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脳挫傷とは
脳挫傷とは交通事故などの強い衝撃を受けて脳が頭蓋骨とぶつかることで傷ついてしまう事です。
傷ついた場所により様々な症状が現れます。軽いものであれば頭痛やめまい、重いものでは高次脳機能障害や最悪の場合死に至ることもあります。
傷ついた場所から出血し、血液が溜まって血腫が出来ることでくも膜下出血などが引き起こされることもあります。
脳挫傷の症状
脳挫傷は生じる場所によってさまざまな症状を引き起こします。代表的な物をいくつか挙げると
- 頭痛
- 嘔吐
- 運動麻痺
- 感覚障害
- 言語障害
などです。事故後しばらくして意識がはっきりすると、これらの症状に気が付くことが多いです。
しばらくして症状が気にならない程度まで回復しても記憶の混乱などが起こる高次脳機能障害が残ってしまう事があります。
また、副次的に発生する症状として頭蓋内血腫や脳ヘルニアが挙げられます。
頭蓋内血腫
脳と頭蓋骨の間に血液が溜まり、脳が圧迫され様々な症状が出る状態です。
血液の溜まる場所によって
- 硬膜外血腫:頭蓋骨と硬膜の間に血腫が出来る
- 硬膜下血腫:硬膜とくも膜の間に血腫が出来る
- 脳内血腫:脳の内部に血腫が出来る
脳内血腫は特に大きな衝撃を受けたときに生じやすく、溜まった血液によって頭蓋骨内の圧力を上昇させることで脳に十分な酸素や血液がいきわたらなくなる他、脳ヘルニアを引き起こすこともあります。
脳ヘルニア
頭蓋骨内の圧力が高まることで脳を仕切っている組織から脳が押し出されることがあります。
大脳が小脳に向かって押し出された結果、脳幹を圧迫するテント切痕ヘルニアが多く見られ、重篤な症状に繋がります。
脳挫傷の原因
脳は頭蓋骨の中で脳脊髄液という液体に覆われて、浮かんでいるような状態で存在しています。
そのため、交通事故などで強い衝撃を受けると頭蓋骨と脳がぶつかり、脳にダメージを受けて脳挫傷となります。
コントラクー外傷といって、ぶつけた所と反対側に脳挫傷が生じることもあります。
交通事故で脳挫傷になった場合の死亡率や後遺症の度合い
交通事故による脳挫傷についてのデータは頭部外傷データバンク検討委員会がNeurotraumatology Vol.36 No.1 2013にまとめています。
死亡率や残る後遺症の重さは事故後の意識障害の重さによって大きく異なり、最も重いGCS 3 の場合では約80%、比較的軽いGCS 9~15でも約20%が死亡するというデータもあります。
GCSとは
GCSとは意識障害の重さを数値化して記録するための評価方法で、正式名称をGlasgow Coma Scaleといいます。
- 開眼機能:1~4点
- 言語機能:1~5点
- 運動機能:1~6点
で評価を行い、その合計点数が少ないほど重症となります。
具体的な例を挙げると・・・
- 痛みを与えても目を開けない
└開眼機能 1点 - 声を出さない
└言語機能 1点 - 刺激しても動かない
└運動機能 1点
の場合、GCS 3点となり非常に危険な状態と言えます。
また、脳挫傷によってどのくらいの割合の方が重症化するかについてはデータがあったのでご紹介します。
- 軽症(GCS 14~15):77%
- 中等症(GCS 9~13):9%
- 重症(GCS 3~8):14%
となっており、ほとんどの場合は軽症で済みます。また、高齢者の方が重症になりやすいというデータもあります。
(引用元:軽症・中等症頭部外傷への対応)
これらの調査結果と
交通事故による頭部外傷の死亡率はおよそ5%で、逆に頭部外傷死の原因の60%は交通事故によります。
頭部外傷とは|慶應義塾大学病院 KOMPAS
ということを合わせて考えると、脳挫傷での死亡率は5~10%程度と考えられます。
脳挫傷の結果残りやすい後遺症と慰謝料
これまでに説明したように、脳挫傷は脳の一部が傷ついてしまった状態です。
そのため後遺障害等級が認められるような後遺症が残りやすく、加害者に後遺障害慰謝料を請求することが出来ます。
脳挫傷によって残ることが多い後遺症は
- 高次脳機能障害
- 外傷性てんかん
- 遷延性意識障害
の三つです。これらの後遺症について、認定されうる後遺障害等級と症状、後遺障害慰謝料を解説します。
慰謝料の三つの基準
交通事故の慰謝料の計算には
- 自賠責基準
- 任意保険基準
- 弁護士基準
の3つの基準があり、自賠責基準<任意保険基準<弁護士基準の順に慰謝料金額は高くなります。弁護士に相談する事で弁護士基準での慰謝料を請求できるようになります。
高次脳機能障害
症状
高次脳機能に障害が残った状態を言います。
高次脳機能とは脳の機能の中でも、言葉を喋る、物事を記憶するなどの高度なものです。残ってしまう障害と症状は多岐にわたりますが、代表的なものは
- 失語症:会話や読み書きが不自由になる
- 記憶障害:物忘れが激しくなる
- 注意障害:物事に集中できなくなる
- 地誌的障害:よく知った場所で道に迷う
などがあります。これ以外にも感情のコントロールがしにくくなったり、計画的な行動が出来ないなど日常生活を送るうえで障害となる症状が出ます。
高次脳機能障害は軽症であれば問題なく日常生活を送っているように見えるため、身近な人や本人でも症状に気が付かないことがあります。
もし、事故で頭を打ったなど脳挫傷の可能性がある出来事を境にうまく言葉が出てこない、怒りっぽくなったなどの変化があれば些細なものでも必ず病院で専門医の診察を受けてください。
高次脳機能障害は症状が事故によるものなのか、一時的なものなのかが客観的に判別しにくいので後遺障害の認定が難しいです。
そのため、交通事故に詳しい経験豊富な弁護士によるサポートが必須です。
後遺障害等級と慰謝料
認定される可能性がある後遺障害等級は症状の重い順から1,2,3,5,7,9級となり、慰謝料は以下の表のようになります。
後遺障害等級 | 慰謝料 | |
自賠責基準 | 弁護士基準 | |
1級 | 1,650万円 | 2,800万円 |
2級 | 1,203万円 | 2,370万円 |
3級 | 861万円 | 1,990万円 |
5級 | 618万円 | 1,400万円 |
7級 | 419万円 | 1,000万円 |
9級 | 249万円 | 690万円 |
※高次脳機能障害で1,2級に該当する場合は介護を必要とする状態であるため、自賠責基準の慰謝料は要介護のケースでの金額を記載しています。
外傷性てんかん
症状
脳に衝撃をうけ、脳挫傷が起こった後にてんかん発作が起こる状態です。
てんかんは脳の神経細胞で異常な電気発射が起こることにより発作を起こす病気です。
発作の内容は様々ですが、指先の痙攣や場合によっては意識を失ってしまうなど重篤なものもあります。
外傷性てんかんにはWalkerの6項目という診断基準があります。内容は次の通りです。
- 発作がてんかん発作である。
- 受賞前に発作を起こしたことがない。
- 発作を起こす可能性のある疾患がない。
- 外傷の程度が脳損傷を起こすほど強い。
- 最初の発作は受賞後あまり時間がたっていない。外傷後まもなく発症。
- 発作の型、脳波所見が脳損傷部位と一致。
これらすべてを満たさなければ後遺障害が認められないというわけではありません、具体的な等級認定の基準は・・・
後遺障害等級 | 症状 |
5級 | 1か月に1回以上の発作があり、かつ、その発作が「意識障害の有無を問わず転倒する発作」または「意識障害を呈し状況にそぐわない行為を示す発作」であるもの。 |
7級 | 転倒する発作等が数ヵ月に1回以上あるもの又は転倒する発作等以外の発作が1ヵ月に1回以上あるもの。 |
9級 | 数ヵ月に1回以上の発作が転倒する発作等以外の発作であるもの又は服薬継続によりてんかん発作がほぼ完全に抑制されているもの。 |
12級 | 発作の発現はないが、脳波上に明らかにてんかん性棘波を認めるもの。 |
となっています、月に2回以上てんかん発作が起こる場合は高次脳機能障害があると判断され、より重い後遺障害等級が認定されるのが一般的です。
後遺障害等級と慰謝料
外傷性てんかんが残ってしまった場合の慰謝料は以下の通りです。
後遺障害等級 | 慰謝料 | |
自賠責基準 | 弁護士基準 | |
5級 | 618万円 | 1,400万円 |
7級 | 419万円 | 1,000万円 |
9級 | 249万円 | 690万円 |
12級 | 94万円 | 290万円 |
遷延性意識障害(植物状態)
症状
遷延性意識障害(植物状態)とは脳にダメージを受けることで昏睡状態になってしまった状態です。
体を動かすどころか、自分の意思で食事をしたりコミュニケーションをとれない状態で、交通事故の後遺症としては重篤なものの一つです。
医学的には以下の6つの項目が3ヵ月以上続いた場合に遷延性意識障害と診断されます。
- 自立移動できない
- 自立摂食できない
- 失禁状態である
- 意味のある言葉が話せない
- 簡単な命令には従えるが、意思疎通はできない
- 眼球を動かすことは出来るが、認識はできない
遷延性意識障害は脳死状態とは異なり、人工呼吸器がなくとも呼吸することが可能で脳波もあります。
後遺障害等級と慰謝料
遷延性意識障害となった場合、認定される後遺障害等級は要介護の1,2級です。
後遺障害等級 | 慰謝料 | |
自賠責基準 | 弁護士基準 | |
1級 | 1,650万円 | 2,800万円 |
2級 | 1,203万円 | 2,370万円 |
脳挫傷で受け取れる賠償金
交通事故で脳挫傷になった場合は先ほど紹介した後遺障害慰謝料以外にも
- 治療費
- 休業損害
- 逸失利益
- 入通院慰謝料
- 死亡慰謝料
を加害者に対して請求することが出来ます。
治療費
交通事故の治療費は加害者側の保険会社から直接病院に支払われるのが一般的です。
もし、加害者が任意保険に加入していないなどの例外的な場合には「被害者請求」という手続きを行う必要があります。
病院で支払う治療費以外にも、通院に必要な交通費や付添人が必要と認められた場合には付添費も請求できます。
休業損害
交通事故による脳挫傷が原因で休業した場合、減ってしまった収入に対する休業損害を請求することが出来ます。
サラリーマンだけでなくパートやアルバイトも含め、収入が減ってしまった人すべてが対象となります。
1日当たりの基礎収入×休業日数で金額を計算することが出来ます。
逸失利益
逸失利益は交通事故によって失われた将来の収入の事です。交通事故で脳挫傷になり、後遺障害が残ったり、被害者が亡くなってしまった場合に加害者に対して請求できます。
請求できる金額は
- 認定された後遺障害等級
- 家庭内の立場や性別(※死亡事故の場合)
- 被害者の年齢
- 被害者の収入
によって変わり、残った後遺障害が重篤、年齢が若い、収入が高いほど逸失利益は高額になります。
仮に年収600万円、40歳の男性が遷延性意識障害となり、後遺障害1級が認定されると逸失利益は1億円を超える可能性が高くなります。
慰謝料
交通事故の慰謝料は事故によって受けた精神的苦痛に対して支払われるものです。
先ほど説明したように、交通事故の慰謝料金額の計算には
- 自賠責基準
- 任意保険基準
- 弁護士基準
の三つの基準があり、弁護士基準で計算するのが最も高くなります。
後遺障害慰謝料のほかに入通院慰謝料、死亡慰謝料があります。
入通院慰謝料
入院、通院による精神的苦痛に対する慰謝料です。
自賠責基準での支払額は「入通院した期間」と「実際に入通院した日数×2」のうち小さい方1日あたりにつき4,300円となります。
一方で脳挫傷の場合の入通院慰謝料を弁護士基準で計算すると入院1ヵ月でも53万円と自賠責基準の倍以上となります。
死亡慰謝料
交通事故で脳挫傷になった結果、死亡した場合に遺族が受け取れる慰謝料です。
計算基準だけでなく、家庭内の立場によっても受け取れる金額は変わります。
仮に、配偶者一人、子供一人がいる一家の大黒柱が事故で死亡したとすると死亡慰謝料は2,800万円となります。
脳挫傷の検査方法
事故によって頭に強い衝撃を受けて脳挫傷が疑われる場合は頭部CT、頭部MRI検査を行います。
多くの場合はCT検査を複数回行い、出血などの異常が確認された場合はMRI検査でより詳細な検査をします。
もし、記憶力が低下したり言葉が出てこないことがあるなどの高次脳機能障害の症状があるようなら記憶力、注意力、行動力などの検査も行います。
脳挫傷の治療方法
脳挫傷で傷ついた脳は治ることはありません。そのため、脳を治すための治療ではなく重症化して命の危機に陥ったり、後遺症が残るのを防ぐことが治療の目的になります。
脳の損傷が小さい場合は手術はせずに入院して経過を見守ります。一方で脳の損傷が大きい場合は損傷した脳を取り除いたり、脳を圧迫する血液を除去する、腫れた脳によって頭蓋骨内の圧力が高まるのを防ぐために頭蓋骨を外して圧力を逃がすといった外科手術を行う場合もあります。
軽症で、経過観察入院の結果問題ないと医師が判断すれば通院しながら様子を見ます。
一方で後遺症が残った場合はストレッチなど体のリハビリに加えて、日常生活の動きをとりいれて脳を刺激するなどのリハビリを行います。
交通事故で脳挫傷になったら弁護士へ
交通事故の被害に遭うと頭をぶつけ、脳挫傷が起こる可能性があります。
脳挫傷が重症になれば、重い後遺障害が認定され、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益、死亡慰謝料などの賠償金を受け取ることが出来ます。
弁護士に依頼することでこれらの慰謝料を大幅に増額することが出来るだけでなく、加害者側の保険会社とのやりとりを弁護士が行うことで精神的な負担を大きく軽減することが出来ます。
ブライトを始め、多くの弁護士事務所では交通事故被害者の相談を無料で受け付けています。ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。