製造業の現場でのくも膜下出血による死亡労災――「持病のせい」とする会社の主張に反論し、9,000万円台で示談を成立させた解決事例

事案の属性
| 相談者 | 製造業に勤務されていた夫を亡くされた妻とお子様方(ご遺族) |
|---|---|
| 業種・規模 | 製造業 |
| 相談ジャンル | 労働災害(業務中の脳血管疾患(くも膜下出血)による死亡・会社への損害賠償請求) |
| 結果 | 死亡事案 |
| 解決額 | 9,000万円台(示談による解決) |
| 解決までの期間 | 約6ヶ月(示談合意まで) |
ご相談時の状況
製造業に勤務されていた夫を、勤務中に発症したくも膜下出血で亡くされた妻とお子様方からのご相談です。労災認定はすでに受けており、遺族補償年金の支給も始まっていましたが、会社側からは弔慰金とは別に、損害賠償に関する合意書案が提示されている状況でした。
「提示された金額が、法的に見て妥当な水準なのか自分たちでは判断できない」「逸失利益や慰謝料がどのように計算されるのか、専門家の意見を聞きたい」──会社との関係を悪くしたくないという思いを抱えながらも、正当な賠償は受けたいと考え、当法人の労災専用サイトをご覧になりご相談いただきました。弁護士による損害額の概算が会社の当初提示額を大きく上回ったことから、正式に示談交渉をご依頼いただく運びとなりました。
争点・難しさ
このような事案では、提示額の妥当性チェックにとどまらない、複数の専門的な論点があります。本件で特に問題になったのは、次の点です。
- 逸失利益の算定の妥当性──生活費控除率をどう設定するか(本件では30%)を含め、算定の根拠を一つひとつ精査する必要がありました
- 素因減額の主張への対応──会社側が、健康診断の結果や生活習慣(通院歴・嗜好など)を理由に賠償額の減額を示唆しており、法的にどこまで認められる主張なのかの見極めが必要でした
- 労災保険給付との損益相殺の範囲──すでに支給が始まっている遺族補償年金等が、賠償額からどこまで控除されるべきかという専門的な計算が必要でした
- 近親者固有の慰謝料の算定──ご遺族おひとりおひとりの慰謝料をどのように積み上げて総額を組み立てるか
- 示談書の清算条項の文言──後々の解釈の食い違いを防ぐため、合意額が何を差し引いた後の金額なのかを明確にしておく必要がありました
ブライトの方針・対応
- 費用体系の工夫──会社からすでに一定額の提示があったことを踏まえ、弁護士費用を「増額できた部分(経済的利益)」を基準に算定する方式を提案。ご遺族が費用負担を気にせず交渉を任せられる体制を整えました
- 疑問点を丁寧に問いただす交渉──高圧的な姿勢ではなく、あくまでご遺族の不安を代弁する形で、会社側に賠償額の算定根拠を一つひとつ確認していきました
- 素因減額の主張を法的論点として明確化──会社側が示唆した健康状態や生活習慣について、「素因減額」という具体的な法的主張として整理するよう求め、反論の的を絞りました
- 最終合意額の性質を明文化──最終的な提示額が、既払金などをすべて除いた金額である旨を、合意書作成前に相手方へ明示的に確認させました
- 解決後のフォロー──示談成立後、ご遺族から労基署への報告義務について質問があった際も、今後何かあれば相談に応じる姿勢を伝え、事件終結後も安心していただけるよう対応しました
結果
交渉の結果、会社側が主張していた素因減額の割合を大幅に圧縮し、9,000万円台での示談が成立しました(示談合意まで約6ヶ月)。弁護士による当初の損害額概算に近い水準での解決となり、ご遺族には十分にご納得いただいたうえで合意に至りました。解決後も、労基署への対応などについてご相談いただける関係を継続しています。
担当弁護士(労災部統括弁護士・笹野皓平)のコメント
脳血管疾患などのご病気による労災死亡事案では、会社から一定の解決金が提示されると、ご遺族だけでその金額が妥当かどうかを判断するのは非常に難しいものです。特に、持病や生活習慣を理由とした素因減額の主張は、法的に認められる範囲が限定的であるにもかかわらず、大きな減額根拠として持ち出されることが少なくありません。このようなケースでも、算定根拠を一つひとつ確認し、法的な主張として整理し直すことで、ご遺族に納得いただける水準まで引き上げることができます。大切なご家族を亡くされたご遺族に、金銭面での不安まで抱えていただきたくありません。提示を受けた段階で構いませんので、サインする前に一度ご相談ください。
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※本事例は当時の個別事情に基づく解決例であり、結果を保証するものではありません。