「従業員に株を持たせたが、退職後の取り扱いをどうするか決めていなかった」「定款に譲渡制限はあるが、具体的な手続きを一度も使ったことがない」「株主から譲渡承認を申請された、どう対応すればいいか」——非公開会社(株式譲渡制限会社)での株式移動は、手続きを間違えると後のトラブルの種になります。
大阪の顧問先での相談でも「株式の無償譲渡、どんな手続きが必要か」という質問は頻繁に来ます。弁護士法人ブライト(顧問先130社以上・企業法務部の弁護士歴平均14年以上)が、中小企業経営者向けに株式譲渡の手続きを実務目線で解説します。
株式譲渡の手続き・承認について相談したい
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非公開会社の株式譲渡制限とは
定款に「当会社の株式を譲渡するには、取締役会(または株主総会)の承認を要する」と定めた会社を、非公開会社(株式譲渡制限会社)といいます。中小企業の多くがこの形態です。
譲渡制限を設ける目的は、会社と無関係の第三者が株主に紛れ込むことを防ぐことです。ただし、「制限している」だけで「承認を拒否できる」わけではありません。会社法が定める手続きを正確に踏む必要があります。
承認機関は何が正しいか
定款の記載によって異なりますが、以下が一般的な設定です。
| 機関設計 | 承認機関 |
|---|---|
| 取締役会設置会社 | 取締役会(定款で株主総会とすることも可) |
| 取締役会非設置会社(多くの中小企業) | 株主総会(定款で取締役とすることも可) |
定款を確認しないまま「取締役全員の同意で承認した」という処理をしている会社がありますが、定款規定と実際の承認機関がズレていると、譲渡承認の効力が問題になります。
定款の株式譲渡制限規定を確認・整備したい
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株式譲渡承認の手続きフロー
株主が株式を誰かに譲渡したい場合、会社法136条に基づいて会社に承認を申請します。
STEP1|譲渡承認申請書の受領
譲渡人(現株主)または譲受人(株式を取得しようとする者)から、書面で承認申請を受けます。申請書には「誰から誰へ」「何株を」「いくらで」が記載されている必要があります。
STEP2|承認機関での決議(2週間以内)
承認機関(取締役会または株主総会)で決議します。会社は申請を受けた日から2週間以内に通知しなければなりません(会社法145条)。2週間以内に通知がない場合は、承認したものとみなされます。この「みなし承認」に気づかずに後から「承認していない」と主張しても認められません。
STEP3|不承認の場合の指定買取人手続き
不承認とする場合、会社または指定した買取人が株式を買い取ることを通知します(会社法140条・141条)。この通知もSTEP2の2週間以内通知と合わせて行うのが実務上の流れです。
不承認にしただけで放置すると「みなし承認」になる上、株主から株式売買価格決定の申立(会社法144条)をされる場合があります。価格決定は裁判所が行うため、会社側が意図しない価格になるリスクがあります。
STEP4|株主名簿の書き換え
譲渡が承認されたら、株主名簿を書き換えます(会社法132条)。名義書換えを怠ると、新たな株主が会社に対して権利主張できない状態が続きます。
株式譲渡承認の手続きを弁護士に確認したい
株式譲渡制限会社での手続きは、定款の確認・承認機関・2週間の期限など複数の落とし穴があります。弁護士法人ブライトは大阪の中小企業の外部法務部として、顧問先130社以上のガバナンス整備をサポートしています。
名義株の問題と整理方法
中小企業でよく見られる「名義株」問題があります。名義株とは、実質的な出資者(実態株主)と株主名簿上の名義人(名義株主)が異なる状態の株式です。
名義株が生まれる典型的なパターン
- 設立時、最低3人の株主が必要だった旧法の名残で、実態は1人出資なのに名義を借りた
- 相続が発生し、名義変更手続きをしないままにした
- 退職した役員・従業員の株式を「そのうち整理しよう」と放置した
判例上、他人の承諾を得てその名義を用いて株式の引受けがされた場合には、名義人ではなく実質上の引受人が株主になるとされています(最高裁判所第二小法廷 昭和42年11月17日判決(昭和42年(オ)第231号/判例秘書 L02210373))。もっとも、誰が実質上の引受人かは証拠によって立証しなければならず、名義人と連絡が取れなくなった・亡くなった等のケースでは、株主権の帰属をめぐる紛争リスクが高まり、事業承継や株式譲渡の際に大きな障害になります。
名義株の整理方法
名義人の協力が得られる場合は、株式贈与・譲渡の手続きで整理できます。名義人が死亡している場合は相続人への遺産協議、名義人と連絡が取れない場合は公示送達等の法的手続きが必要になります。早期に弁護士・司法書士と連携して整理することを推奨します。
株式の無償譲渡・贈与の税務上の注意点
株式を無償で譲渡(贈与)する場合、税務上の問題が発生します。これは会社法上の手続きとは別問題ですが、実務では一体で検討が必要です。
- 贈与税:贈与を受けた側に時価相当額の贈与税が発生する
- みなし譲渡所得税:譲渡人に時価との差額でみなし譲渡所得税が発生する場合がある(法人への無償譲渡の場合は時価で譲渡したとみなされる)
- 株式の評価方法:非上場株式の時価は「類似業種比準方式」「純資産価額方式」等で算定され、簿価とは大きく乖離することがある
株式の無償譲渡・低廉譲渡を検討する場合は、税理士と連携した上で弁護士にも手続きを確認することをお勧めします。
弁護士に相談すべきタイミング
- 株主から株式譲渡承認の申請が来た
- 退職者・元役員の株式を整理したい
- 定款の株式譲渡制限規定が実態と合っているか確認したい
- 名義株があり、整理の方法がわからない
- 事業承継を見据えて株主構成を整理したい
株式譲渡・名義株整理を弁護士に相談する
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よくある質問(FAQ)
株式の贈与には定款上の譲渡制限が適用されますか?
はい、無償の贈与であっても定款上の譲渡承認が必要です(会社法127条は「譲渡」として贈与も含む)。ただし、相続・合併等による株式の一般承継(包括承継)については、制限が及ばない場合があります。相続の場合は別途、定款に「相続人への売渡請求規定(会社法174条)」があるかが重要になります。
2週間以内に承認・不承認の通知ができませんでした。どうなりますか?
会社法145条1号により、2週間以内に通知がない場合は「承認したものとみなされます」。みなし承認となった後は、会社は不承認を主張できません。このため、株式譲渡承認申請が届いたら速やかに弁護士に相談し、対応方針を決めることが重要です。
不承認とした場合、株式の買取価格はどう決まりますか?
当事者間の協議で決まります。協議が整わない場合は、株主は裁判所に株式売買価格決定の申立(会社法144条)ができます。裁判所が指定した鑑定人によって「公正な価格」が算定されるため、会社側が想定より高い価格になる場合があります。事前に弁護士と価格の根拠を整理しておくことが重要です。
名義株を名義人が「自分の株だ」と主張してきました。対応は?
名義株の実態株主と名義人の間の合意内容(名義借用の証拠)が決め手になります。名義借用の経緯を示す書面・出資資金の出所・株式の管理状況等の証拠が重要です。合意内容の記録がない場合は、訴訟に発展するリスクがあります。法的な対応については大阪の弁護士法人ブライトにご相談ください。
株式譲渡・名義株・少数株主問題を弁護士に相談する
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