基礎知識

交通事故の「示談金」とは?損をしない示談交渉の流れも徹底解説!

10月 29, 2021

交通事故の被害者にとって、加害者の保険会社などから補償してもらう「示談金」は非常に重要です。しかし、法律用語といわれる「示談金」や「慰謝料」について、皆さまは、しっかりその意味合いを説明できるでしょうか。

また、「示談金」や「慰謝料」は、加害者などから自動的に振り込まれるわけではありません。きちんとしたステップを踏んでから、決定(確定)した示談金がもらえるのです。このステップにあたるのが「示談交渉」です。

今回は、「示談金」と「慰謝料」とは何かを明らかにして、交通事故の示談交渉をどのように進めていくかをわかりやすく解説します。

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示談金と慰謝料の違い(示談金>慰謝料の関係)

示談金は交通事故の被害者に支払われる全ての金銭であり、慰謝料は示談金の中の一部です。つまり、被害者が相手方の加害者からもらえるお金の総額が示談金になります。

よく示談金と慰謝料は同じ金額と誤解なさっている被害者の方がいらっしゃいますが、同じ金額ではありません。あくまでも慰謝料は示談金のひとつにしかすぎません。

よって、示談金のほうが慰謝料よりも高い金額になり、示談金>慰謝料です。示談金の中身は、慰謝料などの項目ごとに分かれていますので、それぞれの項目をしっかり理解するのはとても重要です。

示談金とは

もう少し深く説明すると、示談金は、交通事故の被害者が被った損害を補償(補填)するために、加害者が被害者に対して支払うお金(金銭)です。

示談金は損害賠償金とも呼ばれており、交通事故の被害者が被った全ての損害をお金に置き換えて計算された金額の総合計です。また、示談金(損害賠償金)は、被害者と加害者の双方が合意した金額になります。

示談金(損害賠償金)は、「精神的損害」と「財産的損害」の二つの損害の合計額です。
さらに、財産的損害は、「積極損害」と「消極損害」に分かれています。

本記事では、皆さまにわかりやすいように解説するために、示談金は下記の3つで構成されるものとして、まとめることにします。

1)精神的損害
精神的損害を金銭で示したのが、慰謝料になります。

2)積極損害
財産的損害の一つである積極損害は、実際に支出した実費です。
実費なので領収証がある損害ともいわれています。

3)消極損害
一方、財産的損害のもうひとつの消極損害は、交通事故の被害に遭ったことで、得られなくなった利益や収入です。

慰謝料とは

法律上、精神的損害に対しては、慰謝料が発生します。交通事故の慰謝料は、交通事故による被害者のケガなどにより、精神的な苦痛を被ったとして、加害者から被害者に支払われる金銭です。

なお、交通事故は人身事故と物損事故の二種類がありますが、慰謝料は人身事故のみが対象です。

3つの慰謝料

交通事故による慰謝料は、大きく分けて3種類あります。

1)死亡慰謝料
被害者が死亡した場合の慰謝料です。

2)後遺障害慰謝料
後遺障害が残った場合の慰謝料です。

3)入通院慰謝料
ケガで入通院した場合の慰謝料です。

死亡慰謝料

死亡慰謝料は、交通事故が原因で被害者が死亡した場合に支払われる慰謝料です。被害者ご本人と、そのご遺族の精神的苦痛に対して支払われる金銭になります。
関連記事:死亡事故の慰謝料相場と請求出来る損害賠償の5つのポイントを解説

死亡慰謝料は、交通事故が原因で死亡したケースに支払われるので、交通事故直後に死亡された場合だけではなく、入院後しばらくしてから死亡された場合も対象です。その場合は、死亡慰謝料と、後述する入通院慰謝料の両方が支払われることになります。

なお、死亡慰謝料は、被害者は既に死亡されていらっしゃるので、相続人であるご遺族が相手方に請求して支払われます。

相続人は、配偶者、子(養子含む)、親(養父母含む)などの血縁関係などにより、被害者と一定の関係のある方をいいます。

後遺障害慰謝料

交通事故によるケガで後遺障害が残った場合、その精神的苦痛に対して、加害者から被害者に支払われるのが後遺障害慰謝料です。

ただし、後遺障害慰謝料を請求するには、1~14級に分かれている等級を申請し、認定がおりた後、はじめて等級に基づいて相手方への賠償請求が可能です。

入通院慰謝料

交通事故によるケガで、1日でも入院や通院すれば、原則、入通院慰謝料の対象です。
トータルの治療期間、入院と通院の内訳などによって、入通院慰謝料の金額は変わります。

積極損害の内訳

交通事故で実際に支出する実費をピックアップしてみます。
後で、相手側に請求したい費用についての領収証は、必ず取り付け、保管しておきましょう。

治療費、入院費

交通事故によるケガの治療で病院へ支払った費用などです。診療費や入院した場合の入院費や手術費などがあります。またリハビリの費用(マッサージ代等)なども対象です。

治療費などは、加害者の保険会社から直接病院に支払われるケースが多いです。
しかし、任意保険に相手方が加入していない場合などは、一旦、被害者が立て替える必要があるかもしれません。

後で相手方と揉める場合を想定して、最初から相手方から直接病院に支払ってもらうようにしましょう。

付添看護費

被害者の配偶者や両親などが、病室に付き添った場合に生じる費用です。
担当医の判断などで、付き添い看護が必要だと認定されると請求可能になります。

交通費、宿泊費

主に通院にかかる交通費です。電車代やバス代に加え、自家用車で通院する場合は、ガソリン代の請求も可能です。駐車料金、高速料金も対象になります。

また、宿泊が必要な遠方にある病院で、高度な治療や手術が必要なケースでは、付き添いの家族の宿泊費も積極損害として認定される場合があります。

入院雑費

交通事故による入院で必要になった雑費です。例えば、アメニティグッズなど日用品の購入費、電話、テレビ、モバイルWIFIなどの通信費などがあります。

相手方への賠償請求のために必要な費用

担当医から取り付ける診断書の発行手数料など、相手方の保険会社との示談交渉の際に必要な各種の費用です。

葬儀費用

被害者が死亡した場合の葬儀に関する費用です。

その他費用

次のような費用があります。
・器具代  :治療中や後遺障害が残った場合に必要な車椅子や松葉杖の器具代など。
・自宅改造費:後遺障害が残った場合、自宅をバリアフリーに改造する費用など。

消極損害の内訳

その交通事故に遭わなければ得られたはずの収入や利益で次の2つです。

休業損害

交通事故によるケガで、仕事ができずに、休まなければいけなくなった場合、受け取っていたはずの給料や賞与などを休業損害といいます。

休業損害の請求できる期間は、交通事故発生日からケガが治った日、あるいは症状固定日までの期間になります。

逸失利益とは

交通事故により死亡や後遺障害の被害をうけて働けなくなり、将来得られたはずの収入が失われます。この失われた収入を逸失利益といいます。

後遺障害を認定された被害者は、加害者側(保険会社)に対し、逸失利益の賠償を求めることが可能です。なお、逸失利益が認められる期間は、症状固定日以降になります。

示談とは

示談はお互いの当事者が解決に導くために、和解に向けての話し合いです。

交通事故における示談も同じで、被害者と加害者で話し合いますが、通常、その間に保険会社が示談代行しているケースが多いです。
また、後で相手方と揉めないようにするため、あるいは「損をしてしまった!」と後悔しないように、初期の段階から弁護士が介在している場合もあります。

交通事故では裁判までするケースは少なく、紆余曲折があっても示談による解決が多いです。時間と手間はかかりますが、示談で解決しない場合は裁判になります。

示談と裁判の決定的な違いとは?

皆さんは裁判(判決)も示談でも、もらえる金額に差はなく違いはないと思っていらっしゃいませんか?

示談では、原則、当事者の双方が、示談金などの内容について合意できれば、示談そのものは成立します。双方合意できれば、示談金は自由に決定できるのです。

裁判では、判決を下す裁判官は、賠償実務の基準に従い、客観的な証拠に基づいて金額を算定しますので、当然、示談のように自由に決められるものではありません。

後で損をしたと後悔しない! 合意した示談金は変更不可!?

原則、双方で合意した示談内容は、後になって覆せません。

当事者どうしの示談が成立すると、必ず示談書を作成して双方が署名捺印します。示談書は一種の契約書と同じです。示談金など合意内容が記載されています。示談も契約と同じ効果と考える必要があり、後になって覆すのはほぼ無理と認識してください。

「後で損をした!」と後悔する被害者のほとんどの方は、既に示談金を受領して相手方と示談内容に関して合意済なのです。

示談は当事者の合意だけで迅速に解決可能な便利な方法ですが、後で後悔しないようにするには、くれぐれも安易に示談に合意してはいけません。

示談の流れについて

では、一般的な交通事故の示談の流れを解説していきます。

【ステップ1】示談交渉のスタート

示談金が当事者双方の合意で自由に決められるように、示談交渉のスタートも特に制限はなく当事者間の自由です。

示談では、被害者が受けた損害を細部まで計算する必要があります。よって損害額の計算可能な状況になって、示談交渉をスタートするのが一般的です。

入通院のみの場合

ケガが完治した時、あるいは症状固定日以降から示談交渉がスタートします。

後遺障害の場合

後遺障害等級が確定した日以降からスタートします。

死亡の場合

残されたご遺族の感情の問題があり、死亡後速やかに示談交渉をスタートすることは非常に難しいです。四十九日法要が終わった日以降からスタートするのが一般的です。

【ステップ2】示談案が提示される(加害者→被害者)

最初の示談案は、加害者側から被害者側に提示されるのがほとんどです。厳密に言うと、交通事故の責任度合いの重い側、つまり過失割合の大きい側の保険会社から最初の示談案が提示されます。

しかし、当初から過失割合で揉めている場合や、50:50に近い過失割合のような場合では、最初の示談案の提示方法が少し異なるかもしれません。

【ステップ3】示談案の内容確認と検討(被害者)

被害者は、提示された示談金を含めた示談内容について確認し、合意できるかどうかを検討します。特に初回の示談案に関しては、下記の注意点をしっかり認識してください。

注意点1.加害者の保険会社が提示する示談金は最低ライン(相場以下)!?

保険会社からの示談金の提示は、弁護士が介入する場合と比較して、相場(弁護士基準)からはおおよそ3割~6割程度であるケースが多いです。

注意点2.提示された示談金を鵜呑みにしない!

示談は交渉事です。初期段階で提示する示談金は、今後、相手から増額要請されるのを加味し、低めに提示するのが交渉事の鉄則ですので、鵜呑みにしてはいけません。

注意点3.すぐに示談内容に合意しない!

最初の示談交渉の場で、示談合意してしまうケースも多いです。
満足のいく示談金であれば問題はないでしょう。

しかし、実際に、誰にも相談なされずに、保険会社の担当者から言われるがままに、示談に合意する被害者の方が非常に多いです。
後で周囲からいろいろ聞き「損をした!」と後悔しないようしっかり吟味しましょう。

注意点4.過失割合は要注意!

実際に受け取る示談金は、過失割合によって大きく異なります。過失割合が、本当に妥当で正しいのかを注意しなくてはなりません。

【ステップ4】示談金の増額交渉(加害者→被害者)

示談内容を吟味した後は、示談金の増額を交渉しましょう。最初に提示された示談金の中に入っていない損害がある場合は、保険会社に領収証を提示して申し入れできます。

【ステップ5】示談合意(示談書の作成)

加害者と被害者双方が示談金など示談内容全てに納得できれば、示談は成立です。示談書に双方が署名・捺印します。示談書は後々のトラブル防止のために、下記の項目が記載されています。示談書に署名捺印前に、正しいかどうかをもう一度確認しましょう。

  • 示談成立日(示談書作成日)
  • 事故場所や発生日時
  • 当事者双方の事故車両の登録ナンバーなど
  • 被害状況の概要
  • 損害賠償金額
  • 損害賠償金の支払い方法
  • 支払い期日
  • 当事者双方の名前と住所

まとめ

交通事故の示談交渉の場では、相手方との示談交渉が全く進展しないと訴える被害者の方が非常にたくさんいらっしゃいます。
後遺障害の認定や慰謝料などの損害賠償請求で、ご不満やご不安を抱えていらっしゃる場合は、ぜひ弁護士にご相談ください。
ご相談者さまの疑問点にお応えし、適正な補償が受けられるようにサポートします。

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  • この記事を書いた人

代表弁護士:和氣 良浩

弁護士法人ブライト代表弁護士: 2006年に独立開業してから交通事故被害の回復に努めてきました。これまで1000件を超える交通事故を解決して参りましたが、被害者が低い賠償金で納得させられているケースをたくさん見ており、交通事故をめぐる現状は依然として深刻なままです。適切な補償が得られるよう、被害者の方の不安に寄り添いながら、被害回復を行っていきたいと存じます。

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