「業務中のケガなのに、会社から『健康保険で治療してくれ』と言われた」「労災申請したいと伝えたら『迷惑だから止めてほしい』と圧力をかけられた」「事業主証明欄に判子を押してくれない」――これらは典型的な「労災隠し」のサインです。
結論から申し上げます。労災申請に会社の同意は必要ありません。事業主証明欄が空白でも、労働者ご本人が単独で労働基準監督署に給付請求書を提出することができます。会社が労災を「認めない」「申請させない」というのは法的には何の効力もない、単なる事実上の妨害行為にすぎません。
本記事では、会社が労災を妨害してくるケースの全体像、労働者ご本人で進める申請手順、そして労災給付の獲得と並行して会社の安全配慮義務違反責任を追及するブライト独自の戦略について、実例を交えて解説します。

1. 「会社が労災を認めない」場面で実際に起きていること
1-1. 典型的な労災隠しのパターン
- 健康保険で治療を強要:「労災にすると会社の保険料が上がる」「労基署が入る」と言って健康保険証の使用を求める
- 事業主証明欄を拒否:給付請求書の事業主証明欄に押印しない、または記載内容を改ざんする
- 休業補償を会社払いに切替え:労災休業補償ではなく、会社からの見舞金や有給扱いで処理しようとする
- 業務外の事故と申告:労基署の調査時に「私的な転倒」「持病の悪化」と説明する
- 口止め・退職勧奨:「労災申請したら居場所がなくなる」「業績に響くから配置転換する」と圧力
- バックデート書類の作成:事故後に作成した安全教育記録・労働条件通知書を「事故前から存在した」と提出
共通するのは、会社が労災保険のメリット制(労災多発で保険料が上がる仕組み)、労基署からの是正勧告、刑事責任(安衛法違反)を恐れているという構図です。労働者の生活ではなく、会社の経営事情が優先されています。
1-2. 「労災隠し」は労働安全衛生法違反の犯罪
会社が労災事故を労基署に報告しない・虚偽の報告をすることは、労働安全衛生法100条・労働安全衛生規則97条違反であり、50万円以下の罰金が科される刑事犯罪です(安衛法120条5号)。
休業4日以上の労働災害は「労働者死傷病報告」を遅滞なく労基署に提出する義務があり、これを怠ると労災隠しとして摘発の対象になります。報道されている摘発事例も決して少なくありません。

2. 会社の協力なしで労災申請する方法
2-1. 事業主証明欄が空白でも提出可能
労災給付請求書には事業主証明欄(事業の名称・事業場の所在地・代表者の押印・災害発生状況の記載)があります。会社の押印が得られない場合、「事業主証明拒否理由書」を別紙で添付することで、空白のまま提出することが可能です。
- 請求書本体は労働者本人が記載
- 事業主証明欄は空白(または「事業主証明拒否」と記載)
- 別紙で「事業主証明を得られなかった経緯」を労働者本人が陳述
- 労基署が事業主に対して任意に事実確認を実施
労基署はこれを受理する義務があり、「事業主証明がないから受け付けられない」と言われた場合は、その対応自体が違法です。所属労働局や上級官庁に申し入れることで是正されます。
2-2. 必要な給付請求書の種類
- 療養補償給付請求書(様式5号・7号):治療費の給付。労災指定病院ならば窓口負担なしに直接給付
- 休業補償給付請求書(様式8号):休業4日目から給付基礎日額の60%+特別支給金20%
- 障害補償給付請求書(様式10号):症状固定後の後遺障害等級に応じた給付
- 遺族補償給付請求書(様式12号):死亡労災におけるご遺族からの請求
各請求書は厚生労働省ウェブサイトでダウンロードでき、所轄の労働基準監督署に郵送または持参で提出します。
2-3. 健康保険で治療してしまった場合の切替え
労災事故にもかかわらず誤って健康保険証で治療を受けてしまった場合も、後から労災に切り替えることが可能です。
- 協会けんぽ・健保組合に「第三者行為災害届」または事情説明文書を提出
- 健保が立て替えた医療費(7割部分)を労災に求償
- 労働者は窓口で支払った3割部分を労災に償還請求
手続きは煩雑ですが、可能です。会社が「健保で処理しろ」と言ってきても応じる必要はなく、応じてしまった後でも巻き戻すことができる点を覚えておいてください。

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3. 労災給付では足りない|会社の安全配慮義務違反責任の追及
3-1. 労災給付でカバーされないもの
労災保険給付は被災労働者の生活を一定程度カバーしますが、慰謝料は一切支給されません。また、休業補償も平均賃金の80%(基本60%+特別支給金20%)にとどまり、20%は補填されません。
- 慰謝料:入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料は労災給付に含まれない
- 休業損害の差額(20%):平均賃金の20%が未補填
- 逸失利益の差額:後遺障害逸失利益は障害補償年金・一時金との差額分
- 将来介護費:重度後遺障害における将来の介護費用
- 近親者固有の慰謝料:死亡労災におけるご遺族の慰謝料
これらは、会社に対する民事損害賠償請求でしか取り戻せません。請求の根拠となるのが「安全配慮義務違反」(労働契約法5条)です。
3-2. 安全配慮義務違反の典型例
- 機械の安全装置の不備、保護具の未支給
- 危険作業に対する安全教育の欠如
- 健康診断結果を踏まえた就業上の措置の欠落
- 長時間労働の放置(過労死ライン超え)
- パワハラ・セクハラ等のハラスメント放置
- 有害物質への暴露対策の不備
労災が認定された事案では、業務起因性の立証はすでに完了しているため、会社責任追及において因果関係の立証ハードルが大きく下がります。労災認定はそれだけで会社責任追及における強力な武器になります。
3-3. 損益相殺・控除の仕組み
労災給付と会社賠償の二重取りはできず、給付済みの労災金額は会社賠償から控除されます。ただし、特別支給金(休業特別支給金20%・障害特別支給金等)は損益相殺の対象外と運用されており、これが被災者にとっての実利になります。
費目別の対応関係(休業補償と休業損害、障害補償年金と逸失利益)を整理した上で、損益相殺の正確な計算と請求金額の組立てが必要です。

4. ブライトの「労災給付+会社責任追及」二本立ての請求
4-1. 二本立ての請求とは
ブライトでは、労災給付請求(認定獲得)と会社への損害賠償請求(安全配慮義務違反)を別契約で受任する設計を採用しています。
- 労災給付請求:着手金ゼロ・実費予納金のみで受任。認定獲得まで継続対応
- 会社責任追及:着手金あり(または日当方式)で別契約。労災認定後または並行して会社へ通知書を発送
分けることで、「労災給付だけ取れれば良い」と考える依頼者と、「会社にも責任を取らせたい」と考える依頼者の双方に、過不足のない費用設計でサービス提供できます。
4-2. 残業代請求を併合するパターン
過労死・過労自殺・精神障害労災のケースでは、未払い残業代請求を労働審判で並行進行させることが多くあります。健康管理時間表・PCログイン履歴を証拠化し、申立書一式を内製で作成します。
4-3. バックデート書類への対処
会社が「事故後にバックデートで作成した労働条件通知書・タイムカード」を労基署や裁判所に提出してきた場合、「依頼者がブライトに相談した日付」「身分証明・労働関係書類の提出を求めた日付」「会社が後から書類を送ってきた日付」を時系列で並べた陳述書で書類の信用性を弾劾する手法を確立しています。
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5. ブライトの実例|会社責任追及を実現したケース
事例A:50代男性/製造業勤務(下肢骨折・後遺障害)
業務中に重機に巻き込まれて下肢を骨折。労災給付(療養補償・休業補償・障害補償)は労基署で進行していましたが、会社からは「労災が出ているのだから民事は別」と取り合ってもらえない状態でした。
ブライトでは並行して会社に対する安全配慮義務違反による損害賠償請求に着手。給付の費目別の損益相殺ルール(休業補償と休業損害、障害補償年金と逸失利益)を整理し、慰謝料・逸失利益の差額・近親者慰謝料を含めて請求。労災給付に上乗せする形で会社からの賠償を獲得しました。
事例B:40代男性/IT業界(出向先での過重労働による鬱病)
出向先で月100時間超の時間外労働が続き、鬱病と診断され休職。会社は「出向元・出向先のどちらの責任でもない」と主張し、労災申請にも非協力的でした。
ブライトでは、まず労災事案を着手金ゼロで受任。事業主証明拒否のまま労災給付請求書を提出し、ご本人から労基署に対して経緯を陳述する形で申請を進めました。
同時に出向先会社に対する損害賠償請求(慰謝料・経済的損失)と「名ばかり管理職」としての残業代請求を別契約で受任。残業代請求は労働審判で申立て、健康管理時間表を証拠化しました。会社が事後にバックデートで作成した労働条件通知書については、相談時系列を陳述書で立証して信用性を弾劾しました。
事例C:30代女性/介護職(腰部障害・労災隠し)
入所者の移乗介助で腰部を負傷したものの、施設側から「ぎっくり腰は労災にならない」「健保で治療を」と説明され、健康保険で治療してしまっていたケースです。
ブライトでは、まず健康保険から労災への切替手続きを実施。事業主証明欄を空白のまま療養補償給付請求書を提出し、別紙で施設側の対応経緯を陳述しました。労基署の調査により業務起因性が認定された後、会社の安全配慮義務違反(夜勤帯の人員配置の不備・移乗介助マニュアルの不備)による損害賠償請求に展開しています。
6. ブライトに依頼するメリット
6-1. 着手金ゼロ・実費予納金のみで労災給付請求を引受け
労災給付請求(認定獲得)は着手金ゼロ・実費予納金のみで受任。会社からの圧力で経済的に追い詰められた段階でも、初期費用の心配なく依頼可能です。
6-2. 二本立ての請求による包括的支援
労災給付請求+会社責任追及を別契約で受任することで、依頼者の意向に応じた柔軟な戦略設計が可能です。残業代請求の併合にも対応します。
6-3. 業務起因性立証のノウハウ
調査復命書の開示請求、主治医への診断書追記依頼、職場環境証拠の収集、バックデート書類への陳述書反論まで、業務起因性立証の手法を所内マニュアル化しています。
6-4. 弁護士役割分担による品質確保
- 和氣良浩弁護士:受任可否・所内方針決定
- 松本洋明弁護士:実働(労基署対応・主治医連携・会社との交渉)
- 笹野皓平弁護士:訴訟・労働審判の二次決裁
6-5. 住所秘匿運用
会社とのトラブルや家庭事情で住所を相手方に知られたくない場合、茶封筒・差出人名のみ・郵便局留めといった配慮的な郵送運用に対応します。
6-6. 被害者救済特化
ブライトの労災事故部は被害者・ご遺族側のみを扱い、使用者側労働問題は別チャネルに切り分ける規律を所内ルールとしています。利益相反の懸念なく、依頼者の利益のみを最大化する戦略を組み立てます。
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7. こんな方は今すぐ弁護士相談を
- 会社から「健康保険で治療してくれ」と言われている
- 労災申請を伝えたら、退職勧奨・配置転換・嫌がらせを受けている
- 事業主証明欄に判子を押してもらえない
- 会社が「業務外の事故」と労基署に説明していると噂で聞いた
- 事故後に「労働条件通知書」「安全教育記録」を新たに作成して提出するよう求められた
- 労災給付だけでは生活費が足りない
- 過労・ハラスメントによる精神疾患で休職中だが、会社が労災と認めない
8. ご相談から受任までの流れ
- お電話・LINE・LPフォームからご連絡
- パラリーガルが事案概要・現在の進捗を簡単にヒアリング(約15分)
- 担当弁護士による無料相談(オンライン可・約30〜60分)
- ご依頼の場合は委任契約、即日で給付請求書の作成・会社への通知書発送に着手
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9. ご相談時にお手元にあると話が早い書類
- 事故・発症時の診断書・診療情報提供書・お薬手帳
- タイムカード・給与明細・出退勤記録(直近6ヶ月〜1年分)
- 労働条件通知書・雇用契約書・就業規則
- 会社からの通知・メール・LINEの履歴
- 事故現場の写真・作業手順書・安全教育記録(あれば)
- 同僚・上司の連絡先(後の陳述書取得のため)
10. まとめ
「会社が労災を認めない」は、法的には何の効力もない事実上の妨害にすぎません。労災申請には会社の同意は不要で、事業主証明欄が空白のままでも労働者単独で給付請求書を提出することができます。
さらに、労災給付ではカバーされない慰謝料・休業損害の差額・逸失利益の差額・将来介護費は、会社の安全配慮義務違反による損害賠償請求で取り戻すことが可能です。ブライトの「労災給付+会社責任追及」二本立ての請求は、被害者の経済的補填を最大化するための設計です。
会社からの圧力を一人で受け止め続ける必要はありません。「労災にしてくれない」と感じた段階で、まずは無料相談をご利用ください。弁護士法人ブライトは被害者・ご遺族側に徹底特化した戦略で、依頼者を支援します。
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有本 喜英 弁護士
労災事案の実務主力。業務起因性立証・証拠保全・調査復命書開示請求の実務を担当。建設・製造業現場労災、派遣労働者、一人親方の労働者性立証、外国人技能実習生対応に強み。
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