労災に遭ったときは、労災保険から補償を受けるとともに、会社に損害賠償の請求を検討することもできます。弁護士への相談を検討しているものの、「弁護士費用にはどのようなものが含まれるのか」「相談するだけでも料金が発生するのか」などが不安な方もいるでしょう。
この記事では、弁護士費用の内訳や相場、費用を抑えるポイント、弁護士に相談するメリットなどを解説します。弁護士の役割や弁護士費用特約についても紹介しているので、弁護士への相談をお考えの方は参考にしてください。
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労災問題の解決にかかる弁護士費用の内訳と相場
労災問題の解決にかかる弁護士費用の内訳や金額は、各法律事務所や弁護士によって異なります。以前は日本弁護士連合会による報酬規定・基準がありましたが、2004年4月1日よりこの規定は廃止されました。また、実際の費用は労災問題の内容や賠償金の金額、弁護士事務所の料金形態などによって変わるため、弁護士費用を一概に示すことは困難です。
ここでは、「(旧)日本弁護士連合会報酬等基準」(※以下「旧規定」とします)を目安に、弁護士費用の内訳とその相場を解説します。あくまで参考としてご覧ください。
【関連記事】労災事故に遭ったら弁護士に相談を!メリットや弁護士費用などを解説
相談料
相談料とは、弁護士に法律相談をした際に発生する費用です。問題解決や手続きを依頼するかどうかに関係なく、契約前の段階で支払います。
一般的に、30分ごとに5,000円以上2万5,000円以下が目安ですが、「初回の相談は無料」という弁護士事務所もあります。
着手金
着手金は、弁護士が会社との交渉や裁判の手続きを進めるための費用で、弁護士に問題解決を依頼(委任契約)する段階で支払うものです。
旧規定による着手金の相場
事件の経済的な利益の額が ●300万円以下の場合:経済的利益の8% ●300万円を超え3,000万円以下の場合:5%+9万円 ●3,000万円を超え3億円以下の場合:3%+69万円 ●3億円を超える場合:2%+369万円 ※労災の内容により、30%の範囲内で増減額する場合がある ※最低額:10万円 |
独自の基準を設定し、「会社との示談交渉」「労災認定の審査請求」「行政訴訟の提起」というように各段階で着手金が必要な弁護士事務所もあるため、依頼する前に見積もりを取るとよいでしょう。
弁護士事務所が次で紹介する「報酬金」において「完全成功報酬型」を採用している場合は、「回収した額の○○%」というように経済的利益によって報酬額を決めるため、着手金は0円です。
なお、着手金は報酬金の「内金」や「手付金」ではないため、労災認定されなかった場合や裁判で敗訴となった場合でも返還されない点に注意が必要です。
報酬金
報酬金とは、労災問題が解決して契約を終了するときに支払うもので、多くの場合「経済的な利益の○%」というように設定されます。割合は、示談交渉や裁判などの内容(難易度)によって異なるほか、最低額を設定している弁護士事務所もあります。
旧規定による報酬の相場
事件の経済的な利益の額が ●300万円以下の場合:経済的利益の16% ●300万円を超え3,000万円以下の場合:10%+18万円 ●3,000万円を超え3億円以下の場合:6%+138万円 ●3億円を超える場合:4%+738万円 ※労災の内容により、30%の範囲内で増減額する場合がある |
なお、弁護士事務所が「完全成功報酬制」を採用している場合、前述の「着手金」は無料となります。
日当
日当は「裁判所へ出廷する」「相手方の自宅を訪問する」など、弁護士が事務所を離れて弁護活動を行った際に支払う費用です。弁護士を拘束する時間に対して発生し、半日の場合3万円以上5万円以下、1日の場合5万円以上10万円以下が目安となっています。
実費
上記以外に交通費や通信費、コピー代や収入印紙代などが発生した場合は、必要な費用を実費で支払います。遠方への出張があるときは、鉄道の指定席代や宿泊費が発生して高額になることもあるので、依頼の前に弁護士に確認しておくと安心です。
弁護士費用を抑えるためのポイントとは?
前述のとおり、現在は弁護士報酬について定めた規定がなく、金額設定は弁護士事務所によって異なります。ここでは、弁護士費用を抑えるための方法を3つ紹介します。
初回の相談料が無料の弁護士事務所へ相談する
初回の相談料が無料の弁護士事務所へ相談すると、相談料を抑えることができます。労災に強みがあり初回相談が無料の弁護士事務所を探し、相談してみましょう。
通常、無料で相談できる時間には限度があります。肝心な内容を話せないままに時間が終了してしまうことのないよう、「相談」と「依頼」の内容をしっかり区別し、どのように解決したいのかを明確に伝えることが大切です。
着手金の額が低い弁護士に依頼する
着手金の額は依頼内容によって異なるため、労働災害関連の着手金が低額な弁護士に依頼することもおすすめです。契約の段階で着手金の支払いが難しい場合は、着手金の分割払いや後払いを可能としている弁護士事務所を探すという方法もあります。
完全成功報酬制を採用している弁護士事務所では、経済的利益(損害賠償や障害補償給付など)から報酬を支払うことが前提になるため、着手金は基本的に無料です。ただし「実費予納金」として数万円程度を必要とすることもあるため、契約前に確認しましょう。
弁護士費用を会社に請求する
原則として、弁護士費用を会社に直接請求することはできません。しかし、損害賠償を請求し会社に安全配慮義務違反や不法行為があると判断された場合は、弁護士費用と会社の違反行為に相当因果関係があるとして、賠償金の一部として弁護士費用が認められることもあります。
会社の不法行為や安全配慮義務違反の有無を個人で判断するのは難しいため、会社の対応や労災の認定結果に納得できない場合は、労災専門の弁護士にご相談ください。
【番外編】法テラスの立替制度を利用する
「法テラス(日本司法支援センター)」とは、国によって設立された法的トラブル解決のための総合案内所のこと。法テラスには、経済的に余裕がない方に対して弁護士費用を立て替える制度があります。弁護士費用を抑えるものではありませんが、相談料や着手金を支払う余裕はないけれど弁護士に依頼をしたいという場合に有用です。
この制度を利用すると、法テラスが弁護士費用を立て替えて支払い、依頼者は後日法テラスに分割で返還することになります。分割による利息等はありません。
ただし、立替制度の利用には「収入や資産が一定基準以下であること」などの条件があることや、審査(申し込みから決定まで)に約2週間かかる点に注意が必要です。法テラスでは電話やメール、チャットでの無料相談も行っているので、詳細は所轄の法テラス事務所へお問い合わせください。
参考:「弁護士・司法書士費用等の立替制度のご利用の流れ」法テラス
労災問題の解決を弁護士に依頼するメリットとは?
ここからは、労災問題の解決を弁護士に依頼することで得られる具体的なメリットを紹介します。
申請手続きのサポートを受けることができる
労災に遭うと、医療機関での治療と並行して、労災保険の給付請求や会社との交渉などを行わなければなりません。通勤災害(交通事故)では、保険会社との交渉もあるでしょう。これらの対応を弁護士に任せたりサポートを受けたりすることで、労働者本人は煩雑な手続きから開放され、治療に専念しやすくなります。
特に会社が労災を認めない場合や、過労死や精神障害など客観的な証明が困難な場合には、弁護士に依頼することで、適切な証拠を収集しながらスムーズに手続きを進めることが可能です。
後遺障害等級が適切か確認してもらえる
後遺障害(後遺症)が残り、「障害(補償)等給付」を受けるには、等級認定が重要です。しかし、その等級認定が適切であるかを判断するのは難しいでしょう。結果に納得できない場合は再度審査を受けられますが、後遺症が労災によるものと証明するには、医療と法律の専門知識が必要です。
多くの案件に携わった経験のある労災専門の弁護士に依頼すれば、労働者のメリットが最大になるようなサポートが期待でき、適切な等級で補償を受けられる可能性が高まります。
弁護士基準で損害賠償や慰謝料を請求できる
精神的な苦痛に対する「慰謝料」は労災保険から支払われないため、労働者自身が会社に請求することになります。請求のためには、労働者が会社の安全配慮義務違反や不法行為を証明するとともに、賠償額を算出する必要があり、正確な計算が必要です。
算定基準は「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判基準)」の3種類あり、弁護士基準が最も高額です。弁護士が介入することで、弁護士基準による損害賠償や慰謝料の請求が可能になるでしょう。
【関連記事】労災保険外の損害は会社に請求!損害賠償について法律事務所が解説
労災請求手続きにおける弁護士の役割とサポート
弁護士は、労働基準監督署への対応や証拠の保全、審査請求や裁判の代理、損害賠償請求など、労災に関するさまざまな場面で重要な役割を担います。申請書類の作成だけであれば社会保険労務士にも依頼できますが、交渉や裁判などの法律行為を代理できるのは弁護士のみです。
例えば、「会社が労災発生を認めない」「後遺障害の等級認定が必要」「損害賠償の請求を検討している」などのケースでは、請求手続きの段階から弁護士の専門的なサポートを受けることで、問題の早期解決が期待できます。
【関連記事】労災事故に遭ったら弁護士に相談を!メリットや弁護士費用などを解説
弁護士費用特約の利用とその利点
弁護士特約(または弁護士費用特約)とは、自動車保険や火災保険などの保険に、オプションとして付帯しているサービスの一つです。保険会社が弁護士費用を負担するもので、保険によってはオプションではなく自動的に付帯している場合や、家族が加入している保険の特約を利用できる場合もあります。
特約を利用すると保険会社が弁護士費用を支払うため、金銭的な心配がなく安心して弁護士に依頼できます。弁護士費用が賠償金を上回って損をする「費用倒れ」についても、特約を利用すれば発生する可能性が低くなります。
弁護士特約の適用範囲や金額の上限は加入している保険によって異なるため、弁護士に相談する前に「加入している保険に弁護士費用特約が付いているか」「労災でも利用できるのか」「上限金額はどのくらいか」など、保険の約款(契約内容)を確認しておきましょう。
保険会社から弁護士を紹介されることもありますが、自身で選任した弁護士に依頼することも可能です。こちらも詳細は保険会社に確認してください。
【関連記事】交通事故の弁護士費用は高い?いつ払うの?
労災の無料相談は弁護士法人ブライトへ
労災に遭い法的な問題が生じた場合は、原則3回まで相談無料(0円)、完全成功報酬制で着手金も無料(0円)の、弁護士法人ブライトへご相談ください。
労災専門チームを擁する法律事務所のため、「労災保険の申請」「事故原因調査」「会社側の責任判断」など、労働災害に強みのある弁護士によるきめ細やかなサポートが可能です。
電話・メール・LINEでお問い合わせいただけますので、遠方の方や入通院中の方も、お気軽にご相談ください。
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