1,000万円台の誤振込——仮差押えの準備と並行した対応により1ヶ月未満で全額回収できた事例

誤振込1000万円台を仮差押え準備と並行対応で全額回収した解決事例(弁護士法人ブライト 和氣良浩 監修)

① 事案の属性

  • 業種:医療(クリニックを経営する事業者)
  • 相談ジャンル:企業法務/誤振込金の回収(不当利得返還請求・保全)
  • 解決方式:法的措置の準備と並行し、銀行の組戻し手続により返金
  • 解決までの期間:1ヶ月未満

② 相談時の状況

「自分の別口座に送金するつもりが、口座番号を打ち間違えて、まったく知らない人の口座に1,000万円台を振り込んでしまった。銀行に組戻しを頼んだが、相手の同意が取れず、返ってくるのか分からない——。」

ご相談いただいたのは、クリニックを経営する事業者の方です。銀行の組戻し手続は、誤振込先の口座名義人が同意しなければ進みません。本件では相手方の同意が得られないまま時間だけが経過し、返金の見通しが立たない状況でした。

しかも、依頼者が把握できる相手方の情報は、口座のカナ氏名のみ。住所も漢字の氏名も分からず、「誰に請求すればよいのかすら特定できない」という、法的手続の入口で壁に突き当たった状態でのご相談でした。

③ 争点・難しさ

  • 時間との勝負:誤振込金は、相手方が引き出して費消してしまえば回収が著しく困難になります。口座に資金が残っているうちに、いかに早く手を打つかがすべてでした。
  • 相手方の特定:法的手続には相手方の氏名・住所の特定が必要ですが、判明しているのはカナ表記の氏名のみ。弁護士会照会(23条照会)で銀行から情報を取得するルートを確保できるかが鍵でした。
  • 住所不明のままの保全処分:資金の引き出しを防ぐ債権仮差押えを、相手方の住所が特定できない段階で裁判所に認めてもらえるか。裁判所の保全実務との調整が必要な、難易度の高い論点でした。
  • 手続の同時並行:特定を待ってから保全、保全を待ってから請求、と順番に進めれば時間切れになります。複数の手続をどう並行させるかの設計が問われました。

④ ブライトの方針・対応

初動——「引き出される前」にすべてを間に合わせる。受任後直ちに、誤振込先の口座に対する債権仮差押え(口座の資金を動かせなくする保全処分)を軸とした回収方針を立てました。不当利得返還請求の訴訟は後からでも起こせますが、口座から資金が消えれば勝訴しても回収できません。まず資金を止めることを最優先に据えました。

裁判所の保全実務を先回りで確認。方針を立てるだけでなく、管轄裁判所の保全部に直接連絡し、カナ氏名のみ・住所不明という条件で仮差押えが認められるかを事前に確認しました。裁判所からは「カナ氏名のみでの発令は難しい」との見解が示されたため、弁護士会照会により銀行から相手方の氏名・住所の開示を求める手続を直ちに準備し、特定→保全の最短ルートを設計しました。

並行して、あらゆる選択肢を維持。警察への相談や、判明している情報から氏名を推定して申立てを行う方法まで含め、複数の選択肢を並行して検討・準備し、どのルートが最速かを常に比較しながら進めました。こうした法的措置の準備が進む中で、銀行経由の組戻し手続が動き、相手方から資金が返還されるに至りました。

⑤ 結果

  • 誤振込した1,000万円台の全額が返金された
  • 相談から返金まで1ヶ月未満のスピード解決
  • 資金が引き出される前に法的措置の準備を整え、費消リスクを回避

依頼者は、返金の見通しが立たない不安な状況から短期間で解放され、安堵されていました。

⑥ 担当弁護士のコメント(和氣良浩・代表弁護士)

誤振込は「銀行に頼めば返ってくる」と思われがちですが、組戻しは相手方の同意が前提であり、同意が得られなければ手続は止まってしまいます。そして、相手方が資金を引き出してしまえば、その後の回収は格段に難しくなります。本件の教訓はシンプルで、「迷っている時間が一番のリスク」だということです。弁護士会照会による相手方の特定、口座への仮差押えなど、弁護士にしか使えない手段を早く動かすほど、回収の可能性は高まります。高額の誤振込に気づいたら、その日のうちにご相談ください。

⑦ 関連リンク

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誤振込・未回収金のトラブルは、対応の早さがそのまま回収可能性に直結します。弁護士法人ブライトは「みんなの法務部」として、顧問先130社以上・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームで、経営者・事業者の資金トラブルを支援しています。

※本事例は当時の個別事情に基づく解決例であり、結果を保証するものではありません。