労災事故の基礎知識

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犯罪となる事業者の「労災かくし」について弁護士が解説

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「労災かくし」とは

事業者は、労働災害等により労働者が死亡又は休業した場合には、遅滞なく、労働者死傷病報告等を労働基準監督署長に提出する必要があります。

事業者が労災事故の発生をかくすため、労働者死傷病報告(労働安全衛生法第100条、労働安全衛生規則第97条)を、
(1)故意に提出しないこと、
(2)虚偽の内容を記載して提出した場合
には、「労災かくし」に当たります。

また、(2)の虚偽の内容の記載とは、一部虚偽の場合も含まれ、労災事故の日付、場所、主体等について虚偽の内容を記載するものも「労災かくし」です。

「労災かくし」は犯罪です

上記のとおり、事業者は労働災害が発生した場合、遅滞なく労働者死傷病報告等を所轄労基署に提出する必要があり、「労災かくし」が行われた場合には、50万円以下の罰金刑が科される可能性があります(労働安全衛生法120条5号)。

このように、「労災かくし」は犯罪であり、刑事罰が科せられる可能性もあるのです。

なお、「労災かくし」による労働安全衛生法違反の公訴時効は3年ですので、事業者を告発することなどを考えている場合には、時効期間が経過しないよう注意する必要があります。

事業者が労災申請に協力してくれない場合には

労災給付を受けるためには、労働者またはその遺族が、医療機関や管轄の労働基準監督署に対して所定の保険給付請求書を提出する必要がありますが、当該請求書の用紙において、事業者に労働災害が発生した事実を証明してもらう必要があります。

そして、労働者災害補償保険法施行規則上、「保険給付を受けるべき者が、事故のため、みずから保険給付の請求その他の手続を行うことが困難である場合には、事業主は、その手続を行うことができるように助力しなければならない。」(第23条1項)「事業主は、保険給付を受けるべき者から保険給付を受けるために必要な証明を求められたときは、すみやかに証明をしなければならない。」(第23条2項)と定められており、事業者は労働者またはその遺族の求めに応じて、労災の手続きに協力する義務を負います。

しかしながら、事業者が「労災かくし」を行っているなど、労災の手続きに際して事業者の協力が得られない場合には、証明をもらえなかった事情を述べた文書を添えることで、事業者の証明を得ずに労災申請を行うことも可能です。

労災給付と事業者への損害賠償請求

上記の通り、事業者の協力が得られなくても、労災申請を行うことができ、労災給付を受けることができます。

もっとも、労災保険では休業損害の全額の補償や慰謝料の支払いは受けられません。それらの支払いを受けるためには、事業者に対して別途損害賠償請求をする必要があります。

事業者側に損害賠償請求ができる場合とは

使用者等は被用者との間の労働契約に基づいて、労働者の生命・健康を危険から保護するよう配慮する義務(安全配慮義務)を負います。使用者等の安全配慮義務違反により災害・傷病等が発生した場合には、使用者等は労働契約上の債務不履行に基づく損害賠償責任や、民法上の不法行為責任を負うことになります。

刑事記録が利用できる場合も

事業者が「労災かくし」により刑事処罰を受けた場合には、捜査機関により労災事故に関する刑事記録が作られます。

通常、労災事故に関する資料の大半は事業者のもとにあり、労働者が事故状況を正確に把握することや資料を収集することは困難ですが、捜査機関の作成した刑事記録の開示を受けることで、捜査機関により収集された資料を事業者への請求の準備等に利用することができます。

当事務所が過去に扱った事例においても、「労災かくし」により罰金刑を受けた事業者に対して損害賠償請求を行う際に、事故に関する資料の収集のために、刑事記録の開示手続を行ったものもあります。

また、損害賠償請求に加えて、「労災かくし」について事業者の告発を行うことも考えられます。

労災の相談は弁護士法人ブライトへ

弁護士法人ブライトでは、「労災かくし」の被害に遭われている方について、事業者に損害賠償請求を行う事件も数多く受任してきました。

事業者に対する責任追及を行うことや、「労災かくし」を行う事業者の刑事告発、刑事記録の開示等を行うためには、弁護士の専門的な知識が不可欠となります。

我々弁護士法人ブライトでは、労災事故専門部があり、労災被害に遭われてお困りの方については、無料相談をお受けしいています。

お問い合わせは電話のほか、メールやLINEでも可能です。まずは弁護士法人ブライトにお問い合わせください。

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  • この記事を書いた人

有本 喜英

弁護士法人ブライト労災部所属弁護士:クライアントの話をしっかりと聞くことで、常に「ニーズ」を把握することが第一と考えています。クライアントの「ニーズ」や思いを前提とした最善の解決を目指すことを心掛けています。

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