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仕事中の死亡事故で遺族が取るべき行動と請求できる全補償|労災死亡の完全ガイド【弁護士解説】

執筆・監修

笹野 皓平(ささの こうへい)

弁護士法人ブライト|労災事故部統括

大阪弁護士会(2011年登録・修習64期)|弁護士歴15年

代表監修

和氣 良浩(わけ よしひろ)

弁護士法人ブライト 代表弁護士

この記事の結論

補償の種類 請求先 主な内容 時効
遺族補償年金・葬祭料 労働基準監督署 年収の5〜6割相当を年金で支給 5年
損害賠償(会社を訴える) 会社(使用者) 死亡慰謝料・逸失利益・近親者慰謝料 5年(改正民法)
第三者への賠償請求 加害者(第三者) 車両事故・元請業者の過失等 5年
相続と賠償金の関係 —— 相続放棄後も近親者慰謝料は請求可 ——

会社の安全配慮義務違反(労働契約法5条)があれば、労災保険とは別に会社への損害賠償が可能。合計で1億円超になるケースもある。着手金0円・完全成功報酬で対応可能。まず弁護士に無料相談を。

仕事中に家族を亡くした——。その絶望の中で、遺族が突きつけられる現実は「労災保険だけでは到底足りない」という事実です。

遺族補償年金は受け取れたとしても、慰謝料はゼロ。逸失利益(亡くなった家族が将来稼いでいたはずの収入)も全額はカバーされません。会社側が「労災だから補償は終わり」と説明しても、それは間違いです。

本記事は、死亡労災に関連する記事17本(「労災死亡×相続」クロス記事9本を含む)を束ねる完全ガイドとして作成しました。遺族が取るべき行動と請求できる全補償を、弁護士法人ブライト 労災事故部統括・笹野皓平弁護士が解説します。

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死亡労災で遺族が請求できる4種類の補償

死亡労災では、遺族が請求できる補償ルートが最大4つ存在します。どれか一つだけに絞る必要はなく、重複して請求できるものもあります。

1. 労災保険(遺族補償年金・葬祭料)

業務中の死亡事故が認定されると、労災保険から以下の給付が支給されます(労働者災害補償保険法16条・17条)。

  • 遺族補償年金:給付基礎日額×153〜245日分(受給権者の人数・続柄により変動)。妻・子・父母など一定の遺族が受給権者となり、要件を失うまで継続支給される。
  • 遺族補償一時金:遺族補償年金の受給権者がいない場合等に、給付基礎日額×1,000日分が一括支給される。
  • 葬祭料:315,000円+給付基礎日額×30日分(または給付基礎日額×60日分のいずれか高い方)。

重要な限界:労災保険では「慰謝料」は一切支給されません。また、逸失利益も全額はカバーされず、後述する損益相殺の対象となって会社への損害賠償請求額から控除される仕組みになっています。時効は5年(障害補償・遺族補償給付は労働者災害補償保険法42条)。

2. 会社への損害賠償(安全配慮義務違反)

死亡労災において、会社に安全配慮義務違反(労働契約法5条、民法415条・709条)があれば、会社を相手に損害賠償を請求できます。労災保険の給付を受けても、この請求権は失われません。

請求できる主な損害項目と相場は以下のとおりです。

損害項目 相場・目安 備考
死亡慰謝料(本人分) 2,000万〜2,800万円 一家の支柱か否かで変動
近親者慰謝料 配偶者200〜400万円、子・親100〜200万円程度 相続放棄後も固有の権利として請求可
逸失利益 年収・年齢・就労可能年数・ライプニッツ係数で計算 年収700万・40歳男性の場合:約7,355万円
葬儀費用 150万円程度 実費相当
損益相殺(労災保険控除) 支給済み給付分を控除 慰謝料は控除対象外

時効は主観的起算点(被害・加害者を知った日)から5年(改正民法724条の2・166条1項1号。2020年4月1日以降の事故から適用)。労災認定が出てから請求を始める遺族も多いですが、死亡事故から5年を超えると権利が消滅するリスクがあるため、早期の弁護士相談が不可欠です。

会社への損害賠償請求の詳細は、死亡労災・遺族の損害賠償(詳細解説)をご覧ください。

3. 第三者への賠償(第三者行為災害の場合)

死亡事故の原因が会社以外の第三者(例:元請業者、隣接業者の作業員、車両の運転者等)の行為による場合、その第三者にも損害賠償を請求できます(第三者行為災害)。

この場合、労災保険・会社への損害賠償・第三者への賠償の三者間で複雑な損益相殺・調整が生じます。どの順番でどこに請求するかで受け取れる額が変わるため、弁護士による戦略的な対応が必要です。三者間の調整の詳細は第三者行為災害の三方調整で解説しています。

4. 慰謝料の二重構造(本人分の相続+近親者固有分)

死亡労災の慰謝料には重要な構造があります。

  • 本人分の慰謝料(相続):死亡した被災者本人が被った精神的苦痛に対する慰謝料。相続人が相続して請求できる(最高裁昭和42年11月1日判決以来の通説・実務)。
  • 近親者固有の慰謝料:配偶者・親・子が自ら被った精神的苦痛に対する慰謝料(民法711条)。これは相続ではなく、遺族自身の固有の権利として発生する。

この二重構造により、たとえ相続放棄をしても、近親者固有の慰謝料だけは請求できます。詳しくは慰謝料の二重構造で解説しています。

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遺族が動くべき手順と時効(5年)

死亡労災が発生してから請求完了までの手順を整理します。

STEP 1:労災申請(死亡診断書・事故証明の確保)

会社が労災申請に協力しない場合でも、遺族が直接労働基準監督署に申請できます(会社の協力は法律上不要)。申請に必要な書類は「遺族補償年金支給請求書(様式第12号)」「死亡診断書の写し」「戸籍謄本」等です。

STEP 2:証拠の保全(早期着手が重要)

会社への損害賠償請求において最も重要なのが証拠の保全です。事故発生直後から時間が経つほど証拠は失われます。保全すべきものとして、事故現場の写真・映像(防犯カメラ等)、被災者の労働時間記録・タイムカード、安全管理規程・作業手順書、社内の事故報告書などが挙げられます。弁護士に早期依頼することで、これらの証拠保全を迅速に行えます。

STEP 3:安全配慮義務違反の立証

会社に損害賠償を請求するには、会社の安全配慮義務違反(労働契約法5条)の立証が必要です。具体的には「予見可能性(この事故を会社が予見できたか)」と「結果回避義務違反(回避できたにも関わらず対策を怠ったか)」の2点を立証します。

実務上多いパターンとして、高所作業での墜落防止措置(労働安全衛生規則519条・520条)の不備、フォークリフト作業での立入禁止措置の欠如、機械の安全カバー未設置などが挙げられます。会社が加入する労災保険の保険事故調査報告書や、労基署の災害調査報告書が証拠として有効なことが多いです。

STEP 4:損害額の計算と交渉・訴訟

弁護士が逸失利益・慰謝料・葬儀費用等を計算し、会社(または保険会社)と交渉します。交渉で解決しない場合は民事訴訟に移行します。死亡労災は請求額が大きい(1億円超も)ため、会社側が争ってくることも多く、訴訟になることを前提とした準備が必要です。

時効:死亡から5年以内に動く

会社への損害賠償請求の時効は主観的起算点(被害・加害者を知った日)から5年(改正民法724条の2・166条1項)です。労災認定が出てから弁護士を探す遺族が多いですが、認定に時間がかかる場合もあるため、死亡後できるだけ早く弁護士に相談することを強く勧めます

なお、労災保険の遺族補償給付の時効も5年(労働者災害補償保険法42条)です。療養補償・休業補償給付とは時効期間が異なるので注意が必要です。

時効・証拠保全は待ったなし

死亡から時間が経つほど証拠が失われ、時効リスクも高まります。弁護士への早期相談が補償最大化の第一歩です。

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相続と賠償金の関係【重要】

死亡労災の補償を受ける前に、遺族が必ず理解しておくべき「相続と賠償金の関係」を整理します。実務上、この点の誤解から損をしてしまうケースが多くあります。

賠償金は誰が受け取るか

会社への損害賠償請求で認められた賠償金は、原則として法定相続人が法定相続分に応じて受け取ります。ただし、近親者固有の慰謝料(民法711条)は各遺族が固有の権利として直接受け取ります。

複数の相続人がいる場合、遺産分割協議で賠償金の分配を決める場面もありますが、賠償金(損害賠償請求権)を遺産分割協議の対象に含めるかどうかには法律上の論点があります。詳しくは遺産分割協議書に賠償金を含める?で解説しています。

相続放棄しても近親者慰謝料は請求できる

被災者に多額の借金があり相続放棄を検討している遺族からよく受ける質問が「相続放棄すると賠償金も受け取れなくなりますか?」というものです。

答えは「近親者慰謝料(民法711条)は受け取れる」です。近親者慰謝料は相続財産ではなく、遺族自身の固有の権利として発生するため、相続放棄の影響を受けません。一方、被災者本人の死亡慰謝料(相続分)や逸失利益については、相続放棄すると権利を失います。

また、遺族補償年金は相続財産ではなく、受給権者が直接受け取る固有の権利です(最高裁平成7年4月25日判決でこの法理を確認)。したがって相続放棄しても遺族補償年金の受給権は失いません。

借金と相続放棄の判断については、借金が残されたとき相続放棄すべきかで詳しく解説しています。

賠償金と相続税

遺族が受け取る労災死亡賠償金は、原則として相続税の課税対象にはなりません(損害賠償金は相続財産ではないため)。ただし、遺族補償年金(労災保険給付)や生命保険金は別の税務上の取り扱いとなります。詳しくは労災死亡賠償金と相続税で確認してください。

死亡労災×相続の詳細ガイド9本

死亡労災と相続が交差する論点は複雑です。以下のガイドを状況に合わせてお読みください。

「相続を放棄すべきか」「賠償金は誰が受け取るか」——
複雑な状況ほど弁護士への早期相談が重要です。無料でお答えします。

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弁護士に依頼するメリット

死亡労災の損害賠償請求を弁護士なしで進めることは、遺族にとって極めて困難です。理由と具体的なメリットを解説します。

メリット1:増額事例——相手方の提示額から大幅引き上げ

会社側(または保険会社)が最初に提示する示談金は、本来認められる額より低いケースが多くあります。

事例A(建設業・40代男性・足場崩落死亡):相手方の初回提示は約4,500万円。弁護士介入後、安全基準(建設業法・労働安全衛生規則)の違反を具体的に特定し、逸失利益の基礎収入を実態に合わせて修正した結果、約9,200万円で解決(約2倍)。

事例B(製造業・50代男性・機械巻き込まれ死亡):会社が「被災者の不注意」を主張し過失相殺を求めてきた。安全カバー未設置・特別教育不実施(労働安全衛生規則107条違反)を立証し、過失相殺ゼロで約7,800万円の損害賠償を獲得。

メリット2:安全配慮義務違反の立証力

弁護士法人ブライトは顧問先130社以上(実名公開)を抱える企業法務の実績があります。会社が労災発生時にどのような対応をするか、どこで隠ぺいを試みるかを、会社側の論理を知るからこそ遺族側で徹底的に対抗できます。

メリット3:着手金0円・完全成功報酬

弁護士法人ブライトの労災事件は、着手金0円・完全成功報酬制で対応しています。依頼開始時に費用は一切かかりません。解決した場合のみ、回収額に応じた報酬をお支払いただく仕組みです。遺族が資金的に困窮している状況でも、費用を心配せず相談・依頼できます。

着手金0円・完全成功報酬で対応します

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関連記事

死亡労災の各論点については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。

よくある質問(FAQ)

Q1:労災保険を受け取った後でも会社に損害賠償できますか?

はい、できます。労災保険の給付と会社への損害賠償請求は別制度です。ただし、受け取った労災保険給付分は損害賠償額から損益相殺(控除)されます。慰謝料は控除の対象外です。

Q2:会社が「労災ではない」と言っています。どうすればよいですか?

会社の認定とは関係なく、遺族が直接労働基準監督署に労災申請できます。申請は遺族の権利であり、会社の同意は不要です。また、会社の損害賠償請求も、労災認定を待たずに進められます。

Q3:相続放棄した場合、会社への損害賠償請求はどうなりますか?

相続放棄すると、被災者本人の死亡慰謝料(相続分)・逸失利益の請求権は失います。ただし、近親者固有の慰謝料(民法711条)は固有の権利なので引き続き請求できます。また、遺族補償年金も相続財産ではないので放棄の影響を受けません。

Q4:過労死の場合でも会社に損害賠償を請求できますか?

はい、請求できます。過労死として労災認定(時間外労働が直近2か月以上で月平均80時間超等の基準を満たす場合)が下りた場合、会社の安全配慮義務違反を立証して損害賠償を請求することが可能です。過労死認定後の実務については過労死認定後の遺族補償と相続実務で解説しています。

Q5:一人親方の場合、遺族は会社に損害賠償できますか?

一人親方は労働者ではないため、元請・下請会社との関係で安全配慮義務の有無が問題になります。実際には工事請負人であっても、実態として指揮命令下に置かれていた場合は損害賠償が認められるケースがあります。一人親方の労災死亡で詳しく解説しています。

Q6:死亡から2年経っています。時効は切れていますか?

会社への損害賠償請求の時効は主観的起算点から5年です(改正民法724条の2・2020年4月以降の事故)。2年であれば時効は切れていません。ただし、証拠が失われている可能性があるため、すぐに弁護士に相談してください。なお、2020年3月以前の事故については旧民法が適用される(3年・または不法行為起算点から20年の除斥期間)ため、個別確認が必要です。

Q7:弁護士費用が払えません。相談できますか?

はい、相談は無料です。弁護士法人ブライトの労災事件は着手金0円・完全成功報酬制のため、弁護士費用を事前に用意する必要はありません。解決して補償金を受け取った際に報酬をお支払いいただく仕組みです。

まとめ

仕事中の死亡事故で遺族が受け取れる補償は、労災保険給付だけではありません。会社への損害賠償請求(安全配慮義務違反)、第三者への賠償、近親者固有の慰謝料——これら複数のルートを組み合わせることで、補償を最大化できます。

重要なポイントを再確認します。

  • 労災保険と会社への損害賠償は別制度。両方請求できる
  • 慰謝料(死亡本人分・近親者分)は労災保険ではカバーされない
  • 相続放棄しても近親者慰謝料・遺族補償年金は受け取れる
  • 時効は死亡から5年(早期着手が証拠保全にも有利)
  • 着手金0円・完全成功報酬で弁護士に依頼できる

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  • この記事を書いた人

笹野 皓平

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本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。

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  • 弁護士 有本 喜英

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事務所名 弁護士法人 ブライト(大阪弁護士会所属)
開 業 平成21年(代表弁護士独立開業)
設 立 平成24年11月設立、平成27年1月に法人化
所在地 〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎2丁目6番6号 コウヅキキャピタルウエスト12階
TEL 0120-931-501(受付時間9:00~18:00)
FAX 06-6366-8771
事業内容 法人向け(法律顧問・顧問サービス、経営権紛争、M&A・事業承継、私的整理・破産・民事再生等、契約交渉・契約書作成等、売掛金等の債権保全・回収、経営相談、訴訟等の裁判手続対応、従業員等に関する対応、IT関連のご相談、不動産を巡るトラブルなど)、個人向け(交通事故・労災事故を中心とした損害賠償請求事件、債務整理・破産・再生等、相続、離婚・財産分与等、財産管理等に関する対応、不動産の明渡し等を巡る問題など)

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