問題行動を繰り返す従業員への退職交渉——相手方に代理人が就任した難局面を約100万円台の合意退職で解決した事例

問題社員 代理人交渉 合意退職解決

① 事案の属性

  • 業種:IT関連企業
  • 相談ジャンル:労務(使用者側)/問題社員対応・退職交渉(相手方代理人との交渉)
  • 解決方式:示談(合意退職)
  • 解決までの期間:約6ヶ月

② 相談時の状況

「同僚を威圧するようなメッセージを送る従業員がいる。社内ルール違反も繰り返していて、他の従業員の安全が心配だ——。」

このようなご相談の解決例です。当該従業員は、同僚への威圧的なメッセージの送付、度重なる社内ルール違反、上司や人事担当者への攻撃的な態度といった問題行動を繰り返しており、会社は他の従業員の就業環境と安全を守るため、退職してもらう方向での解決を強く希望していました。

しかし本人は退職に同意しておらず、精神的に不安定な言動も見られたため、普通解雇に踏み切った場合に解雇無効を争われるリスクや、事態がさらに深刻化するおそれが懸念されました。会社が直接交渉を続けることの負担と危険性を踏まえ、弁護士が会社の代理人として交渉窓口となり、退職に向けた交渉を全面的に進めることになりました。

③ 争点・難しさ

  • 普通解雇事由の該当性:一連の問題行動が解雇を正当化できる水準か。解雇有効の見込みはあっても、争われた場合の時間的・金銭的コストは無視できませんでした。
  • 安全配慮義務との両立:本人が精神的不調を訴える中で、会社としての健康配慮と、他の従業員を守るための毅然とした労務管理をどう両立させるか。
  • 短期間で内容が変遷した診断書:「一定期間の休職を要する」という診断書の直後に「就労可能」とする診断書が提出されるなど、医学的資料の信頼性の見極めが必要でした。
  • 「解雇された」という主張への反論:本人は面談のやり取りをもって「解雇された」「もう就業規則は適用されない」と主張。この認識のずれを放置すると、交渉の土台そのものが崩れる状況でした。
  • 相手方代理人との金額交渉:相手方に代理人が就任し、当初は約200万円台の解決金が要求され、会社対応の正当性も厳しく追及されました。

④ ブライトの方針・対応

基本方針——解雇できる事案でも、合意退職を目指す。解雇は可能と見立てつつも、争われるリスクを踏まえ、自主的な退職合意による解決を最優先としました。そのために弁明告知等の手続きを一つずつ踏み、「手順を尽くした」という記録を積み上げながら交渉の土台を作りました。

医学的な手続きを軸に据える。本人が精神的不調を訴えた段階で、産業医との連携を助言し、就業規則に基づき主治医への確認等の医学的な手続きを組み込みました。会社が本人の個人的事情に過度に踏み込むことのリスクも踏まえ、判断の基礎はあくまで客観的な医学的資料と記録に置きました。

「解雇していない」という法的整理で主導権を握る。「解雇された」という主張に対しては、会社は解雇しておらず労働契約は現在も有効に継続していること、したがって就業規則が適用されることを文書で明確に整理して伝えました。この整理により、交渉は「解雇の有効性を争う場」ではなく「円満な退職条件を協議する場」に戻りました。

客観的事実に基づく減額交渉。相手方代理人からの約200万円台の要求に対しては、社内評価の記録や、ヒアリング時の説明と弁明書の内容の食い違いといった具体的な事実を挙げて反論し、金額の引き下げを粘り強く交渉しました。

⑤ 結果

  • 当初約200万円台の解決金要求に対し、約100万円台の支払いによる合意退職(自己都合退職としての取扱い)が成立
  • 訴訟・労働審判に発展させることなく、他の従業員の就業環境と安全を確保
  • 解決までの期間:約6ヶ月

相手方に代理人が就任し交渉が難航した局面もありましたが、無事に合意退職での解決に至り、依頼者から感謝のお言葉をいただきました。

⑥ 担当弁護士のコメント(和氣良浩・代表弁護士)

他の従業員の安全に関わる問題行動があると、経営者としては一刻も早く辞めさせたくなるものです。しかし、そういう局面ほど、弁明の機会、医学的な手続き、記録の積み上げといった手順を飛ばしてはいけません。本件では、相手方に代理人が就任し「解雇された」という主張まで出ましたが、会社が手順を尽くし、法的な整理を崩さなかったことが、最終的に合理的な条件での合意退職につながりました。緊急性の高い問題社員対応こそ、初動から弁護士が窓口に立つ意味が大きい類型だと考えています。

⑦ 関連リンク

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問題行動を繰り返す従業員への対応は、他の従業員を守る観点からも、初動のスピードと手順の正確さが問われます。弁護士法人ブライトは「みんなの法務部」として、顧問先130社以上・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームで中小企業の労務問題を支援しています。

※本事例は当時の個別事情に基づく解決例であり、結果を保証するものではありません。