後遺障害14級に認定されると、後遺障害慰謝料110万円と事故前の収入に応じた後遺障害逸失利益を加害者に請求することが出来ます。
むち打ちやまつげはげ、手足に大きな傷が残った場合など比較的軽い症状で認定されます。
一方で認定される確率は数パーセントと非常に低いですが、弁護士に依頼することで20~30%程度まで認定率を上げることが出来ます。
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後遺障害14級とは
後遺障害14級は正式には後遺障害等級14級といいます。
事故の被害に遭い、残ってしまった後遺症の中で自賠責の基準を満たした症状は後遺障害と認定されて1~14の後遺障害等級がつきます。
この後遺障害は症状の重い順に1~14級に分けられており、最も被害が少ないのが後遺障害14級です。
むち打ちでも認定される可能性があるため、交通事故で認められる後遺障害の半分以上が後遺障害14級です。
後遺障害14級が認定される症状
後遺障害14級に認定される可能性がある症状を解説します。
ここで紹介する症状があれば必ず後遺障害14級が認定される訳ではありません。後遺障害申請を行い認定を受ける必要があります。
関連ページ:後遺障害認定を受ける手順と注意点を弁護士が分かりやすく解説
号数 | 症状 |
---|---|
14級1号 | 1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの |
14級2号 | 3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの |
14級3号 | 1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの |
14級4号 | 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの |
14級5号 | 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの |
14級6号 | 1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの |
14級7号 | 1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの |
14級8号 | 1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
難しい言葉が多いですがわかりやすく解説するので安心してください。
後遺障害14級1号:1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
簡単に言うと・・・
片目のまぶたが欠けてしまったり、まつげが生えてこなくなった状態です。
詳しく解説すると、片方の目のまぶたに以下の症状があると後遺障害14級1号となります。
- まぶたが欠け、目を閉じたときに黒目は覆えても白目の一部が露出してしまう
- まぶたで眼球全体を覆えるが、まつげの半分以上が生えてこなくなった
後遺障害14級2号:3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
簡単に言うと・・・
治療も含め、3本以上の歯が入れ歯や差し歯になった状態です。
歯科補綴(しかほてつ)とは入れ歯や差し歯、ブリッジ治療などの治療を歯に施すことを言います。
3本以上の歯が折れたり欠けたりして入れ歯になってしまった場合は後遺障害14級2号に当てはまります。
治療のために抜いたり削ったりした歯も本数に数えられます。
事故で1本だけ歯を無くした場合でもその治療のために両隣の2本の歯を削れば合計で3本の歯に歯科補綴を加えたことになるので14級2号に当てはまります。
もし7本以上の歯に歯科補綴を加えた場合はさらに重い後遺障害12級3号に当てはまります。
後遺障害14級3号:1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
簡単に言うと・・・
片耳が聞こえにくくなった状態です。
片耳の聴力が、1m以上離れた相手の小声を聴き取れない状態になった場合には14級3号となります。具体的には、片耳の平均純音聴力レベルが40デシベル以上70デシベル未満となった場合です。
70デシベルというのは電話の着信音程度の音です。
後遺障害14級4号:上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
簡単に言うと・・・
腕に手のひらサイズの傷跡が残ってしまった状態です。
肩から指先までの部分にてのひらの大きさの醜い傷跡が残ってしまった場合には14級4号となります。
事故での傷だけでなく手術痕が残っても認められます。
大きさの基準となる「てのひら」に指は含みません。
後遺障害14級5号:下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
簡単に言うと・・・
脚に手のひらサイズの傷跡が残ってしまった状態です。
股関節からつま先までの部分にてのひらの大きさの醜い傷跡が残ってしまった場合には14級5号となります。「てのひら」に指を含まないことや手術痕が残っても認定されることは14級4号と同様です。
後遺障害14級6号:1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
簡単に言うと・・・
片手の親指以外の指の骨が一部無くなってしまったり、骨折して治療をしたもののくっつかなかった状態です。
後遺障害14級7号:1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
簡単に言うと・・・
片手の親指以外の指の第一関節を曲げたり伸ばしたり出来ない状態です。
関節が癒着して動かなかったり、筋肉の損傷があって曲げ伸ばしができなかったりするケースです。
後遺障害14級8号:1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの
簡単に言うと・・・
片足の中指、薬指、小指のうち1~2本が切断されたり、動かしにくくなった状態です。
詳しく言うと片足の中指、薬指、小指のうち1~2本が以下の症状に該当すれば後遺障害14級8号です。
- 中節骨(第1関節から第2関節までの骨)または基節骨(第2関節から第3関節までの骨)を切断した
- 第1関節または第2関節が切り離された
- 第2関節または第3関節の可動域が半分以下に制限された
後遺障害14級9号:局部に神経症状を残すもの
簡単に言うと・・・
体の一部に痺れや痛みなどの自覚症状が残った状態です。
体の一部に痛みや痺れなどの神経症状が残ってしまった場合は14級9号となります。むち打ちで後遺障害が認定される場合はこのケースになります。
神経症状とは神経にダメージを負うことで以下のような症状が残った状態を言います。
- 痛み
- しびれ
- 動かしにくい(運動障害)
- 頭痛
- 感覚が鈍くなった
むち打ちの場合は自覚症状しかない場合がほとんどで、後遺障害認定を受けるためには適切な神経学的検査を受ける必要があります。
むち打ちで後遺障害14級の認定を勝ち取るには
むち打ちは後遺障害14級?12級?
後遺障害14級9号と後遺障害12級13号は認定される症状が
後遺障害等級 | 症状 |
---|---|
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
12級13号 | 局部に著しい神経症状を残すもの |
と似ています。被害者としては12級13号で認定された方が多く賠償金を受け取ることが出来ますが、加害者としては14級9号で認定された方が支払う金額が少ないため争いになることが多いです。
いくつかのサイトでは「むち打ちでも12級13号が認定される可能性がある」としていますが実務上12級が認定されることはほぼありません。
絶対にないとは言い切れませんがむち打ちで認定される可能性があるのは後遺障害14級と思っておいた方がいいでしょう。
関連ページ:後遺障害12級とは?該当する症状や慰謝料を弁護士が解説
むち打ちで後遺障害14級を勝ち取るには
むち打ちで後遺障害の認定を受けるためには
- 加害者側保険会社の言うままに症状固定をしない
- 事故との因果関係を証明する
の二つが重要になります。
むち打ちの治療期間は一般的に3ヵ月と言われており、治療開始から3ヵ月経つと相手保険会社から「そろそろ症状固定をお願いします」と言われることが多いです。症状固定を受け入れてしまうと、それ以降の治療費は支払われません。
関連ページ:症状固定とは?最適なタイミングやポイントを弁護士が解説
症状固定かどうかを判断するのは担当の医師であるため、もし保険会社から症状固定の提案を受けても安易に了承せずに必ず担当の医師に相談しましょう。
また、後遺障害が認定されるには他覚所見と言ってレントゲン写真などで客観的に症状を証明する必要があります
が、むち打ちの場合は自覚症状しかない場合も多く、それを理由に後遺障害が認定されないこともあります。
しかし、自覚症状のみでも神経学的検査で後遺障害が認められ、事故との因果関係が証明できれば十分に14級認定の可能性はあります。
むち打ちでは以下のような神経学的な検査を行います。
- ジャクソンテスト
- スパーリングテスト
- MMT
- SLRテスト
- FNSTテスト
- 腱反射テスト
後遺障害認定についての知識が少ない医師の場合、これらの検査を行わない可能性もあります。
医師だけでなく弁護士にも相談する事で「後遺障害認定のために必要な検査」を漏らさずに受けることが出来ます。
関連ページ:むち打ち(頸椎捻挫)で後遺障害が残ったら|慰謝料相場をわかりやすく解説!
むち打ちで後遺障害14級が認定される確率は?
自動車保険の概況(2020年度版) によると自賠責保険が賠償金を支払った約107万件のうち後遺障害14級が認定されたものは約3万件です。
この数字から単純に計算すると14級の認定率は約3%となります。
賠償金を支払った107万件すべてに対して後遺障害申請がなされたわけでは無いためあくまで参考数値です。
また、14級として認定された症状すべてがむち打ちでは無いことや実務上、むち打ちでの後遺障害等級の獲得は他の症状と比べて難しいことを考慮するとむち打ちで後遺障害14級が認定される確率は高くても数パーセント程度です。
しかし弁護士に相談する事でおおよそ20~30%程度まで認定率を上げることが出来ます。加えて骨折などの他覚症状があればさらに認定率は高くなります。
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後遺障害14級の賠償金相場
後遺障害14級が認定されると
がそれぞれ認定されます。
慰謝料は弁護士に依頼すれば110万円程度が相場となります。
後遺障害逸失利益は事故前の収入と働く能力が低下した期間によって変わるのですが、むち打ちによるしびれの場合「徐々に慣れて労働に影響が無くなる」として3~5年程度とされることが多いです。
逸失利益についても弁護士に依頼することで労働能力喪失期間を最大限主張できるため、増額が期待できます。
慰謝料についてより詳しくは交通事故の慰謝料の相場、計算方法、弁護士に依頼するべきケースを解説をご覧ください。
後遺障害14級で障害者手帳は貰えるのか
障害者手帳があれば、障害者総合支援法の対象となるため様々な支援を受けることが出来ますが、後遺障害14級に該当する症状での交付は難しいでしょう
まとめ:後遺障害14級の認定を受けたいなら弁護士に相談を
後遺障害14級は認定例が多い等級ではありますが、簡単に認定が出るというわけではありません。それでも、弁護士のアドバイスを受け、申請手続を任せることで認定可能性は上がります。適切に認定を受けるため、まずは弁護士に相談してみましょう。