?

示談では、原則、当事者の双方が、示談金などの内容について合意できれば、示談そのものは成立します。双方合意できれば、示談金は自由に決定できるのです。

裁判では、判決を下す裁判官は、賠償実務の基準に従い、客観的な証拠に基づいて金額を算定しますので、当然、示談のように自由に決められるものではありません。

後で損をしたと後悔しない! 合意した示談金は変更不可!?

原則、双方で合意した示談内容は、後になって覆せません。

当事者どうしの示談が成立すると、必ず示談書を作成して双方が署名捺印します。示談書は一種の契約書と同じです。示談金など合意内容が記載されています。示談も契約と同じ効果と考える必要があり、後になって覆すのはほぼ無理と認識してください。

「後で損をした!」と後悔する被害者のほとんどの方は、既に示談金を受領して相手方と示談内容に関して合意済なのです。

示談は当事者の合意だけで迅速に解決可能な便利な方法ですが、後で後悔しないようにするには、くれぐれも安易に示談に合意してはいけません。

示談の流れについて

では、一般的な交通事故の示談の流れは次の画像のようになります。それぞれ詳しく解説します。

示談の流れ

【ステップ1】示談交渉のスタート

示談金が当事者双方の合意で自由に決められるように、示談交渉のスタートも特に制限はなく当事者間の自由です。

示談では、被害者が受けた損害を細部まで計算する必要があります。よって損害額の計算可能な状況になって、示談交渉をスタートするのが一般的です。

入通院のみの場合

ケガが完治した時、あるいは症状固定日以降から示談交渉がスタートします。

後遺障害の場合

後遺障害等級が確定した日以降からスタートします。

死亡の場合

残されたご遺族の感情の問題があり、死亡後速やかに示談交渉をスタートすることは非常に難しいです。四十九日法要が終わった日以降からスタートするのが一般的です。

【ステップ2】示談案が提示される(加害者→被害者)

最初の示談案は、加害者側から被害者側に提示されるのがほとんどです。厳密に言うと、交通事故の責任度合いの重い側、つまり過失割合の大きい側の保険会社から最初の示談案が提示されます。

しかし、当初から過失割合で揉めている場合や、50:50に近い過失割合のような場合では、最初の示談案の提示方法が少し異なるかもしれません。

【ステップ3】示談案の内容確認と検討(被害者)

被害者は、提示された示談金を含めた示談内容について確認し、合意できるかどうかを検討します。特に初回の示談案に関しては、下記の注意点をしっかり認識してください。

注意点1.加害者の保険会社が提示する示談金は最低ライン(相場以下)!?

保険会社からの示談金の提示は、弁護士が介入する場合と比較して、相場(弁護士基準)からはおおよそ3割~6割程度であるケースが多いです。

注意点2.提示された示談金を鵜呑みにしない!

示談は交渉事です。初期段階で提示する示談金は、今後、相手から増額要請されるのを加味し、低めに提示するのが交渉事の鉄則ですので、鵜呑みにしてはいけません。

注意点3.すぐに示談内容に合意しない!

最初の示談交渉の場で、示談合意してしまうケースも多いです。
満足のいく示談金であれば問題はないでしょう。

しかし、実際に、誰にも相談なされずに、保険会社の担当者から言われるがままに、示談に合意する被害者の方が非常に多いです。
後で周囲からいろいろ聞き「損をした!」と後悔しないようしっかり吟味しましょう。

注意点4.過失割合は要注意!

実際に受け取る示談金は、過失割合によって大きく異なります。過失割合が、本当に妥当で正しいのかを注意しなくてはなりません。

【ステップ4】示談金の増額交渉(加害者→被害者)

示談内容を吟味した後は、示談金の増額を交渉しましょう。最初に提示された示談金の中に入っていない損害がある場合は、保険会社に領収証を提示して申し入れできます。

【ステップ5】示談合意(示談書の作成)

加害者と被害者双方が示談金など示談内容全てに納得できれば、示談は成立です。示談書に双方が署名・捺印します。示談書は後々のトラブル防止のために、下記の項目が記載されています。示談書に署名捺印前に、正しいかどうかをもう一度確認しましょう。

  • 示談成立日(示談書作成日)
  • 事故場所や発生日時
  • 当事者双方の事故車両の登録ナンバーなど
  • 被害状況の概要
  • 損害賠償金額
  • 損害賠償金の支払い方法
  • 支払い期日
  • 当事者双方の名前と住所

まとめ

交通事故の示談交渉の場では、

  • 相手方との示談交渉が全く進展しない
  • 後遺障害の認定や慰謝料などの損害賠償金額が適正かわからない
  • 治療をしながら加害者とやり取りをするのがストレスになる

という方が多くいらっしゃいます。

もしあなたがこのような事で悩んでいるのならぜひ一度お気軽にお問い合わせください。専門のスタッフが丁寧に対応いたします。

  • この記事を書いた人

代表弁護士:和氣 良浩

弁護士法人ブライト代表弁護士: 2006年に独立開業してから交通事故被害の回復に努めてきました。これまで1000件を超える交通事故を解決して参りましたが、被害者が低い賠償金で納得させられているケースをたくさん見てきました。 一人でも多くの被害者が適切な補償を受けられるように情報発信を行っています。

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