労災で高次脳機能障害──裁判所の和解案(1,000万円台)から約2,400万円へ大幅増額した解決事例(訴訟上の和解)

労災 高次脳機能障害 解決事例

事案の属性

相談者 男性(会社員)
相談ジャンル 労働災害(勤務中の事故による高次脳機能障害・会社への損害賠償請求訴訟)
後遺障害 高次脳機能障害(労災では5級相当の認定)
解決額 約2,400万円(訴訟上の和解)

ご相談時の状況

勤務中の事故をきっかけに高血圧脳症を発症し、記憶や判断に影響が残る高次脳機能障害という重い後遺障害を負われた事案です。会社に対する損害賠償請求訴訟が係属している段階でのご相談でした。

ご本人とご家族にとって重くのしかかっていたのは、「事故と障害の因果関係を裁判所に認めてもらえるのか」という不安、そして訴訟終盤になって裁判所から示された和解案が、当方の請求額を大きく下回る1,000万円台だったことでした。「これから先の生活を考えると、この金額では到底足りない。でも、裁判所の提案を断って争い続けるのも怖い」──そのような葛藤の中でのご依頼でした。

争点・難しさ

本件には、二段構えの難しさがありました。

  • 医学的因果関係の立証──事故から高血圧脳症を経て高次脳機能障害に至ったという因果関係を、医学的にどう裏付けるか
  • 裁判所の低い心証の切り崩し──労災では5級相当と認定されているのに、裁判所の和解案は、それよりはるかに低い等級を前提としているとしか考えられない水準だった
  • 支給調整(損益相殺)の問題──労災の休業補償・障害補償年金や障害厚生年金と損害賠償金との「二重取り」を裁判所が警戒しており、これが金額を押し下げる要因になっていた

ブライトの方針・対応

まず因果関係については、血流検査の結果に加え、証人尋問の結果を積み重ねることで立証をクリアしました。

その上で、低額な和解案に対しては、感情的に「不当だ」と反発するのではなく、裁判所が何を気にしているのかを分析することから始めました。検討の結果、「裁判所は労災給付・年金との二重取りを懸念しているだけで、そこへの手当てと理屈を示せば増額の余地がある」と判断。等級ごとの損害額を複数パターンで試算し直し、裁判所の心証と当方の主張の間を埋める再提示額を設計して、増額を求める上申を行いました。あわせて遅延損害金の扱いにも言及し、単なる「もっと欲しい」ではなく、法的根拠のある積み上げとして提示しました。

また、依頼者ご本人の「控訴審まで争い続けるのは避けたい。早期に解決したい」というご意向を丁寧に確認し、獲得金額の最大化と早期解決のバランスを取る方針を共有しました。さらに和解条項の作成段階では、和解金を受け取ったことで将来の労災年金の支給が止まらないよう、既払金・将来給付との関係を条項上ケアするという細部まで詰めています。

結果

裁判所の当初和解案(1,000万円台)から大幅に増額し、約2,400万円の支払いを受ける内容で訴訟上の和解が成立しました。和解成立後、ご本人はご家族とともに事務所へご挨拶に来てくださり、結果に満足いただけたご様子でした。

担当弁護士(労災部統括弁護士・笹野皓平)のコメント

裁判所から和解案が示されると、「これが相場なのだろう」と受け入れてしまう方が少なくありません。しかし和解案は動かせない数字ではなく、裁判所が何を懸念してその金額に至ったのかを分析し、その懸念に理屈で応えれば、大きく動くことがあります。本件では、労災年金との支給調整という裁判所の関心事に正面から手当てをしたことが増額の決め手になりました。加えて、和解の「条項の書き方」ひとつで将来の年金受給に影響が出かねない点も、労災賠償ならではの注意点です。提示された和解案に納得できないときは、諦める前にご相談ください。

関連情報

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労災で重い後遺障害を負われた方、裁判所や会社から提示された金額に納得できない方は、労災に注力する弁護士法人ブライトにご相談ください。

※本事例は当時の個別事情に基づく解決例であり、結果を保証するものではありません。