このページは、自転車通勤を許可している会社の責任を、企業の人事・労務・経営者の方向けに、弁護士法人ブライトの笹野皓平弁護士が実務観点から整理したものです。
📝 この記事の3秒結論
- 自転車通勤も労災(通勤災害)の対象、会社は届出受理を整備
- 2023年4月からヘルメット努力義務化、会社からの推奨指針が必要
- 従業員が自転車で加害者になっても、業務中なら会社の使用者責任が及ぶ可能性
- 通勤手当規程と就業規則で自転車通勤のルールを明文化
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自転車通勤を取り巻く環境変化
近年、健康増進・コロナ後の在宅勤務縮小・コスト削減等の理由で、自転車通勤を許可・推奨する会社が増えています。一方で、自転車事故での高額賠償判例(最大9,500万円)も話題になり、会社側のリスク管理が問われる状況です。
2023年4月の道路交通法改正でヘルメット装着が努力義務化され、会社の労務管理にも影響が出ています。
自転車通勤中の事故も「通勤災害」
自転車での通勤途中に交通事故に遭った場合、これは労災保険の「通勤災害」として認定対象になります。会社への自転車通勤の届出有無は通勤災害認定の必須要件ではなく、実態として通勤に使っていれば認められます。
ただし、会社としては労務管理上、自転車通勤の事前届出制を整備しておくのが望ましいです。
ヘルメット努力義務化と会社の対応
2023年4月から自転車利用者のヘルメット装着が努力義務となりました。罰則はありませんが、事故時の過失相殺や会社の安全配慮義務に影響します。
会社からの推奨指針として:
- 就業規則・自転車通勤規程に「ヘルメット装着推奨」を明記
- 新規自転車通勤者への配布補助金(5,000〜10,000円程度)
- 社内研修で交通安全+ヘルメット装着を周知
- 事故報告フォーマットに装着有無の記載欄
従業員が自転車で加害者になった場合
従業員が自転車運転中に歩行者・他自転車・自動車に衝突して加害者になることもあります。
このとき、会社の責任が問われる可能性:
- 業務中の自転車事故(配達業務等)→ 会社の使用者責任が成立し得る
- 通勤中の自転車事故→ 通常は会社の責任なし、ただし会社が義務的に自転車通勤を強いていた特殊事情では責任の余地
- 休憩時間・私用での自転車利用→ 原則会社の責任なし
業務中の自転車事故での会社責任を回避するには、会社所有の自転車に対人・対物賠償保険を付けるか、個人賠償責任保険の加入を従業員に義務化するのが現実的です。
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就業規則・自転車通勤規程の整備ポイント
自転車通勤を許可する会社が整備すべき規程:
- 事前届出制:通勤経路・距離・自転車の種類・保険加入状況の届出義務
- 個人賠償責任保険の加入義務:1億円以上の補償
- ヘルメット装着推奨:努力義務だが規程上明記
- 整備義務:定期点検(ブレーキ・ライト・ベル)の励行
- 事故時の届出義務:警察への届出・会社への報告タイミング
- 飲酒・夜間無灯火・スマホ操作の禁止明記
- 通勤手当規程:自転車通勤の手当(ガソリン代相当より低めが一般的)
通勤手当の算定方法
自転車通勤の通勤手当は、距離と頻度に応じた合理的な金額を設定します。
- 2km未満:手当なしが一般的
- 2〜10km:月3,000〜5,000円程度
- 10km超:公共交通機関相当額の50〜70%
- 非課税限度額(所得税法上):距離別に定められた額まで
事故発生時の社内対応
- 従業員から第一報、警察への届出確認
- 通勤災害なら労災申請をサポート
- 加害者がいる場合は本人または弁護士窓口に
- 従業員が加害者になった場合は個人賠償保険連絡+会社責任の有無確認
- 顧問弁護士へ報告
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顧問弁護士で「自転車通勤許可」のリスクを下げる
自転車通勤を許可するかどうか、その制度設計は会社にとって労務リスクの判断ポイントです。顧問弁護士に就業規則・通勤規程・保険加入の整備をサポートしてもらえば、許可のメリット(採用力・健康増進)を活かしつつリスクを最小化できます。
まとめ
自転車通勤は健康・コスト面でメリットがありますが、2023年法改正以降、会社の労務管理上の責任が問われやすい状況です。事前届出制・個人賠償保険義務化・ヘルメット推奨・通勤手当規程の整備、この4点を整えれば、安全に許可を続けられます。
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監修:笹野 皓平 弁護士(弁護士法人ブライト パートナー弁護士)
京都大学法学部卒・弁護士歴15年・修習64期。労災事故・労務問題・企業法務の多数の解決実績を持ち、特に「会社側」と「従業員側」両方の視点を理解した上で、企業の労務リスクマネジメントを支援。本件もブライトの実務知見をもとに整理(守秘のため一部を匿名化)。
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