このページは、弁護士費用保険(LAC)の運用のうち「相手方から損害賠償請求・反訴を受けた場合」「自損自弁で決着する場合」の弁護士費用の扱いを、弁護士法人ブライトの交通事故チームが実務の観点から整理したものです。同業の弁護士・事務局の方の実務メモとしても、特約の利用を検討されている被害者の方の確認用としてもお読みいただけます。
執筆:松本 洋明 弁護士(弁護士法人ブライト/大阪弁護士会)
監修:和氣 良浩 弁護士(弁護士法人ブライト 代表弁護士/大阪弁護士会)
📝 この記事の3秒結論
- LACは「被害回復」のための保険。相手方からの請求に対する「防御費用」は、反訴であっても対象外。逆に、相手方の債務不存在確認訴訟に対してこちらから賠償請求する「被害回復のための反訴」は対象
- 防御費用は多くの場合、自動車保険の主契約(賠償責任保険)から出る。ただしLAC基準が当然に適用されるわけではなく、等級ダウンの説明も必要
- 自損自弁は和解条項の書き方で報酬の支払元が変わる。「相互放棄」か「双方の請求額を明示して相殺」かを、成立前に保険会社へ確認する
- 示談交渉→調停→訴訟と進む場合の追加着手金は各段階1/4が上限・全手続合計で1.5倍が上限
- 同一弁護士が引き続き上訴審を受任した場合、報酬金は原則として最終審のみ
出発点:LACは「被害回復のための保険」である
弁護士費用保険(権利保護保険・LAC)は、交通事故の被害者が加害者に対して損害賠償を請求するための弁護士費用を賄う仕組みとして設計されています。この一点を押さえておけば、実務で迷う場面の大半は説明がつきます。
実務で頻繁に起きるのが、次の2つの場面です。
- 示談交渉中に、相手方から逆に損害賠償を請求された
- 損害賠償請求訴訟を提起したところ、相手方から反訴を提起された
いずれも、双方に過失がある事故(出会い頭、進路変更、右直、駐車場内の接触など)では珍しくありません。
結論から言えば、相手方からの請求に対応するための弁護士費用は、それが反訴であるかどうかにかかわらず、弁護士費用保険からは支払われません。被害回復のための費用ではなく、いわば防御のための費用だからです。LACマニュアル改訂第7版(2025年1月)Q&A3-⑰参照。同改訂では、従来2つに分かれていたQ&Aが統合され、相手方からの請求についての考え方と自損自弁の場合の考え方が整理されました。
「同じ訴訟手続の中の話だからLACの対象になるのでは」という発想が出やすいところですが、判断基準は手続の形式ではなく、その費用が誰の被害回復のために使われるのかという実質にあります。ここを取り違えると、後で保険会社から支払を拒絶され、依頼者への費用の説明がつかなくなります。
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では防御費用はどこから出るのか——主契約(賠償責任保険)という現実解
LACから出ないとなると全額自己負担か、というとそうではありません。
弁護士費用保険は、そのほとんどが自動車保険に特約としてセットされているものです。そして相手方から損害賠償を求められる場面は、本来、対人賠償責任保険・対物賠償責任保険という主契約が引き受けている領域にあたります。そのため、防御にかかった弁護士費用については、主契約の側から支払を受けられるケースが多いと考えられます。加えて、相手方の請求を減額できたときは、その減額の利益を報酬金の算定対象として扱う余地があります。
ただし、ここには実務上の落とし穴が2つあります。
落とし穴①:LAC基準がそのまま適用されるわけではない
主契約から支払われる場合、LAC基準(保険金支払基準)が当然に適用されるわけではありません。支払の有無・算定基準は保険会社の判断に委ねられる部分が大きくなります。
したがって、受任の前後に①弁護士費用保険以外から支払われるのか、②支払われる場合はどのような基準かを保険会社へ問い合わせておくことが不可欠です。これは同マニュアルQ&A3-⑰でも推奨されている手順です。
落とし穴②:主契約を使うと等級が下がる
弁護士費用特約の利用は原則としてノンフリート等級に影響しません。しかし主契約(対人・対物賠償)を利用する場合には等級が下がることがあります。等級が下がれば翌年以降の保険料が上がり、その負担は数年にわたります。「弁護士費用は保険から出ます」とだけ説明した結果、翌年の保険料通知を見た契約者から「聞いていない」と言われる——十分に起こり得る事態です。保険契約者本人にも主契約を使う意味を必ず説明し、確認を取ってください。
なお、交通事故に限らず当所の取扱事案全般で見ると、保険代理店から「この損害内容では特約の使用は難しい」と回答されていた案件について、弁護士が保険会社と直接協議した結果、適用が認められて受任に至った例があります。代理店段階の一次回答を最終回答として扱わない——特約運用の基本動作です。
防御側の「経済的利益」をどう考えるか
請求する側の経済的利益は「回収できた額」で分かりやすいのですが、防御側は考え方が変わります。
| 立場 | 経済的利益の考え方 | 費用の出どころ |
| 請求する側(被害回復) | 相手方から回収できた損害賠償額 | 弁護士費用保険(LAC) |
| 請求を受ける側(防御) | 相手方の請求額をいくら減額できたか(減額の利益) | 主契約からの支払を検討。基準は要確認 |
減額の利益で考える場合、「何を基準額とするか」が争点になります。相手方が過大な請求をしてきた事案で名目上の請求額を出発点にしてよいのか、修理費の見積もり自体に争いがある場合はどうか——保険会社との認識がずれやすいところで、算定の前提を事前に文書で共有しておくことが後の紛議を防ぎます。
また、こちらの被害回復(LAC対象)と相手方への防御(主契約対象)が一つの事件の中で同時並行する点も、この類型の難しさです。着手金・報酬金をどちらの保険にどう割り付けるかの整理は、受任時に済ませておくべき作業です。
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自損自弁で決着する場合——和解条項の書き方で支払元が変わる
自損自弁とは、双方が相手方への損害賠償請求をせず、それぞれ自己の損害を自己負担で処理して終わらせる解決方法です。物損事案、とりわけ双方に相応の過失がある事案では実用的な着地点になります。
なぜ自損自弁が選ばれるのか
当所が自損自弁を提案・検討してきた場面を整理すると、概ね次の構図です。
- 差引きすると持ち出しになる:双方の修理費と過失割合を突き合わせると、こちらが支払う額が受け取る額を上回る。示談を成立させるほど不利になる
- すでに自車保険で修理済み:車両保険等で修理が完了しており、相手方からの回収がなくても実害が生じない
- 証拠が出てこない:相手方がドライブレコーダー映像を開示せず、示談交渉段階では開示を強制できない
- 早期解決の価値:訴訟を回避して事案を終結させること自体に価値がある
実際、当所の交通事故チームでも、双方の修理費見積を突き合わせたうえで「この過失割合帯であれば示談解決限りで自損自弁を提案する方が依頼者に有利」と判断した事案や、相手方の請求が取り下げられて自損自弁となり、訴訟をした場合を上回る条件で決着した事案があります。自損自弁は「妥協」ではなく、経済合理性から選び取る解決手段です。
LAC上の論点:報酬の支払元が和解内容で変わる
ここからが本題です。自損自弁で終わった場合の弁護士報酬が弁護士費用保険から支払われるのか主契約から支払われるのかは、和解の内容によって変わります(LACマニュアル改訂第7版 Q&A3-⑰参照)。
| 自損自弁の組み立て方 | 内容 | 費用面で問題になりやすい点 |
| ①請求を相互に放棄する | 双方が請求権を放棄し、金額を確定させずに終結させる | こちらの「回収額」も相手方の「減額幅」も金額として立ち上がらないため、経済的利益の説明が難しくなりやすい |
| ②双方の請求額を明確にしたうえで相殺する | それぞれの損害額・過失割合を確定させ、対当額で相殺して差引ゼロとする | 金額が確定するため経済的利益の説明はしやすいが、どちらの保険が負担するかの切り分けを事前に詰めておく必要がある |
実務上の鉄則はひとつです。自損自弁とする場合は、和解を成立させる前に、どの保険から報酬が支払われるのかを保険会社に確認する。
和解成立後に照会して「どちらからも出ない」という回答が返ってくると、依頼者に費用を請求せざるを得なくなります。自損自弁は「手元に金銭が入らない解決」であるため、そこから弁護士費用を負担していただく話になると満足度は大きく損なわれます。和解条項の文言を決める段階が、費用回収を決める段階でもあるのです。
債務不存在確認訴訟と反訴の扱い
関連して整理しておきたいのが債務不存在確認訴訟です。
- 債務不存在確認訴訟の受任そのもの:保険の支払対象としているか否かは保険会社により異なるため、個別に確認が必要です
- 債務不存在確認訴訟に対して反訴として損害賠償請求訴訟を提起する場合:その反訴部分は支払対象となります
先ほどの「反訴を受けた場合は対象外」と逆になっている点に注目してください。矛盾ではありません。基準は一貫して「その手続が被害回復のための請求か否か」です。
| 場面 | 手続の形式 | LACの支払対象 |
| こちらの請求訴訟に相手方が反訴 | 反訴(相手方が原告) | その防御費用は対象外 |
| 相手方の債務不存在確認訴訟にこちらが反訴 | 反訴(こちらが反訴原告) | 反訴部分は対象 |
形式ではなく実質で判断する。この原則があれば、新しい場面でも筋を通した説明ができます。
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手続が進む場合の追加着手金——各1/4上限・全体1.5倍上限
相手方から請求を受ける事案は、交渉で終わらず手続が積み上がる傾向があります。そこで押さえておくべきなのが、追加着手金のルールです。
ルール①:段階が進めば別途着手金を受けられる
同一の事件について、示談交渉から引き続き調停・仲裁センター等への申立てや訴訟を受任するとき、調停等から引き続き訴訟を受任するとき、第一審から引き続き控訴審・上告審を受任するときは、いずれも別途着手金を受けることができます。ここでいう「調停・仲裁センター等への申立て」には、交通事故紛争処理センターへの申立てや、自賠責保険・共済紛争処理機構への紛争処理申請も、ここに含まれます。
ルール②:各段階の追加着手金は「本来の着手金の1/4」が上限
追加着手金は青天井ではありません。その段階の経済的利益から算出される本来の着手金の4分の1が上限です。
ルール③:全手続を通じた合計は「1.5倍」が上限
1つの事件について示談交渉・調停・仲裁センター・第一審・控訴審・上告審と手続を重ねる場合(保全命令申立事件および民事執行事件を除く)、全手続を通じた着手金の合計額は本来の着手金の1.5倍を超えられません。この「本来の着手金」は各手続で算定された経済的利益のうち最も高い額から算出します。ただし、通常想定される範囲を超える事案の複雑さや処理の煩雑さを受任弁護士が疎明した場合はこの限りではありません。
具体例:交渉 → 訴訟 → 控訴審
| 手続段階 | 受任時の経済的利益 | 本来の着手金 | 実際に請求できる着手金 |
| ①示談交渉(当初受任) | 500万円 | 34万円 (500万円×5%+9万円) | 34万円(当初着手金のため満額) |
| ②訴訟(第一審) | 600万円 | 39万円 (600万円×5%+9万円) | 9万7,500円(39万円×1/4) |
| ③控訴審 | 200万円 | 16万円 (200万円×8%) | 4万円(16万円×1/4) |
| 着手金の合計 | 47万7,500円 | ||
| 1.5倍上限(最も高い経済的利益600万円ベース) | 39万円×1.5=58万5,000円 → 上限内で請求可 | ||
※金額はいずれも消費税別。LACマニュアル改訂第7版 Q&A3-⑯の設例に基づく整理です。
この設例から読み取るポイントは3つです。
- 増加分は前の段階に遡らない:②で経済的利益が500万円から600万円に増えても、①示談交渉時の着手金34万円が39万円に増額されるわけではありません。手続段階が上がる場面では「全体の着手金との差額を精算する」のではなく、あくまでその段階の本来の着手金の1/4を上限とする点に注意が必要です(調査事件から本案へ移行する場合や、異議申立てのみの受任から事件全体の受任へ広げる場合は、差額で精算する別のルールが適用されます)
- 1.5倍の判定は「最も高い経済的利益」ベース:この例では控訴審の経済的利益が200万円まで下がっていますが、上限の判定に使うのは最も高い600万円です
- 途中からタイムチャージには切り替えられない:示談交渉の段階で着手金・報酬金方式を選んだ以上、訴訟に移ってから時間制報酬に切り替えることはできません。受任時の方式選択は後戻りできない判断です
参考:着手金・報酬金の基準額
| 経済的利益 | 着手金 | 報酬金 |
| 125万円以下 | 10万円 | 20万円(経済的利益が0円の場合は0円) |
| 125万円超 300万円以下 | 8% | 16% |
| 300万円超 3,000万円以下 | 5%+9万円 | 10%+18万円 |
| 3,000万円超 3億円以下 | 3%+69万円 | 6%+138万円 |
| 3億円超 | 2%+369万円 | 4%+738万円 |
※いずれも消費税別。なお報酬金は、委任事務の終了時において処理の難易等の事情により上記金額が不相当と認められる場合、疎明資料を示して受任弁護士と依頼者が協議のうえ30%の範囲で増額することができるとされています。
おおよその賠償額を把握したい方は、当所の交通事故の慰謝料計算シミュレーターもご利用ください。経済的利益の規模感がつかめると費用の見通しも立てやすくなります。
上訴審を同一弁護士が受任した場合、報酬金は最終審のみ
もうひとつ、見落としやすい重要ルールがあります。同一の弁護士がそのまま上訴審も受任した場合、別段の取決めがなければ、報酬金は最終審の分だけを算定する扱いになります(LACマニュアル改訂第7版 保険金支払基準第2条4項参照)。
したがって、第一審で一部でも勝訴し、そのまま控訴審に進む場合、その時点で精算できるのは控訴審の着手金だけで、第一審分の報酬金を先に受け取ることはできません。「第一審で結果が出たので報酬金を精算し、あらためて控訴審の着手金をいただく」という組み立てにはできない、ということです。
もうひとつ、控訴審について実務上の注意があります。被害者側が第一審で勝訴し、相手方が控訴してきた場合の控訴審の弁護士費用は、支払可能であることが前提とされています。ただし、相手方が争っているのが過失割合の点だけというケースでは、保険会社によっては支払対象外とされることもあります(LACマニュアル改訂第7版 Q&A3-⑲参照)。相手方の控訴理由書を確認したうえで、控訴審に着手する前に保険会社へ照会しておくのが安全です。
関連して、以下も併せて押さえておきたい点です。
- 判決が確定した場合は、回収の有無にかかわらず報酬金を請求できます(相手方に資力がなく現実の回収に至っていない場合も同じです)
- 判決確定後に執行事件へ移行する場合は、さらに執行事件の着手金を請求できます。回収できた部分について執行事件の報酬を請求することも可能です
- ただし手続の対象財産が複数あっても、同一事件の処理に関するものである限り、執行事件の着手金は当該事件につき1度限りです。不動産と複数口座を押さえても財産ごとには請求できません
弁護士費用特約が使えるか分からない、という段階でも構いません
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実務チェックポイント
受任時に確認すること
- 相手方からの請求が出てくる可能性がある類型か(双方に過失がある、双方に物損がある、相手方が営業車両である等)
- 相手方からの請求に対応した場合の弁護士費用について、主契約から支払われるか・どの基準で支払われるかを保険会社に照会したか
- 主契約の利用でノンフリート等級が下がる可能性を保険契約者本人に説明したか(契約者と被害者が別人のケースに特に注意)
- 着手金・報酬金方式か時間制報酬方式か——後から切り替えられないことを踏まえて選択したか
- 代理店の一次回答で「使えない」とされていても、保険会社に直接確認したか
和解・示談の前に確認すること
- 自損自弁とする場合、「相互放棄」型か「双方の請求額を明示して相殺」型かを意識して和解条項を組み立てたか
- その和解内容で、報酬がどの保険から支払われるかを保険会社に確認したか(成立前に)
- 自損自弁は手元に金銭が入らない解決であることと費用の出どころを、依頼者に説明したか
費用請求の前に確認すること
- 手続を重ねている場合、各段階の追加着手金が本来の着手金の1/4以内に収まっているか
- 着手金の合計が、最も高い経済的利益から算出した着手金の1.5倍以内に収まっているか
- 上訴審まで進んだ場合、報酬金を最終審のみで算定しているか(第一審報酬金を二重に計上していないか)
- 相手方の控訴に対応する場合、相手方が過失割合のみを争っていないかを確認し、控訴審着手前に保険会社へ支払可否を照会したか
- 1.5倍上限を超える場合、事案の複雑さ・処理の煩雑さを疎明する資料を準備できているか
被害者の方へ——「相手からも請求された」ときに知っておいてほしいこと
被害者の立場でこの記事にたどり着かれた方に、要点を3つだけお伝えします。
1. 相手方から請求されても、弁護士に依頼できなくなるわけではありません。 被害回復のための費用は弁護士費用特約から、相手方への対応にかかる費用は主契約から、と出どころが分かれるだけです。
2. 代理店から「使えない」と言われても、そこで終わりにしないでください。 約款の解釈が関わる判断であり、一次回答が最終回答とは限りません。
3. 自損自弁は「負け」ではありません。 示談を成立させるほど持ち出しが増える事案は現実に存在し、そこで自損自弁を選ぶのは計算に基づく合理的な判断です。ただしその判断には双方の損害額と過失割合の見通しが必要で、そこは弁護士の仕事です。
よくあるご質問
Q1. 反訴を提起されました。反訴も同じ訴訟手続の中の話なので、弁護士費用特約が使えるのではないですか?
A. 使えません。弁護士費用保険は被害回復のための保険であるため、相手方からの請求に対応する費用は、それが反訴であるかどうかにかかわらず対象外とされています。判断基準は手続の形式ではなく、その費用が被害回復のためのものかどうかです。
Q2. では、防御側の弁護士費用は全額自己負担になるのですか?
A. 多くの場合、自動車保険の主契約(対人・対物賠償責任保険)から支払を受けられると考えられます。ただしLAC基準が当然に適用されるわけではないため、支払の有無と算定基準を事前に保険会社へ確認してください。
Q3. 主契約から弁護士費用を出してもらうと、何かデメリットはありますか?
A. ノンフリート等級が下がる場合があります。等級ダウンは翌年以降の保険料に影響するため、保険契約者本人への説明と確認が必要です。弁護士費用特約の利用自体は原則として等級に影響しません。
Q4. 自損自弁で終わった場合、弁護士報酬はどこから支払われますか?
A. 和解の内容によって変わります。請求を相互に放棄する形なのか、双方の請求額を明確にしたうえで相殺する形なのかで、弁護士費用保険から支払われるか主契約から支払われるかが変わってくるとされています。和解を成立させる前に保険会社へ確認してください。
Q5. 示談交渉から訴訟に移行した場合、着手金はもう一度満額かかりますか?
A. かかりません。追加の着手金は、その段階の経済的利益から算出される本来の着手金の4分の1が上限です。さらに、全手続を通じた着手金の合計額は、最も高い経済的利益から算出される着手金の1.5倍を超えられません。
Q6. 第一審で勝訴し、相手方が控訴しました。第一審の報酬金は先にもらえますか?
A. 同じ弁護士がそのまま上訴審まで担当する場合、報酬金は原則として最終審の分だけを算定する扱いです。そのため、この段階で精算できるのは控訴審の着手金のみとなります。
まとめ
相手方から請求・反訴を受けた場合の弁護士費用は、「LACは被害回復のための保険である」という一点から演繹すれば迷わず整理できます。
- 防御費用はLAC対象外。反訴か別訴かは関係ない
- 実際の出どころは主契約。ただし基準は要確認、等級ダウンの説明も必要
- 自損自弁は和解条項の書き方で支払元が変わる。成立前に確認する
- 債務不存在確認訴訟への反訴は逆に対象になる。実質で判断する
- 追加着手金は各段階1/4・全体1.5倍が上限。上訴審の報酬金は最終審のみ
いずれの論点にも共通するのは、「事後に照会しても手遅れになる」という点です。受任時、和解成立前、費用請求前——それぞれのタイミングで保険会社に確認を入れておくことが、依頼者にも弁護士にも損のない進め方になります。
弁護士法人ブライトは、顧問先142社の企業法務から交通事故の被害回復まで幅広く手がけ、所属弁護士の弁護士歴は法人全体で平均13年以上です。双方に過失がある事故、相手方からも請求されている事故など、整理に手間がかかる事案こそご相談ください。
交通事故のご相談は弁護士法人ブライトへ
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出典
本記事は、LACマニュアル改訂第7版(2025年1月)のうち保険金支払基準第2条・第3条およびQ&A3-⑯・3-⑰・3-⑱・3-⑳・3-㉑・3-㉒の内容を、当所の実務経験を踏まえて再構成したものです。同資料は限定配布資料のため、本記事では条文・設問の転載および逐語での引用を行っておらず、内容はすべて当所の表現に書き改めています。実際の運用にあたっては、必ず最新の原資料および各保険会社の回答をご確認ください。
執筆:松本 洋明(まつもと ひろあき)弁護士(弁護士法人ブライト/大阪弁護士会)
交通事故案件を主に担当。重度後遺障害事案、過失割合の争い、物損の評価損など、争点の多い事案を数多く取り扱っています。
▶ プロフィール詳細
監修:和氣 良浩(わけ よしひろ)弁護士(弁護士法人ブライト 代表弁護士/大阪弁護士会)
企業法務から交通事故・労災まで幅広く担当。顧問先142社の法務を統括しています。
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