SES・業務委託の未払い報酬を仮差押えで回収する方法 SESや業務委託で報酬が支払われない。督促しても「来月必ず払う」が続くだけ。このような状況では、相手方が財産を隠す前に「仮差押え」で動くことが回収の鍵です。この記事では、仮差押えの仕組みから申立手順・証拠の揃え方まで解説します。 SES未払いが長引く典型パターン 役務提供型の取引では、資金繰りが悪化した発注先がまず「外注費の後払い」を選びます。 よくある経緯はこうです。 請求書を送っても支払いがない 「返済計画書」を出してきたが履行されない 取引先に弁護士(代理人)がついた 代理人が就任した段階で、任意回収はほぼ困難になります。この段階で迷わず法的手続きを検討すべきです。 仮差押えとは何か 仮差押え(民事保全法)とは、判決が出る前に相手方の財産を凍結する手続きです。 裁判で勝訴しても、その間に相手方が預金を引き出したり財産を移転したりすると回収できません。仮差押えは「先に財産を動けなくする」ための手段です。 凍結できる主な対象 相手方名義の銀行口座(預金債権) 相手方が元請から受け取る請負代金(第三債務者への差押え) 不動産(名義確認が必要) SES・業務委託の案件では、不動産が本人名義でないケースがよくあります。その場合は「元請企業への請負債権」への仮差押えが特に有効です。 STEP1|証拠を揃える 仮差押えの申立には「被保全権利(未払いの債権)」と「保全の必要性(財産隠しのリスク)」の疎明が必要です。 必須書類 書類 確認ポイント 基本委託契約書 契約期間・報酬条件 個別契約書(発注書) 業務内容・期間・単価 月次請求書 請求日・金額・振込先 振込履歴 支払いが途切れた月の特定 督促のやりとり(メール・SMS) 支払い約束の記録 これらがセットで揃っていれば、申立書の疎明資料として十分機能します。 STEP2|差押え対象の財産を特定する 申立に先立って相手方のメインバンクと元請企業を把握します。 メインバンクの特定方法 過去の振込履歴(どの口座から支払われていたか) 請求書に記載された振込先口座 法人の登記簿・公開情報 元請(注文者)への差押えの場合 相手方ITベンダーが大手企業から請負代金を受け取る構造であれば、その大手企業(第三債務者)に対して差押えができます。相手方が財産を移転しにくい対象として有効です。 STEP3|仮差押えを申立てる 管轄は「相手方の普通裁判籍の所在地」または「差押え対象財産の所在地」を管轄する地方裁判所です。 手続きの流れ 申立書・疎明資料を作成・提出 裁判所が担保額を決定(申立額の10〜20%程度が目安) 担保を法務局に供託 仮差押え命令が発令 銀行・第三債務者へ送達 申立から命令発令まで、通常1〜2週間程度かかります。 STEP4|本案訴訟へ移行する 仮差押えはあくまで「財産の凍結」です。実際に回収するには本案訴訟(支払い請求訴訟)または支払督促を経て、強制執行に移行する必要があります。 実務上は、仮差押えの申立と並行して訴状を準備することで、判決取得までの期間を短縮できます。 よくある相談例 相談例1:ITエンジニア派遣事業を行うある会社で、取引先からSES・採用代行の報酬が数ヶ月にわたって支払われなかった事例があります。返済計画書を取り付けたものの履行されず、相手方に代理人弁護士が就任。メインバンクの口座と元請企業への請負債権の双方に仮差押えを申立て、財産を凍結した上で本案訴訟に移行しました。 相談例2:映像制作・ITサービス系の会社で、取引先への未収債権が法務DDをきっかけに顕在化した事例があります。相手方のメインバンクを事前に特定していたため、支払い期日を過ぎた直後に仮差押えをスムーズに申立てることができました。 弁護士費用の目安 費用項目 目安 着手金 請求額の3〜5%(下限10〜20万円程度) 担保(供託金) 申立額の10〜20%(戻ってくる) 成功報酬 回収額の10〜15% 担保は判決確定後に返還されます。費用倒れを防ぐため、回収可能性の評価は弁護士と事前に確認してください。 → ご相談はこちら:/corporationlaw/ 電話:0120-929-739(受付 9:00〜18:00) 顧問弁護士がいると動きが早い 未払いへの対応は、発生した後より「発生しそう」な段階で動けるかどうかで結果が変わります。 顧問弁護士がいれば以下が可能になります。 契約段階での証拠設計(請求書・発注書の書式確認) 取引先の兆候を察知した段階での即座の相談 仮差押えの迅速な着手 月次の定額費用で、こうした事前予防から紛争対応まで一括してサポートします。 まずはご相談ください → みんなの法務部サービスの詳細はこちら:/corporationlaw/service/ 電話:0120-929-739(受付 9:00〜18:00) 関連記事 取引先から提示された契約書のチェックポイント フランチャイズ契約トラブル・途中解除と損害賠償 顧問弁護士の必要性 よくある質問 Q. 仮差押えの申立てをしてから実際に財産が凍結されるまでどのくらいかかりますか? A. 申立てから仮差押え命令の発令まで通常1〜2週間程度が一般的です。ただし裁判所の込み具合や疎明資料の内容によって前後します。詳細はご状況に応じて弁護士にご確認ください。 Q. 相手方がどの銀行をメインバンクとしているかわからない場合はどうすればよいですか? A. 過去の振込履歴や請求書に記載された口座情報、法人登記の公開情報などから特定する方法が一般的です。元請企業への請負債権への差押えも有効な手段です。弁護士にご相談ください。 Q. 費用はどのくらいかかりますか? A. 事案の内容・複雑さによって異なります。みんなの法務部では初回相談無料でご案内しています。 監修:弁護士法人ブライト 大阪・神戸を拠点に企業法務・顧問弁護士サービスを提供。みんなの法務部として中小企業の法的リスク対応を日々サポートしています。 本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、特定の事案に対する法律アドバイスではありません。個別の対応については弁護士にご相談ください。 よくある質問 Q. 仮差押えの申立にいくら費用がかかりますか? A. 着手金は請求額の3〜5%(下限10〜20万円程度)、担保は申立額の10〜20%が一般的です。担保は判決確定後に返還されます。費用倒れを防ぐため、回収可能性を弁護士と事前に確認することをお勧めします。 Q. 返済計画書を受け取ったのに支払われない場合、いつ仮差押えを申立てるべきですか? A. 相手方に代理人弁護士が就任した段階で任意回収はほぼ困難になります。その前に迷わず法的手続きを検討すべき時期です。発生しそうな段階での早期相談が、結果を大きく左右します。 Q. 相手方の銀行口座がわからなくても仮差押えはできますか? A. 過去の振込履歴や請求書の振込先口座情報から特定する方法が一般的です。特に相手方が大手企業から請負代金を受け取っている場合、その企業への請負債権の差押えも有効な手段となり得ます。