交通事故の基礎知識

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後遺障害認定を受ける手順と注意点を分かりやすく解説

後遺障害認定とは事故の怪我で残った後遺症に後遺障害等級が認定される事です。
全国各地にある自賠責損害調査事務所が提出された申請書類に基づいて審査と認定を行います。

後遺障害認定を受けると、認定された等級に応じた

を加害者に請求することが出来るので、受け取る賠償金を大幅に増額出来ます。

申請から認定までの期間は90%以上の場合で2か月以内ですが、症状が複雑であればそれ以上かかる事もあります。

関連ページ:後遺障害等級認定にかかる期間と遅れている場合の対処法について解説

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後遺障害認定を受ける方法

後遺障害認定が行われるのは怪我を治療し、症状固定が終わった後です。

後遺障害診断書を保険会社から取り寄せるなどして入手し、事前認定か被害者請求の二つのうちどちらかの方法で後遺障害を申請します。

申請の結果に納得いかなければ異議申し立てを行い、再審査を受けることが出来ます。

後遺障害診断書

後遺障害診断書とは被害者の個人情報や怪我の状態を詳しく記した書類です。
内容の記入は医師が行いますが書類は保険会社に連絡して取り寄せるか以下のものをダウンロードしてお使いください。

関連ページ:後遺障害診断書とは?書式、費用、注意点などを弁護士が解説

歯の後遺障害と体の後遺障害では別の書類が必要になるので注意してください。

体の後遺障害診断書

歯の後遺障害診断書

事前認定と被害者請求

後遺障害の事前認定と被害者請求の違い
後遺障害の事前認定と被害者請求の違い

後遺障害認定の際に必要な申請の方法には事前認定と被害者請求があります、二つの違いは

  • 事前認定:相手保険会社に手続きを任せる
  • 被害者請求:自分で全ての手続きを行う

です。事前認定の方が手間がかからず申請できますが、加害者側の保険会社に手続きを任せてしまうため、適切な審査が行われているかどうかが不透明というデメリットがあります。

被害者請求は自分で全ての書類を集める手間があるものの、正確な審査を受けられるメリットがあります。

被害者請求で後遺障害認定を受ける流れは次の通りです。

  • 怪我の治療が終了して主治医から後遺障害診断書をもらう
  • 必要書類を揃えて自賠責保険会社を介して損害保険料率算出機構へ提出
  • 損害保険料算出機構の調査終了後、認定結果が出る
  • 自賠責保険会社を介して被害者に直接認定結果を書面で通知される
  • 4と同時に、自賠責保険会社から保険金が支払われる。

被害者請求は準備する書類が非常に多く、それらをすべて揃えるのも面倒です。必要書類と用紙の入手先、そして誰が記入するものなのかを表にまとめてみました。

必要な書類
(※:必要性が認められた場合の添付書類)
用紙入手先 記入者
自動車損害賠償責任保険金支払請求書 保険会社 保険会社
交通事故証明書(人身事故) 自動車安全運転センター 自動車安全運転センター
事故発生状況報告書 保険会社 被害者本人
事故当初の初診時の診断書 保険会社 主治医
※レントゲン写真 病院 病院
※休業証明書 保険会社 事業主
※所得証明のための納税証明書や課税証明書 市区町村 市区町村
※印鑑証明/被害者が未成年の場合は住民票や戸籍謄本も必要 住民登録・本籍のある市区町村 住民登録・本籍のある市区町村
※委任状と委任者の印鑑証明 市区町村 市区町村
診療報酬明細書 保険会社 病院
通院証明書 保険会社 被害者本人
後遺障害診断書 保険会社 主治医
※付添い看護自認書または看護料領収書 保険会社 付添い看護者
※後遺障害に立証のためのMRI・MRA、その他症状を裏付ける意見書や医学的資料等 病院 病院
被害者申請に必要な書類の表

※は、必要性が認められた場合のみの書類です。

「保険会社」とは、一般的に任意保険会社ですが、自賠責保険会社から取り寄せることもできます。そもそも相手方が無保険者の場合は、用紙入手先は自賠責保険会社です。提出した書類に不備があると何度も再提出が要求され、却って時間がかかる結果となってしまいます。ですから、できるだけ1度ですませるよう周到に準備をして申請する必要があります。事故の怪我の治療をしながらの手続きとなりますので、被害者の負担は大きいです。

そのため、被害者請求を考えている場合は必ず弁護士に相談しましょう。弁護士に相談する事で後遺障害認定に必要な内容が書かれた書類を適切に準備することが出来ます。

後遺障害認定結果に不満があれば異議申し立て

もし審査の結果に不満があれば「異議申し立て」というものを行い、申請を再び行うことが出来ます。

申請をしても必ず後遺障害認定を受けられる訳ではありません。
後遺障害に認定されるべき症状が残っているにも関わらず認定を受けられなかったり、症状に対して低い等級が認定された結果、受け取る示談金が減ってしまう事があります。

後遺障害等級に該当する症状が残っているにも関わらず認定がなされない場合は次の3つの原因が考えられます。

  • 後遺障害診断書に記載されている内容が不正確
  • 後遺障害認定に必要な検査を行っていなかった
  • 事前認定で申請した結果必要な書類が足りていなかった

これらを解決するためには必要な検査を医師にお願いしたり、たくさんの書類を自分で集める必要があります。
弁護士に依頼、相談を行うことで手続きをすべて任せることが出来ます。

関連ページ:後遺障害の異議申し立てのコツを弁護士が詳しく解説

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後遺障害が認定される確率は約4.73%

後遺症が後遺障害として認定される確率は決して高くありません。

損害保険料率算出機構が毎年公開している自動車保険の概況の2021年度版によると自賠責保険の請求事案件数は1,041,737件であるのに対し、後遺障害が認定されたのは49,267件であるので、事故による怪我が後遺障害と認定される確率は単純計算で約4.73%になります。

資料の該当部分を引用してご紹介します。

2020年度自賠責保険の請求事案件数

引用元:2021年度自動車保険の概況

2020年度後遺障害認定件数

引用元:2021年度自動車保険の概況

後遺障害認定を受けるための注意点

先ほど述べたように後遺障害の認定率は5%に満たないのが現状です。少しでも認定率を上げるためには次のようなポイントに注意する必要があります。

  • 定期的に通院して検査を受ける
  • 症状固定時期は保険会社に決めさせない
  • 後遺障害診断書を正確に作成してもらう
  • 被害者請求で申請する

それぞれ解説します。

定期的に通院して検査を受ける

入院が必要ないケガであった、あるいは入院後に退院したという場合でも、病院への通院は定期的にして必要な治療や検査をしてください。通院をしていないと、後遺障害認定の際に治療の必要がない状態であったと判断されてしまうおそれがあります。通院の頻度はケガの種類にもよりますが、例えばむち打ちの場合だと週に2回程度は通院した方が後遺障害に認定されやすいとされています。

また、保険会社に確認をとった上であれば整骨院に通うこと自体は構いませんが、病院にも必ず定期的に通院してください。病院で医師に症状を伝えたり、検査をしたりすることは後遺障害の認定のためには重要です。

症状固定時期は保険会社に決めさせない

症状固定の時期について、保険会社の言いなりになってはいけません。保険会社は、支払額を抑えるために、早期の症状固定を主張してくることがあります。しかし、症状固定時期を早めてしまうと治療費などが支払われなくなってしまいます。加えて、治療の必要がなかったとして後遺障害が認められづらくなってしまいます。

症状固定は保険会社ではなく、医師が判断するものです。医師と話してみて症状固定にはなっていないということであれば、治療が必要です。くれぐれも保険会社に決めさせることのないようにしてください。自分で交渉をするのが難しいということであれば、弁護士に依頼して保険会社とのやりとりを任せるのもひとつの手です。

後遺障害診断書を正確に作成してもらう

後遺障害診断書には必要事項を正確に記載してもらいましょう。後遺障害の認定は基本的に書面主義になりますので、書類の記載内容は非常に重要です。以下のことに気をつけてください。

後遺障害の認定に関する審査は基本的に提出した書類の内容に基づいて行われます。そのため、正確な書類の作成を行う必要があります。
例えば「腕が動きにくい」といった抽象的な物ではなく「腕が○○度以上曲がらない」という具体的な情報を記載するなどです。

症状はすべて伝える

感じている症状はすべて漏らすことなく伝えてください。診断書には自覚症状を記載する欄がありますが、自覚症状は本人しかわかりませんので、言わなかったことは書かれません。特にむち打ちで画像上は症状が明確でないような場合には、自覚症状を正しく伝えて記載してもらわないと後遺障害認定は見込めません。「ある程度伝えればうまく書いてくれるだろう」と考えずに、すべて伝える意識をもってください。

必要な検査をしてもらう

認定のために必要な検査は受けましょう。医師の指示に従っていればよいと考えるかもしれませんが、医師は必ずしも後遺障害認定に精通しているわけではありません。必要な検査を十分理解していないこともありますし、ときには正しく検査ができていないということすらあります。後遺障害認定に詳しい弁護士は必要な検査を把握しているので、相談してみるとよいでしょう。

場合によっては修正をお願いする

伝えた自覚症状が記載されていないなど、後遺障害診断書の内容が不十分な場合には、医師に修正をお願いした方がよいです。書かれていないことは判断者に伝わらず、認定の際に考慮してもらえません。そのため、正確な記載は必須になります。もっとも自分で医師に依頼するのは難しいケースも多いです。弁護士は医師への面談も可能なので依頼を検討してみてください。

被害者請求で申請する

申請は自賠責保険会社に対する被害者請求で行ってください。たしかに事前認定は手間がかかりません。ですが、保険会社は支払額を抑えたいため後遺障害認定に積極的ではなく、十分な資料を提出してくれるわけではありません。また、保険会社の顧問医による消極的な意見が付けられてしまう可能性もあります。

被害者請求にすれば、必要な書類すべてを提出します。相手方の任意保険が介在することはありませんので、事前認定と比べれば有利な認定を受けやすいともいえます。そのため、後遺障害が認定される確率を上げられます。

後遺障害認定は弁護士に任せましょう

怪我の治療を行いながら後遺障害認定に必要な書類を集めたり、加害者側の保険会社と交渉をするのは大変なことです。

弁護士に依頼することで症状に応じた等級認定を受ける確率が上がるだけでなく、面倒な手続きを任せられるので安心して治療を受けることが出来ます。

我々弁護士法人ブライトでは交通事故被害者に向けた無料相談を行っています。まずはお気軽にお問い合わせください。

  • この記事を書いた人

代表弁護士:和氣 良浩

弁護士法人ブライト代表弁護士: 2006年に独立開業してから交通事故被害の回復に努めてきました。これまで1000件を超える交通事故を解決して参りましたが、被害者が低い賠償金で納得させられているケースをたくさん見てきました。 一人でも多くの被害者が適切な補償を受けられるように情報発信を行っています。

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  • 代表弁護士 和氣良浩

    代表弁護士 和氣良浩
             

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事務所名 弁護士法人 ブライト
開 業 平成21年(代表弁護士独立開業)
設 立 平成24年11月設立、平成27年1月に法人化
所在地 〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎2丁目6番6号 コウヅキキャピタルウエスト12階
TEL 06-4965-9590(受付時間9:00~18:00)
FAX 06-6366-8771
事業内容 法人向け(法律顧問・顧問サービス、経営権紛争、M&A・事業承継、私的整理・破産・民事再生等、契約交渉・契約書作成等、売掛金等の債権保全・回収、経営相談、訴訟等の裁判手続対応、従業員等に関する対応、IT関連のご相談、不動産を巡るトラブルなど)、個人向け(交通事故・労災事故を中心とした損害賠償請求事件、債務整理・破産・再生等、相続、離婚・財産分与等、財産管理等に関する対応、不動産の明渡し等を巡る問題など)

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